エピソード1(脚本)
〇ファンシーな部屋
それは突然やって来た。大学生になって最初の冬休み。独り暮らしにも慣れ始めた頃。
それはポストに入っていた
白い封筒。裏面にスミスよりと書かれている
中から紙が出てきた
パーティーは23日午後1時より。
場所はベイリー3番。
気をつけてまいられたし
エミリー「今日じゃない」
エミリー「誰かと間違ってしまっているんだわ」
自転車を走らせた。
〇お化け屋敷
門のところに大男が立っていた
エミリー「すみません」
招待状を見せる
大男「どうぞ中へ」
エミリー「違うんです」
強引に背中を押され中に入った
〇洋館の廊下
どこからか楽しげな音楽が流れていた
〇大広間
部屋を覗くとエミリーは驚いた。
変わった風貌の人達がたくさんいた
音楽がやんだ
チャーリー「リンジィの誕生日にお集まりくださりありがとうございます」
リンジィ「私のために集まってくれて嬉しいわ。本当にみんな愛してる」
チャーリー「みんなパーティーの続きを楽しみましょう」
エミリー「ちょっといいですか」
チャーリー「何でしょうか」
エミリー「私は間違って呼ばれたんです」
エミリー「あの招待状が来て」
チャーリー「どれ、確かにこれは招待状だ。 これが君に?」
チャーリー「どこから来たんだね」
エミリー「坂を下った所です」
チャーリー「そんなとこに家はないはずだ」
エミリー「私はそこに住んでいて、大学に通ってます」
チャーリー「おかしい。学校に通っているのは人間以外ではリンジィとマックスだけだ」
エミリー「私は人間です」
チャーリー「君は冗談がうまいな」
エミリー「本当です」
ぎゃー。
みなが一斉に逃げ出した。
キャサリン「あなたこれは緊急事態よ」
チャーリー「ママこれは緊急事態だ」
〇城の会議室
チャーリー「名前は?」
たくさんの料理が並べられている
エミリー「エミリーです」
チャーリー「私はチャーリー。妻のキャサリン」
チャーリー「リンジィと弟のマックス」
チャーリー「ロッキー」
エミリー「キャッ」
手に毛のような感触
チャーリー「こいつはジェームス。 姿を透明に出来る猫だ」
チャーリー「お気づきの通り私達は人間ではない。モンスターだ」
チャーリー「私達は人間に嫌われてきた。 一部は悪さをするものもいるが多くはいい奴ばかりだ」
チャーリー「だがそれは理解されない。だから人間との関わりを避けてきた」
チャーリー「でも私達は違う。 私は小さい頃から夢見てきた」
マックスは肘の先を離して遠くの皿を目の前に持ってきた
キャサリン「マックスやめなさい」
マックス「なんで?」
チャーリー「あれはとても寒い日だった」
キャサリン「なんででも。 普通は腕がとれたりしないの」
マックス「でも便利だよ」
キャサリン「普通の人間は驚くの」
チャーリー「ハロウィーンだった」
マックス「なんで?」
キャサリン「人間になるためよ」
マックス「人間なんてならなくてもいいよ」
キャサリン「ダメ。パパの子供のころからの夢なの」
リンジィがお皿で殴ると、マックスは間接からバラバラになった
リンジィ「うるさいわ」
チャーリー「大丈夫か?」
マックス「今の面白かったもう一回やって」
キャサリン「リンジィ暴力はダメ。 暴力では何も解決しないのよ」
チャーリー「それで迷子になって家に帰れなくなって公園でブランコに乗っていたら人間がお菓子をくれた」
チャーリー「それでパパは人間になろうと誓った。 満月の夜神様にお願いした。 どうか人間にしてくださいと」
チャーリー「すると鏡の中に神様が現れた。そして神様は言った」
チャーリー「人間と共に暮らし困っている人を救いなさい。そうすれば人間にしてやると」
ママは拍手した。
キャサリン「素晴らしいわパパ。モンスターの鏡よ」
