第壹譚・感染(脚本)
〇綺麗な図書館
一ヶ月後。とある大学の図書館。
琥珀叶純「ん ? 何、このノート ?」
司書の瑚白は、本棚の整理中に見覚えのない黒いノートを発見した。何も書かれていない黒の表紙。
琥珀叶純「誰かが間違えて置いたのかな ? ・・・・・・取り敢えず避けておこう。 後で、事務室に持って行けば良いよね」
ノートを持ち司書室に戻ると、パソコンを開く。そして、貸し出し期間の過ぎている本がないかチェックをする。
その瞬間、蛍光灯が点滅を始めた。
琥珀叶純「え ? 何 ?」
それも、一ヶ所だけではない。司書室内の全ての蛍光灯が点いたり消えたりを繰り返す。
ただごとではないと感じた彼女は、一度図書館の方に行こうとと扉へ近づきノブを回すが何故か開かない。
琥珀叶純「え ? ちょ、なんで ? ・・・・・・内鍵は、開いてるのに・・・・・・・・・・・・」
押しても引いても扉は開かず。途方に暮れていると蛍光灯が完全に切れたのか、室内は真っ暗になってしまう。
琥珀叶純「! ・・・・・・なんなの ?」
そこで彼女は窓に近付いてカーテンを開いた。まだ四時を過ぎたばかりだったので外は明るい。
差し込んで来る太陽の陽射しに、混乱していた彼女の気持ちもほんの少し落ち着きを取り戻す。
ホッと胸を撫で下ろし、振り向いた彼女の前には橘がいた。
琥珀叶純「ひっ ! !」
スーツ姿で、どこか遠くを見つめ呆然と突っ立っている。
只・・・・・・その体は透けていて、首がぱっくり切れ赤黒い血が流れ出しYシャツを真っ赤に染めていた。
橘旬「・・・・・・め・・・・・・・・・・・・よ、め・・・・・・」
琥珀叶純「あ、ぃや・・・・・・いやぁ・・・・・・・・・・・・」
震える彼女は恐怖の余り失禁してしまう。
そして、自らが作り出した水溜まりに座り込み首振り人形の様に左右に首を振っている。
橘はゆっくりと歩み寄ると、顔を鼻同士が触れる程の距離まで近付け口を開いた。
橘旬「読め ! !」
・・・・・・そして、【呪いの日記帳】は新たな生け贄を求め人から人へと渡っていく。気を付けて下さい。
次は、貴方の番かもしれません。
私が、あの本を読んでから今日で十三日目です。
何処かの誰さんへ。
瑚白叶純