就活生の「学チカ」に感動して泣く面接官

スマホ監督

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〇綺麗な会議室
「ではあなたの学生時代に頑張ったことを教えてください」
塚原「僕は高校時代に新聞配達のバイトをしていました。 朝の5時に起きて2時間働くという生活を続けていました」
面接官「へぇ新聞配達かぁ。なんでやってたんですか?」
塚原「理由は大学に入るためです。 大学に入った後も学費や生活費を稼ぐために今も続けています」
面接官「新聞配達ですか。 すごいですね。 でもなんで新聞配達を選んだんですか? もっと時給が良さそうなバイトはいっぱいあるのに」
塚原「高校がアルバイト禁止で。 新聞配達ならバレないかなと思って。 入ってみると店長たちも仲良くしてくれました」
面接官「へぇそうですか。 大学に入ってからも続けたんですか?」
塚原「はい。 続けた理由は新聞配達が一番時間的に都合がいいんですよね。 早朝と夕方なので学校の時間と被らずに勉強もできて」
面接官「受験勉強の時も新聞配達のバイトを やってたということですか?」
塚原「はい、そうです」
面接官「大変だったでしょ」
塚原「はい。 朝4時に起きて配達をして学校に行き、夕方から図書館にいって、夜の8時に家に帰ってました」
塚原「家に帰ってからは母が仕事でいなかったので弟たちのご飯を作って夜中の12時までまた勉強をしました」
面接官「弟たちにご飯を作っていたとおっしゃいましたが、兄弟が多いんですか?」
塚原「はい。僕が長男で下に四人の弟がいました」
面接官「わぁ。 それは大変ですね。 お母さんが働いていたということですが 共働きの家庭だったということですか?」
塚原「父親は僕が生まれて間も無く癌で死んでしまって。 僕も記憶がありません」
塚原「なので母親が女で一つで五人兄弟を育てるために 昼は弁当屋、夜はレストランで皿洗いをして働いていました」
面接官「そうですか。大変でしたね」
塚原「同情しないでください。 弟たちにとって僕は父親がわりで。 大変でしたけど楽しかったです」
面接官「お母さん大変でしょ。シングルマザーで」
塚原「大変だったと思います。 土日も休まずパートに出て弁当作ったり晩御飯作ったり、」
面接官「それは大変だわ。 志望動機もお伺いしていいですか?」
塚原「志望動機は親孝行です。 母がずっと御社の車が欲しかったみたいで。 母親はいっつも自転車で大変そうでした」
面接官「お母さんにうちの会社の車をプレゼントしたいということですか?」
塚原「はい。初任給で買ってあげようと思います。 母に自慢したいんですよね。 車をプレゼントして、俺はこの会社で働いてるって」
面接官「それはいいですね。 では次の質問に移ります。 ライバルなどはいますか?」
塚原「僕のライバルは幼馴染の太郎という子です。 僕の住んでいた団地の前に大きな一軒家があって、そこのお金持ちの子供でした」
塚原「野球をやっていて僕はベンチで彼はエースで4番 僕のことをいじめてきて悔しい思いをしたのでいつかは見返したいと思う存在です」
面接官「嫌なやつだな太郎。 では次に人生で一番辛かったことは何ですか?」
塚原「それはまさに太郎くんからのいじめですね」
塚原「小中まで一緒だったんですけど、太郎くんは僕の家庭環境とか貧乏なこととかを理由にいじめてきました」
面接官「ッチ、太郎この野郎。 よく我慢しましたね」
塚原「でもよく考えると太郎くんも仲良くしたかっただけなんじゃないかなって最近思うようになりました」
面接官「そんなことないよ。 いじめは絶対にいじめる方が悪いから」
塚原「ありがとうございます」
面接官「太郎許せねーな。 高校では野球部だったんですよね? 大学でも続けました?」
塚原「最初は続けてたんですけど、母が病気になってしまって」
面接官「え?」
塚原「腸がんでした。 しかも見つかった時にはすでにステージ4で他の場所にも転移してて治る見込みはないとのことでした」
面接官「嘘だぁぁぁ」
塚原「母が入院してからは毎日僕が母親は今までやってくれていた家事洗濯をすることになりました」
塚原「弟たちも手伝ってくれましたが一番下の弟なんかは毎晩泣き喚いていました。 それでも参加できる時は部活に参加していました」
面接官「やっぱ続けられたのは野球が好きだからですか?」
塚原「母と約束があったんです。 大きくなったら神宮球場でホームランを打つって。 その願いを叶えるために何とか続けました」
面接官「その願いは叶いましたか?」

