青春勿忘草

星名の欠片

青春勿忘草「青春学部!! 素直になれなかった恋01」(脚本)

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〇学校の部室
時戻 チハル「本日の青春談義!! 30代女性、食材高くてうどんばかりさんからの青春です!!」
時戻 チハル「『初恋の話です』」
時戻 チハル「おおおっ!! 恋バナやん!? 恋バナは人気者の日常会話!?」
時戻 チハル「『当時私は16歳、彼は22歳と年の差を感じていました』」
時戻 チハル「あら? 学外の人がお相手なんかな?」
時戻 チハル「『結局告白も出来ず、卒業しました。今でもあの時、と思うことがあります』」
時戻 チハル「『未練タラタラな私の青春です』と」
時戻 チハル「あたしは恋とかよくわからんけど、何歳になっても青春への憧れは捨てられんのやなぁ」
時戻 チハル「この”人気者”チハル様が昇華してあげるわ!!」
時戻 チハル「えーっとポイントは・・・」
時戻 チハル「通信制高校で週1スクーリング。 同じ同好会で、唯一の男性でした」
時戻 チハル「あたしたちの環境と少し似てんのかな? ってことは年上いっぱい?」
時戻 チハル「とりあえず見てみますか!!」

〇学校の体育館
  これは編入したての通信制高校で起きた私の初恋のお話です。
  点線→セリフ
  実線→日常会話
時戻 アキコ「バドミントン部はこちらですかぁ?」
浅野 乙女「わー、新入部員大歓迎だよー!!」
時戻 チハル「芋ジャーしかなかった・・・」
時戻 チハル「ってかなんであたしらが年上役やねん!!」
時戻 アキコ「お便りの方は30代。 つまりママが一番歳が近い!!」
浅野 乙女「アキコさん素敵!! さすがハルカくんのお母様!!」
時戻 チハル「は、はよ続きやってよ」
時戻 アキコ「メンバーはこれで全員ですか?」
時戻 チハル「ううん、他にもいてるけど 今日来るのは・・・あ、来た!!」
  こんな事があるのかと驚きました。
  私は彼を見て・・・
  ひと目で恋に落ちたのです。
時戻 アキコ「えー、なんだかイメージと合わないけど。 22歳ってもっと爽やかでキレイよ」
時戻 ナツノ「アキコさんの相手役は俺じゃなきゃやだもん」
時戻 アキコ「私より早く強くなってね〜」
時戻 チハル「親の青春・・・」
時戻 アキコ「は、はじめまして。 アキコと言います。中学時代、バド部で・・・」
時戻 ナツノ「・・・よろしくお願いします」
時戻 チハル「ごめんねー あの人、人見知りなんだー」
時戻 チハル「でもイケメンでしょ? 本当はホストでもやってるんじゃないかなって思ってんだよねー」
時戻 チハル「あ、コナツさんも来た!! コナツさーん!!」
時戻 チハル「おばあちゃん、その服どうしたの?」
時戻 コナツ「美人さんで色っぽい設定でしょう?」
時戻 チハル「二十歳ぃ・・・」
  コナツさんは人当たりがよく、穏やかで優しい人でした。4つ上というだけでとても大人っぽく見えたのです。
  私とコナツさんはすぐに仲良くなりました。
時戻 アキコ「コナツさんって本当にキレイ!! 大好きですっ!!」
時戻 コナツ「えー? そうかなぁ? ありがとう、アキコちゃん」
浅野 乙女「アキコちゃーん。 サーブが上手くならないよォ」
時戻 アキコ「どのサーブ?」
浅野 乙女「ダブルスのサーブなんだけどー」
時戻 コナツ「アキコちゃんはすごいね。 優しいし、かわいくて好きっ」
時戻 ナツノ「恋愛要素どこ? アキコさんの相手役、俺だよね?」
  コナツさんが大好きで、憧れの女性でした。
  だからこそ私はこんな感情になったのかもしれません。

