僕の名は…。

キティ

エピソード1(脚本)

僕の名は…。

キティ

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〇神社の出店
  ♪ どんどん
    ぴ〜ひゃら
    どんどん
あやか「わあっ、賑やかだな。」
あやか「やっぱり お祭りはいいなあ♪」
ミミ「ワン、ワン!」
あやか「え、ワンちゃん!?」
ミミ「ワン、ワン♪」
あやか「リード外れちゃってるけど、 大丈夫かなあ・・・」
  私がワンコを見ていると、
「ミミ、ミミー!」
  参道の方から声がした
  私が振り向くと、
あやか「えっ!」

〇黒背景
  私は誰かとぶつかり、
  神社の石段を
  転がり落ちていった

〇神社の石段
「う・・・ いたたた・・・」
  気がつくと、
  私は石段の下に倒れていた
あやか「えっと、私・・・?」
あやか(あ、そうか。 犬を追いかけてきた人とぶつかって 落ちたんだ)
  気がつくと、
  すぐそばに髪の長い女の人が倒れていた
  その背中が、むくりと起き上がる
聖夜「うう・・・」
あやか(えっ!? 男の人)
あやか(てか、すごい美形)
ミミ「ワン、ワン!」
聖夜「あ、ミミ、 無事だったんだね」
  そう言うとイケメンさんは、
  じゃれつくワンコを
  ワシャワシャし始める
あやか(こっちは無事じゃないんだけどね)
  私がむっとしていると、
  イケメンさんが私に視線を向けた
聖夜「・・・」
聖夜「・・・」
あやか「あ、あの・・・」
聖夜「・・・君の名は?」
あやか(う・・・。 めっちゃ間が長い。 この人、もしかして天然!?)
あやか「わ、私の名前は・・・」
あやか「あやか・・・」
  その時、頭の上から声がした
「お兄ちゃま──!! お兄ちゃま──!!」
  その声に誘われて上を見ると

〇ソーダ
  そこには天使がいた
  いや、正確に言えば、
  天使のような美少女が

〇神社の石段
  天使は小走りに階段を降りてくると
ソフィー「お兄ちゃまが階段から落ちたって聞いたから」
ソフィー「誰かと落ちたってことは・・・」
ソフィー「二人は入れ替わってる!?」
あやか「・・・はっ?」
  天使はキラキラした目で
  私とイケメンさんを交互に見つめる
あやか「いや、 あの、 ええっと・・・」
あやか(階段から落ちたら入れ替わるって 古い映画かアニメじゃあるまいし)
あやか(でも、こんな無垢な目で見つめられると、 違うって言いにくいなぁ・・・)
  私が困惑していると、
  イケメンさんが意外なことを言った
聖夜「あら〜、 ばれちゃった?」
聖夜「よくわかったわね。 私たち入れ替わったの」
あやか「はいっ・・・!?」
ソフィー「わあっ、 やっぱり!」
ソフィー「ねっ、ねっ、 入れ替わったお姉様は お名前なんておっしゃるの?」
聖夜「よく聞いてくれたわ。 私の名前は」
聖夜「あやか」
あやか「ちょっ、 それ、私の──」
  私が身を乗り出すと、
  イケメンがいきなり手で口をふさいだ!!
あやか「むごごご!!」
聖夜「お嬢ちゃん、ごめんなさいね─。 私、お兄ちゃまとお話があるの」
  そう言うと、
  イケメンは私の口を塞いだまま、
  引きずるように歩き出した

〇公園のベンチ
「はあはあ・・・ は、はなして、」
あやか「離してください!」
  私はイケメンの手を振り払った
あやか「いったい何なんですか!?」
聖夜「ごめん・・・。 手荒なことをして」
聖夜「僕の名前は聖夜。 あの子はソフィ。 僕の妹です」
あやか「妹・・・」
聖夜「ソフィは生まれつき体が弱く、  母の故郷であるプロヴァンスの屋敷で暮らしていたんだ」
聖夜「外出もままならないソフィの たったひとつの楽しみは、 父の祖国である日本のアニメや映画を見ることだった」
聖夜「ソフィーにとって 日本は夢の国なんです」
あやか(ええっと・・・)
あやか(それってもしかして、 映画と現実をごっちゃにしているってこと・・・!?)
あやか(・・・まあいいや。 とにかく関わらないでおこう)
あやか「そ、そうですか。 じゃあ、私はここで!!」
  私がそそくさと立ち去ろうとすると、
聖夜「ちょっと待って!」

〇花模様
  イケメンが切なそうな表情で
  私を見つめてくる
聖夜「『僕の名は』は、 ソフィーが一番好きなアニメです」
聖夜「奇跡的にも、 運命的にも、 アニメと同じように、 君と僕が石段から転がり落ちた」
聖夜「ソフィーは今、 君と僕が入れ替わったと信じ、 これからどうなるか心を躍らせています」
聖夜「まるで自分が アニメの登場人物になったように・・・」
聖夜「そんなソフィーの夢に、 少しだけ付き合ってもらえませんか?」
聖夜「あやかさん・・・」

〇公園のベンチ
あやか(あやかさんって・・・)
あやか(てか、どうしてこの人 花しょってるの?)
あやか(あ〜、もう! そう言うことじゃなくて!)
あやか「あ、あの、それって、 私たちが入れ替わったっていう お芝居をしろっていうことですか?」
聖夜「はい!」
あやか「あのですね─!!」
聖夜「あやか・・・」
あやか(って、いきなり呼び捨て!!)
聖夜「・・・」
聖夜「・・・」
あやか(だからやめてほしいんだけど その間)
聖夜「君は今日から聖夜です」
あやか(って、勝手に決めてるし〜💦)

