騎士の育児

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ワンオペ育児が辛い(脚本)

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〇西洋風の部屋
  俺はアバラード王国の騎士団の団長だった
  先月までは──
バルト・アヴェーヌ「お前らいい加減にしろ!」
バルト・アヴェーヌ「使ったものは片付けろと言ったはずだろ!」
バルト・アヴェーヌ「何回言わせるんだ!」
アメリア「これから片付けるところだったんだもん!」
リオン「そうだよ!」
バルト・アヴェーヌ「じゃあなんで、またおもちゃを出してきてるんだ?」
アメリア「ぐっ・・・」
リオン「バルトの屁理屈や!熊!ゴブリン!」
バルト・アヴェーヌ「小人がわめいてるが、小さくて聞こえないなぁ?」
リオン「ほんと腹が立つ!」
バルト・アヴェーヌ(つい最近まで国を守っていたのに、今の俺はわがままな子供を相手にしている)
バルト・アヴェーヌ(どうしてこんなことに・・・)

〇謁見の間
  一月前、アメリア姫とリオン王子の7歳の誕生日を祝う宴が盛大に行われた
  アバラード国王の息子であるジェームズが他国を視察している際に消息を絶ったため──
  国王の孫であるアメリア、リオン、彼らのどちらかが王位を継承するのではと噂をされている
魔王ジギタリス「なんとまあ、盛大なお祝いだなぁ」
バルト・アヴェーヌ「陛下、下がっていてください!」
魔王ジギタリス「客人に対して失礼な歓迎だと思わないか?」
バルト・アヴェーヌ「失礼もなにもお前など呼んではいない」
魔王ジギタリス「小さなアバラードの未来に、俺からも贈り物をやろうとやってきたのに」
国王「お前からの贈り物など不要じゃ」
魔王ジギタリス「遠慮などすることはない」
魔王ジギタリス「特別な魔力がかかった贈り物だ」
魔王ジギタリス「アメリア姫とリオン王子が13歳までに死ぬ呪いを俺から贈ってやろう」
バルト・アヴェーヌ「な、なにをバカなことを!」
魔王ジギタリス「本当に冗談だと思っているのか?」
バルト・アヴェーヌ(魔王ジギタリスは魔法で民を苦しめてきた)
バルト・アヴェーヌ(魔法で穀物を枯らしたり、モンスターを呼んで建物を破壊したり・・・)
バルト・アヴェーヌ(理不尽に極まりない)
バルト・アヴェーヌ「なんで、そんなことを・・・」
魔王ジギタリス「王国は滅びる定めなのだ」

〇森の中の小屋
ノエル妃「あなたたちのためなの・・・わかってちょうだい」
アメリア「どうして私たちがこんな山奥で暮らさないといけないの?」
リオン「そうだよ!おかしいよ!」
ノエル妃「あなたたちが13歳まで生きるためにはこうするしかないの」
ノエル妃「ごめんね、アメリア、リオン」
アメリア「ママ・・・」
リオン「置いていかないで・・・」
ノエル妃「バルトはアバラードで最強の騎士よ。 絶対にあなたちを守ってくれる」
ノエル妃「この子たちを頼みましたよ、バルト」
バルト・アヴェーヌ「王国のためにこの身をかけてお守りいたします」
  魔王から姿を隠すため、山奥での三人の生活が始まった

〇西洋風の部屋
バルト・アヴェーヌ「昼飯できたぞ」
アメリア「食べたくない!お菓子が食べたい!」
リオン「バルトの料理は野菜いっぱい入ってるんだもん!」
アメリア「食べたくない」
  アメリアがスプーンを投げ捨てた
  スプーンが俺の顔に当たった
アメリア「あ・・・」
バルト・アヴェーヌ「・・・」
アメリア「ごめ・・・」
バルト・アヴェーヌ「うるさいんだよ!」
「ひっ・・・!」
バルト・アヴェーヌ「毎日わがままばかり言われる俺のみになってみろ!」
バルト・アヴェーヌ「俺だって好き好んでお前らの面倒をみてるわけじゃねぇ!」
バルト・アヴェーヌ「お前らなんか任されてなきゃ俺は!」
バルト・アヴェーヌ「あっ・・・」
バルト・アヴェーヌ「すまない・・・」
バルト・アヴェーヌ「顔を洗ってくる・・・」

〇西洋風のバスルーム
バルト・アヴェーヌ(流石に言いすぎた・・・)
バルト・アヴェーヌ(いい大人が子どもにやつあたりなんて)
バルト・アヴェーヌ(二人の子供をみるくらい容易いと勘違いしていた)
バルト・アヴェーヌ「なにしてんだろ・・・俺は」

〇西洋風の部屋
バルト・アヴェーヌ「アメリア?リオン?」
バルト・アヴェーヌ「いない?」
バルト・アヴェーヌ「窓が開いてる?」
バルト・アヴェーヌ「まさかあいつら外に!」

〇けもの道
バルト・アヴェーヌ「アメリア!リオン!どこにいる!」
バルト・アヴェーヌ「お前、ジギタリスの手先か!」
リオン「バルト、待って!」
アメリア「そのこを攻撃しないで!」
バルト・アヴェーヌ「アメリア!リオン!」
(怒られる!)
バルト・アヴェーヌ「良かった・・・無事で」
バルト・アヴェーヌ「どうして森に?」
アメリア「この子が窓から入ってきて」
リオン「アメリアと親のところに返してあげようって、森の中を探していたんだ」
リオン「ママのところに戻れて良かったね」
アメリア「ママ・・・会いたい」
リオン「うん・・・」
バルト・アヴェーヌ(こんなまだ小さいのに、親と離れ離れなんて・・・きっと辛かったよな)
バルト・アヴェーヌ(騎士団の団長として、強い気でいたが俺はまだ弱い)
バルト・アヴェーヌ(こんな小さな子どもすら守れない)
バルト・アヴェーヌ「アメリア、リオン、すまなかったな」
バルト・アヴェーヌ「お前らにやつあたりなんかして。俺を許してくれるか?」
リオン「謝らなきゃいけないのは僕らの方だよ・・・」
アメリア「わがまま言ってごめんなさい」
バルト・アヴェーヌ「気にするな。うちに帰ろう」
  俺はもっと強くならなきゃいけない
  俺がこの子たちを13歳までに生かさないといけない
  絶対に

コメント

  • ワンオペ育児辛いですよね。。。アメリアもリオンもなかなかの強者のようで大変そうでした。本当はまだまだ甘えたいけどそれが叶わなくてわがままとして出てしまってるのかなと思いました。この先の展開気になります!

  • 騎士団の団長だろうが、最強の剣士だろうが、子供の命を守りながらの育児は甘くないですよね。ある意味戦場より過酷かも。でも子供たちに教えられたり癒されたり、バルト自身の人としての成長も予感をさせる終わり方でよかったです。

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