天涯孤独の麻雀打ち、パパになる!?

めぐる

天涯孤独の麻雀打ち、パパになる!?(脚本)

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  「代打ち」とは──
  主に個人や組織の代理として、賭け麻雀をする者のことをいう

〇殺風景な部屋
タクミ「おっと、それはロンだな」
  なっ・・・!!
タクミ「リーチ一発チートイドラ2・・・裏2 24000。トビだ」
  ・・・・・・っ

〇薄暗い廊下
  お疲れさん。今日の報酬だ
タクミ「あざっす」
  あぁ!?払えないだと!?
  どうなるかわかってんのかテメェ!!
  す・・・すみません!すみません!!
  必ずなんとかしますから・・・
タクミ「・・・・・・」

〇古いアパート
謎の女「こいつのせいで、夫は・・・・・・」
謎の女「返して・・・ 夫を、返してよーーー!!!」

〇古いアパート
大家「何者か知らんが、君みたいな人をこれ以上住まわせておくわけにはいかない」
大家「すぐに、出ていってくれ!!」
タクミ「・・・わかりました」

〇スーパーの店内
タクミ(はぁー、しばらく漫画喫茶に寝泊まりかな)
  わぁぁぁぁん!!!
男「あぁもう、うっせぇなー! 行くぞ!」
アリス「うわぁーーーん!! いや、いやーーー!!!」
女性「・・・ねぇ、あの子あんなに泣いてるけど、大丈夫かしら?」
女性「本当に親子? まさか、連れ去りとかじゃないわよねぇ?」
アリス「パパーーー!!!」
タクミ(えっ、俺!?)
男「何言ってんだ!ほら、早く家帰るぞ!!」
順子「アリス!!」
アリス「ママ!!」
男「・・・チッ」
  その男つかまえてー!誘拐犯よ!!
  誰か、警察に連絡を!!

〇スーパーの店内
順子「えっ・・・ タクミくん!?」
タクミ(!?なんで俺の名前知って・・・)
タクミ「いや、人違いっす」
順子「今までどこ行ってたのよ!? 私もアリスも、心配してたんだから!!」
タクミ「いや、だから人違いなんで。 それじゃお気をつけて」
順子「そんなに家庭が居心地悪かったの!?」
順子「何も言わずに出て行って、連絡もよこさないで。私たちがどんな気持ちでいたか・・・」
順子「ねぇ、ちゃんとお家帰って話し合おう?」
女性「なに、今度は夫婦喧嘩?」
女性「あの男の人、女の子にパパって言われてたわよね?」
タクミ(はぁー・・・面倒くせぇ)

〇綺麗なダイニング
順子「ごはんできたよー!」
アリス「わぁーい♪」
順子「今日は、アリスとタクミくんが好きなオムライスだよ〜」
タクミ(いや、俺ここ数年オムライスなんて食べてねぇし!)
  どうやら、俺と同じ名前のこの家の夫「タクミ」は、半年前に失踪したらしい
タクミ「何度も言ってますが、本当に、人違いなんで・・・」
順子「どうしたの? 頭でも打っておかしくなっちゃった?」
順子「まさか、記憶喪失!? 大変!一度病院行って診てもらおう」
タクミ「いや、あの・・・」
順子「そういえばタクミくん、仕事は続けてるの?」
タクミ「え?あぁ」
順子「そっか!じゃあ明日も仕事よね お風呂用意してくる♪」
タクミ(そっか、明日仕事行くふりして、そのまま逃げれば良いんだな)

〇豪華なベッドルーム
タクミ(そういえば、家探しどうするかなぁ)
タクミ(最近審査もどんどん厳しくなって、いくら金持ってても、無職だと断られるんだよな・・・)
タクミ(いっそ夫のふりしてここに・・・)
タクミ(・・・いやいや)

〇古いアパート

〇豪華なベッドルーム
  代打ちを始めてから、特定の人との関わりは一切持たないと決めた
  どこからか俺のことを嗅ぎつけ、逆恨みで命を狙ってくる奴らもいる
  前のアパートを追い出されたのも、それが原因だ

〇古いアパート
  こいつのせいで、夫は・・・・・・
  返して・・・
  夫を、返してよーーー!!!

