待雪草の呪い 後半(脚本)
〇黒背景
〇黒背景
蕗森 透「う、うう・・・。って、何処だ? ここ・・・」
気がついたようだね・・・。蕗森 透君。
蕗森 透「だ、誰だ!!」
蕗森 透「き、君は?」
草真(そうま)雪乃「・・・そうだね、多分君はもう忘れているだろうから、改めて自己紹介するね」
草真(そうま)雪乃「私は草真 雪乃。君の事は昔の頃から知っているよ?」
蕗森 透「草真・・・雪乃? って!? ま、まさか!?」
蕗森 透「雪乃ちゃん・・・なのか?」
草真(そうま)雪乃「フフフ・・・。覚えていたんだ。嬉しいなぁ」
蕗森 透「で、でも、雪乃ちゃんは既に亡くなっているのに、何故生きているんだ?」
草真(そうま)雪乃「酷いなぁ・・・。でも、確かに君の言う通り、私は既に亡くなっている。」
草真(そうま)雪乃「でも、気がついたら私は花になってたんだ」
蕗森 透「は、花? それってまさか・・・」
草真(そうま)雪乃「そう、夜に透君ともう一人の彼が祈っていた待雪草は私なんだよ?」
蕗森 透「何・・・だと・・・」
蕗森 透「で、でもおかしくないか?」
草真(そうま)雪乃「おかしいって・・・何が?」
蕗森 透「その言い方だと、雪乃ちゃんが花に生まれ変わったと言っているような発言じゃないか」
草真(そうま)雪乃「・・・? そうだけど、何かおかしい所あったかな?」
蕗森 透「・・・!! だから! 何で花になった経緯なったのかを教えろよ!!」
草真(そうま)雪乃「そうは言ってもね・・・。私も花になった経緯は分からないだ」
草真(そうま)雪乃「気がついたら、花になったとしか説明がつかないんだよね・・・」
蕗森 透「・・・なら、何で僕まで閉じ込めたんだ?」
蕗森 透「あれは菊央が勝手にやったことだから、僕まで閉じ込めるのはおかしい」
蕗森 透「それに、今まで祈った人は呪いだけで収まったと菊央が言っていた」
蕗森 透「なのに、何で僕たちだけが閉じ込められているんだ?」
草真(そうま)雪乃「あぁ・・・。まだあの嘘を信じていた人いたんだ?」
蕗森 透「う、嘘だって?」
草真(そうま)雪乃「・・・まさかと思うけど、あの花で、本当に願いが叶うという噂を信じていたの?」
草真(そうま)雪乃「そもそも、たかが花だけで願いが叶うのは、普通に考えておかしいよね?」
蕗森 透「いや、僕は最初から胡散臭い噂だから信じていないけど・・・」
蕗森 透「って!! 何でこんな下らない噓を流したんだ!?」
蕗森 透「そのせいで、恋の成就を願った生徒は学校に来ていないんだぞ!!」
草真(そうま)雪乃「はぁ、いちいち五月蠅いなぁ・・・。さっきから文句ばっかり・・・」
草真(そうま)雪乃「あと、君が言っている恋の成就を願った生徒は、待雪草には祈っていないよ?」
草真(そうま)雪乃「本当は、待雪草を祈る直前で辞め、次の日に玉砕の覚悟で彼女に告白したら・・・」
蕗森 透「願ったって、ことか・・・」
蕗森 透「でも、一つ気になることがある」
草真(そうま)雪乃「もしかして、待雪草の「呪い」のことを言っているのかな?」
蕗森 透「ああ、待雪草に祈ると、願いが叶えられるのは嘘なのは分かった」
蕗森 透「けれど、恋の成就を願った生徒は今も欠席していて、休んでいる理由が不明だった」
草真(そうま)雪乃「さぁ・・・。私がその生徒を呪った証拠でもあるのかな?」
草真(そうま)雪乃「そもそも君は、呪いは信じていなかったよね? どうしてそんなことを聞くのかな?」
