新小岩アースバウンド

A.M

カラフル(脚本)

新小岩アースバウンド

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新小岩アースバウンド
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〇オフィスのフロア
会社員の女性1「ゆうきちゃんって今彼氏いるの?」
会社員の女性1「ゆうきちゃんみたいな女の子は、絶対彼氏途絶えたことないタイプだから! マジでうらやましい!」
ゆうき「いや・・・ 私は・・・あの・・・そんなにモテないですよ」
会社員の女性2「ちょっと・・・ ゆうきちゃんは・・・その・・・ そういうんじゃないから・・・」
会社員の女性1「えっ? あ、そっか・・・ ごめん、そんなつもりじゃなくってね・・・?」
ゆうき「いえ! ぜんぜん気にしてないので! 謝らないでくださいよ~!」
会社員の女性1「ほんとに? あ!コーヒー飲む? スタビのコーヒーおごるよ!」
ゆうき「ありがとうございます! ではお言葉に甘えて!」
会社員の女性2「わたしも一緒にいきま~す!」
会社員の女性1「あんたには奢らないよ?」
会社員の女性2「ええ~~!!」
  ああ…
  わたし、あと何回これ繰り返すんだろう
  誰も信用できないよ・・・
  本当に思ってること・・・
  ほのかも・・・
  私のこと・・・人に話したくないとか
  思ってるのかな・・・

〇綺麗な部屋
ほのか「はぁ~ 急に夕方から出勤できるかだって! まあ、なんかあったみたいだし仕方ないけどさぁ~」
ゆうき「そっかぁ 大変だねぇ・・・」
ほのか「ゆうきも昨日帰ってくるのすっごい遅かったじゃん!お互い様だよ、そんなの」
ゆうき「う~ん、昨日は特にしんどかったなぁ」
ゆうき「まぁまだ時間あるみたいだし、 それまでゆっくりしてなよ」
ほのか「うん そうする」
ゆうき「あ、 あのさ」
ほのか「なに~?」
ゆうき「いきなりなんだけど ほのかはさ・・・ どう・・・思ってるのかなって・・・」
ほのか「ん?何が?」
ゆうき「その、私と一緒に住んでて、 一緒に歩いてて、」
ゆうき「一緒にいるところ・・・ 誰かに見られたり、知られたり」
ゆうき「それを隠したいとか・・・ 思ったりするのかなぁ・・・って」
ほのか「なんでそんなこと言うの?」
ほのか「そんなのひどいよ」
ゆうき「えっ・・・いや・・・ そんなつもりじゃ・・・」
  わたしは・・・ただ
  気持ちを確かめたくて・・・
ゆうき「ごめん・・・ ちょっと、コンビニ、行ってくる」
ほのか「ちょっと、 まっ・・・」

〇広い公園
いっぺい「絶対に逆上がり成功させるんだ・・・」
たけまるさん「いっぺー、もう無理や・・・ 帰るで、腹減ったわ・・・」
きよか「たとえ「成仏」できたとして きっかけが逆上がりって・・・ 恥ずかしくないのか?」
いっぺい「うわぁぁん!!」

〇田舎の公園
いっぺい「今、世界中で絶対一番俺が悲しい」
きよか「こんなくだらないことしてたら もう一日が終わりそうな私たちが一番悲しいよ」
いっぺい「ただ成功してもダメなんだ 誰かに見てもらって初めて俺の未練はなくなるのだ」
たけまるさん「なんやコイツ腹立つわ」
いっぺい「ん?」
いっぺい「なんか俺より悲しそうな顔してるやつがいるぞ」
いっぺい「おい!なに死んだみたいな顔してんだ?」
きよか「ちょっと!」
ゆうき「あ、いや・・・」
ゆうき「ごめんなさい 大したことじゃないんですけど ちょっと思いつめちゃって・・・」
いっぺい「大した事ないならいいけどさぁ」
いっぺい「「今じゃなきゃ解決できない」ことなら 死んだとき後悔するぜ?」
ゆうき「え? 後悔・・・」

〇商店街
  私、今日で変わるんだ
  いっぺいさん、お願いします!

