事故物件家族【フルボイス】

桜海(おうみ)とあ

事故物件家族(脚本)

事故物件家族【フルボイス】

桜海(おうみ)とあ

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事故物件家族【フルボイス】
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〇車内
稲田フスマ(父)「ライ、コムギ、オーツ」
稲田フスマ(父)「突然の引っ越しになってしまい、 すまない」
稲田リナ(母)「別に、パパのせいじゃないわ」
稲田コムギ「どうせ、上司に押し付けられたんでしょ?」
稲田フスマ(父)「ううっ!!」
稲田コムギ「新しい制服がセーラー服とか、 ダサくて、いやなんですけど」
稲田フスマ(父)「に、似合ってるぞ! 若い時のママみたいだ」
稲田リナ(母)「やだっ!  パパったら!」
稲田コムギ「子供の前で、イチャつくの禁止!」
稲田フスマ(父)「す、すまん」
稲田リナ(母)「今度のお家は、広いのよ」
稲田オーツ(弟)「じゃあ、僕の部屋もある?」
稲田リナ(母)「もちろん!」
稲田コムギ「でも、そこって事故物件なんでしょ?」

〇一戸建て

〇モヤモヤ
  ──「事故物件」
  孤独死、自殺、
  殺人事件や、事故など、
  物件内で「特殊な死亡」があった場合、
  通称「事故物件」として扱われる
  不動産のことをいう
  不動産会社が「事故物件」を貸し出す場合、
  借主の不利益を防ぐため、
  借りる物件が「事故物件」である告知をしなければならない

〇オフィスビル
  ── デュラム不動産会社 ──
「またですか!?」

〇オフィスのフロア
上司の山田「そろそろ新しい物件に移って欲しいんだよ」
稲田フスマ(父)「ですが。息子たちは、ようやく学校に慣れてきたところで」
稲田フスマ(父)「こう度々、 引越しするのは・・・」
上司の山田「え? 断るの?」
上司の山田「今回の物件、事故物件という曰く付きではあるが」
上司の山田「稲田くんが住むっていうなら、そのエリア一体の物件、君に任せてもいいんだがなあ?」
稲田フスマ(父)「いますぐ、引越しいたします!」

〇車内
稲田コムギ「ていうか、時間が経ったら」
稲田コムギ「過去にその家で人が死んだって言わなくていいって、なんかズルくない?」
稲田フスマ(父)「そうだなあ。 コムギの言いたいこともわかる」
稲田フスマ(父)「過去のことを、教えないのはズルいかもしれない」
稲田フスマ(父)「でもな、たとえば新しい彼氏に、昔の彼氏のことを毎回話さなくちゃいけないのは、嫌じゃないか?」
稲田フスマ(父)「そこは、リセットされたということで、言わなくていいと思わないか?」
稲田コムギ「彼氏と事故物件は違うし!!」
稲田コムギ「てゆうか、彼氏いないし・・・」
稲田フスマ(父)「そうだったか?」
稲田オーツ(弟)「姉ちゃんは、全然モテないよ! モテるのは、ライ兄ちゃんだよね?」
稲田コムギ「コラ! オーツ!」
稲田オーツ(弟)「ライ兄ちゃんは、 いっつも、女子と一緒なんだぜ!」
稲田リナ(母)「そうなの? ライ?」

〇車内
稲田ライ(兄)「ふぁー。・・・何の話?」
稲田オーツ(弟)「ライ兄ちゃんが、モテるって話!」
稲田ライ(兄)「・・・どうしてそうなった?」
稲田オーツ(弟)「でも、昨日の夜中も髪の長い・・・」
稲田ライ(兄)「お前、寝ぼけすぎ。 夢の中に俺を登場させんな」
稲田オーツ(弟)「えー? おっかしいなあ?」
稲田フスマ(父)「ほら!  家が見えてきたぞ!」

〇一戸建て
稲田オーツ(弟)「すっげえ! 庭がある!!」

〇シックなリビング
稲田オーツ(弟)「リビング、ひろっ!!」

〇清潔な浴室
稲田オーツ(弟)「お風呂! ひろ!!」

〇勉強机のある部屋
稲田オーツ(弟)「子供部屋がある!!」
稲田オーツ(弟)「僕、ここがいい♪」

〇シックなリビング
稲田フスマ(父)「こらこら、はしゃぐな♪」
稲田フスマ(父)「ここは、独居老人が孤独死した物件だと聞いていたが、わりと新しいなあ」
稲田リナ(母)「ええ、ほんとに素敵なお家ね。 これで家賃がタダなんて、夢みたい」
稲田フスマ(父)「まあ、事故物件の告知義務が消えるまでだけどな」
稲田リナ(母)「よしっ! 今日は腕を振るっちゃおうかしら?」
稲田フスマ(父)「いいな♪ ママのご馳走、食べたぁい・・・」
稲田リナ(母)「も、もー! パパったら!」
稲田リナ(母)「あら?  そういえば、ライとコムギは?」

