APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

24.討伐作戦を開始します。(脚本)

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菜鳥オウル

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〇荒廃したセンター街
怪異「くそっ、ただの人間のくせに結界なんて張りやがって!」
補佐員A「先輩、このままじゃ絶対ヤバいですよ!!」
補佐員C「避難所に入られちゃいます!!」
補佐員B「大丈夫だ!観崎部長特製の結界符は そう簡単に破れはしない!」
補佐員B「それに、あと少しで──」
怪異「なっ、爆弾!? 誰が──」
???「源流最終奥義──《終の剣・邪鬼斬滅》!!」
怪異「ぎゃああああ!!」
「た、助かった・・・」
酒巻「ふぅ、間に合って良かったです」
酒巻「──茨木、義手大丈夫? さっき外して放り投げてたよね?」
茨木「問題ありません。 ですが中に仕込んでいた暗器を使い切ってしまいました」
茨木「銃やナイフの類いはまだスーツの内側に仕込んでいますが、爆弾がなくなったのは痛いですね」
酒巻(スーツにも仕込んでたんだ・・・)
酒巻「あっ、通信だ。須佐川さんかな」
玲奈(通信)「──聞こえる、酒巻くん!?」
酒巻「はい酒巻──」
酒巻「──って、狐守さん!?」
酒巻「もう大丈夫なの!?」
玲奈(通信)「ええ、もう完全復活したわ。 ついでに作戦も考えてきた」
玲奈(通信)「私が囮になって玉藻の前をおびき出すわ!」

〇オフィスのフロア
須佐川「狐守が囮になる!? 本気か!?」
玲奈「ええ。私が敵に狙われているなら、 それを利用しない手はないでしょう」
観崎「でも危険すぎるよ! 万が一失敗したら・・・」
観崎「ねえ、オロチちゃんはそれでいいと思ってるの!?」
時雨「聞いた時は驚いたけど。 玲奈ちゃんがそうするって言うなら手伝うよ」
時雨「それに僕がいる限り、玲奈ちゃんをあいつらには渡さない」
須佐川「あー、うーん・・・」
須佐川「よし、分かった!」
須佐川「狐守、お前の作戦で行けば玉藻の前を討伐できるんだな?」
玲奈「はい、必ず」
須佐川「なら話してみろ。どのみち、他にいい作戦もないからな」

〇オフィスのフロア
玲奈「作戦自体は至って単純です」
玲奈「まず、あらかじめ結界の罠を張っておきます。その上で私を使って玉藻の前をおびき出す」
玲奈「その後タイミングを見計らって罠を発動させ、玉藻の前の動きを封じてそのまま倒す、という流れです」
須佐川「ふむ、それなら実行可能ではあるな」
酒巻(通信)「けど結界はどうやって張るの?」
酒巻(通信)「玉藻の前が出てきたら十中八九戦闘になるだろうから、僕らじゃ対応できないよ」
玲奈「そこは研究部の量産型結界符を使いたいんだけど・・・できますか、観崎さん?」
観崎「んー、まあできない事はないと思うけど。ちょっと問題があるんだよね」
観崎「キミ達陰陽師は自分の霊力で直接結界を作るでしょ?」
観崎「でも量産型結界符は自然中僅かに存在してる霊力をかき集めて結界を作るから、圧倒的に威力が落ちるんだよ」
観崎「今、各避難所で展開しているやつは上手く怪異を防いでるみたいだけど、玉藻の前レベルになると・・・」
観崎「閉じ込めるために900──いや、1000枚の符が必要って計算に・・・」
玲奈「つまり実行可能って事ですね。 ありがとうございます」
観崎「えっ!?」
観崎「いやまあ、そうだけど・・・」
観崎「はぁ、キツネちゃん、案外強引な人だったんだねえ。アタシ、符の在庫見て来るんで人員確保お願いしまーす」
時雨「おお、あの変態のあんな渋い顔初めて見たよ。さっすが玲奈ちゃん」
須佐川「はは、すっかり元の調子に戻ったみたいだな」
須佐川「だがもう一つ問題がある」
須佐川「誘き出すってことは、罠を張った位置まで狐守がやつに見つかる事なく移動できなきゃならないってことだろ」
須佐川「その対策は考えてるんだろうな?」
玲奈「はい。時雨がうまく対処してくれる予定です」
時雨「須佐川も知ってるでしょ? 一定以上の怪異は自分の妖力を隠す技を持ってるって」
時雨「あれを僕が玲奈ちゃんにかけるんだよ」
時雨「どうせやつらは玲奈ちゃんの力を頼りにこっちを探してるんだから。隠しちゃえば移動時間くらいは稼げるはずさ」
須佐川「なるほど。2人での打ち合わせは万全って訳か」
玲奈「もちろん」
時雨「バディだし」
須佐川「その台詞、バディ組み立てのお前達に聞かせてやりたいよ」
須佐川「──状況は一刻を争う。 早速作戦に向けて準備開始だ!」
「りょーかい/はい!」