〇商店街
ゆうき「おかえり」
ほのか「うん」
ほのか「今日麻婆豆腐たべたい」
ゆうき「え、あ・・・ うん・・・ 家に温めるやつあったと思う」
ほのか「あれ?今日雨降ってたっけ?」
ゆうき「いやっ!これは違くて! その、もしおばけとかに会ったら 撃退・・・」
ほのか「?」
ほのか「なに言ってんの?早く帰ろう?」
ゆうき「(もう!いっぺいさん達なにしてるの?!)」
ゆうき「(早くしないと作戦失敗だよ~!!)」
ほのか「ん~?」

〇田舎の公園
ゆうき「私、もっと強くならなくちゃいけないのかなって」
ゆうき「ほのかはとっても強い人だから、 意気地なしのままじゃだめなんじゃないかって」
ゆうき「周りの人の視線なんか怖くない、 私に怖いものなんてない!って」
ゆうき「堂々と、手をつないで一緒に歩きたい」
ゆうき「そうなりたいの・・・」
いっぺい「はぁ~ん なるほど、いいこと思いついたぜ!」
きよか「不安しかないよ」
いっぺい「二人で夜道を歩いてると、突然俺が現れる」
いっぺい「そこでお前が俺をボコボコに返り討ち」
いっぺい「かっこいい姿、見せてやれよ!」
きよか「そんな遠回しなことしないでも、 普通に気持ちを伝えたらいいんじゃ・・・」
いっぺい「逆上がりと一緒だよ」
いっぺい「変わった姿を誰かに見てもらうことに 意味があんのよ」
ゆうき「私、やります!」
いっぺい「じゃ、また駅前で!」
ゆうき「はいっ!」

〇古本屋
いっぺい「よっしゃ~やってやんよ!」
きよか「やられるのはあんたでしょ」
いっぺい「お、おい・・・嘘だろ!!」
たけまるさん「どないしてん」
いっぺい「く、来るっ! まだ、俺の「命日」まで一カ月はあるはずなのに!」
いっぺい「お経が・・・ お経が降ってくるっ!!」
  頭の中にありがたいお経が響いてくる・・・
いっぺい「うわぁぁぁ!! ありがてぇありがてぇよぉ~~ でもまだ天国には行けねーんだよぉ!! 頭が割れそうだぁ~!!」
  目の前が真っ暗だ・・・
きよか「いっぺー?!」
きよか「まずいわ!親不孝をしたのに、 それでもまだ自分を想ってくれる親心や お経のありがたみに耐え切れず 失神してしまったようね」
たけまるさん「俺らや運べへんし、 このままやと目立ってまう 大事になったら面倒や、一旦隠れるで」
たけまるさん「いっぺいなら大丈夫や 一人で倒れとったら酔っ払いやと勘違いされるやろ」
きよか「そうね、この時間にJKと犬に囲まれて床に寝ている成人男性じゃ警察を呼ばれてしまうわね」
たけまるさん「平穏な暮らしを守るためや、 すまんないっぺい」

