取り混ぜファミリア

柩刀 斂

家族 とは で 検索(脚本)

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〇見晴らしのいい公園
  ────『家族とは何か』
  それを今の僕のような歳の子供が考えるには
  
  早過ぎたんだと思う
  ──何も思い出せない。
  ただわかるのは、
  
  僕は生きていないということだけだった。
  何もないのに、
  天国とやらの行き方すら知らなかった。
  自動で転送されたり天使に運ばれるもの
  ではないらしい。
  お母さんは、お父さんは・・・──
  何もない。思い出せない。
  家族・・・家族って、何だろう・・・?
  そう、早過ぎたのだと思う────・・・
  
  
  
  ・・・自分の歳も知らないけど。
LU-37「過去のファムシティに到着しました。 LU-37.自我、異常なし」
  ──!?
LU-37「驚愕。半透明な少年を発見。 過去にはそんな文明があったのですか? 検索──データなし」
  ロボット?何か変な女の人出てきた。
  これが僕を天国に連れて行くのだろうか。
  
  不安。
LU-37「質疑。貴方は誰ですか?応答せよ」
???「・・・わからない。 覚えてないんだ」
LU-37「記憶回路異常、外部から復帰を試みます。失敗。接続デキマセン」
???「当たり前だね」
LU-37「過去とはこんなにも不便なのですか!」
???「お姉さんは誰? 何で此処に来たの? 未来の人なの?」
LU-37「私はLU-37 1500年後の未来より来た人工生命体です」
???「えるゆう・・・さんなな? んと、える・・・る・・・ ルミナさん」
LU-37「名前の変更は不可能です マスターのみが変更可能デス」
???「だってわかんないし 何か呼びづらいから」
LU-37「愛称として記憶します ──・・・完了しましタ」
LU-37「質疑。貴方は何故半透明なのですか」
???「身体がないから? 僕、死んでるんだ」
LU-37「身体が無くなると半透明になるのですね データに書き加えます。お待ちください」
???「・・・普通の人は見えないんだよ、 お姉さん」
LU-37「見えない?私には見えています。 何故?理解不能。 身体を作成しますか?」
???「出来るの!?」
LU-37「私には3Dプリンタが隠しコマンドで搭載されています」
???「3Dプリンタで人体錬成出来る時代・・・」
LU-37「この時代ではなく、正確には1500年後ですね」
???「あ、うん」
LU-37「では、先程のお礼に貴方にも愛称を。 ────朔、で如何でしょうか」
???「朔・・・ 意外にロマンチストなんだね」
LU-37「そこにいるのに見えないという意味です」
???「辛辣」
LU-37「では、作成開始します。 完成したら速やかにお入りください」
LU-37「完了しまシタ。状態は如何ですか。 報告せよ」
朔「すごい、チートスキル過ぎる」
LU-37「チートはしていません。 不服を訴えます」
朔「あ、はいすみません」
朔「でも、僕は生まれ変わったんだね。 てことは、ルミナさんがお母さんだ」
LU-37「母とは・・・──── お腹を痛めて産んだ者の名称。 私はお腹を痛めていません」
朔「そういうのわからないけど、 身体を作ってもらったならお母さんだよ!」
LU-37「身体を作ったら母・・・ つまり、私の母はマスター?」
朔「や、知らないけど」
LU-37「辛辣は貴方では?」
  ──────・・・・・・
LU-37「・・・家族を 手に入れたということでしょうか?」
朔「!! 僕にお母さんができた!!」
朔「ありがとうルミナさん。 よろしくねお母さん!」
LU-37「マスター。私に息子が出来ました。 メッセージを送信しました」
LU-37「返事がない。 既読になりません。 マスター、応答せよ。マスター」
LU-37「接続不能。 困りました。これでは未来に帰れまセン」
朔「僕のせいかな? 一緒に探すよ、帰る方法」
LU-37「いえ。そもそも、私は家族とは何かという疑問のために此処へ来たのです。 見つけるまで帰るなということかもしれません」
朔「家族とは何か・・・?」
朔「僕と同じだね。 僕も知りたいんだ」
LU-37「では・・・ 探しましょうか。解答を」