〇東京全景

〇ビルの屋上
玲奈「──こちら狐守。無事、予定の配置につきました」

〇崩壊した道
須佐川「了解、こっちも準備完了だ。 始めるタイミングは任せる」

〇ビルの屋上
玲奈「ありがとうございます」
玲奈「それじゃあ──」
時雨「《妖力遮断、解除》」
玲奈「作戦開始よ!」

〇ビルの屋上
玉藻の前「ようやく見つけたぞ、我が半身」
玉藻の前「其方を取り込めば、妾は完全に 力を取り戻せる。早くその身を 差し出すがよい」
玲奈「お断りよ。私達はあなたを 倒すためにここにきたんだから」
玉藻の前「ほう?面白いことを申すな」
玉藻の前「白月。この娘は強いのか?」
白月「それなりに、と言ったところでしょうか。なにせ貴方様の力を持っております故」
玉藻の前「ほうほう・・・」
玉藻の前「加えて神を捨てた愚かな蛇に源の血筋、忠誠を失った小鬼か」
玉藻の前「なるほどこれなら──」
玉藻の前「楽しめそうじゃな!」
玉藻の前「目覚めたばかりで身体がなまっておったところじゃ」
玉藻の前「其方をいただくついでに、肩慣らしでもさせてもらおう!」

〇ビルの屋上
玉藻の前「ははは!その程度か?」
玲奈「くっ・・・」
玲奈(さすが災害級の怪異、強いわ)
玉藻の前「ん? もう終わりか?」
時雨「玲奈ちゃん!」
玲奈「ああっ!?」
時雨「なっ──!」
玉藻の前「小川のせせらぎよりもささやかな水に妾の狐火は消せぬわ」
玉藻の前「2人まとめて燃やしてやろ──」
酒巻「源流最終奥義──《終の剣・邪鬼斬滅》!」
玉藻の前「ほう、妖力を切る力か。なかなかやるな」
玉藻の前「じゃが──」
白月「私がノーマークになってしまいますよ?」
白月「さて、次はどう出るのですか?」
玲奈「・・・」
酒巻「狐守さん。そろそろ限界だよ。 急がないとこっちがやられる」
玲奈「分かってるわ」
玲奈「次の一撃で、玉藻の前を確実にポイントへ押し込む。酒巻くん、合わせてくれない?」
酒巻「オッケー。それじゃ、合図よろしく」
玲奈「3──」
玲奈「2──」
玲奈「1──」
玲奈「今よ――《妖魔調伏》!」
酒巻「源流最終奥義──《終の剣・邪鬼斬滅》!!」
玉藻の前「なっ──!?」

〇崩壊した道
須佐川「ターゲットがポイントに入った! 結界を発動させろ!」
「了解です!」

〇ビルの屋上
玉藻の前「なんじゃ、動けぬ・・・!」
白月「玉藻の前様!」
玲奈「あなたの動きを封じるための結界よ」
玲奈「こうすればあなたは逃げられないし、こちらも反撃を食らう事はない」
玲奈「覚悟しなさい──」
  これで──
  ──終わりよ!!
  ぎゃあああああ!!
玉藻の前「・・・」
酒巻「た、倒せた・・・ 俺達が、玉藻の前を・・・」
玲奈「ええ、これで後は暴動を止めるだけ。 なんとか事件は解決・・・」
???「ふふふふふ・・・」
玉藻の前「そう簡単に・・・いきますかねえ?」

次のエピソード:25.キミのためにできること。

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