怪しい研究室(脚本)
〇牢獄
──俺は泥棒だ
しかし、捕まってしまった・・・
???「これ! さっさと食いなさいよね!」
???「片付けるのアタシなんだから」
???「ま、その生ゴミが食えたらだけどね!」
次男「・・・・・・」
次男(胸でけぇ・・・)
〇荒廃した市街地
数刻前──
村人「こらっ!! 待ちやがれテメェ」
村人「今日という今日は 絶対許せねぇかんな!!」
次男「はぁ、はぁ・・・」
次男(兄貴・・・)
次男(弟・・・)
次男(今日こそ、贅沢させてやるからな!)
次男(今日こそ──)
次男「・・・・・・あ?」
〇牢獄
本当はこんなところに
いたくないのだが・・・
次男「・・・・・・」
俺は逃げ足が遅く
ケンカも弱い
毎回すぐ捕まってしまうのだ
次男「今回はイケると思ったんだが・・・」
???「おい、おまえ こっちに来い」
博士「なかなかいい身体つきを しているじゃないか」
博士「お前には特別な実験に 参加させてあげよう」
博士「楽しみにしておくがいい」
次男「・・・・・・」
〇穴の開いた部屋
次男「どうにかして脱走せねば・・・」
次男「なんだ?」
次男「この下に何かいるのか?」
次男「なんだゾンビか・・・」
次男「いや・・・ それだけじゃない!」
〇怪しい実験室
注射器・・・
ナイフ・・・
切断された腕・・・!?
次男(実験って・・・ そういうことかよ クソジジィ)
次男(ここは囚人を使って 人体実験をしている施設だったのか)
〇ボロい倉庫
???「兄ちゃん! 兄ちゃんいる?」
???「心配したんですよ? 君はすーぐ捕まるから・・・」
次男「その声は・・・!!」
次男「兄貴!」
次男「弟!」
次男「お前ら無事だったのか~!」
長男「しっ!!」
長男「声が大きいですよ」
長男「そっちの状況はどうです? 逃げ出せそうな隙間はありますか?」
「いや・・・」
「窓っぽいものはあるんだが 正直手が届かない」
次男「壁も出っ張りがなく 引っかけられそうなものも ないんだ・・・」
長男「ふむ」
弟「入り口もちゃんと鍵がかけてあって、 僕たちは忍び込めそうにないよ~」
弟「僕のこと気に入って通してくれると 思ったのになー」
次男「え?」
長男「ここの博士は同性愛者らしいですよ」
長男「何でも、購入する奴隷は 専ら男ばかりだそうで」
次男「え・・・」
次男「・・・」
博士「いい身体じゃな・・・」
博士「ゾンビにするのはもったいないなぁ」
博士「ワシがたっぷり 可愛がってやろう」
次男「・・・・・・」
次男(絶対駄目だ!)
次男(俺が暮らすのはコイツらだ!)
