第1話 黒猫・ぽんずの場合(ケース)(脚本)
〇散らかった居間
腹減ったよぉ
臭いし、身体のアチコチ痛いし
僕⋯
死んじゃうのかな?
〇黒
あー⋯
僕、何のために生まれてきたんだろ
〇綺麗な一戸建て
〇明るいリビング
獅子王 ライガ(ししお らいが)「ぐっ、強いなコイツら」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「きなこ、ちょっと邪魔だから! あっち行ってて!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にょん」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「うおおお!!」
〇配信部屋
獅子王 タイガ(ししお たいが)「うおおおお!!」
獅子王 タイガ(ししお たいが)(まだ動くなッ)
獅子王 タイガ(ししお たいが)(上がる筈だ⋯ これが天井な訳がない⋯)
〇部屋の前
ちゃっちゃっちゃっちゃっ♪
〇部屋の扉
〇配信部屋
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん♪」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「オ゛ワーーーッ!」
「にゃ〜ん♡」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「はわわ⋯」
〇空
大損だァーーッ!!?
うっせーぞバカ親父!!
ミスるだろーがチクショー!!
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん♪」
〇アパートの前
NPO法人『にゃんだほー』
保護猫・地域猫活動を
生業としてる団体である
〇古い畳部屋
取締役のマサちゃん「きなこちゃん、いつも通り パパの角刈りふみふみしたかったのかね〜」
取締役のマサちゃん「ちゃんと戸締りしてない アンタが悪いわぁ」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「う゛ぅ」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「親父ィ!手ェ休めんじゃねーぞ!」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「アタシらはいま 猫の為に動く機械なんだからな!」
取締役のマサちゃん「ライガちゃんライガちゃん 今のパパに正論は逆効果よぉ」
猫探偵の江戸川「ま、まぁまぁ! 僕にも気持ち分かりますから!」
猫探偵の江戸川「ウチのホームズも顧客の依頼情報 破いたことありますし!あはは!」
カレー屋のモハメド「俺のオベリスクとプロビデンスも お皿破壊テロ、昔やってたナー」
カレー屋のモハメド「各々の性格出てるの可愛くて 逆に笑っちゃいましたネ〜」
ピン芸人の小東タイガー「自分もスマトラに この虎マスク壊されかけたことあって」
ピン芸人の小東タイガー「でも良い感じのダメージ加工になったのか ネタ以外の要素で会場沸き立ちました」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「小館さん、芸人じゃなくて プロレスやった方が絶対良いですってソレ」
ピン芸人の小東タイガー「うん、でも痛いの嫌」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「え?でも いつもトレーニングで筋肉痛だって」
ピン芸人の小東タイガー「アレは『ご褒美』(食い気味」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「それぞれ修羅場潜ってきてるんですねぇ」
ぽんず「⋯」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「ぽんず〜 ちょっとお皿を」
ぽんず「シャァーッ!」
〇アパートの前
ぬおおおお!!
大丈夫だタイガ!
カレーに入れる『馬刺し』余ってル!
患部に貼るゾーッ!
寄ってくるから!
ぽんず寄ってくるから!やめてぇー!
※馬刺し湿布は民間療法です
医学的な効果はありません
〇アパートの前
〇明るいリビング
獅子王 レオ(ししお れお)「ぽんず、相変わらずラスボスね」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「散々だよもう」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃ」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「きなこぉ お前はちゃんと俺を癒してくれるんだなぁ」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん♪」
獅子王 レオ(ししお れお)「『臭うからうんち片付けて』だって」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「カレー食ってるこのタイミングで!?」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん♪」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「ぽんずは多頭崩壊から レスキューされた猫だから」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「やっぱり人慣れには時間かかるかなぁ」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「きなこみたいに 最初から仲良くなれる子は中々いないねぇ」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃーん」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「⋯」
(ぽんず⋯)
〇空
ふむふむ
〇古い畳部屋
取締役のマサちゃん「『ぽんずの預かりチャレンジをやりたい』」
取締役のマサちゃん「⋯中々思い切ったわね?」
取締役のマサちゃん「ライガちゃん、彼は中々の強敵よ?」
取締役のマサちゃん「状況によっちゃあ半年以上 あの強敵と寝食共にするのよ?」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「覚悟の上だし、承知の上です」
取締役のマサちゃん「両親の許可取った?」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「マサさんの許可貰ってから 伝えようかなって」
取締役のマサちゃん「⋯」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「⋯」
取締役のマサちゃん「フッ」
取締役のマサちゃん「その話、ちょっと前に ライガママからこっちに届いてたわよ?」
取締役のマサちゃん「『ウチの娘、ぽんずのことが心配みたい』 ってね」
取締役のマサちゃん「母は強いわねぇ なんせ何でもお見通しなんだからね?」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「じ、じゃあ」
〇アパートの前
ペット預かる時の鉄則!
