タコツボ大佐登場(脚本)
〇広い公園
ドンガメ3号中尉「タコツボ大佐 何とか地球についたようでっせ」
タコツボ大佐「そうみたいやな」
タコツボ大佐「結局地球にたどり着けたんはワシとお前の二名だけや」
ドンガメ3号中尉「そのようでんな」
ドンガメ3号中尉「ワタシら第一次偵察隊十三名」
〇宇宙空間
ドンガメ3号中尉「地球征服んための偵察の任務を帯び 故郷タツクリ星を出発」
タコツボ大佐「勇猛な精鋭部隊!」
タコツボ大佐「それを率いるタツクリ大佐!」
タコツボ大佐「カッコイイ~!」
ドンガメ3号中尉「そのワタシらを乗せた宇宙船コブマキ号のエンジン付近が何でなんか突然爆破」
タコツボ大佐「タコツボ大佐ピ~ンチ!」
タコツボ大佐「死なないでタコツボ大佐!」
ドンガメ3号中尉「で、ワタシらは五艘の救命艇に 分乗して脱出」
タコツボ大佐「間一髪セ~フ!」
ドンガメ3号中尉「結局地球にたどり着いたんは ワタシら二名を乗せた一艘のみ」
タコツボ大佐「果たして我らがタコツボ大佐の 運命やいかに!」
ドンガメ3号中尉「第二話へ続く!」
タコツボ大佐「いや、まだ第一話始まったばっかし」
〇広い公園
タコツボ大佐「まあ読者へのサービス精神あふれる状況説明はこれくらいにしといて」
タコツボ大佐「これからどうするかや」
タコツボ大佐「どないする ドンガメ3号中尉」
ドンガメ3号中尉「どないしまひょ」
タコツボ大佐「第二次偵察隊が地球に到着すんのは半年先や」
タコツボ大佐「その間ワシら地球に関する情報を集めなならんがその前に」
タコツボ大佐「腹へったな」
ドンガメ3号中尉「さいでんな」
タコツボ大佐「宇宙船脱出してからなんも食べとらんからな」
ドンガメ3号中尉「あわててて救命艇になんも食糧積まんで脱出しましたよってな」
タコツボ大佐「とりあえずその辺に生えてる植物でも食べてみるか」
ドンガメ3号中尉「でも毒でもあったらやばいんちゃいます?」
タコツボ大佐「もちろんお前が毒見役や」
ドンガメ3号中尉「え~!?何でワタシが?」
タコツボ大佐「上官の命令や 逆らったら軍法会議やど」
ドンガメ3号中尉「もう!いつもこんなん」
タコツボ大佐「文句たれとらんでさっさと食べんかい」
ドンガメ3号中尉「ほなこの辺の草でも」
ドンガメ3号中尉「苦ッ」
ドンガメ3号中尉「ダメです 苦うて食べられまへん」
タコツボ大佐「そうか 食べんでよかった」
タコツボ大佐「ワシ苦いの嫌いやねん」
ドンガメ3号中尉「ワタシも嫌いですよ 苦いの」
タコツボ大佐「あ、そう そりゃ大変やね」
ドンガメ3号中尉「大変や思うんなら毒見役変わってくださいよ」
タコツボ大佐「何で上官が部下に命令されなならんねん」
タコツボ大佐「部下の命令聞かなあかんのやったら 頑張って昇進した意味ないがな」
ドンガメ3号中尉「ほんならあんさん部下に毒見役やらせとうて昇進がんばらはったんかいな」
タコツボ大佐「やかましいっ」
タコツボ大佐「御託並べとらんとその辺に生えとるもん次々毒見していかんかい」
ドンガメ3号中尉「あっ!」
タコツボ大佐「なんや?」
ドンガメ3号中尉「なんかこっちに来まっせ」
タコツボ大佐「服着とるな」
ドンガメ3号中尉「知的生命体でっか?」
タコツボ大佐「みたいやな」
ドンガメ3号中尉「てことは地球人!」
タコツボ大佐「やばいな 隠れんと」
津田 薫(つだ かおる)「おい瑞樹、今見たか?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「見た 何か変なのがいたな」
津田 薫(つだ かおる)「向こうの方へ行ったぞ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「行ってみるか」
津田 薫(つだ かおる)「ああ」
〇荒れた公衆トイレ
津田 薫(つだ かおる)「確かこの辺に来たと思うんだけど」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「おい薫、あれ!」
津田 薫(つだ かおる)「あ、いた!」
タコツボ大佐「やばっ!めっかった!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「おい薫、聞いたか?しゃべったぞ」
津田 薫(つだ かおる)「ああ、聞いた 何だよこいつら」
津田 薫(つだ かおる)「お前ら何なんだ!」
タコツボ大佐「ま、まずい」
タコツボ大佐「あの、もしかしたらワタシらのこと」
タコツボ大佐「一見して地球侵略に来た宇宙人みたいに思うてるのかもしれまへんが」
タコツボ大佐「実はワタシちりめん問屋の隠居でタコエモンゆうもんでして」
