ひまわりの神サマ

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ひまわりの神サマ(脚本)

ひまわりの神サマ

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ひまわりの神サマ
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〇幻想空間
  まだ
  
  君が僕を
  
  求めて(信じて)くれるならば・・・
  僕は
  
  君の神サマでいられるから・・・

〇土手
ひまわりのお父さん「ひまわり・・・ 人は亡くなったら・・・ 【お花の神さま】になれるんだよ」
ひまわり「おはなのかみさま?」
ひまわりのお父さん「うん。 だから・・・ 父さんがいなくなっても大丈夫」
ひまわりのお父さん「ひまわりの側で・・・ 【ひまわり】になって・・・ いつまでも見守っているからね」

〇川沿いの道
日下ひまわり(ん〜、どうしようかな・・・)
日下ひまわり(・・・誰かに頼む? んー、でも・・・)
日下ひまわり(丸野くんは・・・もう結婚しちゃったし・・・ 稲本くんは・・・お芝居苦手そうで・・・頼れないし・・・)
日下ひまわり「・・・誰かいないかな・・・」
日下ひまわり「そうだ♪ こんな時は・・・!」

〇お花屋さん
日下ひまわり「向日葵、ください!」
花守ミカ「日下ちゃん! いらっしゃい♪ 一本で、いいの?」
日下ひまわり「花守さん!こんにちは! はい! 一本ください!」
花守ミカ「何なに? また【お願い事】?」
日下ひまわり「えへへ! はい! お花には【神さま】が宿ってますから!」
花守ミカ「うん。うん! いるよ〜!神サマ!!」
花守ミカ「って事で、僕からのサービス♪ おつとめ品だけど・・・ もう一輪、向日葵付けちゃう! いつも買ってくれて、ありがとう!」
日下ひまわり「わー!いいんですか!?」
花守ミカ「いいよー! で? 何を願ったの? お兄さんに話してよ?」
日下ひまわり「・・・実は・・・ 今度、実家に帰るんですが・・・」
花守ミカ「うん。うん」
日下ひまわり「・・・おばあちゃんが・・・ そろそろ彼氏の1人や2人を紹介してくれって うるさくて・・・」
花守ミカ「うん。うん」
日下ひまわり「前に彼氏代理を頼んだ職場の人も・・・ もう頼れなくて・・・ 誰か代わりになる人が見つかりますようにって・・・」
花守ミカ「なぁんだ! そう言う事なら、早く言ってよー!」
日下ひまわり「えっ?」
花守ミカ「向日葵に願うまでもないよ? お願い事がもったいないから・・・ その悩み! 僕が解決してあげるよ!」
日下ひまわり「???」
花守ミカ「日下ちゃんが嫌で無ければ・・・ 僕が彼氏代理になってあげようか?」
日下ひまわり「えっ! えぇぇえー!!!!」
花守ミカ「嫌じゃなければ・・・だけどね?」
日下ひまわり「い、いいんですかっ!?」
花守ミカ「うん。いいよ!」
日下ひまわり「じゃ、じゃあ! お願いしますっっ!!」
花守ミカ「うん!よろしく! 僕の事は、ミカって呼んでくれて構わないから♪」
日下ひまわり「あ、じゃあ・・・私の事もひまわりって呼んでください!」
日下ひまわり「ん?」
日下ひまわり「あ! ウワサをすれば・・・おばあちゃんからだ!」
日下ひまわり「えーと・・・なになに・・・?」
  今度、帰って来る時は・・・彼氏さんと一緒に来ても大丈夫だからね!
  ばあちゃん、張り切ってご馳走作って待ってるから!
日下ひまわり「・・・圧が・・・強い・・・!」
花守ミカ「どうしたの?」
日下ひまわり「いや・・・なんか・・・帰省の時に・・・彼氏を連れて帰って来いって・・・」
花守ミカ「家帰る予定は、いつなの?」
日下ひまわり「今度の祝日です・・・」
花守ミカ「・・・あ・・・その日ならたまたま連休で空いてるから・・・付いて行けるよ?」
日下ひまわり「えっ!? そこまでっ! そこまでしてもらわなくてもっ!!」
花守ミカ「・・・あ、迷惑だった・・・?」
日下ひまわり「いや! こちらの方が迷惑かけてますしっ!」
花守ミカ「僕の方は・・・全然迷惑じゃないから・・・。 嫌じゃなかったら・・・付いて行ってもいいかな?」

