〇川に架かる橋
　　──ある日のことだった
瑠奈「今日結構進んだね」
梨沙「うん！ 次はハルの攻略だよね」
瑠奈「そーだね。 でも、ハルはアスカの義弟だから・・・」
梨沙「ちょっと攻略難しそうだね」
瑠奈「おまけにチャラ男ときた。 くぅ〜、やっぱりハルいいわ〜」
梨沙「本当に瑠奈はハル推しだよね」
瑠奈「うん!!ハルめっちゃ好き!!」
梨沙「あ、私はここまでだ」
瑠奈「えー、もうついちゃった・・・」
梨沙「ね…」
梨沙「そういえば。もうすぐ試験近いよね？ 勉強するんだよ！」
瑠奈「えっ、試験!? マジか、やだなー」
梨沙（知らなかったんかい）
梨沙「今回は200位以内はいりなよー？」
瑠奈「うぅ・・・ 勉強教えてね」
梨沙「わかった！ 頑張ろうね！！」
瑠奈「うん！」
梨沙「じゃあ、帰ろうか。」
瑠奈「うん！じゃあねー！」
梨沙「…よし」
梨沙（・・・さて、お勉強、どう教えようかな。 まずは掛け算を完璧にさせないと）
梨沙（瑠奈はなぜか理科が得意だからなあ。 そこは100点とってほしいな）
梨沙（明日から徹底特訓だ！）
？？？「危ない!!!」
梨沙「・・・え？」
　　ドン!!!!!
？？？「・・・!? 誰か!!!!119番通報して!!!」
？？？「なんだ・・・??人が倒れてる!!」
？？？「うそ、息してない！」
瑠奈の声「梨沙…？ 梨沙！！！！」
　　私、山田梨紗は交通事故でこの世を去ることになってしまった。

〇宮殿の部屋
　　・・・
　　コンコン・・・
？？？「お嬢様、起きてください。 時間ですよ」
アスカ「うぅ・・・」
アスカ「はっ！ え、生きてる!?」
アスカ「てか、どこここ…」
アスカ「うっ・・・」
アスカ（頭がすごいガンガンしてる・・・ なにこれ・・・）
？？？「お嬢様ー？ 入りますよ？」
サツキ「失礼します。 起きてらっしゃるなら返事をしてください 体調はいかがですか？」
アスカ「──・・・。」
　　ふらっ・・・
サツキ「お嬢様!? 大丈夫ですか!?」
サツキ（すごい熱・・・）
サツキ「お医者様をお呼びしてきます!!」
　　・・・・・・
　　・・・
医者「異常はなさそうです」
医者「高熱で倒れてしまったかと。 解熱薬を用意しておきます」
サツキ「ありがとうございます」
　　──
アスカ「うっ・・・」
サツキ「お嬢様！ お体に異常はありませんか？」
アスカ「なに、ここ。 てか誰ですか・・・？」
サツキ「…」
アスカ「あれ・・・頭痛くなくなってる・・・」
医者「よかったです。 ・・・失礼ですが、ご自分のお名前を覚えていますか？」
アスカ「名前・・・」
アスカ（・・・ここどこ？ とてもとはいえないけど、日本では無い感じがする）
お母様「アスカ!!!」
アスカ「えっ・・・アスカ・・・？」
アスカ（アスカといえば悪役令嬢の名前だ。 目の前の人もアスカのお母さんに似ている）
お母様「先生、アスカは大丈夫なんでしょうね」
医者「は・・・はい。高熱で記憶が少し混乱しているようですが・・・命に別状はないです」
お母様「よかった。 アスカ、少し安静にしてなさい。 あなたの好きなお菓子も用意しますから」
アスカ（ええっと・・・）
アスカ「わ・・・かりました・・・？」
医者「では私はこちらで」
お母様「はい、ありがとうございました」
お母様「サツキも下がりなさい」
サツキ「はい」
お母様「アスカ、安静にしてなさいね」
アスカ「はっ・・・はい」
アスカ（・・・アスカって、まさかだけど）
アスカ「・・・アスカだぁ。 転生・・・しちゃったか〜？」
　　私が読んでいたいわゆる“転生物”が頭によぎる。
アスカ（とりあえず、この後について考えよう）

〇宮殿の部屋
アスカ「・・・結局夜まで考えてしまった」
アスカ（とりあえず、ここが『マジック★ラブ』の世界だということ。）
アスカ（そして、今の私は悪役令嬢である「アスカ・フランドール」ということもわかっている）
アスカ（そこで注目すべきは、私が悪役令嬢になってしまったこと）
アスカ（とりあえず、私が知っているアスカを振り返ろうではないか）

〇華やかな裏庭
アスカ「私の婚約者に近づかないでください」
　　まず主人公をいじめたり
　　攻略対象にだけ甘えたり
レクト「あの・・・僕用事あるので、通っていいでしょうか？」
　　んで振られたら嫉妬して主人公に当たるし
サラ「うっ・・・」
レクト「サラに何をする!?」
　　主人公いじめたせいで死ぬし
　　死ななくても国外追放だし

〇宮殿の部屋
アスカ（アスカ、最低なことしかしてないじゃん）
アスカ（悪いことしてきたんだからしょうがないことだと思うけれど・・・）
アスカ（私はこうなりたくないなぁ・・・）
　　コンコン・・・
？？？「失礼します。 お嬢様、起きてらっしゃいますか？」
アスカ「あっ・・・はい」
サツキ「紅茶を持ってきました。 明日はお嬢様が楽しみにしていた義弟様が来日する日でございます」
アスカ「あっ、そっか」
アスカ（そういえばまだハルが来ていなかった）
　　ハルといえば悪役キャラ・アスカの義弟だ。
アスカ（アスカとハルには苦労したなぁ・・・）
サツキ「体調はいかがですか」
アスカ「だいぶ良くなりました。心配かけました。」
サツキ「それはよかったです。 そろそろお休みの時間になります。 お風呂はどうしますか」
アスカ「入るわ。報告ありがとう」
サツキ「いえ、では私はこれで失礼します」
アスカ（さて、お風呂入るか。）

〇西洋風のバスルーム
アスカ（そういえばさっき、義弟が明日来るという話をしてたなぁ）
アスカ（アスカの義弟は攻略対象である“ハル”である。ハルは最初はおとなしい性格をしているが、あとからはチャラくなってしまう）
アスカ（チャラい要素がなければ私に刺さっていたかもしれないキャラだ）
アスカ（チャラいといえば、瑠奈はハルが好きだったな。チャラいのが好きらしい。私には理解できん）
アスカ（・・・瑠奈、元気かなぁ）
アスカ「はぁ・・・」
アスカ「あとは明日の自分に任せて今日は寝よう。 今日は色々あって疲れた」
アスカ「おやすみなさい・・・」