ドンガメ3号中尉「ちりめん問屋?タコエモン?」
タコツボ大佐「いま諸国漫遊の途中でんねん」
ドンガメ3号中尉「諸国漫遊?」
タコツボ大佐「で隣におるのがお供のカメさん」
ドンガメ3号中尉「カメさん?」
タコツボ大佐「なっ、カメさん」
ドンガメ3号中尉「大佐、いきなり何ゆうてまんねん」
ドンガメ3号中尉「ワタシらタツクリ星の軍人やおまへんか」
ドンガメ3号中尉「あたっ!」
タコツボ大佐「なにゆうとんねん!」
タコツボ大佐「そんなほんまのことゆうたら」
タコツボ大佐「ワシら地球征服のため偵察に来た宇宙人やてばれてまうがな」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「薫、聞いたか?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「こいつら地球征服のため偵察に来た宇宙人なんだって」
津田 薫(つだ かおる)「てことは侵略者じゃん」
ドンガメ3号中尉「あたっ!」
タコツボ大佐「ほら見ろ!お前のせいでばれてもうたやないか」
ドンガメ3号中尉「そんな」
タコツボ大佐「せっかくのワシの迫真の名演技がワヤや」
タコツボ大佐「ええいっ!こうなったらしゃあない」
津田 薫(つだ かおる)「あっ、なんかおもちゃ取り出した」
タコツボ大佐「おもちゃやない!本物の銃や!」
タコツボ大佐「口封じや!お前ら二人には死んでもらう!」
タコツボ大佐「まずこっちのちっちゃい方からや!」
タコツボ大佐「くらえっ!」
津田 薫(つだ かおる)「おい、大丈夫か瑞樹!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「別に何とも」
タコツボ大佐「あれ?何で?」
ドンガメ3号中尉「銃、壊れてんのとちゃいます?」
タコツボ大佐「そんなはずないんやけど」
タコツボ大佐「じゃあドンガメ3号、一遍お前で試してみるわ」
ドンガメ3号中尉「な、なんでワタシ?」
タコツボ大佐「あ、こら逃げるな」
タコツボ大佐「上官の命令に背いたら軍法会議やど」
タコツボ大佐「くらえっ!」
ドンガメ3号中尉「あたたたたっ!」
ドンガメ3号中尉「無茶苦茶痛いやないですか!」
ドンガメ3号中尉「よけたんでかすっただけですんだけど命中してたら死んでましたがな!」
タコツボ大佐「どうも銃は壊れとらんみたいやな」
タコツボ大佐「まあええ こうなったら素手でやっつけたる」
タコツボ大佐「必殺タコ足パンチ!くらえっ!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「?」
津田 薫(つだ かおる)「瑞樹、大丈夫か?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「全然 痛くもかゆくもねえ」
タコツボ大佐「何やこいつ ワシのタコ足パンチ喰らってびくともせん」
タコツボ大佐「こうなりゃタコ足乱れ打ちだっ!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「なんかこいつウゼえ」
タコツボ大佐「あたたたたっ!」
ドンガメ3号中尉「大丈夫でっか、大佐!」
タコツボ大佐「無茶苦茶痛い」
ドンガメ3号中尉「もしかしたら地球人の体、ワタシらの体なんかより」
ドンガメ3号中尉「頑丈にできてんのとちゃいまっか?」
タコツボ大佐「そうかもしれん」
タコツボ大佐「銃もパンチも全く歯が立たんしな」
ドンガメ3号中尉「ワタシら地球征服できますかね?」
タコツボ大佐「無理かもしれん」
ドンガメ3号中尉「どないしまひょ?」
タコツボ大佐「とりあえずここはひとまず逃げるぞ」
ドンガメ3号中尉「さいでんな」
津田 薫(つだ かおる)「あ、逃げた!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「薫、追っかけるぞ!」
津田 薫(つだ かおる)「おお!」
〇公園の入り口
ドンガメ3号中尉「追っかけてきますよ」
タコツボ大佐「はあはあ、あかん、もうだめや」
タコツボ大佐「腹へって走れん」
ドンガメ3号中尉「ワタシもです」
津田 薫(つだ かおる)「追いついた!」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「こいつらもうへばってんじゃん」
タコツボ大佐「あかん、殺される」
ドンガメ3号中尉「まだ死にたくないですよ」
タコツボ大佐「ワシかて同じや」
ドンガメ3号中尉「死ぬ前に旨いもん腹一杯食べたかった」
タコツボ大佐「ワシもや」
「腹へった~」