〇商店街
ゆうき「(また次のタイミングに協力してもらうしかないかぁ・・・)」
ほのか「ん?」
ほのか「ねぇゆうき あの人、大丈夫かなぁ」
いっぺい「うぅ・・・」
ゆうき「え!?」
ゆうき「(いっぺいさん!なんでそんなところで倒れてるんですか!?)」
いっぺい「ううぅ、苦しい・・・」
ほのか「ちょっと、あなた大丈夫ですか? お酒飲みすぎたの?」
いっぺい「(ちく)しょう・・・ (作戦)ちゅう(止だ)・・・」
ほのか「え?焼酎?やっぱり・・・」
ほのか「ほら!立てる? つかまって!」
  ほのかはいっぺいに手を差し出した
いっぺい「なん(て優しいんだ) こ(れはじょうぶ)つ(案件だぜ・・・)」
ゆうき「なんこつ・・・?」
ほのか「ったく、こんなんで死んだらシャレになんないからね! 気を付けて帰りなさいよ!」
いっぺい「うぅ、ありがとう・・・」
  ああ・・・
  ほのかはやっぱりかっこいいなぁ・・・
  いままで、なんで忘れてたんだろう
  私には無いこんなところが大好きで
  好きだから、一緒に居たくて
  それ以外に、何を求めてたんだろう
  ほのか・・・
ゆうき「ほのか、今日のお昼のこと・・・ ごめんね・・・」
ほのか「なに?まだ気にしてたの?」
ゆうき「うん・・・ でも、今大事なことに気付いたの」
ほのか「え?何に~?」
ゆうき「うちに帰ったら、教える」
ほのか「え~!今言ってよ!気になるじゃん!」
ゆうき「あのさ」
ほのか「ん?」
ゆうき「手つないで帰ろう?」
ほのか「え、いいけど・・・ でもさっきの酔っ払い地面に寝てたし、 たぶん・・・私の手、汚いよ?」
ゆうき「いま、一番綺麗なんじゃない?」
ほのか「そう・・・かな?」
ゆうき「人助けした手だよ? たぶん今新小岩で一番綺麗に違いないよ」
ほのか「え?新小岩限定?なんか範囲微妙じゃない?」
ゆうき「ふふっ」
ほのか「せめて東京にしてよ」
ゆうき「じゃあ葛飾区」
ほのか「おーい!」
  この夜は恥ずかしくて、
  ずっと下を向いて歩いていました
  商店街のタイルの床が、
  いつもよりちょっとだけ
  
  カラフルに見えました

〇和室
きよか「あんなに人に優しくされたのに、 まだこの世に未練は残ってるみたいだな・・・」
いっぺい「いやぁ~、なんでかねぇ こんなに暖かい気持ちになったの久しぶりなんだけどなぁ~、へへへ」
きよか「へへへ、じゃないよっ! いっぺい、もうすぐ地縛霊になって2年経とうとしてんだよ?」
いっぺい「確かに、いよいよ俺も笑い事じゃなくなってきたな・・・」
きよか「なにか、新しい方法試さないと・・・」
いっぺい「あーーっ!」
たけまるさん「なんや、やかましい」
いっぺい「人助けだよ!」
たけまるさん「は?」
いっぺい「人助け!俺らで、この町にいる人を助けんだよ!そしたらさ、なんか俺らにもいいことありそうじゃねーか?!」
「はぁ~~??」

〇おんぼろの民宿(看板無し)
  地縛霊―――
  その建物や土地に縛り付けられた死霊
  死んだことに気付けない者や
  死んだことを受け入れられない者
  その土地と深いかかわりを持つ者
  そこに長く住んでいる者には
  その姿が鮮明に映ることがある
  一平、喜代香、たけまるさんの
  二人と一匹は
  この新小岩で人助けを始めることになる
  彼らが救いの手を差し伸べるのは
  「この地に住み続ける生きた人間」なのか
  あるいは彼らと同じように
  「この地に縛られてしまった哀しい死霊」なのか──

コメント

  • 新小岩、あの辺の土地柄というか特色みたいなのはなんとなくわかります。現実ではどうにかする事は難しいですが、せめてこの物語の中の新小岩でいっぺい達に救われる人が多くなると良いですね。

  • 鈍くて冒頭で察することができませんでしたが、百合カップルにまつわるお話なんですね!見える人が限定されてるわけでもなく酔っぱらいに間違われる地縛霊が新鮮でした😆

  • 自信が無かったりとてもネガティブ思考なゆうきちゃん、私も同じような感じなので、とても共感してしまいました🥲
    勇気を出して一歩踏み出すことが出来て良かったです。
    途中いっぺいさんが大変だったけど、そのハプニングがあったからこその結果なので、良かったです。

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