〇高層マンションの一室
朔「母さん、父さん。おはよう」
LU-37「おはようございます。朔。 今朝の起動はスムーズでしたね」
???「おはよう、朔。 今日の地球は空気の純度が高いな」
朔「おは・・・・・・・・・・・・」
  ・・・
朔「いや誰」
朔「さっき何故か父さんって呼んだけど誰」
???「気にするな。父だよ息子」
朔「気にするよ!!! 息子じゃないよ誰だよ自称父!!」
朔「それに謎のイケメンでも 何でレオタード!?」
朔「嫌だよレオタード父!」
朔「10年くらい前倒しでグレる宣言する!!」
LU-37「昨夜、朔が寝てから 唐突に窓の外が光り輝き・・・ 気付いたら侵入していました」
朔「侵入を許さないで!?」
  気付かれてしまったか・・・
  
  すまない。
  今脳内に直接語りかけている。
  私はオールトの雲の向こう
  𒀧𒀎𒀛𒁍𒁳という惑星から来た。
  𒀲𒀶𒄈𒈨𒈝という。
朔「何て??」
  地球人にはまだ見つかっていない惑星だ。
  どうか内密で頼む。
朔「言えないよ大丈夫・・・ 発音的な意味で」
LU-37「𒀧𒀎𒀛𒁍𒁳惑星の 𒀲𒀶𒄈𒈨𒈝 ですね。記憶」
朔「何で言えるの??」
朔「もういいよ、えっと ぴ・・・ふぉ・・・・・・ いや、ふぁ・・・?? ふぁぴこ」
LU-37「記憶」
  私は侵略に来た訳ではない。
  ただ、我が母星と地球で違う意味を成す、
  言葉の意味を知りたいだけだ。
  君たちが昨日その言葉を繰り返しているのを
  聞いてしまった。
  だから、仲間に入れてほしい。
  家族・・・
  
  そう、家族とは、何か
朔「ふぁぴこも家族が知りたいんだ」
朔「そういうことなら、わかったよ 父さん」
LU-37「つまり、私とこのレオタード男が夫婦だと?」
朔「あ、そういうことになるね」
ふぁぴこ「じゅてーむ」
LU-37「お断りします」
朔「で、何でその顔でレオタードなの」
ふぁぴこ「顔は女性が読んでいる雑誌からコピペした。 服は銀河の星々のようで美しかった」
朔「コピペ」
朔「っていうかずっと気になってたんだけど ツッコんでいい?」
LU-37「どうぞ」
朔「何この高そうな部屋!? どうしたの!?」
LU-37「データを書き換えました」
朔「犯罪の匂いがする!!」
LU-37「問題ありません。嘘です」
朔「いきなり嘘言う人だと思わなかった・・・」
LU-37「この時代の金銭であればコピー可能です」
朔「やっぱりそこはかとなく犯罪の香り!!」
LU-37「嘘です。 マスターからお小遣いを貰っています。 その時代の物に変換可能です」
朔「どうしよう母の心がわかりません」
朔「でも契約って色々、身分証明とか・・・」
LU-37「私はここにいます」
朔「存在証明じゃなくて」
LU-37「問題ありません。マスターが購入していた部屋です」
朔「1500年前のマンションの1室を買えるマスターとは」
ふぁぴこ「俺にも任せてくれ。 宇宙人は地球に入り込むために色々なことが出来る」
朔「例えば」
ふぁぴこ「葉っぱを金に変えられる」
朔「タヌキかな?」
???「この星のタヌキはそんなことが可能なのか」
朔「違うそうじゃない」
朔「まあいいや」
朔「あのね、思い出したんだ 近所のおばさんが言うには 【家族】なら旅行くらいするわよねーって」
LU-37「旅行ですか」
LU-37「私はすでに1人でしています」
朔「時間旅行じゃなくて」
???「星間ならしているが」
朔「何か多分違う」
「・・・???」
朔「僕が悪いのかな・・・」