津田 薫(つだ かおる)「こいつら腹へってるみたいだぞ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「みたいだな」
津田 薫(つだ かおる)「瑞樹 お前んちで何か食べさせてやったら?」
津田 薫(つだ かおる)「お前んち食堂じゃん」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「ああ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「おい、お前ら、俺んちでなんか食べるか?」
「え?」
タコツボ大佐「食べるもんあるのか?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「ああ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「俺のじいちゃん食堂やってんだ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「母ちゃんもそこ手伝ってる」
ドンガメ3号中尉「どないしまひょ」
タコツボ大佐「食べれるんなら行ってみよか」
ドンガメ3号中尉「でも毒とか入れられたりしまへんか?」
タコツボ大佐「もちろんお前が毒見役や」
ドンガメ3号中尉「結局それかい」
〇カウンター席
相庭 瑞樹(あいば みずき)「ただいま」
相庭 千菜(あいば ちな)「こら瑞樹、店に入っちゃダメっていつも言ってるでしょ」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「違うって」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「客連れてきたんだよ」
相庭 千菜(あいば ちな)「客?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「おい、入れよ」
「どうもお邪魔します」
相庭 千菜(あいば ちな)「え?何?」
客001「おい、着ぐるみ来たのが入ってきたぞ」
客002「近くでイベントでもあるのか?」
相庭 千菜(あいば ちな)「何?この変なのは」
「変なの?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「こいつら宇宙人なんだ」
相庭 千菜(あいば ちな)「宇宙人?」
タコツボ大佐「さいでんねん」
タコツボ大佐「ワシ、タツクリ星の軍人でタコツボいいます」
ドンガメ3号中尉「ちりめん問屋の隠居のタコエモンやないです」
タコツボ大佐「やかましい」
タコツボ大佐「で、となりが部下のドンガメ3号中尉」
ドンガメ3号中尉「お供のカメさんやおまへん」
タコツボ大佐「ええ加減せえ」
相庭 千菜(あいば ちな)「ねえ、ちょっと、お父ちゃん」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「どうした?」
相庭 千菜(あいば ちな)「変なのが来たの」
「変なの?」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「確かに変なのだな」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「じいちゃん、こいつら宇宙人なんだ」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「宇宙人?」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「腹へってんだって」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「なんか食べさせてやってよ」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「何が食べたい?」
タコツボ大佐「え~と、じゃあ」
タコツボ大佐「あれを」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「カレーか」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「そっちの雪ダルマみたいのは?」
ドンガメ3号中尉「ああ、ワタシも同じもんで」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「分かった」
相庭 千菜(あいば ちな)「瑞樹、あんた宿題あるんでしょ」
