宇賀神さん家の超推理

シュウ

懐もと寂し(脚本)

宇賀神さん家の超推理

シュウ

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〇おしゃれなリビングダイニング
シュン「ユウの財布が無くなった!」
トオル「どうせボーッとして落としたんだろ?」
チサト「ユウ君、抜けてるところあるものね」

〇教室
シュン「まぁ、そーゆうヤツではあるけどさ・・・」
シュン「さすがのアイツも困ってたよ!」
トオル「なんて?」
ユウ「昼飯おごってくれ」
トオル「余裕じゃねぇか」
シュン「アイツ、顔には出さないから・・・」
シュン「金ねぇの?」
ユウ「財布がない」
トオル「ふてぶてしいな」
ユウ「オレの財布は?」
トオル「コイツ大丈夫?」
シュン「手遅れかも」

〇おしゃれなリビングダイニング
シュン「なんか探す気なさそうだから、 代わりに探してやりたいんだけど」
レイジ「よし! 兄ちゃんが霊視してやろう!」
  宇賀神霊司(うがじんれいじ)は霊能力者
レイジ「目撃者を探してやるぜ!」
シュン「さすが兄ちゃん!」
レイジ「ふむふむ」
レイジ「3丁目のばあちゃんがスリを見かけたらしい」
シュン「マジで!? どんなヤツ!?」
レイジ「着物を着て、懐には刃物を仕込んでいた らしい」
シュン「あ、危ないヤツだ・・・!」
シュン「いつスられた?」
レイジ「200年前──」
シュン「江戸時代!」
シュン「お侍さんじゃない!?」
レイジ「てやんでぇ! 文句あるってのかい!?」
シュン「影響力!」
トオル「甘いな」
レイジ「何をー!?」
トオル「アタシの超絶グレートなテレパシーで 探してやんよ♪」
  宇賀神通(うがじんとおる)はテレパス
シュン(超絶グレートって・・・ぷぷっ)
シュン「うっ!」
トオル「筒抜けだわ」
シュン「ゴメンナサイ・・・」
レイジ「おいトオル! 殴るならオレを殴れ!」
トオル「え、なんで?」
レイジ「顔は女優の命なんだぞッ!?」
トオル「男です」
シュン「誰が『男優』だよッ!」
トオル「誤解です」
レイジ「オレにとってシュンは『女優』だッ!」
トオル「何言ってんの?」
レイジ「大事な顔を殴りやがって!」
レイジ「シュンがお嫁に行けなくなったら どうするつもりだ!?」
レイジ「もしそうなったら──」
レイジ「オレがもらうッ!!」
トオル「いやもうほんとさっきから何言ってんの?」
シュン「兄ちゃん!」
レイジ「シュン!」
  宇賀神霊司は極度のブラコン
トオル「何これ?」
トオル「アタシがおかしいの?」
トオル(どうせシュンもウザいと思ってんだろ?)

〇黒
レイジ「シュンはカワイイなぁ・・・!」
  あ、間違えた
シュン「兄ちゃん、キモいな」

〇おしゃれなリビングダイニング
トオル「・・・・・・」
レイジ「トオル?」
トオル「ごめんな、兄貴ッ・・・!」
レイジ「なぜ?」
トオル(そうだ、シュンは案外ドライなんだった)
トオル(アタシくらいは兄貴に優しくしないと)
  宇賀神通は人情家
トオル「ガンバレ兄貴! 応援してる!」
レイジ「お、おう」
レイジ「なぜだかヒジョーにイヤな気分だ」
トオル「ああ、財布の件はテレパシーじゃ 何もわかんなかった」
シュン「雑ぅ!」
トオル「ウソウソ、昨日の記憶ノゾいてやんよ」
トオル「そうすりゃ失くした場所もわかるっしょ」
シュン(え待って! 記憶ノゾかれるとか恥っずぅ〜♡)
トオル「乙女かッ!」
レイジ「シュンは『女神』だ!」
トオル「違います」

〇ボウリング場
  確か昨日、ボウリングに行くっつってたな
シュン「どこ行くんだ?」
シュン「レーンこっちだぞ?」
ユウ「飲み物買う」
  この時はまだ財布持ってるな
シュン「じゃあオレも」
  おしるこ被り!?
  ふたりは甘党
  仲良しか!

