カーリーは安らかに暮らしたい

ラッキー・スノー

読切(脚本)

カーリーは安らかに暮らしたい

ラッキー・スノー

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〇森の中の小屋
シモツカ・アリシア「ズズ・・・」
シモツカ・アリシア「ふぅ まぁまぁいける」
シモツカ・イオリ「ズズ・・・」
ソフィア「ズズ・・・」
「上手い!!」
「このフルーティな香りと渋みのあるコクが最高!」
「さすがはカーリー。 お茶を入れるのも上手いね!」
シモツカ・アリシア「やめろやめろ! 夫婦揃って一緒に喋るなよ!」
シモツカ・イオリ「いやなぁ・・・ 俺たちほどに夫婦仲に年季が入るとな ソフィアの考えてる事は分かるし」
ソフィア「カイの考えてることも分かるのよね〜 毎日合体してるせいで思考回路も繋がっちゃったのかな、なんて〜」
シモツカ・アリシア「やめろやめろ!! 両親の夜事情なんか聞きたくないよ!!」
ソフィア「違うわカーリー。 今朝の話よ」
シモツカ・イオリ「あっはっは!」
シモツカ・アリシア「うがぁぁ この夫婦には突っ込むことすら嫌気が走る!」
シモツカ・イオリ「”突っ込む”と言えば」
シモツカ・アリシア「おい、お父さん もしいかがわしい話だったのなら 私はこのコップを割る」
シモツカ・イオリ「一応聞くけどどうやって?」
シモツカ・アリシア「あんたの顔面で割る」
シモツカ・イオリ「あちゃー これはソフィアにパス」
ソフィア「突っ込むと言えば、最近この近くの家で泥棒被害が多いみたいよ」
シモツカ・イオリ「泥棒か〜 カーリーは大丈夫かい?」
シモツカ・アリシア「そんなもの大丈夫に決まってるでしょ 私は天才なんだから」
ソフィア「さすが私の子! 頼り甲斐があるわ〜!」
シモツカ・アリシア「お母さんはもっと色々としっかりしてよ!!」
ソフィア「有能な娘を持つとお母さんもダラけたくなっちゃうのよ」
シモツカ・イオリ「分かるなぁ〜 カーリーはなんでもしてくれるから つい頼っちゃうんだよ〜」
シモツカ・アリシア「両親が家にいるのに全ての家事を子供がやってるのなんてうちだけだよ?」
ソフィア「じゃあ今度、カーリーの慰安も兼ねて旅行に行きましょうよ〜」
シモツカ・イオリ「良いね いつ行こうか」
シモツカ・アリシア「そういうことじゃないんだけど・・・」