蕗森 透「確かに、雪乃ちゃんの言う通り、僕は呪いを信じていない」
蕗森 透「でも、この空間を閉じ込める力があるなら、呪いなんかは、容易じゃないか?」
蕗森 透「それに、僕の親友が謎の空間に閉じ込められたのも、雪乃ちゃんがやった事なんだろ?」
草真(そうま)雪乃「はぁ・・・さっきから聞いていると、私が全て悪い感じになっているけど・・・」
草真(そうま)雪乃「君のせいでもあるんだよ?」
蕗森 透「僕のせいだと? それはどういう事だ?」
草真(そうま)雪乃「そもそも、最初から待雪草のことを信じていなかったら、断ればいい話だった」
草真(そうま)雪乃「なのに君は、その噂を信じた親友に付き合って、仕方なく承諾した」
蕗森 透「そ、それは・・・」
草真(そうま)雪乃「もし君が、親友の誘いを断っていたら、彼も・・・」
蕗森 透「おい・・・。菊央に何をした!!」
草真(そうま)雪乃「こんな事にならなかったのにね? ほら、ここに倒れているのを見えるでしょ?」
雛乃原 菊央(きくお)「・・・」
蕗森 透「き、菊央? こんな所で寝ていると風邪引くぞ?」
ユサユサ
雛乃原 菊央(きくお)「・・・」
蕗森 透「・・・おい、菊央? さっきから何で一言も喋らないんだ?」
蕗森 透「死んだフリは流石に不謹慎だぞ?」
草真(そうま)雪乃「無駄だよ。彼はもう動かない。」
蕗森 透「う、動かない? 一体、何をしたんだ?」
草真(そうま)雪乃「まぁ・・・少し、命をね・・・」
蕗森 透「おい!! 何でこんな事したんだ!!」
草真(そうま)雪乃「そんなこと、どうでもいいじゃないか。 それに・・・」
草真(そうま)雪乃「もう、願い事は既に叶っているのだから・・・」
蕗森 透「・・・待て。それはどういう事だ?」
草真(そうま)雪乃「・・・? そのままの意味だよ?」
蕗森 透「いや、さっき話したとおり、菊央は僕の名前を共に祈っていたが、僕自身は願い事をしていない」
蕗森 透「願いを口にしたのは菊央だ。何で僕の願いが叶ったことになるんだ?」
蕗森 透「それに、さっき雪乃ちゃんは願いが叶うのは噓だと言っていた」
蕗森 透「何で噓なのに願いが叶ったことになるんだ?」
草真(そうま)雪乃「ああ、それはね・・・」
草真(そうま)雪乃「君の事が好きだから、勝手に変えたんだよ?」
草真(そうま)雪乃「それに君は、昔から私の事が好きだったよね?」
蕗森 透「そ、それは・・・」
草真(そうま)雪乃「知っているんだよ? 微かに聞こえたんだよ?「もし、叶うならば・・・」って、ね・・・」
蕗森 透「た、確かにそう言ったけど・・・」
草真(そうま)雪乃「つまり、私と恋人になりたいのが、君の願いなんでしょ? 嬉しいなぁ・・・」
蕗森 透「・・・確かに、僕は昔から雪乃ちゃんのことが好きだ。でも・・・」
草真(そうま)雪乃「でも・・・?」
蕗森 透「監禁したうえ、親友にこんな真似をした 雪乃ちゃんとは付き合わないぞ!!」
草真(そうま)雪乃「はぁ・・・しょうがない。これを使用するのは気が引けるけど・・・」
草真(そうま)雪乃「でもまぁ・・・しょうがないか」
蕗森 透「何ブツブツと喋っているんだ?」
草真(そうま)雪乃「ごめんね。少し眠ってね」
蕗森 透「なっ・・・!? 金槌!? まさか・・・」
ゴツッ
蕗森 透「ガッ・・・!? な、何を・・・し、した・・・」
ドサッ
草真(そうま)雪乃「フフフフ・・・」
〇手
蕗森 透「ううう・・・。一体何が・・・」
蕗森 透「って!! 何だこの沢山の赤い手の空間は!!」