〇野外球場
塚原「大学最後の春の大会が神宮球場で行われました」
塚原「僕はもちろんベンチで応援してたんですけど。 対戦大学のエースが太郎くんだったんです」
面接官「え?あのいじめっ子の?」
塚原「はい。 大学生活最後の試合。 この日のためにどこの大学も4年間しのぎを削って戦う日」
塚原「僕は試合に出られず、チームも太郎くんのピッチングに手も足も出ませんでした」
面接官「くっそ太郎めー」
塚原「9回裏3対0。 ツーアウト満塁。 一発逆転の大チャンス。 その時です。 監督が僕を代打に送ると言ってきたんです」
面接官「えぇ!!そんなドラマチックな展開に!」
塚原「それまで試合に一度も出たことがなかったのですが、 運命の悪戯というのか。。。 しかも対戦ピッチャーは あの太郎くん」
面接官「太郎くんは塚原さんに気がついているんでしょうか?」
塚原「はい。 バッターボックスに向かう途中で目があい、そこで認識し合いました」
面接官「頑張れ。焦るな。絶対打てよ」
塚原「幼馴染との大舞台でも1打席勝負」
塚原「太郎くんがマウンドから急に話しかけてきたんです」
面接官「えぇ??なんて?」
塚原「全球真ん中まっすぐだ、だからフルスイングで勝負してこいって」
面接官「いいとこあるんだな。太郎」
塚原「宣言通り太郎くんはど真ん中直球勝負を挑んできました」
面接官「それで、結果は?」
塚原「結果は空振り三振」
面接官「あぁぁぁ。くそぉおぉおおぉお」
塚原「観客席をチラッと見ると、車椅子の母が弟たちに連れられてみにきていました」
塚原「僕に内緒で看護師さんたちがサプライズでつれてきれくれたみたいです」
面接官「お母さんは? お母さんは喜んでくれてた?」
塚原「はい。 元気に手を振る弟たちの横でかすかに涙ぐんでいる母が見えました。 きっと嬉しかったんだと思います」
面接官「そうだよねそうだよね。お母さんもきっと病気良くなるからね」
塚原「それが、、」
面接官「え?嘘」

〇総合病院
塚原「その日のことです。 深夜に急にお医者さんから電話がかかってきたんです」
塚原「お母さんの容態が急変したからすぐにきてほしいと」
面接官「え、まさか?」
塚原「弟たちを連れて深夜に大急ぎで病院に向かいました。 そしたら看護師さんたちに囲まれて、意識のない母親がいました」
塚原「最後のお別れをする時 最後に母親がうっすらと目を開け、ありがとう、そういってきたんです。そして母は帰らぬ人となりました」
面接官「お母さ〜ん、ヌグゥグヌグゥ」
塚原「その日からですね。兄弟5人で親なしの生活が始まったのは」
面接官「よく頑張ってきたなここまで。 よくここまで、立派になられて。 うん。 きっとお母さんもよろこんでくれてるよ」
塚原「面接官さん、僕は御社に入って母親のような苦しんでいる人を救いたいんです。 なのでどうか僕を採用してください」
面接官「うんうん、ここまでよく頑張ってきたな」
塚原「ありがとうございます」
面接官「痛みに耐えてよく頑張った。 感動した。 不採用です」
塚原「え?」
面接官「不採用!」
塚原「採用してくれる雰囲気出てたじゃないですか」
面接官「いや、第一印象で決めてました。 不採用です」
塚原「理由聞いてもいいですか?」
面接官「顔が気に食わない」
塚原「え?」
面接官「はい。絶対採用はしません」

コメント

  • お母さんのために車買ってあげたいって言ってたのに亡くなったって言い出すし、塚原君の作り話のツメが甘いのはわざとですよね。途中で気づきながらも喋るだけ喋らせて最後に「顔が気に入らない」の一言でズドーンと落としたんだとしたら面接官も相当なドSですね。実写版だとそこらへんの表情の変化も演出されているのかな。面白そう。

  • 私は途中から塚原君の話が作り話っぽいなあと思い始めたんですが、彼が生まれてすぐ父親が亡くなったのに弟4人!?。これが不採用の原因かと思いましたが。

  • 中盤涙ぐみながら読んでいたのに最後の最後に爆笑でした😂
    面接官、太郎の話の時だけ口が悪くなったり、正義感があってとても優しい人なんだと思いきや、顔が気に入らないから不採用って😂
    太郎ぐらいタチ悪くておもしろすぎました😂

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