〇豪華なベッドルーム
タクミ(・・・馬鹿な。 負けるのが悪いんだろ?)
タクミ(とりあえず明日家を出たら、しばらくこの街には近づかないでおこう)
タクミ(・・・確かに、ちょっと似てるな・・・)

〇シックな玄関
アリス「いってきまーす!」
順子「こんなふうに二人を見送るの、いつぶりだろう・・・」
順子「タクミくんが無事で本当に良かった!」
タクミ「あぁ・・・」
順子「それじゃ、気をつけて行ってらっしゃい」

〇住宅街
アリス「パパ!」
アリス「・・・・・・じゃないよね」
タクミ「えっ!?」
アリス「えへへっ ごめん、おじさんパパにそっくりだったから、アリス間違えちゃった!」
アリス「パパは・・・もういないんだ」
タクミ「えっ・・・」
アリス「昨日、ママがあんなこと言ってごめんね」
アリス「頭がおかしくなっちゃったのは、ママの方なの」
タクミ「い、いや、そんな・・・」
アリス「あっ、学校着いたー!」
アリス「えーっと・・・それじゃあ、バイバイ、おじさん」
タクミ「あぁ」
タクミ「・・・そうだ!」
アリス「うん?どうしたの?」
タクミ「オムライス美味かった。ありがとう」
アリス「でしょーっ♪ ママのお料理の中で一番好きなの!」
タクミ「それじゃあ、な」
謎の男「ふぅん・・・なるほど」
謎の男「まさか、家族がいるとはな」

〇パチンコ店
タクミ(お、5連チャンか。調子いいな)
タクミ「・・・はい」
  お前、昨日小さな女の子と30代くらいの女性といなかったか?
  ・・・嗅ぎ回っている奴らがいる。気をつけろ
タクミ「あぁ、わかった」
タクミ(やはり、なんだか嫌な予感がしていた。 ここに残っていて良かった)
  ・・・えっお客さん!大当たり中だけどいいの!?

〇住宅街
アリス「どーはどーなつーのどー♪ れーはレモンのれー♪」
アリス「・・・!?」
謎の男「お嬢ちゃん、ちょっと来てもらおうか」
謎の男「手荒な真似はするなよ」
アリス「う・・・う・・・」
アリス「パパーーー!!!」
タクミ「やめろ、その子は関係ない」
アリス「・・・パパ!」
謎の男「出たな!!」
謎の男「おとなしく着いて来てもらおう。そうすればこの子に危害は・・・」
謎の男「なっ・・・なんでこんなところに、サツが!?」
謎の男「チッ、一旦ずらかるぞ」
タクミ「・・・大丈夫か?」
アリス「うっ・・・」
アリス「うわぁぁーーーん!!」
タクミ「よしよし。怖かったな。 とりあえず、家に帰ろう。な?」

〇シックな玄関
アリス「ただいまー」
順子「あら、一緒だったの?おかえりー」
タクミ(結局、戻ってきてしまった・・・ しかし放っておくわけにもいかないしなぁ)
順子「そういえば、今日変な人たちが家に来たのよ」
タクミ「えっ!?」
順子「ドアは開けなかったけど・・・ サングラスして、なんか怪しい2人組だったわ」
タクミ(あいつらか・・・ ふざけんな!!関係ないこの人たちまで巻き込んで)
タクミ「大丈夫だ」
タクミ「俺が守る」
順子「・・・えっ?」
アリス「・・・パパ、ごはん食べよー! アリスおなかすいちゃった!」
順子「そうね。今日はカレーだよ〜♪」

  果たしてタクミは、順子とアリスを守り、「普通」の家族を演じることができるのか──?

コメント

  • 少し危険な香りがしつつも、心根は優しい代打ち稼業のタクミという人物が魅力的です。そんな一匹狼のタクミと訳あり母娘との出会いですか。このまま実写化でドラマにしても見応えありそうな設定でワクワクしますね。

  • 代打ちときいたので、一瞬本格麻雀作品かとも思いましたが。
    家族?に危険が迫っていますが、代打ちで鍛えた勘と度胸で果たしてピンチを切り抜けられるかどうか…

  • 何かの間違いではあるかもしれないけど、なんとなくこの三人で本当の家族になったらいいのになあと思わされました。タクミさんは、心優しい男性なんだと信じたいです。

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