親リセマラ案内所

アタホタヌキ

親リセマラ始めました!(脚本)

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〇水玉2
  ──おめでとうございます
  あなたは10恒河沙4236極2637載6198正104澗7777溝8888穣1234𥝱2468垓7878京・・・
  以下略
  
  から見事、選ばれた雑魚です!

〇教会の中
精神体(X染色体)「はぁ・・・」
ラオ「嬉しいでしょう? 嬉しいわよね! つか恒河沙(ごうがしゃ)とかやばくね!? ウケるわーー!!」
精神体(X染色体)「・・・あの、そもそもここどこですか?」
ラオ「あ、そういう細かいこと気にしないの! 神様のお部屋とかそんな設定と思ってくれたらいいから」
雑用くん「・・・正確にいうとキ◯タマっすけどね」
ラオ「チェストオオオォォォーーーー!!︎」
雑用くんの頭「ぶべらぁ!!」
雑用くんの頭「わ、私の頭がっ! 後頭部陥没の上、アゴの関節円板がはずれたぁ!!」
ラオ「そういうセンシティブワードは禁止っつったでしょ!? 雑用Cと雑用D!! そこのバカをホラー映画24時の刑に処しといて」
雑用くんの頭「ゔぇ!?」
雑用くん「え、ホラー映画24時!取れた頭蓋骨の前で24時間ホラー映画垂れ流しとくやつ!?やっべ、羨まし!ラセンいっとく?」
雑用くん「ラセンより既読虫とかがいいなぁ」
雑用くん「ったくしゃーねーなぁ! じゃあ後で3丁目のゲボでDVD借りてくっからポンダカード貸しといてくれ!」
雑用くん「わぁい!やったぁ!!」
雑用くんの頭「いやだあああぁぁぁーーーー!!」
ラオ「頭蓋骨だから逃げられない目を閉じられない・・・沸るわぁ!!」
精神体(X染色体)「・・・あの。結局なんなんですか?」
ツノ「私が説明しましょう」
精神体(X染色体)「ひえっ!? な、なんだ? 魔王っぽいのが出てきた!!」
ツノ「驚かせてしまい申し訳ない。魔王ではなく一応、神です。こちらのラオもそうです」
ラオ「ラオでーす! ごめんねーコイツ、ファッションセンス皆無で、ちょっと世界一つ滅ぼしただけで、悪いやつじゃないのよ」
精神体(X染色体)「なーんだ。いい人──じゃなくない!?」
ラオ「まぁまぁそれは置いといて」
ラオ「あなたはなんと! ありとあらゆる赤ちゃんの元から選ばれ、親ガチャリセマラ券を獲得したのですーーパチパチ!!」
精神体(X染色体)「赤ちゃんの元・・・ってっちょっと待って!? 僕人間なんじゃないの!?」
ラオ「もーだから今の人間はめんどくさいのよ。細胞が擬人化する時代で硬いこと言わないの」
ツノ「・・・ラオが説明しないので代わりに私が説明します。このままだと話が進まないので」
ツノ「まずあなたは精子という精子の中から選ばれた精子です」
精神体(X染色体)「精子!? はぁ!?」
ツノ「当然ながら精子には脳もありませんし、感情もありません。知識なんてもってのほかですが」
ラオ「だけど、そこはそれ、あれをこーして適当にちょちょいってやって・・・」
ラオ「必要最低限の知識とか生まれた場合の人格とかを再現することに成功したのです! 主に私のおかげで!!」
ツノ「しかし、あなたの人格はあくまで仮のもの。これからの儀式に必要なので」
ラオ「その名も・・・親リセマラ!!」
精神体(X染色体)「親・・・リセマラ!?」
ラオ「いやー人生ってマジ、クソゲじゃん? 親ガチャミスったら人生詰んでましたーとか・・・」
ラオ「運ゲーにもほどがあるだろって感じ? しかもバカほど後先考えずガキ作るから始末に追えねーって鬼畜ゲー」
ラオ「そんな世界をみかねて精子たちに人格を与えて、自分を産む両親を決めてもらおうって考えたわけよ!!」
ラオ「そして!! そんなシステムを作ったラオちゃんまじパネー! ってわけ!!」
精神体(X染色体)「・・・まぁ、要するに僕が親を選べるということでいいの?」
ツノ「少し違います。できるのはあくまでリセマラです」
ツノ「親は神聖なガチャによって決まります」
精神体(X染色体)「神聖なんだ・・・」
ラオ「んで、ガチャを引いた結果、その親のざっくりとしたステータス、ようは人格や経歴を見れるわけ」
ラオ「その親が気に入らなかったらガチャを引き直せるわけ。どう? 画期的でしょ」
精神体(X染色体)「えっと・・・なんかリスクとかはないの?」
ラオ「まぁ現時点ではないわね。もしその親を選ばなかったとしても、そいつのS◯Xが不発に終わるだけだから」
ツノ「・・・さっき自分でセンシティブワード禁止って言ったくせに」
ラオ「うっさい! ツノ折るわよ!!」
ツノ「失礼しました!」
ラオ「当然だけど、一度親を選んだら変えられないわよ。そういうとこもリセマラなわけ!」
精神体(X染色体)「・・・ちなみにリセマラを拒否したら」
ラオ「アンタはティッシュに丸められてポイされるわ。それでいいのね? オ◯ってポイされる人生がお好みなのね?」
精神体(X染色体)「喜んでリセマラさせていただきます!!」
ツノ「まぁ、本当にランダムがいいなら最初の親をステータスを見ずに選べばいいだけです」
ツノ「どうせここでの記憶は出生後、全消去されるので」
精神体(X染色体)「そうなの?」
ラオ「いやいや、あくまでアンタは精子なんだって。精子に脳みそまだできてないっしょ? 記憶を定着させるなんて無理だっつの」
精神体(X染色体)「あ、そうか。僕の記憶も、人格も、あくまで今はラオさんが生み出したものって言ってましたっけ」
ツノ「そういうことです。しかし遺伝子上ある程度は近い人格になるはずですよ」
精神体(X染色体)「わかりました。よし・・・じゃあ選ぶぞ!!」