〇学校の体育館
時戻 チハル「アキコちゃんの勝ち〜」
時戻 アキコ「ありがとうございました」
時戻 ナツノ「強いね。負けちゃった」
  本当は彼の方が強かった。
  けれども彼はわざと負けてくれたのです。
  経験者の私を立てて。そして内心勝気な私に合わせてくれたのでした。
時戻 コナツ「おつかれさまー!! やっぱり二人の試合はすごいなぁ!!」
時戻 コナツ「アキコちゃんは俊敏に動くし、ナツノくんはスマッシュがすごいなぁって。 やっぱり男性のパワーは違うよね」
時戻 ナツノ「ありがとうございます」
  その時二人を見て思ってしまったのです。
  ”お似合いの二人”だと。

〇教室
時戻 アキコ「コナツさんとナツノさんって美男美女ですよね。すごいお似合いだなー」
時戻 コナツ「えぇ?」
時戻 チハル「あ、それわかるー!! 美男美女!!」
時戻 コナツ「えー? そうかなぁ? ふふふ、ありがとう嬉しい」
  半分本心で、半分嘘でした。
  二人とも大好きだったのです。

〇イルミネーションのある通り
時戻 コナツ「カラオケ楽しかったね」
浅野 乙女「あ、見て!!」

〇イルミネーションのある通り
時戻 アキコ「雪・・・」
時戻 ナツノ「クリスマスだね」
時戻 アキコ「はい。 ・・・メリークリスマス」
  今冬、初の雪でした。
  はじめて好きになった人が隣にいて、初雪を眺める。たったそれだけのことが幸せでした。
  私の忘れられないホワイトクリスマス。

〇大きな木のある校舎
  それから月日は流れ、私は大学受験で忙しくなり、彼もまたあまり学校には来なくなってしまいました。
  コナツさんとは変わらず仲良くしていましたが、それぞれの事情がありケンカしてそれきりとなりました。
時戻 アキコ「さよなら、私の高校生活」

〇学校の部室
時戻 チハル「素直になれない乙女心っちゅーやつか」
時戻 ハルカ「それでは皆さん採点をお願いします!!」
「はーい!!」
時戻 チハル「な、何勝手に進行を──」
時戻 ハルカ「まあまあ。 ほら、チハルも採点して」
時戻 チハル「きしゃー!!」
時戻 ハルカ「ああん韓国のパックで整えた肌が」
時戻 チハル「そそそそれでは採点結果です!! えっと、えーっと」
時戻 アキコ「じゃあ主役のママから〜」
時戻 アキコ「結果はこちらです」
時戻 アキコ「こんなものだと思いますわ」
時戻 チハル「フレン度低い?」
時戻 アキコ「舞台はスポーツの場!! 才能と努力がせめぎあい、嫉妬にまみれながらも血を吐く思いで打って打って打ちまくる!!」
時戻 アキコ「こほん、ライバル度が足りないと思いました」
時戻 チハル「いや、恋バナやで。スポコンじゃないわ」
時戻 ナツノ「つ、次はパパね」
時戻 ナツノ「素敵だと思うな。 恋と喧嘩、でもドロドロしない爽やかさ」
時戻 ナツノ「アキコさんとのハッピーエンドがあればきゅん度100%だよ」
時戻 アキコ「なんかホール度だけ嫌だなぁ」
時戻 ナツノ「な、なんで!?」
時戻 アキコ「なんでそこだけ35点なの? 5って何? 揺らいでて女々しいのね」
時戻 ナツノ「・・・次の人お願いします」
時戻 マフユ「では私めが」
時戻 マフユ「初恋に年の差は大きな壁ですよね。 頑張られたのではないでしょうか?」
時戻 マフユ「カットされましたが、部員の方にバレンタインチョコを手作りされたとか。 本命に出来なかったことも初々しく素敵です」
時戻 チハル「まじできゅん」
時戻 コナツ「私の評価はこれです」
時戻 チハル「辛口」
時戻 コナツ「勉学に励みましょう、以上」
時戻 ハルカ「じゃ、オレの番ね〜」
時戻 チハル「人それぞれって、それ言ったら青春談義の意味ないやん」
時戻 ハルカ「恋も友情もほどほど。 チハルの芋ジャーはよかったよ」
時戻 チハル「人が気にしてることを!!」
時戻 ハルカ「ああん以下略」
時戻 チハル「ふっ、さてお待ちかね。 みんなのチハルちゃんのお時間です」
時戻 チハル「すごくきゅんってしたし、友達とのカラオケとかいいよねぇ!! 結ばれないってのがまた切なくて泣けるぅ」
時戻 コナツ「下品ですよ、チハルさん」
時戻 ナツノ「パパもきゅんってしたよ」
時戻 チハル「パパと同じはやだ」
時戻 アキコ「よしよし。 ほら、パパ。これ見て?」
時戻 アキコ「ハッピーエンドじゃない?」
時戻 ナツノ「これぞ男の誉れ」
時戻 チハル「親の青春んんんっ」
時戻 ハルカ「じゃ、チハル。総評して?」
時戻 チハル「ふふん、総評は・・・」
  下品ですよ下品ですよ下品ですよ下品で・・・
時戻 チハル「えーっとえーっと・・・」
時戻 チハル「ホワイトクリスマスとか自慢すんなよ!! ぼっちはなぁ・・・ぼっちってのはなぁ!!」
時戻 アキコ「㍆㌋㌉㌏㌉㌸㌾㌋㌞㌹㌅」
時戻 チハル「なにそれ!?」
時戻 アキコ「予測変換で出てきた ※Simeji 今は色んなクリスマスがあるのよ?」
時戻 チハル「ひいぃ」
  こうして本日の青春談義? は無事終了。
  世代別など様々な青春をお待ちしております。

