女神の世界が滅ぶまで

西瓜頭

女神の世界が滅ぶまで(脚本)

女神の世界が滅ぶまで

西瓜頭

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女神の世界が滅ぶまで
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〇宇宙空間
女神さん「こんにちは! 転生案内所へようこそ!」
女神さん「貴方が転生者さんね! お名前は──」
女神さん「うん! 素敵な名前だね!」
女神さん「早速転生の手続きを進めるね 貴方には私達の世界を救う 勇者として──」
女神さん「──って、ええ!?」
女神さん「来てくれないの!?」
女神さん「え? え? どうして? 世界が危機なんだよ? 女神さん困ってるんだよ?」
女神さん「助けて、くれないの・・・?」
女神さん「ち、違うよぉ! ウソ泣きじゃないよ!」
女神さん「え? 忙しい? 受験? 一人暮らし?」
女神さん「大丈夫だよぉ! そっちとこっちは 時の流れが違うから・・・」
女神さん「え? もう12回も異世界を救った? 月イチで? 実質浪人生・・・?」
女神さん「・・・はぇ〜」
女神さん「さ、さすが勇者さん!」
女神さん「おまけでもう一つくらい世界を救っても・・・ね?」
女神さん「・・・ダメ?」
女神さん「お願いだよぉ!最強武器もすぐ渡すし チートスキルもいっぱいつけるからぁ!」
女神さん「──へ?」
女神さん「そこまで言うならお前がこっちに来て 家事を手伝えって!?」
女神さん「でもでも、こっちの世界が滅んじゃうし・・・」
女神さん「え? 時の流れ?」
女神さん「そ、それは えーと、ゴニョゴニョ・・・」
女神さん「とにかく!」
女神さん「女神さん家事なんてしたことないもん! ごはんだってつくれないし! お風呂だって沸かせないよ!」
女神さん「それでもいいの!?」
女神さん「へ? それでもいい?」
女神さん「できるまで何回でも・・・ 手とり足とり教えてくれるの?」
女神さん「スパルタ方式で!?」
女神さん「ヤダ! やっぱり行かない!」
女神さん「あっ! ちょっとひっぱらないで──」
女神さん「ヤダ──!! この転生者つよい───!!!」

〇おしゃれなリビング
女神さん「うーん・・・」
女神さん「はっ! ここは・・・」
女神さん(どうしよう ホントに連れてこられちゃった)
女神さん(時の流れが違うとはいえ あっちの世界はもう・・・)
女神さん(よし! スキをみて勝手に 転生させちゃおっと!)
女神さん「さあ勇者さん家事を教えてくださいな!」
女神さん「え? 今日はやらなくていいの?」
女神さん「えぇっ!? 女神さんの歓迎会してくれるの!?」
女神さん(うれしい〜〜〜!)
女神さん(そして自分が恥ずかしい〜〜〜!!)
女神さん「あっ・・・なんでもないよっ!」
女神さん「えっ!? コストコ連れてってくれるの!? わーーい! 行きた〜〜い!」
  女神の世界が滅ぶまで
  あと30日

〇おしゃれなリビング
女神さん「そういえば、ご両親は何してるの?」
女神さん「へ──っ! 海外で環境保護の仕事してるんだ!」
女神さん「地球を守る大勇者さんだねぇ」
女神さん「・・・」
女神さん(でも、勇者さん 少し寂しそう)
女神さん「め、女神さんでよければ いつでも甘えていいからねっ!」
女神さん「・・・は? 私みたいなちんちくりんには興味ない?」
女神さん「もう夜食のインスタントラーメン つくってあげない!」
  女神の世界が滅ぶまで
  あと20日

〇おしゃれなリビング
女神さん「──・・・」
女神さん「各地で魔王軍が力をためてる」
女神さん「大きな争いこそないけど 早くなんとかしないと」
女神さん「あ! おかえりなさい! 模試の結果は──」
女神さん「「E」判定!?」
女神さん(どうしよう・・・ 言い出せないよ)
女神さん「・・・」
女神さん(私は、私ができることをやるしかない)
女神さん「──ううん なんでもないよ! 勉強がんばって!」
  女神の世界が滅ぶまで
  あと15日

