第六話「殺人ファイル3 中山宗助の場合(前編)」(脚本)
〇街中の道路
筒井菜々子「来栖くん。待ってよ!」
来栖秀俊「君とはこないださよならをしたはずだ。 もう関わらないでくれ」
筒井菜々子「そんなの一方的じゃん」
来栖秀俊「君がそれを言うか?」
筒井菜々子「生徒会長の件は事故として処理されたけどさ、諸悪の根源は学校にいるんだよ。 ヤバくない?」
来栖秀俊「僕には・・・関係ない」
筒井菜々子「修学旅行から戻って、色々調べたの。 あの中山って男、とんでもなかった。 盲点だった」
筒井菜々子「多分、あの生徒会長が初めてじゃない。 前任校でも問題を起こしているし、 余罪はまだまだある。私もまだ調べて──」
来栖秀俊「うるさい。僕にかまうな」
筒井菜々子「来栖くん・・・!」
来栖秀俊「僕のことを誰かに話したければ話せばいい」
来栖秀俊「ただ何をどう脅されても、 僕はもう人を殺さないと決めたんだ」
来栖秀俊「君の望む僕は、もう死んだんだよ」
筒井菜々子「・・・嘘だ。嫌だ。私は絶対諦めない」
〇血しぶき
第六話
『殺人ファイル3
中山宗助の場合(前編)』
〇トレーニングルーム
中山が黙々とトレーニングをしている。
隠れて見ている菜々子。
筒井菜々子(あの男の本性をさらに知ったら、 来栖くんも考え直してくれるはず・・・)
中山宗助「よし。あとスクワット30!」
筒井菜々子(けど仕事が終われば毎日ジムしか 行ってない・・・なんなのあいつは!)
〇駐車スペース
筒井菜々子(結局、今日も閉店間際まで トレーニングだけ。収穫なしか・・・)
筒井菜々子(動かない。車内で何かをやってる・・・?)
中山宗助「なるほど。お前だったか」
筒井菜々子「! なんで!?」
菜々子が振り返ると、
背後に中山が立っている。
中山宗助「反対側のドアから出たんだよ。 気づかれないようにな」
筒井菜々子「・・・っ!」
中山宗助「尾行や監視はなかなかプロ並みの 手口だが・・・所詮は女子高生だ」
筒井菜々子「来栖くん、助け──」
〇広い公園
ベンチに座り、
ジャングルジムを見つめている来栖。
来栖秀俊(あの日・・・あのジャングルジムから 僕の人生は狂ってしまった)
来栖秀俊(それでもずっと、 普通を装って生きてきたはずなのに・・・ あの女のせいで全てが台無しに──)
〇森の中
筒井菜々子「大丈夫だよ。来栖くんがバケモノでも、 私の愛は変わらないから」
〇広い公園
来栖秀俊(くそっ・・・! なんでだ。なんで あの女のことが頭から離れない・・・!)
〇拷問部屋
椅子に縛り付けられている菜々子。
筒井菜々子「・・・ここは」
中山宗助「俺の家だよ」
辺りには拷問器具や凶器などが
たくさん飾られている。
中山宗助「ここは祖父が残してくれた 広い家の庭にある」
中山宗助「一人で暮らしているんだ。 つまり泣こうが叫ぼうが、 ここには誰も来ない」
筒井菜々子「そう・・・」
中山宗助「? ずいぶん冷静だな。携帯も没収した。 身体中調べたが、GPSなどの発信器も 見つからなかった」
中山宗助「どう考えても、 お前の助かる道は残っていない」
筒井菜々子「来栖くんがいる」
中山宗助「あはは。来栖秀俊か。 あんな奴に何ができる」
筒井菜々子「あんたは、来栖くんを知らない」
中山宗助「なんだと?」
筒井菜々子「来栖くんは本物のバケモノなの。 ただしあんたと違って気高くて尊い。 いざとなったら、どんなことでもする」
中山宗助「ほう・・・」
筒井菜々子「あんたは来栖くんの獲物を奪った。 あの生徒会長を。そして今・・・私を」
筒井菜々子「そんな奴を来栖くんが 放っておくはずがない」
中山宗助「あはは。ずいぶん心酔しているんだな」
筒井菜々子「私は来栖くんを愛してる」
中山宗助「面白い・・・なら試してやる」
筒井菜々子「?」
中山宗助「俺は今までたくさん殺した。 途中から数えるのを止めるくらいにはな」
中山は部屋にあったナイフを取ると、
菜々子に近づいてく。
筒井菜々子「! な、何を──」
中山宗助「俺が偽物で、あいつが本物のバケモノだと言うなら、試してやる」
筒井菜々子「やめて・・・! お願い――!」
〇教室
来栖が自分の机に付く。
菜々子の席は空席になっている。
来栖秀俊「筒井さんは・・・お休みかな?」
男子生徒「そう言えば今朝は見てないけど」
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