〇大きな一軒家
  ・・・という事で・・・
日下ひまわり「おばあちゃん! ただいまー!」
早苗おばあちゃん「ひまわり!お帰り!」
花守ミカ「・・・こんにちは・・・! はじめまして・・・! お邪魔します・・・!」
早苗おばあちゃん「あらあら!まあまあ!! 貴方がウワサのミカくんね! 待ってたわ!! いらっしゃい!!」
早苗おばあちゃん「ここまで来るのに、疲れたでしょう? さ、さ。 中に入って♪入って♪」

〇実家の居間
早苗おばあちゃん「さ、まずは冷たいものでも飲んでゆっくりしてね!」
花守ミカ「ありがとうございます!」
早苗おばあちゃん「・・・」
早苗おばあちゃん「・・・」
花守ミカ「え・・・えーと・・・」
日下ひまわり「おばあちゃん・・・そんなに見つめたらミカさんが困るから・・・」
早苗おばあちゃん「あっ! ご、ごめんなさいね? ひまわりが彼氏さんを連れて来てくれた事が・・・嬉しくて・・・つい!」
早苗おばあちゃん「ねぇ?ミカくん? 家に来てくれたって事は・・・ひまわりと結婚してくれるんでしょう?」
日下ひまわり「おっ!おばあちゃん!!」
早苗おばあちゃん「違うのかしら? 私の命も・・・あと少しだし・・・。 早く一緒になって・・・ひ孫の顔が見たいわ・・・!」
日下ひまわり「おばあちゃん!! 待って!? 話、飛躍しすぎだからっ!!」
日下ひまわり「ほら!ミカさんも困ってるし!」
花守ミカ「・・・えっと・・・どこかお体・・・悪いんですか?」
早苗おばあちゃん「・・・去年、ちょっと体調を崩して・・・ 私ももう若くないし・・・ 生きてる内に・・・ね?」
日下ひまわり「おばあちゃん・・・」
花守ミカ「・・・突然で・・・申し訳ないですが・・・ 少し・・・手を貸してもらえますか?」
早苗おばあちゃん「手?」
早苗おばあちゃん「あら? あらあら??? ・・・不思議ね・・・? 手を握ってくれた所から・・・ なんだか力がみなぎって来るような・・・?」
早苗おばあちゃん「って、誰か来たみたいね? ちょっと待っててちょうだいね?」

〇墓石
「・・・」
日下ひまわり「お父さん・・・ただいま」
花守ミカ「・・・」
日下ひまわり「・・・ミカさん?」
花守ミカ「・・・あ、ごめん。ごめん。 つい・・・真剣になっちゃった!」
日下ひまわり「???」
日下ひまわり「・・・ところで・・・ミカさん! さっきは、ありがとうございました!」
花守ミカ「ん?何かしたっけ?」
日下ひまわり「おばあちゃんの手、握ってくれたら・・・ 何か・・・おばあちゃん・・・生き生きし出して!」
日下ひまわり「何か・・・ツボ押しとかしてくれたんですよね?」
花守ミカ「・・・あー、アレね」
花守ミカ「ひまわりちゃん・・・。 ちょっと寄り道しながら帰ろうか?」
日下ひまわり「???」