〇一戸建て
稲田コムギ「・・・」
稲田ライ(兄)「見えるか? コムギ」
稲田コムギ「うん・・・、バッチリ、ヤバいやつが」

〇一戸建て
**「・・・」

〇一戸建て
稲田コムギ「お兄ちゃん、ここガチな事故物件だよ」
稲田ライ(兄)「・・・はあ」
稲田リナ(母)「ライ! コムギー! 入っていらっしゃい!」

〇一戸建て
稲田リナ(母)「早く荷物を開けないと、 明日になっちゃうわよ?」

〇一戸建て
稲田コムギ「い、今行くー!」

〇シックなリビング
稲田リナ(母)「さあ、召し上がれ!」
稲田オーツ(弟)「わーい! いっただきまーす!」
稲田フスマ(父)「うん! うまい! さすが、ママだ!」

〇シックなリビング
稲田コムギ「い、いただきます」
稲田コムギ「なんか、あの双子、ママにベッタリじゃない?」
稲田ライ(兄)「母親が恋しいんじゃないか?」
稲田コムギ「え、じゃあ、あの女の人は?」
「ひいっ!!」

〇シックなリビング
女幽霊「イケメン・・・ ・・・カオ・・・イイ」
稲田ライ(兄)「・・・」

〇シックなリビング
稲田コムギ「女の幽霊に好かれてる!!」
稲田コムギ「お、お兄ちゃん・・・、」
稲田コムギ「その・・・頬にキスされてますけど?」

〇シックなリビング
稲田ライ(兄)「気づかなかったフリをしろ」
稲田ライ(兄)「こういう女の霊は、こちらが気づいてることに気づかれると、余計に酷くなる」

〇シックなリビング
稲田コムギ「そ、そっか。わかった。 気づいてないことにす・・・」
稲田コムギ「って!」
稲田コムギ「ひいいっ!!」
稲田フスマ(父)「おいおい。ライ。 食事中に床に寝っ転がるとは、よくないぞ」
稲田リナ(母)「あら? 眠たいのなら、ベッドで寝なさいね?」
稲田コムギ「違うの! ママ!!」
稲田コムギ「お兄ちゃんは、女の人に押し倒されて!」

〇シックなリビング
女幽霊「・・・ジャマ・・・スル・・・ナ・・・」

〇シックなリビング
稲田コムギ「なんでもない! ご、ご馳走様ー!」
稲田コムギ(うう!! お兄ちゃん! ごめん!!)

〇清潔な浴室
稲田コムギ「さっさとお風呂に入って寝よ」
稲田コムギ「てか、独居老人の孤独死物件って話だったのに」
稲田コムギ「なんで、双子の子供と女の人の霊?」
稲田コムギ「ん? つめた!!」
稲田コムギ「な、何これ! 血!?」

〇流れる血
「ふあっ!!」

〇水中
稲田コムギ「がぼぼぼぼぼ!!」
稲田コムギ「ヤバい!! こ、殺される!!!」

〇清潔な浴室
稲田オーツ(弟)「うひょー!!  オーツマン参上!!」
稲田オーツ(弟)「って、あれ? 姉ちゃん入ってたの?」
稲田コムギ「ぶは!! ゲホゲホゲホ!」
稲田オーツ(弟)「なんだよー。僕が一番だと思ったのに!」
稲田オーツ(弟)「ちえー!!」
稲田コムギ「た、助かったぁー!」

〇一戸建て

〇女の子の一人部屋
稲田コムギ「もう、怖すぎなんですけど、この家」
稲田コムギ(明日、絶対お守り買いに行こう)

〇女の子の一人部屋
稲田コムギ「・・・ん、なんか、足元かゆい?」

〇一戸建て
「きゃああああ!!」

〇部屋の扉
稲田コムギ「お兄ちゃん!! お兄ちゃん!! 開けて!!」
稲田ライ(兄)「どうした?」
稲田コムギ「私のベッドに双子の霊が!!!」
稲田コムギ「1人で寝るの無理!!」
稲田コムギ「今夜だけでいいから、一緒に寝て!」
稲田ライ(兄)「・・・ムリ」
稲田コムギ「そんなぁ! ママもパパも霊感無いから、全然頼りになんないし!」
稲田コムギ「私が頼れるの、お兄ちゃんだけなんだよ」
稲田コムギ「お願い、助けてよ・・・」
稲田ライ(兄)「はあ・・・、俺もお前のことは助けたい」
稲田ライ(兄)「だが、今は・・・」