草真(そうま)雪乃「フフフ・・・。ようこそ私の世界へ」
蕗森 透「おい、ここから出してくれ!!」
草真(そうま)雪乃「ごめんね。それは出来ないんだ」
蕗森 透「たとえ好きだとしても、監禁するのは間違っている!!」
草真(そうま)雪乃「・・・もう、戻れないんだ」
草真(そうま)雪乃「君を何としても恋人にしたいから、どんな手を使っても・・・」
草真(そうま)雪乃「だから・・・自分勝手な私でごめんね?」
蕗森 透「何をするつもりなんだ?」
草真(そうま)雪乃「君の親友と同じように眠らせるだけだよ?」
草真(そうま)雪乃「だから・・・じっとしててね?」
蕗森 透「っく・・・! に、逃げ・・・。って、あ、足が・・・動かない!?」
草真(そうま)雪乃「無駄だよ? もう私から逃げることは不可能なんだよ?」
蕗森 透「お、おい! 雪乃ちゃんは本当にそれで幸せなのか?」
草真(そうま)雪乃「幸せ・・・?」
蕗森 透「よく考えて。雪乃ちゃんがやっているのは愛情では無く、僕のことを監禁したいだけだろ?」
蕗森 透「これが本当の幸せだと言えるのか?」
草真(そうま)雪乃「確かに君の言う通り、私が思っている幸せは、間違っているのかもしれない」
蕗森 透「それなら・・・!」
草真(そうま)雪乃「でも、君と一生に居られるのなら、歪んだ幸せでも構わない」
草真(そうま)雪乃「さてと・・・透君。最後に聞きたいことはあるかな?」
蕗森 透「・・・なんで、待雪草に祈ると呪われるなんて嘘をついたんだ?」
蕗森 透「あと、いつから待雪草の噂が出てきたのが気になる」
草真(そうま)雪乃「そうだね・・・。そのことを話していなかったね」
草真(そうま)雪乃「最初に言っておくけど、噂を考えたのは私じゃないよ」
草真(そうま)雪乃「この噂を考えたのは、ある生徒が校庭に待雪草を発見した事から始まったんだ」
草真(そうま)雪乃「家に帰ってパソコンで調べると、ある花言葉が目にとまった」
草真(そうま)雪乃「待雪草には「恋の最初のまなざし」という花言葉があるのを知った生徒は・・・」
草真(そうま)雪乃「少し情報を盛って、待雪草に祈ると願いが叶うという噂をたてたんだ」
草真(そうま)雪乃「最初はその生徒も、嘘だとバレるだろうと思っていたけど、次の日になると・・・」
草真(そうま)雪乃「皆が信じてしまったため、実は噓でしたが言えなかったんだ」
草真(そうま)雪乃「だから、待雪草に祈ると願いが叶うという噂がたってしまったんだ」
草真(そうま)雪乃「その生徒は、既に卒業しているけどね」
草真(そうま)雪乃「透君の親友が話していた学校に来てない生徒は、たまたま病気になっただけ」
蕗森 透「そうだったんだ・・・ゴメン、証拠も無しで疑って・・・」
草真(そうま)雪乃「いいよ。別に私は気にしていないから」
草真(そうま)雪乃「さてと、透君。そろそろ、いいかな?」
蕗森 透「そろそろ、って・・・まさか・・・」
草真(そうま)雪乃「そう、私の・・・いや、私だけのモノになることだよ?」
蕗森 透「く、来るな・・・」
草真(そうま)雪乃「ずっとずっとこの空間で過ごそうね?」
蕗森 透「う、わぁぁぁあぁぁぁぁ!!」
草真(そうま)雪乃「フフッ・・・これでやっと・・・」
〇黒背景
ワタシノモノニナッタネ? トオルクン?
おしまい・・・?
透君が菊央の好奇心の巻き添えをくらったと思いきや、透君を手に入れたい雪乃のために、菊央は巻き添えになったのか……!?Σ(゚口゚;