〇おしゃれなリビング
女神さん「発表!」
女神さん「今日からごはんの支度は 全部女神さんがやります!」
女神さん「勇者さんは勉強に専念してね!」
女神さん「えっ? 大丈夫かって?」
女神さん「いいから! 女神さんにおまかせだよっ!」

〇おしゃれなリビング
女神さん「ふんふーん♪」
女神さん「一回このフランベってやつやってみたかったんだ〜」
女神さん「えーとここで油?を入れて」
  ボウッ!!!
女神さん「わ───! 天井に火が────!!」

〇清潔な浴室
女神さん「てへへ、失敗失敗」
女神さん「気を取り直して お風呂を掃除するよ!」
  石鹸「ツルッ」
女神さん「とぅわ────!!」
  ガラガラ
  ガッシャ──ン!

〇清潔なトイレ
女神さん「ト、トイレ掃除なら・・・」
  G「カサッ カササッ」
女神さん「○△□✕※◇#────!!!」
  ゴキッ!ズテーン!
  ゴロゴロゴロゴロ・・・

〇おしゃれなリビング
女神さん「・・・」
女神さん「ごめんなさい」
女神さん「私、何の役にもたってないよね」
女神さん「──えっ?」
女神さん「そんなことない?」
女神さん「そ、側にいてくれるだけで嬉しい?」
女神さん「・・・」
女神さん「わ、私も・・・」
女神さん「私も、ずっと転生案内所で 一人ぼっちだったから」
女神さん「貴方との暮らし、とっても楽しい!」
女神さん「またお料理教えてね! すぐに追い抜いちゃうんだから!」
  女神の世界が滅ぶまで
  あと10日

〇おしゃれなリビング
女神さん「・・・」
  入学試験前日
  女神の世界が滅ぶまで
  あと1日
女神さん(もう、一刻の猶予もない)
女神さん(明日にも魔王軍の一斉蜂起で 世界が飲み込まれてしまう)
女神さん(でも・・・)
女神さん「でも、勇者さん がんばったもんね」
女神さん「判定も上がったし あんなにがんばった勇者さんが 報われなきゃウソだよ」
女神さん「だから、私達の世界は 私達でなんとかします」
女神さん「勇者さん、寝てるよね?」
女神さん「短い間だったけど、貴方との思い出は 私の宝物になりました」
女神さん「結局料理は最後まで貴方の方が上手かったね」
女神さん「ありがとう、大好きだよ」
女神さん「さよなら、わたしの勇者さん」

〇宇宙空間
女神さん「私一人でどこまでできるか──」
女神さん「でも、やるしかない!」
女神さん「──って、ええ!?」
女神さん「勇者さん!?」
女神さん「なんでいるの!?」
女神さん「ついてきた──って」
女神さん「え!?──まさか・・・」
女神さん「起きてたのぉ──!!?」
女神さん「はっ恥ずかしいぃ〜〜!!!」
女神さん「いや、そうじゃなくて!」
女神さん「勇者さん、明日試験日でしょ! どうするの!?」
女神さん「へ? 家族の一大事にそれどころじゃない・・・?」
女神さん「世界の危機なんて半日で終わらせて 試験に行くって──あははっ!」
女神さん「君が言うと、ホントにできちゃいそう だね」
女神さん「うん!」
女神さん「2人ならどんな運命も変えていける そんな気がする」
女神さん「ホントに浪人しちゃったら── またたくさんお手伝いさせてね」
女神さん「行こう──私の世界へ!」
  女神の世界が滅ぶまで
  あと∞日
  貴方が世界を救うまで
  ──
  ──あと1日

コメント

  • やっと読みに来ました。
    女神さんの可愛らしさにノックダウンです。
    冒頭の、どうにか言い包めようとする様子が萌えます。
    勇者、受験生だから無理しないのかなと思いきや、最後の台詞にホレました。
    も一回続き読もうっと。

  • くそう!逆順に読んでも泣けるぜ!
    こっちの彼は立ち絵も無いんですね。でも先にあっちを見ちゃったので想像はできました。
    なるほど、○○な女で表紙の顔を消していたのはこちらとのリンクを気づかせにくくする作りだったんですね。
    まとめて面白かったです。

  • すっごいいいお話ですね!
    女神さんがかわいくて、最後に勇者さんのことを気にして、一人で帰って行くところなんてめちゃいじらしいです。
    世界も救われるみたいですし!

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