チャーリー「そうだろママ。パパは素晴らしいモンスターだ。 あははは。さて食事を楽しもう」
エミリー「いやあの」
チャーリー「何かね?」
エミリー「それで招待状が」
チャーリー「そうだったね。サジタリウスの仕業だ」
エミリー「サジタリウス?」
チャーリー「フクロウだよ。手紙は彼が届けた。 どうせ寝ぼけてたんだろ」
突然柱の時計が動き出した
クック「七時だコノヤロー」
エミリー「何なんですかこれ」
クック「馬鹿ヤローコノヤロー」
チャーリー「時計だ。七時を告げている。 クック分かった、静かにしてくれ」
エミリー「帰らないと」
チャーリー「そうかね。 もう日が暮れた。送っていこう」
チャーリー「ちょっと行ってくる」
〇けもの道
エミリー「ここら辺のはず」
チャーリー「夢でもみたんじゃないのか」
エミリー「そんな」
チャーリー「とりあえず帰ろう。 それからゆっくり考えよ」
〇城の会議室
キャサリン「おかえりなさい」
チャーリー「なかったよ」
キャサリン「そう残念だったわね」
エミリー「確かにあったのに。そうだ」
携帯電話をとりだす
チャーリー「なんだねそれは」
エミリー「知らないんですか」
チャーリー「初めて見た」
写真を見せた
エミリー「私の住んでる町です」
チャーリー「なんだこれは? とても絵とは思えん」
エミリー「写真ですよ」
チャーリー「写真?」
エミリー「あれ、圏外になってる」
チャーリー「私にも貸してくれ」
チャーリー「この2023というのは?」
エミリー「今年の年号です」
チャーリー「おかしい。今年は1723年だ」
エミリー「300年前にいるってこと?」
チャーリー「そういうことになるな」
エミリー「これからどうすればいいの」
チャーリー「今日は泊まればいい。とりあえずお風呂に入って寝よう」
〇西洋風のバスルーム
バスタブに体を沈めた
「いい体をしてまんな」
エミリー「え!」
お湯が出るライオンの顔がしゃべっている
エミリー「なんなのよ」
「ワシはゴイルや」
エミリー「こっち見ないでよ」
「顔が動きまへんのよ」
エミリー「もう!」
エミリーはタオルをかけた
「うわっ!なんにも見えへん」
エミリー「まったく」
〇貴族の部屋
チャーリー「すまなかったね」
エミリー「ビックリしました」
チャーリー「ここがエミリーの部屋だ」
エミリー「あの」
チャーリー「何かね」
エミリー「ここには何かいるんですか」
チャーリー「とくになにも。 ぐっすりおやすみ」
エミリー「おやすみなさい」
エミリーはベッドに身を沈めた
〇城の会議室
朝食とは思えないほどの料理
チャーリー「考えたんだがしばらくこの家で暮らせばいい」
エミリー「そんなわけには」
チャーリー「行くところもないだろ」
エミリー「そうですけど」
チャーリー「それと私の助手をしてくれないか」
エミリー「助手?」
チャーリー「食べ終わったら準備をしよう。少し離れたところに町がある。 普通の人間達もいる」
食べ終わり服を着替えた
エミリー「歩いて行くんですか」
チャーリー「まさか馬だよ」
エミリー「乗ったことないですけど」
チャーリー「私の後ろに乗ればいい」
チャーリー「行くぞ」
馬は軽快に走り出した。
〇西洋の街並み
20分ほどでついた
村長「スミスさん」
チャーリー「村長さん」
村長「よかった。ちょっと困り事が」
チャーリー「困り事?」
村長「ここではなんですから私の家で」
〇豪華な社長室
チャーリー「困り事というのは」
村長「最近よく物が無くなるのです」
村長「それも貴金属類ばかり」
チャーリー「泥棒ですか」
村長「いえ鍵は締まっているし外から誰も入って来た様子はないのです。 どこへきえてしまったのか」
村長「家のどこかにあるとしか」
チャーリー「ではまずこの家の見取り図を描いてください」