『最後まで絶対に投げ出さないこと!』
途中で投げ出すのは『命』に失礼!
困った時は
『にゃんだほーファミリー』を頼りな!
押忍ッ!
〇空
数日後
〇明るいリビング
獅子王 タイガ(ししお たいが)「い、行くぞ?」
カレー屋のモハメド「せーのっ」
よーいしょっ
ぽんず「フシャーッ!!」
カレー屋のモハメド「いてて、ふうっ! ゲージ輸送完了だゼ!」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「大丈夫かよぉ!」
獅子王 レオ(ししお れお)「モハメドくん 『キツめ』の貰ってたけど大丈夫?」
カレー屋のモハメド「カレーは免疫力上げる『万能料理』 カレー食って寝ればこんなの問題ないサ」
カレー屋のモハメド「猫の手伝いでも、 カレーのテイクアウトでも、 何時でも注文待ってるゼ?」
ぽんず「じーっ」
カレー屋のモハメド「⋯まずは環境に慣れてもらわないとナ ライガちゃん、きなこ、後は任せたゾ?」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「押忍ッ!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃーん♪」
〇明るいリビング
ぽんず目線
クソッ
いきなり変な所に連れてきやがって!
前の場所と雰囲気が違う!
どっかに敵がいるのかな?
???「おっ新人か?まず力抜けよ」
!?
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「俺の名前はきなこ!この家の先住猫さ!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「今日からしばらく 一緒に暮らす事になったから、シクヨロ!」
ぽんず「なんそれ!」
ぽんず「何でも勝手に決めやがってー! ぜってー言いなりにならねーからな!!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「まぁ力抜けって」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「そこにあるのが『ご飯』と『お水』で」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「こっちの砂が『おトイレ』! 好きに使えよ〜!」
ぽんず「はぁ」
〇部屋の扉
「じーっ」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「きなこ、結構ぽんずにグイグイ行くなぁ」
獅子王 レオ(ししお れお)「いつもの事でしょ あの子、先輩風吹かせるの好きだし」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「環境変わった分、 慣れてもらうまでは様子見ね」
こちらに敵意が無い事を知ってもらう為
過剰なスキンシップは避けましょう
猫には猫のペースがあります
時間をかけて打ち解けていきましょう
〇空
〇空
〇空
〇空
〇明るいリビング
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「飲まず食わず」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「おトイレも行かない」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「そんなんじゃ体壊すぞ新入り 力抜けよ〜」
ぽんず「うるさい」
ぽんず「あっち行け」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「新入りがどんな環境で暮らしてきたのか 俺は知らないけどさぁ」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「ここには新入りの敵なんて1人もいないぞ!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「み〜んな優しい、俺の『家族』なんだ!」
ぽんず「知るかうるさいあっち行け」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「わかったよ〜もう〜」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「お疲れ様、きなこ」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「にゃん」
⋯
なんだろう、『家族』って
〇空
僕の兄弟は
家の中にいっぱいいっぱい居た
けど、生きるのにいっぱいいっぱいで
ご飯取り合って、
部屋の端っこ取り合って、
落ち着く場所取り合って⋯
⋯
〇明るいリビング
⋯
ぺろぺろ
ぺろぺろがつがつ
がつがつがつがつ
がつがつがつがつ
美味しい
美味しい
とっても、美味しい⋯
〇空
僕、生きてるんだ
〇空
生きてていいのかな?
〇明るいリビング
???「ちょろちょろ〜」
ぽんず「何だこのキモイの!?」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「力抜けよ新入り アレは『地蔵型自動給水器』さ」
ぽんず「『地蔵型自動給水器』ッ!?」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「父ちゃん達の手を煩わせずに お皿にお水を汲んでくれる地蔵なのさ」
地蔵型自動給水器「⋯ピッ」
ぽんず「⋯」
ぽんず「地蔵ってなんだ?」
〇明るいリビング
猫探偵の江戸川「お邪魔します!」
ピン芸人の小東タイガー「様子見に来ましたよ〜」
ぽんず「⋯」
猫探偵の江戸川「警戒バリバリですね」
獅子王 タイガ(ししお たいが)「今回は女性陣の方が 上手く付き合えてる感じですね」
ピン芸人の小東タイガー「まぁ、でも」
「むっちゃ可愛い⋯」
獅子王 ライガ(ししお らいが)(クソむさ苦し過ぎる⋯)
〇明るいリビング
獅子王 レオ(ししお れお)(もうすっかり)
(『兄弟』みたいね)
〇明るいリビング
ぽんず(なんか楽しそうに話してるなぁ)
獅子王 ライガ(ししお らいが)「よし、行こっか、ぽんず」
ぽんず(ん?)
