義妹(メスガキ)のウザ絡みがある日常

たかお

義妹(メスガキ)襲来!(脚本)

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〇汚い一人部屋
優太「こいつチーターだろう!!」
  優太はデスクを手で叩き、ため息をついてベッドに横たわった。机の上に置かれたヘッドホンからは、銃撃音が鳴り響いたままだ。
  優太はスマホ画面を操作し、カレンダーを確認した。
優太(ちぇっ、明日は登校日か。通信制なのに月3日も登校しなきゃいけないなんて・・・ないわぁ。)
  ドアをノックする音が聞こえ、優太は顔を向けないが耳をそちらに澄ました。
「優太、昨日お風呂入ってないでしょ?今日は入りなさい。臭くなるわよ」
優太「・・・」
優太「はぁ・・・うっせぇな」

〇一階の廊下
優太「そんな臭うか?なんもわからん」

〇白いバスルーム
麻美「・・・きもっ」
優太「あっ、これはその・・・わざとじゃ・・・ごめん!!」

〇一階の廊下
  脱衣所から出た優太は、扉を背にしてハァハァと息を吐いた。
優太(くそ、ババアのせいで義妹に変態扱いされかねない事態に・・・ど、どうしよう)
  慌てる優太をよそに、扉が開かれる。ガタンと扉が頭にぶつかり、優太は痛みで思わず、その場に腰を下ろした。
麻美「キモっ。まだいたの?」
優太「いってぇ。てか風呂入るんだから、そりゃいるだろ!!」
麻美「あっそ。どうでもいいけど、あんたクッサ」
優太「な・・・なんだと? やっぱり臭いのか俺・・・」
麻美「・・・」
優太「なんだよ。そんな蔑むような目で見て・・・」
麻美「実際蔑んでるよ。デブで臭くて引きこもりで、おまけに義妹を覗く犯罪者予備軍・・・これで蔑まないのは無理があるくない?」
優太「ぐぬぬ・・・反論の余地がねぇ。 だが、デブじゃねぇ! 俺はぽっちゃりだ・・・多分」
麻美「デブ」
優太「デブじゃない!」
  義妹は、スマホでパシャっと優太の顔を撮影した。そして、残像が見えるほどの早さでフリック入力を行っていた。
麻美「デブ」
優太「だから・・・で・・・!?」
  義妹はスマホで男性の顔と、優太の顔を並べて見せつけた。
麻美「あんた、自分の顔を鏡で見たことないんでしょ。だから自分が人とかけ離れた豚になっているのに気づかないの」
  優太は膝と手を床につけてガックリとした。
麻美「はぁ・・・ほんとにキモ」
優太「あっ、風呂場の件はわざとじゃないから・・・だからその、親には内緒に頼む!」
麻美「いうわけないでしょ? パパを悲しませたくないもん。 あんたも痩せたら? 豚から人になれば・・・あんたのママも喜ぶでしょ」

〇清潔な浴室
  シャワーに打たれながら、優太は舌打ちした。
優太(ったく、昨日までずっと再婚すること隠しやがってババア。なんだよあのメスガキ・・・小5なのに生意気に育ちきりやがって。)
優太(やっぱロリはリアルより二次元だわ。 でも、マジで改めてみると・・・)
  優太はシャワーのレバーを捻り、顔を鏡にやった。
優太(ぽちゃ・・・いや認めよう、デブだ。)
優太「はぁ」

〇公園の入り口
  走り疲れた優太は、公園の前で息を切らしていた。
優太(あぁ、しんどい。学校帰りに走ってみたけど、500メートルで限界だ。こんなん、毎日できねぇよ)
  公園をふと覗くと、小学生らが戯れていた。その中に混じる1人に、優太は見覚えを感じる。
優太(げっ、義妹いるやん。さっさと離れよう)
「あ、優太お兄ちゃんだ!!」
  優太が公園から遠ざかろうとすると、麻美が混じっている小学生の集団の中から声が上がる。
麻美(・・・なんでここにいんのよ)
「優太お兄ちゃんも、隠れんぼ一緒にやろう?」
優太(・・・)
麻美(・・・)
  優太と麻美は、お互いを気まずく見つめ合った。気が付けば優太の周りに子どもが集まり、逃げる選択肢はなくなった。

〇街中の公園
「10、9、8・・・」
優太(この体型で子どもと遊んだら、完全に不審者だよな。隠れんぼなのは不幸中の幸いだけど・・・っと、早く隠れるか)

〇木の上
優太「げっ、義妹!?」
麻美「あんた、なんで外にいんの?」
優太「は? いや、それは・・・」
優太(言えるわけねぇ。いったら100%また罵倒される)
麻美「はぁ、もういいわ。 とりあえず、ここの先客は私だから」
「3、2・・・」
優太「もう時間ないんだけど」
麻美「あ?」
優太「・・・はい、すいません」

