Bless you-くしゃみ一つで吹飛ぶ恋!?―

荒川騒香

混乱!騒乱!こりゃたまらん!どれがあいつで、あいつはどれだ??(脚本)

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荒川騒香

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〇講義室
  12月のある日
  私の名前は林田美沙。そして彼は
祭田俊作「おーい美沙、金曜日お前んち行って良い?」
  祭田俊作、付き合って半年以上になる私の彼氏
林田美沙「ダメダメ、23日は上のお姉ちゃんの彼氏が遊びに来るから」
祭田俊作「イブは」
林田美沙「ダメ、真ん中のお姉ちゃんの彼氏が・・・・・・」
祭田俊作「じゃあ25日」
林田美沙「クリスマスは家族で過ごす事なってるの、毎年」
祭田俊作「ちぇっ、じゃあ、もういいよ」
林田美沙「私が俊のお家に行くよ、ねっ」
祭田俊作「いっつもそれだ」
林田美沙「いや?」
祭田俊作「嫌じゃないけどさ。 付き合って半年以上なのに、俺、1度もお前んち行った事ないじゃん」
林田美沙「そうだけど・・・・・・」
祭田俊作「ひょっとして、なんか、隠してね?」
林田美沙「か、隠してなんか・・・・・・」
祭田俊作「怪しいなあ」
林田美沙「・・・・・・全然全然、普通普通、怪しくなんかないよ」
  怪しいのだ、本当は怪しいのだ
  私の家に俊を呼ばない、いや、呼べないのは・・・・・・簡単に人に説明できない、とんでもない理由があるから・・・・・・だ。

〇まっすぐの廊下
  1月のの終わりごろ
  今日もあんまり調子よくないから休むね
祭田俊作「なんだよ、今日で3日目だぜ・・・・・・」
  俊作
  大丈夫か?
                   美沙
        うん、大丈夫、心配しないで
  心配しないでと言われて心配しない彼氏などいないのだという事を知った

〇一戸建て
  ピンポーン
祭田俊作「こんにちは、美沙さんの同級生で祭田と申します。今日美沙さん学校お休みだったのでお見舞いに」
理沙「美沙、あ、ちょっと待っててね」
理沙「・・・・・・美沙、同級生がお見舞いだって」
林田美沙「同級生・・・・・・仕方ないなぁ」

〇飾りの多い玄関
林田美沙「こんにちは」
祭田俊作「こ、こんにちは。よかった。起き上がってても大丈夫なくらいで」
林田美沙「起き上がって? えーっと・・・・・・ あ、ああ、もうすっかり大丈夫だ。 じゃあ」
祭田俊作「じゃ、じゃあって。せっかく来たのに、冷たいなぁ」
林田美沙「ああ、そう言われても、その、なんだ ・・・・・・ 参ったなぁ」
父「こら、何やってるんだ美沙」
祭田俊作「あ、お父さんですか、初めまして、美沙さんの同級生の祭田です」
林田美沙「いや、その、なんだ・・・・・・えーっと」
父「まだ体調良くないだろ、美沙は。ほらほら、中に入って」
林田美沙「いや、ワシは、体調は別に」
父「ごめんね、俊、そういう事だから」
祭田俊作「な、なんだよ、そういう事って・・・・・・」

〇講義室
  2月も中ごろ
林田美沙「おはよう」
祭田俊作「・・・・・・美沙か」
林田美沙「この前はお見舞いありがとね」
祭田俊作「いや・・・・・・」
林田美沙「ちょっと、どこ行くの」

〇大学の広場
林田美沙「待ってよ、どうしたのよ、俊」
祭田俊作「もういいよ、俺、嫌われてるんだろ、お前にも、お前のお父さんにも。 俺、お前に近寄らない方が」
林田美沙「違う、そんな事ない」
祭田俊作「違う事ないだろ、お見舞い行って『じゃあ』って追い返そうとするし」
林田美沙「いや、あれは、私が私じゃなくって」
祭田俊作「そりゃ、病気だったから、仕方ないと思うけど・・・・・・でも」
林田美沙「病気・・・・・・そうね、病気と言えば病気の様な」
祭田俊作「それに、キミのお父さんも、追い返すように、俺の事を・・・・・・」
林田美沙「だからそれも」
祭田俊作「もういいんだ。 でも、それならそうと早く言ってくれれば。もうすぐバレンタインデーだって言うのに、このタイミングで失恋かよ」
林田美沙「違うの」