〇ボウリング場
シュン「よーし!」
シュン「上着脱ぐわ」
ユウ「なんで?」
シュン「重りつけてるから」
  なんで?
ユウ「ストイックだな」
  オマエ優しいな
シュン「持っといて」
ユウ「おう」
シュン「やべ! 脱ぎ過ぎた!」
  ねぇよ!
  悲鳴おかしくない?
ユウ「・・・・・・」
ユウ「やべ、脱ぎ過ぎた」
  オマエ優しいな!?
シュン「バカだな〜!」
  いやもうほんっと・・・この愚弟ッ!

〇ボウリング場
シュン「よっしゃーストライク!」
ユウ「おー、さすが」
  拍手ぱねぇな
ユウ「オレの番だ」
ユウ「ストライク」
  器物破損です
  勅使河原悠(てしがわらゆう)は馬鹿力
シュン「さっすがー!」
  呑気か
  賠償責任発生するぞ?
シュン「負けねぇからな!」
  やめなさい
  勝負に勝っても訴訟で負けます

〇ボウリング場
店員「お会計3000円になります」
  この人だけ世界観違くね?
シュン「ユウ、上着」
ユウ「おう」
シュン「サンキュ」
シュン「じゃあこれで」
店員「ありがとうございました〜!」
シュン「今度はオマエな?」
ユウ「何が?」
シュン「金のことだよ、察しろぉ!」
ユウ「言わなきゃわからん」
シュン「オマエが言うか! このヤロー!」
店員「フフ・・・青いわネ」
  誰だよ

〇おしゃれなリビングダイニング
トオル「・・・・・・」
シュン「どう?」
トオル「オマエが悪い」
シュン「何でッ!?」

〇おしゃれなリビングダイニング
チサト「出番のようね」
シュン「母ちゃん」
チサト「ママが千里眼で見つけてア・ゲ・ル♪」
(きっつぅ〜!)
  宇賀神千里(うがじんちさと)は千里眼使い
チサト「ふんぬっ!」
チサト「あ、ボウリング場のアルバイターが 落とし物の財布をちょろまかしてるわ!」
シュン「な、なんだってー!?」
チサト「トオル!」
トオル「えー!?」
トオル「シュン行ってこいよ」
シュン「えー、ヤダよ」
シュン「いきなり目の前に人が現れたら 腰抜かしちゃうでしょ」
  宇賀神瞬(うがじんしゅん)はテレポーター
シュン(こんな美少年が現れたら 恋が始まっちゃうだろ?)
レイジ「しゃあねぇ。 3丁目のばあちゃんにお願いして──」
トオル「やめい」
トオル「死してなおパシりにするつもりか?」
レイジ「勘違いするな!」
レイジ「オレはパシりにされる側の人間だ!」
トオル「いや、なんか・・・ごめんな?」
レイジ「オレはシュンの下僕だ!」
トオル「聞いてません」
トオル「聞きたくなかった」
トオル「はあ・・・わかった、アタシがやる」
トオル「お母さん、手伝って」
チサト「わかったわ」
チサト「さすがレイジね!」
トオル「トオルだけど」

〇ボウリング場
店員(しめしめ、チョロいもんだぜ)
???「もしもし──」
店員「な、何だ!?」
???「私はボウリングの神様」
???「今すぐに財布を置いて去りなさい」
???「そして、今日のことは忘れるのです」
店員「は、はいぃぃぃ!!」
店員「おおお、お許しをぉぉぉ!!」

〇おしゃれなリビングダイニング
チサト「あれはユウ君の財布じゃなさそうね」
チサト「お金いっぱい入ってるし」
トオル(あれ? お礼のひとつもねぇの?)
チサト「じゃあ、財布はユウ君の部屋かな?」
チサト「ふんぬっ!」
チサト「ダメね、ユウ君の部屋に財布はなかったわ」
トオル「ためらえや」
  宇賀神千里はデリカシーがない
シュン「じゃあ、どこかに落としたのか」
チサト「場所が限定できれば探せるんだけど」
チサト「どうしよう、パパ?」
ライト「心配するな! じきに見つかる!」
シュン「マジで!?」
ライト「父さんには視える・・・ユウが 財布を振り振りしてる光景が!」
  宇賀神来人(うがじんらいと)は未来予知者
シュン「おお!」
チサト「良かったわね、シュン!」
トオル「待って!」
シュン「ん、何?」
トオル「アタシとお母さんの合わせ技、 見せてあげる!」
シュン「頼んでないけど」
チサト「千里眼とテレパシーがあれば、 遠くの人の思考まで読めるのよ!」
シュン「さっきやってたじゃん」
シュン「ネコババアルバイター相手にさ」
「ふんぬっ!」
シュン「聞けよ」
「・・・ハッ!」
シュン「何かわかった!?」
「2丁目の山田さん、子供できたって♪」
シュン「引っ込めぇ!」