相庭 千菜(あいば ちな)「やっといで」
相庭 瑞樹(あいば みずき)「うん、分かった」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「できたぞ、カレーだ」
「おお」
ドンガメ3号中尉「ええ匂いでんな」
タコツボ大佐「うん」
タコツボ大佐「ほら毒見役」
ドンガメ3号中尉「分かってまんがな」
ドンガメ3号中尉「それじゃあ」
タコツボ大佐「どや?」
ドンガメ3号中尉「旨い!」
ドンガメ3号中尉「無茶苦茶旨いでっせ!」
タコツボ大佐「苦しなったりせんか?」
ドンガメ3号中尉「全く」
タコツボ大佐「毒は入っとらんようやな」
タコツボ大佐「ほんならワシも」
タコツボ大佐「旨い!」
ドンガメ3号中尉「でしょ」
タコツボ大佐「こんな旨いもん初めて食うた」
タコツボ大佐「地球には他にも色々旨いもんあるのちゃうか?」
ドンガメ3号中尉「かもしれまへんな」
タコツボ大佐「ええこと思いついた!」
ドンガメ3号中尉「何です?」
タコツボ大佐「タツクリ星で地球の料理出す店開いたら繁盛すんのちゃうか?」
ドンガメ3号中尉「そりゃ儲かりまっせ」
タコツボ大佐「いずれチェーン展開してな」
タコツボ大佐「そしたら億万長者や」
タコツボ大佐「二人で始めんか?除隊して」
ドンガメ3号中尉「でも作り方わかりまへんで」
ドンガメ3号中尉「材料も揃えなならんし」
タコツボ大佐「色々調べなならんな」
タコツボ大佐「ふう、食った食った」
ドンガメ3号中尉「旨かったでんな」
タコツボ大佐「腹一杯なったことやし」
タコツボ大佐「これから救命艇に戻って二人で商売の計画練るで」
ドンガメ3号中尉「そうしまひょ」
「ほなご馳走様でした」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「ちょっと待った」
「?」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「勘定は?」
「勘定?」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「カネだよ、カネ」
タコツボ大佐「カネとるんか?」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「当たり前だ!」
タコツボ大佐「地球人ケチ臭いな」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「何!」
タコツボ大佐「お腹すかした可哀そうな宇宙人援けよ思うて無料でご馳走したんちゃうんかい」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「こっちは商売でやってんだ!」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「カネとるのは当然だろ!」
ドンガメ3号中尉「ほんなん持ってまへんで」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「無銭飲食する気か!」
タコツボ大佐「無いもんは仕方ないがな」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「カネがないならウチで働いて返せ!」
タコツボ大佐「ほんな」
ドンガメ3号中尉「どないしまひょ」
タコツボ大佐「ん?待てよ!」
タコツボ大佐「こりゃチャンスや!」
ドンガメ3号中尉「え?」
タコツボ大佐「ここで働きゃ料理のレシピや材料の調達先調べられるがな」
ドンガメ3号中尉「さいでんな」
タコツボ大佐「分かりました大将、ここで働かせてもらいます」
梅田 茂利(うめだ しげとし)「そうか」
タコツボ大佐「用があるなら何でも言いつけてください」
タコツボ大佐「全部こいつにやらせますから」
ドンガメ3号中尉「結局それかい!」
どんな見た目でもどんな状況でも全てを無にする関西弁パワー。恐るべし関西弁。この際、宇宙全体の共通語にしてしまえば、宇宙平和の実現も夢じゃないかもですね。
この2人のコテコテ関西弁が読んでいてとても親近感で、喋っている想像がすぐに出来ました😁
案外小学生にやられちゃう程度の強さだったのが面白かったです😂
シェフ、お金払わせるなんてシビアだなと一瞬思ったけれど、そう見せかけて修行してあげようとしてるのかな?と思っちゃいました😊
ドンガメ3号が可愛すぎる。笑
2人で漫才やってるんだけど、日本側みんな許容範囲広すぎて、何事も起こらないの好き。おじいちゃん雇ってあげるなんて太っ腹!