〇走る列車
  ──────まもなく発車します
  お立ちのお客様は吊革にお掴まりください
  
  ドアが閉まります

〇旅館の和室
  と、言う訳で
  
  (マスターのお金で)来た。
  
  けど。
朔「どうしよ・・・」
LU-37「解答不可。 検索──理解不能」
朔「何を検索したの」
LU-37「家族 旅行 やること」
朔「暇に暇を持て余したニートみたいな 検索ワードだった」
ふぁぴこ「宇宙では地球のゲームをやる」
朔「地球の?」
ふぁぴこ「これに鉛を詰めてスイッチを押すだけだ」
朔「や ら な い よ ! !」
朔「ていうか銃刀法!!! 早くしまって出さないで!!」
ふぁぴこ「友達が腕を6本くらい失ってな 面白かったんだが」
朔「腕は2本しかないよ人間は ふぁぴこの元の姿どんなんだよ」
朔「もういいよ」
朔「景色見たり遊んだり 写真撮ったり お土産買ったりするの」
ふぁぴこ「それ楽しいのか」
朔「地球人はね」
LU-37「写真を撮ると魂が抜かれるという伝説があったと聞いています」
朔「それもっと大昔のやつね!? あと伝説違うからね!?」
LU-37「朔が魂だったのはまさか──────・・・!!」
朔「死因じゃないよ!?」
LU-37「ミステリー・・・」
朔「とにかく景色の良いところ見に行こう。 きっと何かわかるはず」
ふぁぴこ「わかった。 地球人である朔の言葉なら信じよう」

〇睡蓮の花園
  鳥の鳴き声と、陽の暖かな光
  もし天国に行ってたら
  こんな景色だったのかな
朔「すごい!!キレイだね、母さん!父さん!」
LU-37「はい。睡蓮が咲いて水が透き通っていてすごいと思いました」
朔「小並感」
ふぁぴこ「コールドスリープで宇宙に持って帰って良いかな!?」
朔「侵略認定」
LU-37「では、写真を撮りましょう」
朔「カメラあったの? 写真どうやって撮ったの? ねえ」
LU-37「立ち位置、表情など動きを把握し 別のアングルからどう見えるか計算、 映像化出来ます」
朔「すっげー未来」
ふぁぴこ「それなら宇宙の文明でも出来るぞ」
朔「張り合わなくて良いから」
朔「ねえここは何ていう所なの?」
LU-37「検索──────── ヒットしました」
LU-37「【極楽浄土】です」
朔「うん、着いた時に思ったりもしたけどさ」
朔「それ絶対違うね?」
朔「よし、お土産買って帰ろう!」

〇旅館の受付
ふぁぴこ「窯地獄はどうだった?朔」
朔「窯地獄」
朔「お 風 呂 !! 気持ち良かった!」
ふぁぴこ「そうだな とてもいい窯地獄だった」
朔「とてもいい窯地獄」
旅館のスタッフ「あらー坊や パパと温泉? 良いわねぇー!」
旅館のスタッフ「ゆっくりしてくのよぉー!」
朔「パパ・・・ふぁぴこ・・・ パ・・・ いけない・・・これ以上は・・・」
LU-37「アイスでも食べますか?」
朔「心を!!」
朔「読まないで!!」
LU-37「温泉の後はコーヒー牛乳かアイスがルーティンだとマスターから聞いています」
朔「そうだけどそうじゃなくて ていうか1500年後なのに マスターわかってるな!?」
ふぁぴこ「見てくれ朔 鳥の雛が詰め込まれているらしい」
朔「ひよこ饅頭ね!?」
朔「雛本物じゃないからね!?」
ふぁぴこ「なんだ違うのか・・・」
朔「どんだけ落ち込むの!?」
朔「ふぁぴこ本気で地球人に溶け込む気ある?? ないよね??」
ふぁぴこ「溶けることは出来るぞ」
朔「物理」
LU-37「スリープモードに移行します」
朔「ロボットじゃないんだよね!?」
LU-37「眠いだけです」
朔「最初からそう言って」
LU-37「おふとんに移行します」
朔「ちょっと可愛いけど!!」
ふぁぴこ「おふとんに行こう」
朔「ダジャレかな 可愛くないよ」
ふぁぴこ「理不尽」
朔「当たり前だね」

〇海岸沿いの駅
朔「あー もう帰るのかぁ」
ふぁぴこ「地球人の家族とは面白いな」
LU-37「これが家族────── なのでしょうか?」
朔「・・・わかんない」
朔「わかんない、けど 初めて『楽しい』って思った ・・・かも」
朔「生前覚えてないけど」
ふぁぴこ「ならば」
ふぁぴこ「良いのではなかろうか」
朔「良いのかな」
朔「・・・成仏しないで留まって挙句身体を不正に入手して生を謳歌するなんて神様的にはどうなんだろ・・・」
LU-37「訂正求む。不正ではありません。 技術と言ってください」
朔「ごめん でも本来あの場にはなかった技術を 使ってるし」
ふぁぴこ「宇宙にはあるぞ」
朔「地球にはまだないんだよ 漫画の中だけなんだよ」
ふぁぴこ「ないから駄目なのか?」
朔「ん?いや、だめ・・・でも・・・ あれ?? どうなんだろ??わかんないウワーーーー」
LU-37「静粛に」
LU-37「それを言ったら私が未来から来てるのも ふぁぴこが宇宙から来ているのも 悪です」
LU-37「この時代に技術がないのはみんな同じです ならば、 みんなで神様とやらに 謝罪しとけば良いのです」
朔「みんなで・・・」
ふぁぴこ「じゃあ謝りに神社に行こう」
朔「運命共同体・・・?」