何だ?どっかにお出かけするのかな?
〇車内
ぽんず(?)
〇古い畳部屋
ぽんず「な、なんかいっぱい人間来たぞ!?」
譲渡会
保護猫を引き取ってくれる
『家族』を探す為の、
云わばお見合いの場
「ままー!見て見て!」
優しそうな女の子「まんまるおめめのクロネコさん!」
優しそうな女の子「可愛いなぁ〜」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「この子、『ぽんず』っていうの!」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「見た目は黒いけど、 お日様に当たるとちょっと茶色くて」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「『ポン酢みたいだな』って思ったから 私が名前付けたの!」
優しそうな女の子「ほんとだ! ほんのりポン酢みたい!マイルド〜♥️」
ぽんず(何の話してるんだろ? 楽しそうだな〜)
獅子王 ライガ(ししお らいが)「里親希望なのかな?」
「この子、最初は全然懐かなかったんだけど」
「ちょっとずつちょっとずつ仲良くなって、 今ではお尻ポンポンしても平気なくらい!」
「嫌な事あるとすぐに手が出ちゃうから、 ちゃんと爪切りとかしてあげた方が良いんだ」
「〜〜〜」
ぽんず(なんだか)
色んな人間来てるけど
みんな、楽しそうだな
獅子王 ライガ(ししお らいが)「ほら、ぽんず!抱っこだよ〜」
ぽんず「にゃ」
獅子王 ライガ(ししお らいが)「ゆっくりね?」
優しそうな女の子「わぁ⋯」
「ふかふかだぁ」
〇明るいリビング
そして、時が経ち⋯
ぽんず(なんかいつもと雰囲気違う?)
獅子王 ライガ(ししお らいが)「ぽんず!ほら! お尻ポンポン!」
ぎゅっ⋯
ぽんず(? またあの場所で ワイワイしに行くのかな?)
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「ぽんず、力抜けよ?」
ぽんず「いや、これ以上無いくらい リラックスしてますけど」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「お前に教える事は もう何も無い」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「俺、お前から色んなこと教わったよ」
ぽんず「それは逆の立場なのでは?」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「そうでもあるし、そうでもないんだな〜!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「人間、好きになってくれたかな?」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「『家族って良いな』って思ってくれた?」
ぽんず「まぁ、美味い飯くれてゴロゴロ出来るのは この上なく幸せだけど⋯」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「『そう思えるようになってくれたなら十分』」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「お前はもう、 『にゃんだほーファミリー』だな!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「楽しく過ごせよ!猫らしくな!」
〇車内
〇一軒家
〇白
〇アパートの前
ここは
NPO法人『にゃんだほー』
保護猫・地域猫活動を
生業としてる団体である
〇古い畳部屋
捨て猫たちの未来を護るために
『家族』のバトンを繋げていくために
今日も『命』と向き合います
〇明るいリビング
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「文字が余ったので家族写真コーナー!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「今回の写真は 紗卦冬葉さん家の、きなこちゃーん!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「可愛い写真2枚もありがとう!」
獅子王 きなこ(ししお きなこ)「また見てね〜!」
遅ればせながらに、読ませていただきました…‥いや、正直避けてた所はあります……動物✕ヒューマンものだったから(༎ຶ ෴ ༎ຶ)
自分も大好きです、某動物番組📺
よ、良かった、ぽんずが幸せな家庭に引き取られてよかった…(╥﹏╥)
グロは平気ですけど、動物が弱るのはツライ……
猫の下僕として生を受け、現在進行形で猫に心臓を捧げる誓いを立てている僕としてはとても身近に感じる作品でした✨
猫について書きたい事なら無限にあるので、ネタには困らないですね😂
ハムきなこちゃんのスチル最高でした…😭 僕も幼少時からほぼずっと猫と暮らす生活をしてきましたが、他界した猫たちも含め歴代全員、今でも大事な家族と思ってます☺️
地蔵型給水器、コレは絶対需要ありますね…🤔(ごく局地的に)
うぉー!!猫大好きなので、もう本当に全ての猫はもう!!本当に幸せでいて欲しいと思いましたっ!!!
少しずつ心を開いていくのがリアルですね・・・
ポン酢幸せにね・・・今度はたくさんにゃんだほーしてね・・・(´;ω;`)となりました✨
素敵なお話ですね✨