〇おしゃれなリビングダイニング
林田美沙「と、いう事だから」
父「困ったなぁ、今日編集者が原稿を取りに来るんだけど」
林田美沙「そんなのお父さんが出版社に持って行きなさいよ」
理沙「ダメダメ今日中にレポートを仕上げなきゃならないのよ」
林田美沙「カフェでも図書館でもどこでもできるでしょ!」
有紗「トレーニングが」
林田美沙「プールでも、ジムでも、どこでもできるでしょ。みんな少しは協力してよ!!」
爺「ワシも出かけた方がいいかな」
林田美沙「いいの、お爺ちゃんは居ていいの。 とにかく私と入れ替わるメンバーは6時まで帰って来るな!」
  有紗、父、理沙 
  はーい
  ピンポーン
林田美沙「はーい」

〇飾りの多い玄関
林田美沙「いらっしゃい」
祭田俊作「おじゃまします」

〇おしゃれなリビングダイニング
母「いらっしゃい」
祭田俊作「初めまして、僕、美沙さんとお付き合いさせて頂いております、祭田俊作です」
母「母の晶子です、いつも娘がお世話になっています。今お茶入れますからね」
林田美沙「さあ、座って」
  邪魔者達を追い出し安全な母と祖父だけが残った家で俊作を迎え、何事もなく時間は過ぎていくはずだった

〇飾りの多い玄関
理沙「ただいま。図書館、今日、書庫整理で休みだったわ」
林田美沙「カフェは」
理沙「お金ないし・・・・・・ 大人しく部屋にいるから、安心して」
林田美沙「いや、ウチにいると入れ替わる」
有紗「ただいま、ジム今日メンテナンスで休みだとさ。まあ、ウチで大人しくしてるからよ、安心しな」
林田美沙「大人しくとか、そういう問題じゃなくて距離が」
父「ただいま。途中で編集の木村君から連絡あってもう、こっちへ向かってるらしいんだ。まあ、邪魔しないようにするから」
林田美沙「だめだこりゃ。誰も協力する気なし」
林田美沙「まあ、くしゃみさえしなきゃ・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
  ホーホケキョ
爺「春じゃのう」
祭田俊作「うぐいすだ」
母「あらいい鳴き声」
母「誰か帰って来たの」
林田美沙「みんな・・・・・・」
林田美沙「ふう・・・・・・」
  ホーホケキョ
爺「せっかくじゃから窓でも空けるかの」
  ガラガラ
林田美沙「開けちゃダメ、花粉が」
  ピシャ
爺「すまん、すまん」
祭田俊作「ちょっと鼻がムズムズするかも」
母「あら、花粉入ってきちゃったのかも」
林田美沙「は、は、はっくしょん」
  し、しまった。お、恐れていたことが
祭田俊作「美沙ちゃんも花粉症だったよね、大丈夫」
林田美沙「よ、誰?」
母「あら、有紗?」
祭田俊作「え?」
林田美沙「は、は、はっくしょん」
祭田俊作「美沙ちゃん、誰って俺だよ俊作」
林田美沙「俊作君、どうも、はじめまして」
母「あら、今度は理沙?」
祭田俊作「えーなに言ってんの、ちょっと、大丈夫?」
母「あ、俊作君、これはね」
林田美沙「は、は、はっくしょん」
祭田俊作「大丈夫?」
林田美沙「おう、キミか、この前は申し訳なかった」
母「あら、今度はお父さんね」
祭田俊作「ちょっと、これ一体なにがどうなってるんですか」
爺「ああ、これは花粉の季節に家じゃあよくある事じゃよ、ちょっと、混乱、家族は騒乱」
祭田俊作「え、一体何が、何が起こってるんですか、お爺さん、ねえ」
爺「誰が誰やら、こりゃ、たまらん」
祭田俊作「なんなんだ、これ~」
母「ごめんなさいねぇ、まあ、お茶でも飲みましょ、少しすれば落ち着くと思うから」
  今までひた隠しにしてきた、くしゃみをすると人格が入れ替わると言うこの現象をどうすれば俊作に理解してもらえるのだろうか
  それとも私の恋はここで終わっちゃうのー!?

コメント

  • ラップみたいに韻を踏むおじいちゃん、お茶目ですね。「混乱、騒乱、こりゃたまらん」って日常生活で使ってみたい。俊作には「知らん、錯乱、こりゃ分からん」って返してほしかった。そんな余裕ないか…。

  • 花粉症つらいですよね.みさちゃんがんばれ

  • くしゃみで入れ替わる!? 楽しい設定ですね!これまでの家族行事やお出かけの際はどうなっていたのだろうかと想像するのも面白そうですね

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