読切(脚本)
〇魔界
勇者誕生
前日
コーダ「500年に一度の赤き月よ! 我が魔族の血を持って・・・」
コーダ「魔王オーバスを蘇らせよっ!!」
魔王オーバス「私は・・・」
コーダ「やはり・・・父の言っていた通り・・・ 貴方こそが魔王オーバス様!」
魔王オーバス「いかにも、私は魔王オーバス 勇者に倒され 魂だけの状態となっていた」
魔王オーバス「貴様は・・・コーダか?」
コーダ「私は、貴方の側近であった父 プラノ・コーダの息子 バス・コーダです」
魔王オーバス「──そうか。 お前の父、プラノは とても優秀な男であった」
コーダ「父は勇者との戦いの際、 もしものことがあれば″血の蘇生術″を 自分でなく魔王様の為に使えと・・・」
魔王オーバス「そうか、あのコーダが・・・」
魔王オーバス「ならば、共に弔いにいこうではないか コーダよ」
魔王オーバス「手始めに私が、 この世界を再び支配してやる!!」
コーダ「その・・・ 大変申し上げ難いのですが・・・」
コーダ「魔王様が居ない間に・・・」
コーダ「実は ″冥王ラナート″という者が現れまして・・・」
魔王オーバス「えっ!?」
〇魔界
コーダは夜通し説明をした。
勇者との戦いから500年の時が経ったこと。
その間に魔王軍のほとんどは散り散りになったこと。
そして何より・・・
「冥王ラナート」が世界の人々を消してまわっているという事。
コーダ「──と、いうわけでありまして・・・」
魔王オーバス「えー、ヤバいじゃん。 人を消すとか・・・えー」
コーダ「なんでも・・・「人類」を滅ぼし、 この世界を ゼロから創世するとかなんとか・・・」
魔王オーバス「そんな!ゼロは困る!!」
魔王オーバス「商業施設を支配して、 巨大魔王マーケットを作ったり・・・」
魔王オーバス「遊園地を支配して、悪と魔界の国 「オーバスランド」と「オーバスシー」 を作りたかったのに!!」
コーダ「しかし、我々魔王軍も今や20人ほど・・・ 連絡が付く者だけでも 数名いるかどうか・・・」
魔王オーバス「・・・止めるぞ」
コーダ「ま、魔王様!!」
魔王オーバス「この私、自ら・・・」
魔王オーバス「冥王ラナートを止める!!」
〇魔王城の部屋
ヴィオローネ「ラナート様!大変です!」
冥王ラナート「邪悪な気を感じる」
ヴィオローネ「ええ。その・・・ 先程、我が冥王城の入り口に・・・」
ヴィオローネ「この、バイキンのようなヤツが。 あまりにも弱かったですが・・・」
魔王オーバス「なっ!誰がバイキンだ! 私は魔王オーバスだぞ!!」
魔王オーバス((くそー、なんでこんなひ弱そうな 女の子が強いんだよー! 昔はそんな女いなかったぞ!!))