〇学校の部室
時戻 チハル「あ、授業始まっちゃう!!」
時戻 アキコ「今日の部活はここまでね」
時戻 アキコ「ほら、パパ行くわよ〜」
時戻 コナツ「化学の授業です」
時戻 マフユ「コナツさん、慌てないでも大丈夫ですよ」
時戻 チハル「きょ、今日こそあたしもパーフェクトな青春を送りたいっ!!」
時戻 チハル「ふっ、人気者なんて容易いわ!!」
時戻 チハル「あ、乙女ちゃん!!」
浅野 乙女「ハルカく〜ん。 会いたくて来ちゃった」
時戻 ハルカ「今日も元気だね」
浅野 乙女「は、はいぃ」
時戻 チハル「・・・アホらし」
???「ちーちゃん」
浅野 乙女「ハルカくんが心配するからアンタも急いでよ」
時戻 チハル「・・・」
時戻 チハル「うんっ!!」

〇黒
  青春、それは人それぞれ異なるもの
  だけどとても濃厚で、忘れられない時間
  あなたの青春って、他の人が見たら
  意外と悪くないかもよ?
  逆に笑い飛ばしてくれる人もいるかも?
  青くても黒くても、それはあなただけのもの
  私を忘れないで
  でも私はあなたの未来が
  あたたかな春になることを願ってます
  あなたの青春コンプレックスは、
  誰かの未来に繋がってるよ
  「青春勿忘草」
  終

コメント

  • 老若男女の青春やり直しは闇鍋のようにスリリングで何が出てくるかわからない独特の味わいがありますね。芋ジャージのときのボイスが可愛くて最高でした。あと、採点表のブラックホール度が気になるなあ。今回はみんな0点が多かったみたいだし。

  • 成程、体験談からなのですね。経験に勝るリアリティはないのでこういうのは強いと思います。
    或る意味、学校(もしくはクラス)が家族と言えるかも知れません。
    学校行事と絡めれば結構話が広がるかもです。(給食の時間はお母さんの出番、家庭科の授業はお婆ちゃんに任せとけ、運動会はヤンキーが盛り上げる! みたいな)

  • カオスといえばカオスな物語ですが、心に響くものがあるストーリーですね。家族みんな変わり者に見えて、大切な何かを持っている気がします。このメンバーと一緒なら楽しい学校生活になりそうですね。

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