誰が勇者(オレ)を殺したか?

住本優

誰が勇者(オレ)を殺したか?(脚本)

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〇兵舎
  オレは勇者。
  魔王を倒すため、長らく旅をしてきた。
  そして、魔王城に乗り込む前日の夜。
  オレは——殺された!!!!
  ・・・うんうん、分かる。
  殺されたのに、なんでオレがしゃべってるのかって?
  それは——幽霊だからさ!
  殺されたから幽霊になった!
  これ以上、単純明快な理由があるかいやない!
  ひどいじゃない!
  なにも決戦前夜に殺すことないじゃない!
  無事、魔王を倒したら、
  王女と結婚するはずだったのにさぁ・・・
  まぁ、そんなことはいい。
  それよりも犯人だ。
  容疑者はパーティの3人。
  盗賊。
  剣士。
  ファイヤーマン。
  この中から、
  オレを殺したやつを見つけ出してやる・・・!

〇兵舎
剣士「決まりでしょ! これ決まったでしょ! 逆にファイヤーマン以外だったら、むしろファイヤーマンって何!?」
盗賊「お、落ち着け、剣士。 なにも決まったわけじゃねえだろ」
ファイアーマン「そうだ! オレぁ、やってねえ!」
ファイアーマン「考えてもみやがれ。 オレが犯人だとして、勇者を丸焼きにするか?」
  そんな人をニワトリみたいに・・・
ファイアーマン「これはオレに罪をきせるため、 誰かが偽装工作したに違いねえぜ!」
剣士「くっ・・・ ファイヤーマンのくせに、 スジが通ってるわね・・・!」
ファイアーマン「論理的に推理をしようぜ、剣士」
剣士「なんかムカつく」
盗賊「まずは勇者の死亡推定時刻からだな」
盗賊「俺が最後に勇者を見たのは、深夜12時。 ぐーぐー寝てやがったな」
剣士「私も見たわ」
盗賊「明朝、6時に俺が丸焦げになっている勇者を発見した」
盗賊「ということは、 勇者の死亡推定時刻は深夜12時〜朝6時の間か」
ファイアーマン「かなり広いな・・・ みんなのアリバイはどうなんだ?」
盗賊「俺は明日の決戦に備えて、短剣を研いでだよ。 寝ていた勇者の上に、削りカスが乗っていたはずだぜ」
  何故、オレの上に!?
盗賊「あいつ、いつも偉そうでムカついてたからよー。うっぷんばらしによくしてたんだ」
  だから時々、体が金属くさかったのか・・・
剣士「私は少し夜風にあたっていたわ。 考え事をしていてね・・・」
ファイアーマン「考え事だぁ?」
剣士「・・・私と勇者の未来について、ね」
剣士「結婚する予定だったのよ、私たち」
ファイアーマン「マジかよ!おめでと!」
盗賊「いや、死んだよ?」
  ・・・・・・
  王女と結婚するんじゃなかったのかって?
  うん、そう、まぁ・・・
  いわゆる二股というやつだね
盗賊「あれ? でもあいつ、魔王を倒したら、 王女と結婚させてもらうって言ってたぞ?」
剣士「・・・はぁ!!??」
剣士「ゆるさねえ、コロス!!!!」
盗賊「いや、だから死んだよ?」
ファイアーマン「オレも、もう寝てたぜ? そして、朝、寒くてクシャミした」
剣士「なんの報告?」
ファイアーマン「クシャミすると火の粉が出ちまうんだよな」
盗賊「・・・おい、それは聞き捨てならないな。 勇者に火の粉が飛んだんじゃないか?」
ファイアーマン「いや、大したことにはならねえって たとえば、燃えるモンに火が付いて、風であおらねえ限りはな」
盗賊「・・・・・・」
剣士「・・・・・・」
ファイアーマン「あん? どうしたんだ、二人とも?」
盗賊「・・・いや それってこうは考えられないか?」

〇兵舎
盗賊「まず、俺が金属のカスを勇者の上にばらまいた」
剣士「それから私が窓を開けて、 風を部屋に入れた」
ファイアーマン「そして、朝、オレがクシャミをして・・・ 火の粉を飛ばした」
盗賊「つまり・・・」
盗賊「ファイヤーマンが火の粉を飛ばして、 オレの金属片に着火し、 剣士が風であおった」
盗賊「だから・・・ 朝、勇者の丸焦げ死体ができあがったんだ!」
ファイアーマン「つーことは、なにか・・・ オレら、全員で勇者を殺しちまったのか?」
  ・・・・・・
盗賊「・・・ま、いっか。 あいつ、ムカつくやつだったし」
剣士「二股してやがったしね」
ファイアーマン「オレも 「プッ、ファイヤーマンて・・・ プッ」 ってバカにされたな」
盗賊「そもそも俺たちの旅の目的はなんだ? 魔王を倒すことだろ?」
剣士「そうよね 魔王を倒しゃいいのよね」
ファイアーマン「じゃあ・・・ とりあえず、行くか!」
  うん!!!!!
  ・・・・・・
  みんな!!
  ふだんの言動には、くれぐれも気をつけてね!!

〇西洋の城
  というわけで、
  勇者一行(勇者抜き)は無事、魔王を倒し・・・
  世界には平和が戻った

〇中東の街
  盗賊は旅に出て・・・
  なんやかんやあり、盗賊王になった

〇教会の中
  剣士は引退し・・・
  なんだか良い感じのイケメンと
  結婚を果たした

〇温泉の湧いた渋谷
  そしてファイヤーマンは・・・
  王都の繁華街・シブヤで温泉を掘り当て、自らの炎で温度調節し、温泉宿を経営している。

〇火山の噴火
  めでたし!!!!
  めでたし!!!!!

コメント

  • 勇者さん以外の人たちは幸せになったみたいですね。笑
    最初犯人をさがすミステリーかな?と思ったんですが、楽しいコメディで笑えました!

  • 勇者を殺したのは誰だというミステリー小説かと思いましたがまさかのオチに笑ってしまいました笑勇者も勇者らしからぬまぁまぁなダメ男だったのでめでたし!!笑

  • 勇者がそこそこひどいのに憎めないです。良いキャラですね!謎解きもスッキリ決まって良い感じの3人の将来の姿も見られて、楽しく読み終わりました。

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