冥王ラナート「魔王オーバス・・・」
魔王オーバス「ほう?私を知っているのか?」
冥王ラナート「・・・」
冥王ラナート「・・・教科書で見たことがある」
魔王オーバス((教科書に載ったんだ、私。))
魔王オーバス「ならば話は早い。 冥王よ」
魔王オーバス「この世を支配するのはこの私だ。 人々を統べるのはこの魔界の王 オーバスこそがふさわしい」
魔王オーバス「今なら貴様の命は助けてやる・・・ この城ごと、私に明け渡せ!」
冥王ラナート「・・・ブツブツブツブツ」
魔王オーバス「・・・」
魔王オーバス「あのー?聞いてる?」
魔王オーバス「・・・はぁ?」
冥王ラナート「──『絶』」
魔王オーバス「ウォッ!なんだっ!?」
〇魔王城の部屋
魔王オーバス「力が・・・入らない!?」
冥王ラナート「お前も他の人間と同じように消えもらう」
冥王ラナート「向かう先は「死」ではない 「無」だ」
冥王ラナート「1日かけて体が消える恐怖を 味わいながら」
冥王ラナート「無に帰るのだ・・・魔王よ」
魔王オーバス「貴様! 技を使う時は大きな声で名前を叫べよ!!」
魔王オーバス「オォーバス!!デストロイ・・・」
冥王ラナート「無駄だ」
ヴィオローネ「ハァッ!」
魔王オーバス「マグナ・・・ゴワァッ!?」
魔王オーバス「私が消える、だと・・・!!」
魔王オーバス「そんなの、やだよぅ・・・」
〇薄暗い谷底
コーダ「魔王様!魔王オーバス様!!」
魔王オーバス「う、うーん・・・ここは?」
コーダ「冥王城より遥か遠くの谷底でございます」
魔王オーバス「そうか・・・負けたのか」
コーダ「ご無事・・・ではないようですね・・・」
魔王オーバス「冥王ラナート・・・ めっちゃ強かったよ」
魔王オーバス((本当は女の子にやられたなんて 言えないよなぁ・・・))
コーダ「その、魔王様 大変申し上げ難いのですが・・・」
魔王オーバス「ああ、さっきから手が透けてるんだよね」
コーダ「まさかとは思いますが、 消える呪いを!?」
魔王オーバス「「死」ではなく「無」になるそうだ 今度は魂も残らんだろう」
コーダ「そんな! せっかく蘇ったのに!」
魔王オーバス「なんかすまん、コーダ」
コーダ「かくなる上は、」
魔王オーバス「え?なんかあんの?」
コーダ「かつて魔王様を倒した 勇者の末裔を見つけ出し・・・」
コーダ「其奴に、冥王を倒させるしか」
魔王オーバス「えっ!あいつ倒せば、 私も復活できるのか!?」
コーダ「確証はありませんが、 かけてみるしかないかと」
魔王オーバス「もう勇者でもなんでもいい!それで行こう!!」
魔王オーバス「そういえばさっきから 勇者に倒された傷が疼くんだよねっ! きっと近くにいるはずだ!」
〇レンガ造りの家
コーダ「あそこのようですね・・・」
「ああ、そうだな 勇者のオーラがひしひしと伝わってくる」
コーダ「・・・その、魔王様 大変申し上げ難いのですが・・・」
「わかっている・・・ 時間がかかりすぎた もうほとんど姿が見えなくなっている」
コーダ「・・・私の力が無力なばかりに!」
「コーダよ、お前はよくやってくれた。 もし、勇者が目覚め冥王を倒した暁には・・・」
「申し訳ないが、また復活させてくれるか?」
コーダ「はい・・・!このコーダ! 何年かかっても・・・ たとえこの身がもたずとも」
コーダ「末代まで語り継げ、 必ずや貴方様を!」
「ふふ、やはりコーダは優秀な私の右腕だ」
「では、またな!」
コーダ「魔王様・・・必ずや・・・!」
〇可愛らしいホテルの一室
少年よ・・・
勇者の末裔である少年よ
少年「うーん」
目覚めなさい。
そして、冥王ラナートを倒すのです
少年「誰・・・この声は?」
ふふふ、私は
その、女神!女神ですよ!
少年「女神、様?」
この世界を混沌から救うため
立ち上がるのです。
さぁ、目覚めるのです。
勇者よ!
少年「僕が・・・勇者!?」
そう・・・目覚めるのです
勇者よ・・・
魔王オーバス「この私を救うためになっ!!」
側近さん、大変申し上げ難いことばかりで大変だなぁと思いました!笑
めちゃおもしろかったです!
魔王がいい味だしてて、会話とかかなり笑えました!笑
弱いな魔王。女の子に負けるなんて。笑っちゃいます。500年かかって復活したのに、瞬く間に無になってしまうなんてホント弱いです。
タイトルに惹かれました、何だか勇者と魔王がリンクしているような、、、とても楽しいストーリーが展開されtいて最後まで一気に読み進めました。