〇教会の中
ツノ「おつかれ様です。ラオさん」
ラオ「いやー久々に女神らしいことしたわ! こんなの異世界転生ブームが起きて以来だわ」
ツノ「それにしても、あの子すごく慎重に選んでましたね」
ラオ「まぁ文字通り人生かかってるからねー。そりゃ慎重にもなるっしょ」
ツノ「それにしても、気持ちいいものですね。地獄で働いてた時は苦痛の声を聞いてばかりでしたから」
ラオ「気持ちいい?」
ツノ「ええ。僕は性格がこんななのに、悪魔だからって地獄の仕事ばかりしてましたから・・・人のためになるのって清々しいというか」
ラオ「──あはは! なに言ってんの? いいことなわけないじゃん!」
ツノ「────え?」
ラオ「あー、もしかしてこれからなにが起きるかわからない系? ウケるわーー!!」
ツノ「・・・ど、どういうことですか?」
ツノ「あの子は「お金持ちで、子供に優しくしてくれる夫婦」を選んだはずですよ? 経歴からしてもとてもいい選択だと思うんですけど」
ラオ「なわけねーじゃん! あんなのクズ中のクズ。大凶よ!!」
ツノ「・・・そんな」
ラオ「あ、じゃああの子の結末。見てみる?」
ツノ「え・・・?」
ラオ「知ってるでしょ。神界に時間の概念はない。時間を自由に扱える」
ラオ「だから、あの子の20年後を見せてあげる」
ラオ「・・・私の予想通りなら、あの子は最悪の家族を引き当ててるわ。なんなら賭ける?」
ツノ「じ、じゃあ、僕は良い結末になってると賭けましょう!」

〇血まみれの部屋
  ・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・は?
  僕は衝撃的な光景に目を疑っていた。
  ──これが彼の家族がたどる末路?
ケンタ「・・・はぁ! ・・・はぁ!」
  この子は・・・あの少年か?
  バカな・・・人格を再現した時は真面目そうな子だったぞ!?
ケンタ「・・・ざっけんなよ!! 親父のヤロー、とうとうイカれやがった!!」
アキオ「・・・ケンタ・・・怖がることはない」
ケンタ「うわぁ!!」
  そんな・・・なぜだ・・・なぜこうなったんだ
アキオ「お前を殺したら、私も死ぬ。だから・・・もう怖い思いはさせないからな」
アキオ「・・・それが、親としてのケジメだ」

〇教会の中
ラオ「はい!! 私の勝ちー!! 今日バーゲンダッツ奢りね!!」
ツノ「・・・・・・」
ツノ(──僕はあまりの光景に言葉を失っていた)
ラオ「──あの親は子に甘すぎるのよ。だから、性格が歪んだ」
ラオ「正しいことを教えることができず、子供に甘く接して──道を踏み外し、子は犯罪を犯した」
ツノ「で、でも彼は真面目で誰に対しても優しいって!!」
ラオ「ちゃんと子供を甘やかしてしまう傾向があると書いていたでしょ? 母親も」
ツノ「──そんな」
ラオ「──父親の真面目な性格ってさ。壊れると狂気に変わんだよねー。真面目だから自分の息子が犯罪者になるなんて認めらんないわけ」
ラオ「だから一家揃って無理心中。──ま、母親の方は反対してたみたいだけどね」
ツノ「・・・どうして・・・笑ってられるんですか?」
ラオ「──だってさ、そういうのゾクゾクすんじゃん・・・怖いもの見たさってやつ?」
  ここは親リセマラ案内所・・・今日も、新たな命が生まれようとしている
  その家族が報われるかは・・・神すら知らない──

コメント

  • 「神のみぞ知る」という言葉がありますが、親子の行く末はたとえ神でも吉と出るか凶(狂)と出るか最後まで断定できないのかも。「父親の真面目な性格は壊れると狂気に変わる」というセリフが的を射ていてゾッとしました。あと、神界でもハーゲンダッツがご褒美なのは同じなんですね。

  • 染色体が言葉を発するのが斬新でおもしろかったです😄
    染色体、最初は真面目で謙虚そうで良い子っぽかったのに、人間になってからあんな感じになってしまっていてびっくりしたし、何だか悲しかったです(´;ω;`)
    優しいだけの親もダメなんだなあと思いました!

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