1話完結(脚本)
〇王宮の入口
とある王国では、翌日に王子のお妃候補を集めたダンスパーティーが開かれることになっている。
その前日の朝、王子専属の執事である「アンドリュース」は、焦っていた。
アンドリュース「どうしよう!どうしよう!」
彼はかなり焦っている様子である。
王子のダンスパーティーを翌日に控えているのに、この焦りようだ。どうしたのだろうか。
彼は、王子専属の執事なので、焦っていることといえば、王子のことについてだ。
実は、明日のメインは、ダンスパーティーなのに、王子の「ルイス」は、ダンスが大の苦手なのだ。
学問や剣術は、得意なのに、ダンスだけは大の苦手なのであった。
そのことで、アンドリュースは、焦っていた。
アンドリュースは、王子のダンスをなんとか、改善したいと思っていたが、
今までダンスの先生を王宮に呼んでも王子にことごとく逃げられてしまっていた。
逃げられている内に、ダンスパーティー開催の前日になってしまっていた。
アンドリュースは、王子が明日のダンスパーティーで、ダンスが上手く踊れず、恥をかいてしまうと思っている。
そこで、前日だが、急遽王子にダンスを教えてくれる人を探している。
〇豪華な部屋
アンドリュースは、王宮学校の同級生の友人のお屋敷を訪れていた。
アンドリュース「突然、訪れてすまん。 どうしても、お願いしたいことがあって」
クリストファー「どうしたんだ!明日は、王子のお妃候補を集めたダンスパーティーが開かれることになっているだろう」
クリストファー「王子専属の執事のお前が、外に出ても大丈夫なのか?」
アンドリュース「大丈夫だ。準備は、滞りなく進んでいる。でも、王子のことで少し相談したいことがあって」
クリストファー「王子のことで! 王子のことで相談って何だ?」
アンドリュース「実は・・・ 明日のメインはダンスパーティーなのに、王子はダンスが大の苦手なんだ」
クリストファー「ダンスが苦手!王子は、ダンスが苦手なのか?」
アンドリュース「今まで、公の場でダンスを披露することがなかったが、ダンスは苦手なんだ」
アンドリュース「明日のダンスパーティーまでに、きちんと踊れるようになってほしいと思っている」
アンドリュース「そこでなんだが、王子にダンスを教えてくれる、ダンスが得意な人は知らないか?」
アンドリュース「王子が、ダンスが苦手だという秘密を守れる者を紹介してほしい」
クリストファー「それなら、俺の妹はどうだろうか。 妹はダンスが得意なんだ」
クリストファー「俺の妹だから、王子がダンスが苦手だという秘密も守ってくれる」
アンドリュース「妹さんか。妹さんがいたのは知っていたが、ダンスが得意だとは知らなかったな」
アンドリュース「妹さんなら、秘密を守ってくれるだろうから、是非ともお願いしたい」
クリストファー「分かった。今、妹を呼んでくるのから、少し待っていてくれ」
クリストファーは、妹を呼びに行った。
クリストファー「アンドリュース、これが、俺の妹の「エリーゼ」だ」
エリーゼ「初めまして、エリーゼと申します。 兄がいつもお世話になっております」
アンドリュース「初めまして、王宮で、王子の執事をしています、アンドリュースと申します」
アンドリュース「今回は、呼び出してすいません。 お兄さんから、話は聞いているかな?」
エリーゼ「おおまかなことは聞きました。 王子にダンスを教えてほしいということですね」
エリーゼ「王子に教えるなんて、恐れ多いことですけど。王子が恥をかいている姿は、見たくないので、教えます」
アンドリュース「ありがとう。 王子、相手でもビシバシやってもらっていいですからね」
アンドリュース「急になっちゃうけど、今から大丈夫かな。明日までに、なんとか形にはしてほしいんだ。よろしくお願いします」
〇大広間
アンドリュース「ルイス王子、こちらは王子にダンスを教えてくれる、伯爵家の令嬢のエリーゼです」
ルイス「ダンスを教える! ダンスを教えてくれなんて頼んでいないが」
アンドリュース「頼まれていませんよ。王子が、ダンスレッスンからいつも逃げてしまわれていたんで、」
アンドリュース「ダンスパーティーの前日になるまで、教えることができなかったんですよ」
アンドリュース「でも、今日という今日は、レッスンを受けてもらいますよ。ダンスパーティーは明日なんですからね」
ルイス「明日までに、どうにかできるものなのか?」
アンドリュース「どうにかできるかは、王子次第です。 エリーゼのいうことを聞いてレッスンを受けてください」
王子は、執事に見守られながら、エリーゼとダンスの練習をしていく
エリーゼ「王子。この時は、このステップです。くれぐれも令嬢の足を踏まないように気を付けてくださいね」
エリーゼ「このターンの時は、こうしたほうがいいです」
ルイス「ああ。分かった。こうだろうか?」
エリーゼ「そうです。そうしてください」
王子は、最初はやる気がなかったが、エリーゼとの練習により、少しずつだが、ダンスが改善されていった。
翌日のダンスパーティーまでには、なんとか形にすることができたのであった。
〇王宮の広間
ダンスパーティー当日
ダンスパーティーには、多くの令嬢が集まっている。
王子は、ぎこちないながらも、次々と令嬢相手にダンスをしていく。
アンドリュースは、そんな王子を見て、本当に上達したなぁと思っていた。
最初は、本当に出来ていなくて、どうしようかと思っていた。
ここまで、上達したのは王子の頑張りがあったからとエリーゼが教えてくれたおかげである。
アンドリュースは、王子に好きな人を見つけてほしいと思っており、それがエリーゼであれば、良いのにと思っていた。
突然の依頼を快く引き受けて王子に優しくダンスを教えてくれたエリーゼと幸せになって欲しいと、私も思いましたよ。誰でも苦手な事って一つはありますよね。 補い会える関係って素敵です。
ダンスが苦手な王子って珍しいですよね。
でも、それは自分の先入観なのかもしれないと思いました。
王子とエリーゼさんの恋の行方が気になります。
確かにアニメとか漫画とか、王子様ってなんでもできるってイメージありますよね!
そりゃあ中には苦手なことがある王子だっている…。
生まれがダンスが必須ではない時代でよかった笑