チャーリーは、ペンデュラムを取り出し鎖を摘まんだ。
あるところで振り子の様に揺れだした
チャーリー「ここは?」
村長「娘のアンの部屋です。 まさか?アンが」
〇けばけばしい部屋
ノックをして部屋に入る
村長「アン。なんてことをするんだ」
アン「パパ」
チャーリーは隅々に目を向けた。
ベッドの下に小さな箱があった。
横に小さな穴が開いている。
中からネズミが顔を出した
チャーリー「違います。これはネズミの仕業だ」
村長「ネズミ?」
チャーリー「お二人とも危険ですので少し廊下でお待ちいただけますか」
下から箱を取り出した
エミリー「どういうこと?」
チャーリー「スクルーだ。人間に危害を加えることはないがイタズラ好きでね」
スクルー「なんだお前は」
エミリー「しゃべった!」
チャーリー「返してもらおう」
箱の中から高価そうなアクセサリーなどが出てきた
スクルー「やめろ。何すんだ」
チャーリー「これで全部か?」
スクルー「おいらが集めたコレクションを」
チャーリー「物をとるのは窃盗だ。今度同じことをしたら牢屋にぶちこむぞ」
スクルー「分かったよ。ねぐらはどこでもいいけど、臭い飯は冗談じゃない。くっくっくっ」
下品な笑いかたをした
〇豪華な社長室
チャーリー「お待たせしました。これですね」
村長「そうです。 あれ、おかしいな」
チャーリー「どうされました?」
村長「鍵だけない」
チャーリー「鍵?」
村長「妻とは仲違いしていて外向けには仲の良い夫婦を演じていますが普段は会話すらない」
村長「本来は別々に暮らしたいのですが」
チャーリー「体裁のためにそれはできない」
村長「それぞれの部屋に鍵をかけたんです」
チャーリー「その鍵という訳か」
村長「今は部屋に鍵がかけられない状態で。てっきり一緒に見つかると思ったんですが」
アンはずっとうつ向いている
チャーリー「村長さん。アンと二人にしてくれませんか」
村長「構いませんが」
二人はアンの部屋に向かった
〇けばけばしい部屋
チャーリー「パパとママは好き?」
アン「うん」
チャーリー「鍵を隠したのは君だね」
アン「うん」
チャーリー「返してくれるかな?」
アンは小さく頷いた
〇豪華な社長室
アン「ごめんなさい。 鍵は私が持っていたの」
村長「なぜ?」
アン「パパとママが仲良くして欲しかったの」
村長「パパが悪かった。アンの気持ちを何も考えてなかった」
チャーリー「私達はこれで」
村長「ありがとうございました」
〇西洋の街並み
エミリー「でも、何で鍵以外の物だけでも返さなかったんですか?」
スクルー「不自然だからさ」
胸ポケットから顔を出した。
エミリー「ネズミ!」
チャーリー「置いておくのも迷惑だからな」
スクルー「ネズミを邪魔者扱いするな」
チャーリー「さあ夕食の食材を買って帰ろう」
〇城の会議室
チャーリー「ママの料理は美味しい」
キャサリン「あなた当たり前なこと言わないで」
チャーリー「エミリー元気がないぞ」
エミリー「いつ帰れるんですか」
キャサリン「きっと何か方法があるはずよ」
チャーリー「何かいい方法があるはずだ」
チャーリー「私達を本当の家族と思っていいんだ」
エミリー「はい」
不安と嬉しさの間でエミリーの瞳は潤んでいた
時計のクックや風呂場のライオンやらが喋るの好みのシーンです。アダムスファミリーとかミス・ペレグリンとかの映画を合わせたみたいだなあと思っていたらティム・バートンのイメージなんですね。納得です!
突然迷い込んだ時代と見知らぬ家族、それでもこんなに温かく迎えてくれるのなら主人公になって見たい気もします。これからどう展開していくのか、果たして彼女は2023年に戻れるのか楽しみです。
とても不思議なお話ですね。
まだまだ謎だらけですが、温かく迎えてくれる家族でよかったですね。