魔令嬢の晩餐

貴島璃世@りせチャンネル

魔令嬢の晩餐(脚本)

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魔令嬢の晩餐
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〇黒

〇立派な洋館

〇貴族の応接間
  外の景色を眺めるのをやめ、わたしは窓から離れた。
  深夜過ぎにお客さまがいらっしゃる。
  今宵の晩餐会(ディナー)でピアノを弾き、お客さまをもてなすよう、わたしはお父さまから命じられていた。

〇血しぶき
お父さま「愛する我が子よ」
お父さま「今宵は『黒』の曲と『赤』の曲で、客人をもてなすのだよ」
令嬢「はい。お父さま」
令嬢「そして、わたしの演奏が終わったら、お客さまをディナーに」
お父さま「そうだ。楽しみだねぇ」
令嬢「はい。お父さま」

〇立派な洋館
  お父さまは優しい。
  生まれ育ったこのお屋敷から離れられないわたしを護ってくれる。

〇貴族の応接間
お父さま「愛する我が子よ・・・」
お父さま「間もなく夜がやって来る」
お父さま「客人たちを迎える準備をせねばなるまい」
令嬢「はい。お父さま」
令嬢「わたしはピアノの練習をいたします」
お父さま「うむ。頼んだぞ」
令嬢「はい。お父さま」

〇黒

〇森の中
  人数は三人・・・
  みんな若くて新鮮だ。
侵入者「やれやれ・・・ やっと着いたぜ」
侵入者「ここが例の廃墟なのか?」
侵入者「そうだ」
侵入者「噂では、最恐の心霊スポットなんて言われてる」
侵入者「入ったら誰も帰ってこられないって噂もあるぜ」
侵入者「そんなのただの噂さ」
侵入者「って言うか・・・・・・」
侵入者「そもそもさ ここまでたどり着いたやつがいるかどうかすら、怪しいぞ」
侵入者「とにかく、撮影機材の準備をしようぜ」
侵入者「俺たちは ここを突入取材した最初のYouTuberになるんだ」
侵入者「動画を公開したらきっとバズるぜ」

〇立派な洋館
  お客さまたちは、わたしたちのお屋敷に、ずかずかと侵入した。
  手に持った眩しいライトで周囲を照らしている。

〇洋館の玄関ホール
侵入者「ライブ配信は無理そうだ 電波が届かない」
侵入者「録画だけして、あとで編集すればいいさ」
侵入者「そんなことより、なんだか変な匂いしないか?」
侵入者「何というか、生臭いような・・・」
侵入者「しかし、すげえ屋敷だな」
侵入者「高そうな絵とか、みんな残ってるぜ!」
侵入者「ほら・・・」
侵入者「不気味な絵ばっかりだな」
侵入者「値打ちのありそうな物は持って帰ろうぜ」
侵入者「きっと高く売れるぞ!」
侵入者「お前ら! そんなことはあとにしろよ!」
侵入者「撮影が先だ!」
侵入者「撮影が終わったら、運び出そう」
  やがて・・・・・・
  彼らが応接間へやって来た。

〇貴族の応接間
侵入者「あれっ あかりが灯ってる!」
侵入者「もしかして ここは廃墟じゃないのか?」
侵入者「見ろ!」
侵入者「人がいるぞ!」
侵入者「女だ! 髪の長い女が!」
令嬢「ようこそ。いらっしゃいませ」
令嬢「晩餐会の前に、まずはわたくしのピアノをご堪能くださいませ」
  お父さまの合図で・・・
  彼らをもてなす為に、わたしはピアノを弾き始める。

〇血しぶき
  『黒』を弾いたら・・・・・・
  お客さまたちの顔が黒くなり・・・
  体が腐りだした。
侵入者「うおっ!?」
侵入者「な、なんだ?」
侵入者「か、体が・・・・・・急に」
侵入者「顔を触ったら、ずるっと・・・・・・」
侵入者「腕が 俺の腕が!」
侵入者「顔がかゆい う、う」
侵入者「うわああああああぁぁぁ」
  『赤』を弾いたら・・・・・・
  苦悶する彼らの目から口から鼻から・・・
  真っ赤な血が噴き出した。
侵入者「ひいいいいいぃぃぃ」
侵入者「助けてくれぇぇぇぇぇぇ」

〇血しぶき
  曲の最後の一音の響きが消えた頃・・・
  あれほど騒がしかったお客さまたちは
  すっかり静かになっていた。
お父さま「さて、愛する我が子よ」
お父さま「ディナーの時間だよ」
令嬢「はい。お父さま・・・」

〇黒

〇森の中
令嬢「ごちそうさまでした 大変に美味な晩餐でございました」
令嬢「雨もすっかり上がったようです」

〇黒

次のエピソード:魔令嬢の晩餐(YouTube用)

コメント

  • こんばんは!
    まさに極上のホラーにお腹いっぱいです😭黒怖いなでも赤も怖い...踏み込むと出られない蜘蛛の巣のような城

    世界観も癖になります

  • 黒と赤の意味がわかった瞬間に戦慄が走りました!ディナーの御馳走=客人だったんですね。ゴシックテイストあふれる物語の雰囲気、独特の世界観に酔いしれました。

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