〇土手
花守ミカ「・・・良い夕焼けだねー・・・」
日下ひまわり「・・・本当ですね〜!」
花守ミカ「ひまわりちゃん、お父さんに何を祈ったの?」
日下ひまわり「えっと・・・ いつも見守ってくれてありがとう・・・かな?」
日下ひまわり「そう言うミカさんは・・・何を祈ったんですか?」
花守ミカ「僕? 僕はね・・・」
花守ミカ「ひまわりちゃんと出逢えてよかった・・・ これからも・・・ 良ければ一緒にいたいなって・・・」
日下ひまわり「えっ!!」
花守ミカ「・・・出来れば・・・ 【彼氏代理】じゃなくて 【本当の家族】に・・・ して欲しいなぁ・・・なんて・・・」
日下ひまわり「えっと・・・!えっと・・・どどどどうして!?」
花守ミカ「・・・僕はね・・・ 君なしじゃいられない存在なんだ・・・」
日下ひまわり「ミミミ・・・ミカさんっ!?」
花守ミカ「僕は・・・ 君がいつも祈ってくれてる・・・ 【ひまわりの神サマ】だよ」
日下ひまわり「ひまっ?」
花守ミカ「ひまわりちゃん・・・いつも 向日葵に願ってくれたよね?」
日下ひまわり「願いましたけど・・・」
花守ミカ「僕はね、君が求めてくれたから・・・ こうやって存在しているんだよ」
花守ミカ「神サマはね・・・ 求めてくれるから存在出来るんだ」
花守ミカ「だから・・・ありがとう」
日下ひまわり「・・・?」
花守ミカ「・・・って・・・ひまわりちゃん・・・? 追いついて来てる・・・?」
日下ひまわり「・・・じゃあ・・・ミカさんは・・・お父さんなの?」
花守ミカ「いや・・・残念だけど・・・僕は君のお父さんじゃないんだ・・・」
花守ミカ「君が毎日、毎日・・・向日葵に願って・・・ 願い続けて・・・生まれた存在・・・とでも言うのかな?」
花守ミカ「神サマは、1人でも信仰してくれる人がいれば・・・存在出来るから・・・」
花守ミカ「僕は・・・ひまわりちゃんの為だけの神サマなんだよ?」
日下ひまわり「・・・お父さんは・・・やっぱり・・・ 【ひまわりの神さま】にはなってないんだ・・・」
花守ミカ「・・・でも・・・その願いから僕が生まれた。 だから・・・ これからも・・・君のお父さんじゃないけど・・・」
花守ミカ「お父さんの分まで・・・ 君と一緒にいたいなって・・・ ダメかな?」
日下ひまわり「・・・だっ、ダメなんかじゃ・・・──」
早苗おばあちゃん「素敵よぉぉぉ────!!!!!!!!」
日下ひまわり「おばあちゃんっ!?!?!?」
早苗おばあちゃん「ミカくんっ!! 只者じゃないって思ってたのよねーっ!!!!」
早苗おばあちゃん「二人共! 私が許すわっ!! 今すぐに結婚しちゃいなさいっっ!!!!!!」
日下ひまわり「──って、どこから聞いてたの!?見てたの!?」
早苗おばあちゃん「ふふっ♪ 細かい事は気にしないのっ!」
早苗おばあちゃん「神さまのお婿さんなんて・・・ドキドキしちゃうわー!!」
早苗おばあちゃん「ミカくんのおかげで、元気になったし! 二人の子どもの世話もしたいし! ひまわり! まだまだ、ばあちゃん頑張るからね!」

〇幻想空間
  君を求める
  
  我儘な神サマでも
  
  いいよね?

コメント

  • 祈る人がいてくれるから神様が存在するというのは目からウロコの真理でした。もしかしたら二人の縁結び役のおばあちゃんにも別の神様がついていて、その神様がこのご縁を後押ししてくれたんだったりして。「信じるものは救われる」の素敵なストーリーでした。

  • ひまわりは個人的なイメージですがあったかいイメージがあります。そんなあったかい作品だなあと思いました!
    信じるものは報われる、芯があるからこそ強く生きられるのかもしれませんね!

  • とても可愛らしいファンタジーにニッコリです!若干謎めいたところがあるミカさん、実は……、という展開があるかもと思っていたら、想像より遥かにステキな展開に心打たれました。(変な想像はしてませんから、たぶん)父娘の可愛いやりとりの具現化、イイですね!

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