〇男の子の一人部屋
シュン(結局、財布はどこにあるんだろう?)
シュン(父ちゃんが視えたって言うんだから、 すぐに見つかるんだろうけど)

〇ボウリング場
  昨日、ボウリングが始まるまではあった
  飲み物買ってたし
  会計の時は・・・わからない
  でも、オレがストライク決めた時には
  持ってなかったはず
  拍手してくれてたし
  そして今日、無くなっていることに
  気付いた
  ユウは『財布がない』と言った
  そんな言い方するか?
  普通『忘れた』とか『失くした』とか
  言うはず
  まるで、いずれ戻ってくることを
  確信しているような──
  そう
  財布が(今は)ない──みたいな

〇男の子の一人部屋
シュン「そうか!」
シュン(よし)
シュン「善は急げだ!」
シュン「いざ──ワープ!」

〇白いバスルーム
シュン「ユウ!」
ユウ「ん?」
シュン「ッ!?」
シュン「なんでオマエがお色気担当なんだよッ!!」
ユウ「なんでオレがお色気担当だと思ったんだよ」
シュン「言わせんなよッ!!」
ユウ「言えよ」
ユウ「で、何の用?」
シュン「あ、そうだ・・・これ」
ユウ「おう、悪いな」
ユウ「明日でも良かったんだが」
シュン「いや、言えよ」
シュン「昨日オレの上着に入れてた、って」

〇ボウリング場
ユウ「デカいポケットがある服を着ていきゃ よかった」
シュン「まぁ、尻ポケットに入れっぱなしじゃあ 投げづらいよな」
ユウ「だから、上着預かった時に 入れさせてもらった」
シュン「いや、言えよ」
ユウ「なんで?」
シュン「『なんで』・・・?」
シュン「・・・えっ!? 『なんで』って何!?」

〇白いバスルーム
ユウ「まさか気付いてなかったのか?」
シュン「えーっと・・・うん」
シュン「あはは、重りのせいかな?」
シュン「『灯台もと暗し』ってヤツ?」
ユウ「別にいい」
ユウ「どうせ中身ねぇし」
シュン「え!?」
ユウ「『懐もと寂し』ってヤツ?」
シュン「な、このっ・・・ユウのクセに!」
ユウ(語彙が貧弱)
シュン「てか、よくそれでボウリングOKしたな!?」
ユウ「うっかり」
シュン「『うっかり』!?」
シュン「どうせならもっと可愛く言えッ!」
ユウ「・・・・・・」
ユウ「ユウ、うっかりしちゃいましたぁ、てへ」
シュン「なっ!?」
シュン「可愛すぎるだろッ!!」
ユウ(アブノーマルだな)
シュン「あれ? じゃあ、今日の昼飯代は・・・」
ユウ「あざっす」
シュン「オマエェェェェェェ!!」
ユウ「気付いてるかと思った」
シュン「気付くワケないだろッ! このオレがッ!」
シュン「・・・・・・」
シュン「うるせぇよッ!!」
ユウ「楽しそうだな」
シュン「まったく!」
シュン「今度から大事なことはちゃんと口で 言えよな?」
ユウ「わかった」
ユウ「明日も昼飯よろしく」
シュン「なっ!?」
シュン「言えばいいってモンじゃねぇぞッ!?」
ユウ「・・・・・・」
シュン「財布を振り振りするなぁッ!!」

コメント

  • この家族の超能力をもってすればできないことはなさそうなのに、微妙にポンコツ揃いで宝の持ち腐れっぽいところがいいですね。レイジのシュンへのブラコン片思いだけは超能力でもどうにもならんかもですね。

  • とにかく財布が無事に見つかって良かったです😁
    ユウくん、いかつそうな見た目なのに案外お茶目な感じで可愛いですよね🤣
    レイジは弟大好きな感じが見ていておもしろかったし
    妹は的確なツッコミを入れるところがおもしろかったです!

  • ボケとツッコミが凄く面白かったです!
    ツッコミどころが多すぎますが!笑
    中身が入ってないにしろ、財布を無くしたら焦りそうですが…、実は計算高い?!笑

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