ヒーローの正体は秘密であるからして 1(脚本)
〇闘技場
午後2時
ヒーローコロシアムにて
スペースキャット「にゃーっはっはっはっは!!」
スペースキャット「マイクオーケイ では、始めて行くぜい!準備はいいか!?」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお
スペースキャット「うむ、元気の良い返事サンキュー諸君!」
スペースキャット「今回のヒーローコロシアムもいよいよ最終戦!」
スペースキャット「今日このときに、最強のヒーローが決定するってワケ」
スペースキャット「歴史の生き証人になる準備はいいか!!」
わああああああああああああああああああ
スペースキャット「観客席のボルテージも最高潮!!」
スペースキャット「それじゃ」
スペースキャット「お待ちかねの選手入場いっちゃいまっしょー!!」
スペースキャット「西側からやってきますは、このヒーロー!!」
スペースキャット「赤いスーツは正義の証!子どもからの人気ナンバーワン!」
スペースキャット「戦隊ヒーローとしては史上初の単独での優勝争いをなしとげました!!このまま私達に初優勝を見せてくれるのか!?」
スペースキャット「ヒーロー戦隊からレッドの入場です!!!」
ヒーロー戦隊 レッド「地球のみんなは俺が守る!! ヒーローレッド!ここに参上!!」
きゃああああああああああああああああ
スペースキャット「黄色い歓声が響きます! 奥様からの人気の高さも、うかがえますね」
スペースキャット「それでは、続きまして! 東側からやってくるのはこのヒーロー!!」
スペースキャット「女性の夢、ウエディングドレスに身を包み!愛らしい笑顔でみなさまの幸せを願います!!」
スペースキャット「男性人気ダントツのナンバーワンでありながら!」
スペースキャット「ヒーローコロシアム始まって以来、誰も成し遂げていない10年連続優勝に王手をかけているのはこのヒーロー!!」
スペースキャット「魔法少女ウエディングベルの入場です!!」
魔法少女 ウエディングベル「将来の夢は素敵なお嫁さん♡ 魔法少女ウエディングベル☆」
うおおおおおおおおおおおおおおおおお
魔法少女 ウエディングベル「あなたの幸せを願って、ここでぶち倒させてもらいます☆」
ヒーロー戦隊 レッド「そろそろ代替わりの時期だろう、お嬢さん」
ヒーロー戦隊 レッド「アンタを倒して、その最強を貰い受ける!!」
スペースキャット「両者やる気は十分!!」
スペースキャット「ヒーローコロシアム!最終戦!!」
スペースキャット「レディ・・・」
〇黒
〇シックなバー
柊 樹「あっ・・・」
これからだ、というときにテレビの画面が真っ黒に変わる。
好永 苗「・・・・・・・・・・・・」
リモコンをもった苗が、険しい顔でテレビ画面を睨んでいた。
柊 樹「な、苗ちゃん?」
好永 苗「ちゃん付けしないで、もう高校生になるんだから」
柊 樹「ごめん・・・ けど、急にどうしたの?」
好永 苗「べつに、ただ朝からずっとこの話ばっかりで嫌になったの」
柊 樹「そりゃ、10年連続の優勝だからね」
さっきまで流れていたヒーローコロシアムの映像は昨日の出来事だ。
戦隊レッドはウエディングベルに一歩及ばず敗北し、魔法少女ウエディングベルの10年連続優勝が確定した。
柊 樹「あっ・・・ もしかして、ウエディングベルのこと嫌い?」
好永 苗「・・・そんなんじゃない」
好永 苗「わたし、疲れたから部屋戻るね」
柊 樹(これが思春期ってやつか・・・)
好永 琴実「気にしないで、あの子昨日からああだから」
柊 樹「昨日からっていうと」
好永 琴実「現地で見たらしいのよ。レッドが負けるとこ」
柊 樹「苗ちゃんってもしかして・・・ レッドのファンだったりする?」
好永 琴実「本人は違うっていってるけどね」
好永 琴実「あのこ、レッドに助けてもらったことがあるみたいで」
柊 樹「なるほどね」
柊 樹「前はウエディングベルみたいな、かわいい魔法少女になるって言ってたのになあ」
好永 琴実「それこそ、苗が小学生のときのはなしよ」
柊 樹「そうか、もうそんな年じゃないんだね」
柊 樹(すこし、さびしいな)