レベル1 火の息(脚本)
〇草原の道
勇者「くらえ!」
ゴブリンパパ「うわー!」
勇者は5の経験値を手に入れた!
勇者はレベルが上がった!
勇者「よし!」
ゴブリンパパ「ふぅ〜。強くなったなぁ」
〇ダイニング
ゴブリンパパ「ただいまー」
ゴブリンのママ「おかえりなさい 今日もお疲れさま」
ゴブリンパパ「いやー新米勇者なかなか強くなってたよ」
ゴブリンのママ「そうですか。それはよかったですね」
ゴブリンパパ「そろそろ次のフィールドに行くかもな」
ゴブリンのママ「あら、ならしばらくはお休みですか?」
ゴブリンパパ「たぶん、来週辺りにフィールド移動するんじゃないかな」
ゴブリンのママ「そう、じゃあその勇者さんともお別れですね」
ゴブリンパパ「だな〜」
「またやられたのー!」
ゴブリンパパ「ゴブ、まだ起きてたのか」
ゴブ「パパはさ、なんでゴブリンなの!」
ゴブリンパパ「え?」
ゴブ「僕の友達のパパはめっちゃ強いんだよ!」
ゴブリンパパ「そ、そうか」
〇教室
カイブツ君「やーいやーい!お前の父ちゃんザコ敵ー」
ゴブ「うるさい!そういうカイブツ君のパパはどうなんだよ!」
カイブツ君「へっ!聞いて驚くなよ! この間、勇者を全滅させたんだよ!」
ゾンビ子「へーすごーい!」
カイブツ君「だろぅ〜。次に会った時なんて勇者逃げたらしいぜー」
ゾンビ子「カイブツ君のパパって強いんだね」
ゴブ「う〜」
黒い影男「僕の父さんはいろいろな敵になれるんだ」
ゾンビ子「影男君のパパは、謎が多いもんね」
黒い影男「まぁね!僕も父さんみたいな敵になるんだー」
カイブツ君「ゴブみたいにはなりたくないなー ハッハッハー」
ゾンビ子「もうちょっと言い過ぎだよ!ねぇ?」
ゴブ「う〜」
〇ダイニング
ゴブ「たまには勇者を全滅させてきてよー」
ゴブリンパパ「おいおい無茶言うなよ パパの仕事は勇者にやられることなんだから」
ゴブ「なんだよ、それ!カッコ悪い!」
ゴブ「もう寝る!」
ゴブリンパパ「はぁ〜」
ゴブリンのママ「最近、ずっとこうなんです」
〇教室
先生「えー今度、テストがあります このテストをクリアすると成績が上がるので 頑張ってください」
カイブツ君「先生、テストって何するんですか?」
先生「いい質問です」
先生「今度のテストは」
先生「火の息を吐けるかどうかのテストです!」
先生「合格者はスキルに火の息が追加され 就職時に便利になります」
ゴブ「火の息かぁ〜カッコいいよなぁ」
カイブツ君「なんだよ、ゴブ 火の息なんてまだまだひよっこじゃん」
カイブツ君「俺のパパは、灼熱の炎出来るんだぜ!」
ゴブ「え!?すげー!」
カイブツ君「まぁ俺にかかれば火の息なんて楽勝だな」
ゴブ「僕だって」
カイブツ君「おいおい、ゴブリンは火の息なんて出来ないだろー」
ゴブ「え?」
カイブツ君「まぁせいぜい頑張れやー」
黒い影男「俺はパス 火の息は特にいらないしー」
ゾンビ子「私も毒の息の練習したいからなぁ」
ゴブ「僕は・・・」
〇草原の道
ゴブ「火の息かぁ たしかにゴブリンに必要かなぁ」
ゴブ「ん?」
ゴブリンパパ「うわー」
勇者「よし、これでお金も貯まったな」
ゴブ「パパー」
ゴブ「なんだよ、たまには勇者を全滅させろよ!」
勇者「ん?あれは?」
〇ダイニング
ゴブリンのママ「どうしたの?ご飯食べないの?」
ゴブ「いらない!」
ゴブリンパパ「ただいまー」
ゴブリンのママ「あら、おかえりなさい」
ゴブリンパパ「ん?ゴブ、どうしたんだ?」
ゴブ「パパ、カッコ悪いよ!」
ゴブリンパパ「どうしたんだ?」