次男「すまん!二人とも! 俺にいいアイディアをくれ!」
次男「俺はお前らが大好きなんだ!」
長男「ふ・・・ふふっ 熱い男ですね」
弟「僕もお兄ちゃんたちが だーいすき!」
長男「同性愛者なら、 まずは博士を誘惑してみればどうですか?」
次男「おぅ!」
〇牢獄
博士「フフフ・・・ 可愛いのぅ 眠れぬのか?」
次男「・・・・・・」
博士「いいものを貸してやろう」
博士「『世界の美女BEST100』だ」
博士「いいぞぉ! 若い女は」
次男「・・・・・・」
博士「心も身体もピチピチでな!」
博士「これこそ世紀の大発明じゃ!!」
博士「む?」
次男「俺がその女たちに 劣るって言うのか・・・?」
次男「俺・・・ そんなに悪くないだろ・・・?」
次男「オッサン!!」
次男「ゾンビじゃなくて愛人にしてくれよ!!」
博士「・・・・・・」
博士「・・・・・・やだ・・・」
次男「え、オッサン!?」
次男「待てよオッサン!!」
次男「男が好きなんじゃなかったのかよ!」
???「プッ」
助手「バカねぇ なんなのよソレ」
助手「あの人は女しか好きじゃないわよ」
助手「アタシがなんで生きてるか 分からないの?」
助手「女だからに決まってるじゃない」
「キャハハハ!!」
次男「・・・・・・」
〇ボロい倉庫
弟「えぇっ!? 男の子が好きなんじゃないの!?」
長男「しかも美人好きとは・・・」
長男「見かけによらず 普通ですね」
弟「兄ちゃん こんなにかっこいいのにな~」
次男「へへッ」
弟「そうだ!」
弟「助手って女の人なんだよね?」
「博士じゃなくて その人をメロメロにしちゃえばいいんじゃない?」
弟「惚れた弱みで 何でも言うこと 聞いてくれるかも知れないよ!」
長男「ふむ」
次男「よ~し!!」
〇地下室
助手「ここがシャワー室よ」
助手「頃合いを見て迎えに来るから 好きに使いなさい」
次男「──待て・・・」
助手「・・・は?」
次男「俺は近いうち 人体実験されて死ぬんだろう?」
助手「そうね」
次男「最期にひとつだけ 望みを叶えて欲しいんだ・・・」
助手「・・・・・・」
次男(いいぞ)
次男「俺・・・ 物心ついたときには ゴミを漁って暮らしていて・・・」
次男「家族の愛というものを 知らないんだ・・・」
助手「・・・・・・」
次男「頼れる兄貴」
次男「無邪気な弟」
次男「そして愛しい妻・・・」
次男「貧しくてもいい、せめて・・・」
次男「暖かい家族に恵まれた 人生でありたかった・・・!」
助手「・・・」
次男「そこで助手さんよ・・・」
次男「俺と・・・」
〇幻想2
次男「え?」
助手「本当に・・・!?」
助手「実は 飽き飽きしてたのよ」
助手「あの人と二人きりの生活・・・」
助手「貴方だったらいいわ・・・」
助手「ここでアタシを幸せにしなさい・・・!!」
次男「────」
〇ボロい倉庫
長男「予想以上の反応ですね」
次男「だが・・・ 早急には出られなくなったぞ?」
次男「幸せって言われてもなぁ・・・」
弟「そんなの簡単じゃん!」
弟「大丈夫! 僕がなんとかしてあげる!」
〇牢獄
1年後──
???「あんた、アタシに感謝しなさいよね」
助手「あんたじゃなきゃ」
助手「囚人に優しくしたり しないんだから!」
次男「ふっ・・・」
次男「こちらこそ」
次男「どんなに今日の日を 心待ちにしていたか」
次男(・・・・・・)
助手「アタシもよ!」
次男(・・・あいつ・・・)
次男(・・・こんなことして 本当に大丈夫なんだろうな)
助手「博士には地下室での研究に 没頭してもらって半年・・・」
助手「長いようで短かったわ・・・」
助手「いっ、痛~!!」
助手「う、産まれる~!!」
次男「・・・・・・」
次男「あと少しだ」
次男「俺に家族をくれるんだろう?」
〇ボロい倉庫
「・・・・!!」
長男「私はここに残ります」
長男「君は配車の手配を!!」
弟「うん!」
〇牢獄
助手「はぁ、はぁ・・・」
次男「お疲れさん!」
次男「よく頑張ったな! 少し休むといい この子は俺が見ておくから」
助手「えぇ・・・」
赤子「ふぇ?」
次男「あ」
次男「ちょっと寝てろ お前も」
次男「・・・」
”外への渇望”
この1年間1日足りとも
忘れることがなかった
準備は整った
次男(帰るぞ!我が家へ!!)
次男「服を脱いで・・・」
次男「こいつをぐるぐる巻きにして──」
次男「ちょっと心もとないか?」
次男「上着もちょっと拝借して・・・」
次男(よし! 布で巻いて、糸でしっかり固定して・・・)
次男(よし!)