〇西洋風の部屋
シモツカ・アリシア「あと旅先で必要なのは 飲料の入れ瓶くらいかしら」
シモツカ・アリシア(ん? 二人とも帰ってきたのかな)
シモツカ・アリシア(あんなだらしないのが学校の教師なんて 世も末ね・・・)
  すると
  足音がこちらに近づいてくる音がする
シモツカ・アリシア「あれ? こっちに来る・・・ いつもは私の部屋に来ないのに」
  そしてゆっくりと、私の部屋のドアが開いた
アズハ「あ・・・」
シモツカ・アリシア「え・・・?」
アズハ「えーと」
アズハ「お邪魔しました」
  そうして扉はゆっくりと閉じられた
シモツカ・アリシア「待て待て待て!」
  大急ぎで扉を開ける
シモツカ・アリシア「ちょっと待ちなさい!?」
アズハ「ヒィッ!?」
シモツカ・アリシア「あんた 私の家で何をしているのよ!」
シモツカ・アリシア「家のものを一つでも盗んでみなさい! 血祭りにあげてやるから!!」
アズハ「ご、ごめんなさい! 盗もうとしたわけじゃないんです!」
シモツカ・アリシア「んなわけないでしょうが!? だったら逆に なんで人の家に上がり込んでいるのよ」
アズハ「えっと 綺麗だなって思って」
シモツカ・アリシア「綺麗? 綺麗って言った?」
シモツカ・アリシア「何をどう見間違えればこんなボロ家を綺麗だって思えるわけ?」
アズハ「それに、家の中からいい匂いがして」
シモツカ・アリシア「今日は料理なんてしてませんけど?」
シモツカ・アリシア「なんでそんなバレバレの嘘ついてるのよ」
アズハ「いや、本当に泥棒じゃないんです!!」
シモツカ・アリシア「だったら逆に聞くけど、泥棒以外の理由で 人のうちに上がり込むことある?」
アズハ「え・・・」
アズハ「うーん・・・」
アズハ「ないんじゃないですか?」
シモツカ・アリシア「だったらやっぱり泥棒じゃないの!」
アズハ「違うんです! 私はそうじゃないんです!」
シモツカ・アリシア「そんなわけあるかぁ! 自分で認めてるじゃないの!」
アズハ「他の誰がそう言っていても 私だけは違うんです!」
シモツカ・アリシア「はぁ!?」
アズハ「世界中の人が私を泥棒だって言っても 私は泥棒じゃありません!」
シモツカ・アリシア「いやなにカッコつけてんの? それ泥棒じゃない!」
シモツカ・アリシア「往生際悪く認めてないだけで泥棒じゃない!」
アズハ「やっぱりあなたも、私を泥棒って言うんですか?」
アズハ「そうやって私を! 悪者にしようって言うんですかぁ!?」
アズハ「村の人たちみたいに・・・ この近くに住んでる人みたいに!」
シモツカ・アリシア「ここ最近周りで起きてた泥棒の犯人 アンタじゃん!」
アズハ「泥棒じゃないです。 ちょっと家に入って家のものを頂いてるだけです」
シモツカ・アリシア「それを世の中じゃ泥棒って言うのよ!」
アズハ「泥棒じゃないです。 私にはちゃんと証拠があります」
シモツカ・アリシア「証拠? 今の所アナタが泥棒である証拠しか見てないけど」
アズハ「私は家の中に入ったらあることを必ずします」
アズハ「それは家の壁を壊すこと。 持ち出すものが大きすぎて、大抵家から出れないので最初に出入り口を改修するんです」
アズハ「だから、泥棒じゃないでしょ?」
シモツカ・アリシア「泥棒である前に荒らし屋って事じゃない! 余計にタチが悪くなったわ!」
シモツカ・アリシア「アナタは今すぐ自警団に突き出すわ!」
アズハ「ごめんなさいぃ!」
アズハ「自警団に突き出すのだけはやめてください!」
アズハ「私、お金がなかったから 生きるために仕方なくやっただけなんです!」
アズハ「本当に、生活に必要なものしか盗んでないんです! だから、どうか・・・!!」
シモツカ・アリシア「・・・・・・」
シモツカ・アリシア「で・・・ 何を盗もうとしたの?」
アズハ「大したものは盗みません」
シモツカ・アリシア「例えば?」
アズハ「冷蔵庫とその中身、金庫があれば金庫も あとは美術品なんかがあれば頂きたいです」
シモツカ・アリシア「無茶苦茶するじゃない!?」
シモツカ・アリシア「どこが大したものじゃないよ。 思いっきり生活の基盤を仕留めにかかってるじゃない!」
アズハ「ふえぇぇ ごめんなさい・・・」
シモツカ・アリシア「あなたねぇ そんなことしてたら いつか酷い目に遭うわよ?」
アズハ「そうですよね。 もう、こんなことやめます」
シモツカ・アリシア「え・・・!?」
シモツカ・アリシア「・・・うん もうやめなさい」
シモツカ・アリシア「今回だけは見逃してあげるから もう二度とこんなことはしないって誓って」
アズハ「はい・・・ もうこんなことしません じゃあ私、帰ります」
シモツカ・アリシア「うん。 これからは真っ当に生きるのよ」
アズハ「はい!!」
  そうして彼女は頭を下げながら、家から出て行った。

〇森の中の小屋
シモツカ・アリシア「お帰りなさい 二人とも」
「ただいま〜」
シモツカ・イオリ「今日は調子どうだい? カーリー」
ソフィア「小説書くの、進んだ?」
シモツカ・アリシア「いいえ 今日は面白いことがあってね ほとんど書けてないの」
ソフィア「そうなの〜? 私たちも面白い話を聞いてきたの!」
シモツカ・イオリ「面白いというか 良かったって感じの話だけどな」
シモツカ・アリシア「へぇ どんなお話だったの?」
ソフィア「なんかね、隣の家で泥棒が出たんだって!」
シモツカ・アリシア「え・・・?」
シモツカ・イオリ「それで冷蔵庫一式と金庫と彫像を盗もうとしているところが見つかって、」
シモツカ・イオリ「無事に自警団に引き渡されたらしい」
ソフィア「うちも被害に遭わなくて良かったわ〜」
ソフィア「ま、うちは貧乏だから取るものなんて何も無いけどね」
シモツカ・イオリ「そう考えると、貧乏なのも悪くないなぁ」
「あははは!」
ソフィア「カーリーは今日、どんな事があったの?」
シモツカ・アリシア「え!?」
シモツカ・アリシア「えーとね」
シモツカ・アリシア「うん・・・ やっぱり何もなかったかな!」
  旅行の前に、なんだかとても疲れてしまった気がする。
  旅行先では、平穏に過ごせると良いなと思うのだけど
シモツカ・アリシア「・・・・・・」
「旅行、楽しみだね〜」
「あはは〜」
シモツカ・アリシア「・・・ふぅ」
  私は既に
  不安でいっぱいだった・・・

コメント

  • 全員とても魅力的な(?)登場人物でした。
    カーリーがしっかりしてるから両親があんな感じなのか、両親があんな感じだからカーリーがしっかりしてるのか… 

  • カーリー以外の登場人物がみんなアレレな感じで、その絶妙なアレレ加減の表現が面白かったです。
    カーリーの「生活の基盤を仕留めにかかる」という台詞がツボでした。これからも彼女は苦労する予感しかしないですね。

  • 両親がほんわかしていたら、その子供は自ずとしっかりした子に育つものなのだなあと思いました(^^)
    両親、ちょっとほんわかしすぎかもしれないけど、とても仲良さそうなのですごく良いと思います😁💕

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