〇男の子の一人部屋
死んだ女の子「・・・」
稲田ライ(兄)「こういう状況だから・・・」

〇部屋の扉
稲田コムギ「なんか人数、増えてるし!!」
稲田コムギ「わ、わかった。 流石に、あたしもそこじゃ寝れないや」
稲田コムギ「ママのところ、行ってみる」

〇部屋の扉
稲田コムギ「ママー! パパー?」
稲田コムギ「もう寝ちゃったのかな?」
稲田コムギ「どうしよ・・・」

〇シックなリビング
稲田コムギ「こうなったら、推しのドラマでも見よう」
稲田コムギ「!?」

〇シックなリビング
稲田コムギ「ん?  あれ? 電気つかない?」
稲田コムギ「電球切れたのかな?」

〇シックなリビング
稲田コムギ「ひゃあ!」
稲田コムギ「ちょっと! 嘘でしょ?」
稲田コムギ「どうして、ボーリングのボールが天井から降ってくるのよ!」
稲田コムギ「一体どこから?」
稲田コムギ「って、天井には何もな・・・」

〇手
「ぎゃあああー〜ー!」

〇シックなリビング
稲田コムギ「もういやあ!」
稲田オーツ(弟)「なんだよ。姉ちゃん、うるさいな!」
稲田コムギ「オーツ! みて! 天井に人の手がいっぱい!」
稲田オーツ(弟)「はあ? 何も無いけど?」
稲田コムギ「そっか、あんた霊感弱いんだった」
稲田オーツ(弟)「霊とか、何言ってんの?」
稲田オーツ(弟)「あっ。あーあ、床に穴開いちゃってる!」
稲田オーツ(弟)「ねーちゃん! パパに怒られるよ!」
稲田コムギ「わ、私じゃないわよ!」
稲田オーツ(弟)「じゃあ、誰がやったっていうんだよ?」
稲田コムギ「それは・・・」
稲田オーツ(弟)「この穴、 カーペットで隠せばバレないんじゃね?」
稲田コムギ「そっか! さすが私の弟! 悪い知恵が働く!」
稲田オーツ(弟)「手伝う気なくすんだけど」

〇シックなリビング
稲田オーツ(弟)「姉ちゃん、見てみて!  なんか床にある!」

〇謎の扉
稲田コムギ「ん?」

〇謎の扉
稲田コムギ「これは、床下収納庫じゃない?」
稲田オーツ(弟)「床下収納庫?」
稲田コムギ「床下に荷物を入れる倉庫みたいなやつかな」
稲田オーツ(弟)「おおお! お宝とかあるかな?!」
稲田コムギ「無いでしょ。 家の清掃をしたときに片付けてるはずだし」
稲田オーツ(弟)「でも、万が一もあるかもだし! 開けてもいい?」
稲田コムギ「いいんじゃない? なにも入って無いだろうけど」
稲田コムギ(ん? なんだろう今、寒気が)

〇シックなリビング
稲田コムギ「待って!! 開けるの、ストップ!!」
稲田オーツ(弟)「・・・え?」

〇骸骨

〇一戸建て
「ぎゃああああー〜ー!!」

〇一戸建て
リポーター「ここ、コナモノ市にある閑静な住宅街から、人骨が発見されました」
リポーター「床下に埋まる白骨遺体は、複数名確認されており、」
リポーター「中には、行方不明者として名簿に記載された少年少女の遺体もあるとのことで」
リポーター「警視庁では、連続殺人死体遺棄事件として、捜査を進める方針だということです」

〇黒

〇車内
稲田オーツ(弟)「あーあ、せっかく僕だけの部屋を手に入れたのに」
稲田コムギ「しょうがないじゃない。 連続殺人事件の捜査現場になっちゃったんだから」
稲田オーツ(弟)「ちえー!」
稲田フスマ(父)「新しい家が決まったぞ!」
稲田コムギ「今度も事故物件?」
稲田フスマ(父)「まあ、そうだが、今度は大丈夫だ!」
稲田フスマ(父)「20階建ての20階だから! 床下から死体は出てこない!」
稲田オーツ(弟)「おおー! 高層マンションじゃん! やった!!」
稲田コムギ(もう、 ヤバイ想像しかできないんだけど・・・)

〇車内
稲田リナ(母)「私は稲田家が、 全員一緒ならどこでもいいわ!」
稲田フスマ(父)「ママ!!」
稲田コムギ「もう! 子供の前でいちゃつくの禁止!」
稲田コムギ「まあ・・・稲田家全員ってゆうか」
稲田ライ(兄)「・・・はあ」
稲田コムギ「ちょっと増えちゃったけどね?」

〇一戸建て
  ── おしまい ──

コメント

  • ライ兄さんはイケメンでイケボでしたね
    このお父さんと霊感のある兄妹の組み合わせはかわいそうですねw
    事故物件はもっと読みたくなる題材だと思いました

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