〇神社の本殿
朔「えっと」
ふぁぴこ「神様タノモー」
朔「神への態度じゃないよね」
LU-37「全てを見通されている神様でしたら 恐らくご存知です」
朔「あ、そうだよね」
LU-37「まあ此処にいらっしゃるのが見通す力をお持ちかは存じ上げませんが?」
朔「めっちゃ煽るね」
ふぁぴこ「じゃあ せーのでいk」
LU-37「申し訳ありません」
朔「すごいフライング」
ふぁぴこ「オブジェクトか? ヒューマノイドか?」
朔「一瞬わかんなかったよ UFOでもUMAでもなくて」
ふぁぴこ「今の猫はなんだ」
朔「猫?神社なら猫くらいいるんじゃない?」
朔「ルミナさん 一緒に言うの」
LU-37「把握」
  1礼、2拍手
  
  半歩前・・・
朔「せーの」
「神様ごめんなさい!」
朔「もうちょっとこの身体で生きてみたいです 宜しくお願いします」
ふぁぴこ「侵略ではなく勉強で来ました お願いします」
LU-37「過去を書き換えるつもりはないのですが 家族を知るために朔だけください」
朔「ルミナさん」
LU-37「本当は過去に来るのは禁じられていますが 宜しくお願いします」
朔「・・・え?」
LU-37「マスターが バレなきゃ良いんだよ★ と」
朔「マスター!!!!!」
  ──────・・・
朔「────・・・でも」
朔「ルミナさんが来たから 僕生きてられるし」
朔「来てくれてありがとう」
朔「家族って・・・きっと良いものなんだ」
朔「家族が出来て・・・嬉しかった ふぁぴこも・・・ありがとう」
「・・・・・・・・・!?」
LU-37「朔 待ちなさい」
ふぁぴこ「朔!」
朔「え、何? 何か光って・・・」
LU-37「朔 凍結!!!」
朔「──────ビックリした! 何!?」
LU-37「・・・それ以上考えてはだめです 現世に留まっていた理由が家族なら 多分成仏してしまう」
朔「え、あ、ビックリした 氷魔法使えるのかと思った」
LU-37「凍結すれば先を言えなくなるので」
朔「青い鳥じゃないよ」
LU-37「朔。貴方がいなくなったら、」
LU-37「────── 誰がふぁぴこにツッコミ入れるのです」
朔「自分はツッコミいらないとでも 言いたそうだけど一番のボケは ルミナさんだからね」
ふぁぴこ「ボケてなどいないぞ」
朔「地球人から見たふぁぴこは 大ボケクソ野郎だよ」
ふぁぴこ「辛辣で草」
朔「──・・・でも、そうか 未練なんてないと思ってたよ」
朔「僕は家族が欲しかったんだ」
朔「このままじゃ未練増えてっちゃうなぁ」
朔「ルミナさんと ふぁぴこと もっと家族したいよ」
LU-37「はい」
ふぁぴこ「俺もだ」

コメント

  • とんでもない設定の3人が集まったのにのほほんとした物語で、楽しく拝読させていただきました!
    朔の辛辣なツッコミめっちゃ笑いました🤣🤣🤣朔だけやたら忙しい…… 朔が成仏したら収集つかなくなる〜と思ったので成仏しなくて良かったです😂

  • 時間や空間を超えたロボットや宇宙人にとっても家族は不可解なものなんですね。「家族がわからない」と言ってる本人たちがどんどん仲良し家族になっていく展開に和みました。朔くんが成仏しそうになった時、ボケ二人が残されたらどうしようとハラハラしちゃいました。

  • 朔の辛辣で塩対応なツッコミが面白かったです!😆
    あと、ふぁぴこさんのあの文字どうやって出したですか???😆

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