僕が最後にできる事…(脚本)
〇教室の教壇
俺は明日、死ぬ。
俺の名前は、今野浩太。
俺は明日・・・
自殺しようと思う。
だから今日は、この愛すべき世界を目に焼き付けて置こうと思う。
〇渋谷のスクランブル交差点
拝啓、何処かにいるかもしれない貴方へ。
これは、俺の生きた最期の記録だ。
〇教室の教壇
今野浩太「やっぱ、最初は此処だよな!」
今野浩太「学校って、過ごす時間だけで言ったら家より長いし、下手したら一番馴染み深いまであるよな・・・」
今野浩太「懐かしいなぁ、健介の奴と箒でチャンバラしてたら絵美の奴が注意してきて・・・」
今野浩太「絵美の声がデカ過て、三人とも先生に叱られて・・・」
今野浩太「・・・・・・・・・・・・」
今野浩太「次に行こう・・・」
今野浩太「時間なくなっちまう・・・」
滝原絵美「・・・・・」
〇広い公園
今野浩太「小学生の頃を思い出すなぁ・・・」
今野浩太「よく三人で遊んだよなぁ!」
今野浩太「そういえば、絵美と初めてあったのも此処だったな・・・」
今野浩太「告白も此処だったなぁ・・・」
今野浩太「「もうちょっとムードあるところでしてよ!」ってダメ出しくらったっけ・・・」
今野浩太「絵美、俺・・・」
今野浩太「いや、何でもない・・・」
〇水中トンネル
今野浩太「ここは絵美と付き合あって初めて来た水族館・・・」
今野浩太「ここで告白すりゃ良かったじゃん!」
今野浩太「プロポーズの時はもっとムードのある場所でしてあげたかったな・・・」
〇レトロ喫茶
今野浩太「おう!相変わらず空いてんな、マスターの店!」
今野浩太「いや、流石に空き過ぎか・・・」
今野浩太「でも、マスターの珈琲めっちゃ美味しかったんだよな・・・」
今野浩太「そういや、絵美がここのシフォンケーキは格別って言ってたな・・・」
今野浩太「食べれるうちに、食べとくべきだったな・・・」
〇遊園地の広場
今野浩太「遊園地、マスターの店より空いてんじゃん!貸切じゃん!」
今野浩太「絵美も誘えば良かったなぁ・・・」
今野浩太「二人で来た時は、入場だけで2時間も待たされたもんなぁ・・・」
今野浩太「健介も誘って三人でも良かったな・・・」
〇見晴らしのいい公園
今野浩太「この公園、久しぶりに来るなぁ・・・」
今野浩太「いやぁー、ここの景色めっちゃ良いんだよなぁ・・・」
今野浩太「普段は、こんなに人が居ない事なんてないんだけどな・・・」
今野浩太「絵美と行った時は・・・」
何処に行っても、必ず絵美がそこに居て・・・
僕の中に鮮明にそれが蘇ってくる・・・まるで、昨日の事の様に・・・
決めた・・・
僕は今日、死のう・・・
彼女との思いでを、沢山に詰め込んで・・・
人生という劇の終幕を飾ろう。
〇団地のベランダ
どうやら俺の人生は、思ったより絵美で出来てたみたいだ。
絵美は、俺の全てだった・・・
俺は絵美がいたから、今間まで辛い事や苦し時を乗り越えられた、生きて来れたのだと今は思う・・・
誰かが『大切なものは失って、初めて見つけられる。』と言っていたが・・・
それは違う。
絵美は俺の大切だった・・・
でも、ここまで大切だとは知らなかった・・・命を自ら絶とう思う程、絵美は俺の一部になっていたんだ・・・
だから・・・『大切なものの価値は、失われた時に初めて分かる。』が正しいと思う。
今野浩太「まさか俺が自殺するなんてな・・・」
今野浩太「今まで自殺なんて縁がないって思ってたし、自殺する奴の気も知れなかった・・・」
今野浩太「でも、今なら分かる・・・」
今野浩太「絵美、お前がいない世界に、俺の生きる理由なんて無いよ・・・」
今野浩太「絵美?」
今野浩太「俺は・・・」
〇東京全景
世界から俺以外が突然に姿を消して一年が経った。
俺がいなくなったら、人類は完全に滅亡するのだろう。
まぁ、俺がいたところで、遅かれ早かれ滅亡するのだろうが・・・
もし、生き残り・・・これを見てくれてる者がいるのなら、君は人類で最後の一人かもしれない・・・
だが、もしも一人じゃないのなら・・・
その誰かを大切にして欲しい・・・
〇病室のベッド
山本健介「絵美・・・」
滝原絵美「何でよ・・・」
滝原絵美「浩太がいなくなったら意味ないじゃん!・・・」
〇荒れたホテルの一室
滝原絵美「足が・・・」
今野浩太「絵美!大丈夫か!?」
滝原絵美「私の事は良いから・・・浩太は先に・・・」
今野浩太「脚にガラスの破片が・・・」
滝原絵美「良いから早く逃げて!ここも崩れちゃうよ!」
今野浩太「そんな事、出来るかよ・・・」
今野浩太「お前がいなくなったら、意味ねぇだろ・・・」
滝原絵美「浩太・・・」
山本健介「お前ら!さっきの地震デカかったけど、大じょ・・・」
山本健介「って絵美!お前の脚っ・・・」
今野浩太「良いから健介、お前も手を貸せ!」
滝原絵美「浩太ぁ!上!!」
崩れて来た瓦礫は浩太を圧し潰した。
浩太は一命を取り留めたものの、目を覚ます事はなかった。
〇病室のベッド
滝原絵美「バカ・・・」
〇団地のベランダ
今野浩太「行かないと、彼奴の傍に・・・」
〇病室のベッド
行かなくちゃ・・・
〇渋谷のスクランブル交差点
金髪の女子「地震マジでヤバかったじゃん!」
黒髪の女子「でも死人、一人も出なかったって!」
黒髪の女子「しかも怪我人も、沢山の人がいたけど、軽傷が殆どだったてさ」
金髪の女子「凄いじゃん!奇跡過ぎじゃん!」
黒髪の女子「でもそれが奇跡じゃなくて、男の人が逃げる様に叫んでて、それで避難が早くて助かった人が沢山いたんだって・・・」
金髪の女子「マジ!?ヤバっ!」
〇病室のベッド
早く・・・
〇大きい病院の廊下
俺は一人なんかじゃ・・・
〇大きい施設の階段
そう、俺は・・・
〇病院の廊下
俺は・・・
〇病院の待合室
君が居れば・・・
〇大学病院
今野浩太「絵美!絵美!絵美!・・・」
〇中庭
だって俺は・・・
独りじゃないから・・・
〇渋谷のスクランブル交差点
〇渋谷のスクランブル交差点
僕が消える前日に
大切な仲間を亡くし空虚感に耐えられなくなって死を選んだ主人公が、それでも最後は誰かの役に立ちたいとその行動に出た事は尊いことだと思います。
どこへ行っても彼女の姿を心の中で探してしまう…気持ちはわかるような気がします。
本当に好きになったら、細胞レベルでその人を求めてしまうんですよね。
どこにいっても大切な人ととの思い出が蘇る、、、とても素敵だなと思いました。そして命の尊さや儚さを感じられて感情的な気持ちになる素敵な作品だなと思いました