次男(チャンスは一度きり・・・)
次男(失敗する訳にはいかない!)
次男「兄貴! 弟!」
長男「あぁ」
弟「準備OKだよ!!」
次男「投げるぞ!!受け止めろ!!」
〇ボロい倉庫
「ニューファミリー!!」
長男「──うっ!!」
長男「ほっ・・・」
長男「こっちは大丈夫です!」
次男「よし!!️ 逃げるぞ今のうちに!!」
次男「手が届かない位置にあったが 赤子を投げて窓を割ったから やっと通れるようになった」
次男「俺は足が遅いが」
次男「出産したばかりの身体では 壁を登って追いかけることは できないだろう」
次男「じゃあな~」
助手「・・・え!?」
助手「どういうこと!? 赤ちゃんはどこ!?」
助手「子どもを産んだら 結婚してくれるって言ったじゃない!!」
次男「・・・」
〇ボロい倉庫
次男「ははっ!」
次男「約束通り 結婚はしよう」
次男「でも・・・ 俺にとって一番の幸せは”自由”・・・」
次男「そして”家族”なんだ!!」
助手「え!? 貴方は天涯孤独だって・・・」
次男「ハハッ!」
次男「心配するな」
次男「あの小さいのは 俺たちが大切に育てるからよ・・・!」
助手「は!?」
弟「パ・・・ 兄ちゃん!お待たせ!!」
弟「その子が 新しいファミリーだね!」
次男「仲良くするんだぞ! みんな仲間なんだからな!」
弟「うん!!」
〇児童養護施設
弟「お肉~!」
長男「こんな贅沢なものも 久しぶりですね!!️」
次男「だろ~! どんどん食えよ!!」
次男「これもみんなのおかげだからな!」
次男「金を発掘し・・・」
次男「金を生み出し・・・」
次男「新たな仲間もゲットできるなんて!!」
弟「今夜は祝杯だね!」
「どこも欠損しなくて良かったですね」
「泥棒の資本は 身体だもんな!!」
「命は大事にしないとだね!」
次男「ん?」
次男「やべ」
博士「お前・・・ 金庫を丸ごと持ち去った上に」
博士「人の女にまで 手ぇ出しやがって」
博士「逮捕してやる!!」
次男「は!?」
次男「お・・・オッサンだって コッチ側だろうがよ!?」
次男「なっ・・・」
博士「世の中金だからな」
博士「実は可愛いゾンビちゃんたちが 守ってくれていたんじゃ」
警察「人体実験及びゾンビ保護は 医科学会や薬品開発分野に於いて 非常に有効と判断した」
警察「よって君のみを逮捕し、 売買組織に売り払うことにする」
次男「クッ・・・!!」
〇中東の街
〇入り組んだ路地裏
「クソッ・・・!!」
警察「つーかまーえた」
次男「・・・っ」
次男(しくじった・・・)
「すまん、みんな・・・」
〇牢獄
次男「・・・・・・」
次男「いつもこうなるんだよな・・・」
「おい! お前の次の主人が決まったぞ!!」
「次こそ脱走すんじゃねぇぞ!!」
次男(──悩んでるヒマはねぇな!!)
次男(今回もここから必ず逃げ出す)
〇児童養護施設
次男(待ってろよ!!)
〇空
愛するマイファミリー!!
博士が同性愛者かと思って全力で誘惑したら違ったのは笑いました👍
ドロボーファミリーが主人公というのが新鮮だし弟が可愛いかったです💕
ゲスのためのゲスによるゲスなミッションインポッシブルみたいで面白かったです。トムクルーズは絶対赤ちゃん投げないだろうなあ。次男はこの先も出たり入ったりがライフワークになりそうですね。
檻の中だけで展開する話っていうのは斬新ですね、刺激受けました👍
ゲスの割に1年掛けて気長なのも面白いです!