ゴブ「今日、また勇者にやられてたね」
ゴブリンパパ「なんだ、見てたのか」
ゴブ「今度、学校で火の息のテストがあるんだ」
ゴブリンのママ「あら、そうなの」
ゴブ「ゴブリンに火の息なんていらないって言われたよ」
ゴブ「カイブツ君のパパはすごいから、カイブツ君は楽勝だけど」
ゴブ「どうせ僕なんか無理なんだよー」
ゴブリンパパ「ゴブ、やる前からそんなこと言ったらダメだぞ」
ゴブ「だったら、パパも勇者を倒してよ!」
ゴブリンパパ「それは・・・」
ゴブ「もういいよ!」
ゴブリンのママ「あなた・・・」
ゴブリンパパ「これでいいんだよ」
〇草原の道
ゴブ「火の息かぁ〜 カッコいいなぁ〜」
「ん?君は?」
勇者「もしかしてゴブリンの子供?」
ゴブ「ゆ、勇者!!」
勇者「あ、安心して、子供とは戦闘にならないようになってるから」
ゴブ「なんだよ!勇者が僕を馬鹿にしに来たのかよ!」
勇者「いつもお父さんにはお世話になっております!」
ゴブ「え?」
勇者「ゴブリンさんには戦いのイロハを教えてもらってるからさ」
勇者「ゴブリンさんのおかげで僕たちは冒険を始める事が出来るんだからね」
勇者「本当にゴブリンさんには頭が上がらないよ」
勇者「僕もレベルが5になったし 次のフィールドに行くから」
勇者「お父さんによろしくお伝えください」
勇者「次の新米勇者を育ててあげてくださいね」
勇者「それじゃあ!」
ゴブ「え?パパのおかけで」
〇ダイニング
ゴブリンのママ「あなた、ゴブに話してあげたら」
ゴブリンパパ「ママ、これでいいんだよ」
ゴブリンパパ「ゴブには辛い思いさせたくないんだ」
ゴブリンのママ「でも言ったらいいじゃない」
ゴブリンのママ「昔は門番やってたって」
ゴブリンのママ「ラスボスの手前の門番やってたって」
ゴブリンパパ「ママ、いいじゃないか」
ゴブリンのママ「でも」
ゴブ「パパ、今の話本当なの?」
ゴブリンパパ「ゴブ、こんな時間まで起きてたのか」
ゴブ「パパ!ラスボスの門番やってたって」
ゴブリンパパ「あぁ、本当だ」
ゴブ「じゃあなんで今はザコ敵やってるんだよ」
ゴブリンパパ「パパはな、昔ラスボスの手前のボスをやってたんだ」
〇魔界
門番の攻撃!
勇者に1のダメージ!
若かれしパパ「なんだこの勇者」
若かれしパパ「何も装備していないのに」
レベル99の勇者「回復なしの縛りプレイ、むずいー」
勇者の攻撃!
門番に200のダメージ!
門番はやられた!
レベル99の勇者「弱いなぁ〜 相手にならない こっちは装備も初期のままなのに」
若かれしパパ「くそ!」
〇ダイニング
ゴブリンパパ「強くなりすぎた勇者は 謎の縛りプレイを入れてラスボスの洞窟に来たんだ」
ゴブ「なんでそんなことを」
ゴブリンパパ「さぁ?それがカッコいいと思ってるんだろう」
ゴブリンパパ「いいかゴブ、あんな惨めな思いはお前にはしてほしくないんだ」
ゴブリンパパ「今のパパはザコ敵をやってるが」
ゴブリンパパ「すごくやりがいを持ってやってるんだ」
ゴブ「ザコ敵のやりがい?」
ゴブリンパパ「モンスターにはモンスターのプライドがある」
ゴブリンパパ「ゴブリンの仕事は勇者に冒険のイロハを教えること」
ゴブリンパパ「時に厳しく瀕死まで追い込んで」
ゴブリンパパ「時にやられて強くさせる」
ゴブリンパパ「パパにはこれがあってるんだよ」
ゴブ「パパ・・・」
ゴブ「だったら僕は強くなってパパのリベンジしてやるよ!」
ゴブリンパパ「レベル99の勇者をなめるんじゃない!」
ゴブ「向こうが99ならこっちは100になってやるよ、」