〇通学路
  その後
  喫茶店で打ち合わせをした私たちは、
  聖夜さんの家へ向かうことにした
あやか「あの〜、 本当にやるんですか?」
聖夜「もちろんです」
聖夜「僕のプロフィールはさっき話しましたよね?」
聖夜「あやかさんのプロフィールもお聞きしました」
聖夜「準備はバッチリです。 お互いしっかり 『入れ替わり』を演じましょう」
あやか(とほほ いったい何でこんなことに)
  私がため息をついていると
聖夜「着きましたよ。 あれがうちです」
  聖夜さんの視線をたどって
  私は前を見る
あやか「えっ!?」

〇立派な洋館
聖夜「あやか」
聖夜「ぽけっとした顔をして どうかしましたか?」
あやか「あ、いや・・・」
あやか(なんて大きなうち。 うちって言うよりお屋敷でしょ)

〇平屋の一戸建て
(築40年の我が家とは 大違い)

〇立派な洋館
  目を白黒させている私に微笑むと、
  聖夜さんは
聖夜「さ、 行きますよ」
  そう言って、
  歩き出した

〇洋館の玄関ホール
  玄関ドアを開けると、
  そこには広々としたホールが広がっていた
  私は聖夜さんかと打合せたセリフを叫ぶ
あやか「ただいま─! 母さん、ソフィー、 今帰ったよ─!!」
  ややあって、
  屋敷の奥から2つの人影が
  バタバタと駆けてくる
ソフィー「お帰りなさい、 お兄ちゃま」
カトリーヌ「待ってたわよ、聖夜」
あやか(この人がお母さん!? 若っ。 しかも外国の人?)
カトリーヌ「ソフィーから聞いたわよ。 階段から落ちて 入れ替わっちゃったんですって?」
あやか「・・・」
  私が黙っていると、
  聖夜さんが軽く肘で小突く
あやか「あっ、そうか。 はい! ・・・じゃなくて、」
あやか「そうなんだ。 まいっちゃったよ〜」
カトリーヌ「あらまあ」
あやか(すごい見つめてる。 ふつうにバレるでしょ、これ)
カトリーヌ「すごいじゃない!」
あやか「えっ!?」
ソフィー「ねっ、ねっ、ママ、 ソフィーが言った通りでしょ?」
カトリーヌ「ほんと、 やっぱり日本はミラクルな国だったのね〜」
あやか(ふつーに信じてるし)
カトリーヌ「ところで、そちらのお嬢さんは?」
聖夜「あ、私、須藤あやかで〜す。 16歳。 下町高校の一年生でぇす♥」
あやか(むかっ、 わたし、そんな喋り方しないし、)
聖夜「あの─、 お母さんにお願いがあるんですけど」
カトリーヌ「お願い?」
聖夜「今夜、うち、両親がいなくて」
聖夜「心細くって。 あの・・・ 良かったら、今夜このうちに 泊まらせてもらえませんか?」
あやか(えっ、 そんな勝手に)
カトリーヌ「もちろんよ〜!!」
カトリーヌ「にぎやかなディナーになるわね」
ソフィー「ソフィー、楽しみ!」
あやか(ああ・・・ どんどん巻き込まれていく・・・)

〇城の会議室
  その後、
  私たちは揃って夕食をとることになった
カトリーヌ「たくさん食べてね」
あやか(わ、すごい御馳走)
聖夜「おいしそう。 いただきま〜す!」
カトリーヌ「聖夜もいっぱい食べてね」
あやか(あ、私か)
あやか「は・・・ う、うん! いただきます」
ソフィー「ね、あやかお姉ちゃまの 好きな食べ物ってなあに?」
聖夜「う〜ん。 なんだろ」
聖夜「チーズケーキかな」
あやか(ほんとはたこ焼きなんだけどね)
ソフィー「ソフィーもチーズケーキ好き〜♥」
聖夜「じゃあ、 今度一緒に食べに行こう?」
ソフィー「ほんと!? 嬉しい─!!」
あやか(目ぇキラキラさせちゃって、 ソフィーちゃんって 本当にピュアでいい子だなあ)
  その後色々話してみると、 
  ソフィーちゃんは3ヶ月前に日本に来たらしい
  体が弱いので
  学校へは行ってないという
ソフィー「でもソフィー平気。 アニメ見てたら寂しくないもん」
あやか(ソフィーちゃん・・・)

〇洋館のバルコニー
  夕食後─。
あやか「はあ、ちょっと疲れたな・・・」
「あやか・・・」
聖夜「今日はありがとう」
あやか「どういたしまして。 私もソフィーちゃんと話せて 楽しかったです」
聖夜「うん」
あやか「あのっ、 それでなんですけど・・・」
あやか「もう少しこのまま入れ替わりを 続けてもいいかなって・・・」
聖夜「本当に!?」
あやか「はい。 ソフィーちゃんも喜んでるし」
聖夜「ありがとう! あやか!」
  こうして、わたしたちの
  なんちゃって入れ替わりは始まった

〇レトロ
  暮らしも性格も違う私たちの入れ代わり。
  いったいどんなドラマが待っているのか
  不安だけど、
  ちょっと楽しみでもある

コメント

  • 確かに階段から2人一緒に落ちると入れ替わるのってよくある設定ですね!それを演じるとは面白い!ソフィーちゃんもお母さんも本当に信じてるのか、信じたいから信じているのか。この先の展開が楽しみです。

  • 「実は入れ替わっていない」という斬新な設定に感心しました。あやかに成り切るよりも聖夜のフリをする方がハードルが高そう。無邪気なフリして実はソフィちゃんが全部気づいていて、二人のドタバタを楽しんでいるんだったら怖いなあ、なんて。

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