〇住宅街の公園
優太「まさか最初に見つかってしまうとは・・・」
  それから数分後、何人かが同じく発見されてベンチに子どもが集まりだした。
  公園の周囲を行きかう人々の視線が刺さり、優太はビクビクしながらベンチに腰を下ろしていた。
「あと一人誰だ?」
「麻美ちゃんじゃない?」
優太(早く見つかれよ。帰りてぇ)
麻美「きゃっ」
「お、俺はなんもしてないぞ?」
麻美「わ、私が驚いて転んじゃっただけだから。 大丈夫、これくらいなら・・・いっ!?」
麻美「だ、大丈夫・・・だから」
  膝を擦りむいた麻美は強がった表情から一変して、涙ぐんでその場に蹲った。
優太「あ~あぁ、大変だこりゃ」
  優太はおもむろに懐から小さな医療キットを取り出した。
麻美「な、なんで持ってんの?」
優太「あ~部屋汚くて、よく怪我するんだ。 それで持ち歩くようにしてんの」
麻美「・・・」
  優太が触れようとすると、麻美は手でそれを払った。
麻美「・・・自分でやるから」
優太「お前なぁ・・・」
「麻美ちゃん、優太お兄ちゃんに任せなよ」
麻美「・・・え?」
「優太お兄ちゃんたまに遊んでくれるんだけどね、いつもきれいに怪我した子に処置してくれるんだよ」
麻美「・・・」
優太「あまり触れないようにするから」
  それから1分ほど経過し、麻美の怪我した膝部分にはガーゼの上に包帯がぐるぐると巻かれていた。
優太「は、はい終わりました」
麻美「・・・」
優太(ありがとうの1つぐらいないのかね。 まぁ・・・別にいいけどさ)
「はーい、ちょっと話いいかな?」
優太(げっ、マジで警察来たじゃん! 誰かが通報したんか? 俺みたいな兄がいるなんて、 義妹は絶対言わないと思うし やばくねこれ)
「隣の君、このおじさんに何かされなかったかい?」
麻美「・・・」
「ん、膝を怪我しているね。もしかして、この人にやられたのかな?」
優太(うわぁ、警察の顔少し怖くなった。 マジでこれ、捕まらないにしても ちょっと署までってなるぞこれ。 恥ずかしすぎる!)
麻美「いえ、この人は・・・私のお・・・お兄ちゃんなので!!」
  麻美は恥ずかしがりながらも、咄嗟に優太の腕に手を回した。
優太「・・・義妹!!!?」
麻美「うるさい!」

〇公園の入り口
優太「あ、ありがとな助けてくれて」
麻美「・・・」
優太(・・・気まずい。なんか話さなくては)
優太「じ、実は・・・外出たの、義妹にデブって言われたからなんだ・・・ハハっ」
麻美「は?何それキモっ」
優太「そうだよな。こんな見た目だから、通報もされたしな。やっぱり俺は、引きこもってるのがお似合いだよな・・・はぁ」
麻美「別に、見た目は見慣れたっていうか、キモく・・・なくも・・・ない」
  麻美はそっぽを向き、口をとんがらせて小さくそう呟いた。
優太「え?なんかいったか?」
麻美「はぁ!?」
優太「え、怒ってる?」
麻美「・・・やっぱキモい!」
優太「やめてくれ、俺のライフはもう0なんだ。 これ以上は死体蹴りと見なす」
麻美「いやでーす。キモいから無理! この雑魚キモ兄!」
優太「おまっ、雑魚はどっから出た!」
麻美「どっから? 階段上り下りするだけでぜぇぜぇしてるじゃん!やいざーこざーこ」
優太(こ、このメスガキ・・・少しは良い奴なのかと思ったら)
麻美「てか、雑魚キモ兄って言いにくいから これからは”雑魚にぃ”ね はい、決定!」
優太「はぁ・・・結局また罵られる日々が始まるのか」
麻美「あ、それと・・・」
優太「・・・ん?」
  麻美はまたしても後ろを向いた。そして恥ずかしそうに、スカートの裾をぎゅっと両手で掴んだ。
麻美「私のことは、義妹じゃなくて・・・麻美でいいから これも決定・・・ね」
優太「・・・」
麻美「・・・じゃ! 私は先に帰る!」
優太「・・・」
優太「仲良くしたいのか、したくないのか・・・よくわからん奴だ。 まぁいいや、俺もコーラ飲んで帰りますか。」
優太「こうして、俺の生活は義妹(メスガキ)によって騒がしくなっていくのであった」

コメント

  • 麻美ちゃんの心情が変化していく様子イイですね。本話の後は、日々愛のある罵倒をしてくれることでしょうね。優太くんの日常にどのような影響を与えるのか気になります。

  • 最初は家庭内で壮絶なバトルが繰り広げられる話かと思いましたが、予想を裏切りハートウォーミングな展開に・・・。「うざっ」とか言いつつも会話している時点で既に仲が良いってことなんですね。でも、麻美と呼ぶことを許されたとはいえ、まだ油断ならない感じ。今後の展開がどうなるか気になるところです。

  • 義兄の立場とても大変そうですね。初めからこんなに反発されても、決して彼女に対抗しようとせず、なんだかんだ寄り添おうとした彼の優しさが伝わったみたいでこちらも嬉しいです!

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