第一食「竜騎士親子、憂鬱な昼下がり」(脚本)
──竜(ドラゴン)族。
世界最強の種族にしてその種類は千差万別。
頂点に君臨せしりその存在は、どれだけ称賛されたパーティーも竜族の前では赤子の手をひねるようなものである。
〇神殿の広間
「・・・・・・」
半竜の女「父上、どうさかれましたか」
昼下りの洞窟。
・・・と言っても人の手が加えられており、入り口には門とも言える巨大な扉。
何処か生活感のある絢爛豪華な内装。洞窟というよりかは神殿と表記するほうが正しいだろう。
そんな神殿の中、憂鬱感を抱いたような表情を浮かべ今にも溜め息を着きそうに組んだ腕に頭を乗せる巨大な白銀竜。
その足元に座り本を読みながら声を掛けるのは、
漆黒の美しい髪を垂らし前髪の片側は顔の左半分を隠している
その下には深紅の宝石を嵌め込んだような美しい瞳を持つ、端正な顔の娘。
頭と腰には艶めく漆黒の立派な角と尾を持っている。
半竜人の娘に聞かれると白銀竜はぼそりと呟いた。
「最近甘味を食べていないと思ったんだ」
半竜の女「・・・」
「最近はフルーツばかり食べていただろ?」
半竜の女「・・・そうですね。最後に食べたのは何十年前でしょうか」
「覚えていないね」
半竜の女「・・・・・・・・・・・・・・・行きますか」
「・・・・・・どこに?」
「父上」そう呼ばれる白銀竜は入り口へ歩く娘を目で追いながら首を傾ける。
半竜の女「?・・・・・・決まっているでしょう。此処を出、王都へ向かうのです」
〇火山のある島
半竜の女「『ご飯を求めて三千里』」
半竜の女「です。父上」
壮大な物語を予感させる冒頭の物々しいナレーションと半竜人の娘の描写から一転して「甘味が食べたい」って。ずっこけました。でも、竜の寿命が何年か知らないけど、最後に食べたのが数十年前というのはちょっと同情します。この親子が王都で美味しい食べ物に出会えるといいなあ。
ドラゴンというのは人によって想像するものが違うかもしれませんね。恐ろしい生き物、はたまた美しい生き物など様々な印象がありますが、甘味を食べるイメージはなかったので凄く目新しい印象を受けました!