ゴブリンパパ「ゴブ・・・」
ゴブリンのママ「血は争えないわね」
ゴブリンパパ「え?」
ゴブリンのママ「あなたも門番までのし上がったのよ」
ゴブリンのママ「その子供だったら、強くなりたいに決まってるじゃない」
ゴブ「僕、今度火の息のテスト受ける!」
ゴブリンパパ「ゴブ・・・」
ゴブリンパパ「わかった!」
ゴブリンパパ「じゃあ特訓だ!」
ゴブ「うん!」
〇草原の道
ゴブ「火の息!」
ゴブリンパパ「うーん、まだまだだな」
ゴブ「なんで?ちゃんと火が出たじゃん」
ゴブリンパパ「火の息ってのはグループ攻撃だからな」
ゴブリンパパ「今のじゃ単体になるだろ」
ゴブリンパパ「見てろよ、それ!」
ゴブ「すげー!パパ、そんなの出来るの!」
ゴブリンパパ「まぁな」
ゴブ「よーし!それ」
〇ダイニング
「ママー」
ゴブ「氷頂戴ー、口の周り火傷したよー」
ゴブリンのママ「はいはい、ちゃんと冷やしなさいよ」
ゴブリンのママ「これでいい?」
ゴブ「ちょっとやりすぎかな」
ゴブリンのママ「今日の晩御飯よ」
ゴブ「え?なんでこれ?」
ゴブリンのママ「決まってるじゃない」
ゴブリンのママ「火を吹きたいのなら辛い物食べなきゃ」
ゴブ「それは例えの表現だと」
〇田舎の学校
先生「じゃあ火の息のテスト受けたいもの」
先生「じゃあカイブツ君から」
カイブツ君「はい!えーい」
カイブツ君「やったー!」
先生「うん、合格です なかなかいい火の息でしたね」
カイブツ君「ありがとうございます」
先生「じゃあ次は?」
ゴブ「僕やりたいです!」
カイブツ君「お、ゴブリンの子供がきたぞ」
カイブツ君「ザコ敵に火の息なんているのかー」
先生「はいはい、静かに」
先生「じゃあゴブ君、やってみて」
ゴブ「よーし!火の息!」
先生「うーん、それじゃあ火の息って言えないなぁ」
ゴブ「もっかい!火の息!」
ゾンビ子「ゴブ君、頑張れー」
黒い影男「・・・」
カイブツ君「おいおい、どうしたー」
カイブツ君「やっぱパパがゴブリンだったら 子供もゴブリンなんだなぁ」
カイブツ君「ゴブ、お前には無理だな」
カイブツ君「お前のパパにはレベル1の勇者がお似合いだー」
ゴブ「なにー!」
ゴブ「パパはすごいんだ!」
ゴブ「パパを悪く言うなー」
カイブツ君「え!?」
先生「なんだなんだ?」
ゾンビ子「先生、これって!」
黒い影男「火炎の息だ!」
先生「ゴブ君、すごいじゃないか!」
ゴブ「え?なになに?」
カイブツ君「熱いよー熱いよー先生ー」
先生「えい」
カイブツ君「なんでゴブリンがこんな息出せるんだよ」
先生「うん、やっぱりね」
ゴブ「え?」
先生「ゴブ君、合格だよ」
ゴブ「やったー!やったよ、パパ!」
ゴブは火の息の特技を手に入れた!
〇ダイニング
ゴブリンのママ「ゴブ、どうだったかな」
ゴブリンパパ「きっと大丈夫さ」
実社会では、悪役俳優のお子さんたちが同じような悩みを抱えがちだと聞いたことがあります。ゴブくんが勇者と話したように、第三者が父親を褒める話が子供には一番効き目があるとか。ストーリーの後半で父親を尊敬する気持ちがゴブくんにも芽生えたようでほっとしました。
ゴブリンも必要不可欠な存在だと言うことが、子供達にはまだまだわからないんですかね😅
つまらないことでいじめてくる子供は、どの世界にも存在するんですね🥱
でも最後、しっかり火を吹けたシーンはスカッとしました😆
職に貴賤が無いように、モンスターにも貴賤無しということを上手く描けていると思います。ゴブリン=弱いというのも先入観ですしね。初心者勇者が良識のある人で良かった。