第一話「一人の少女」(脚本)
〇島の家
──小さい頃、よく夢をみた。みる内容は少しずつ違っていて、それでも殆ど同じで。
一人の女学生が友人の変わりにこの世を去り、
異風の世界でありのままに生きる。
自分の好きな者を眷属にし、神に愛され、人々に愛され、モンスターに愛され、
自分らしく生きた彼女はある真実に気付いた。
──────が、
その真実は気付くにはあまりに酷で、
その夢を見たあとは必ず、何故か、とても後悔していた。
──でも自分には関係のない話。ずっとそう思っていた。
〇女の子の二人部屋
幼い頃から私は「桜縁鬼ノ」家の者として厳しく育てられた。
日常はいつも10分前行動が当たり前。忘れ物なんてもっての他。
大黒柱の言うことは絶対。
そして極めつけ、
桜縁鬼ノ家では文武両道でなくてはならない。
文武両道が当たり前のこの家において何も出来ないグズは必要ない。
ただの優等生というだけでは駄目、成績や評価も満点でないと駄目──
「ゆりゆりー!おっくれるよ〜!」
──のはずなのに・・・
妃麗「どーーーん!!」
百合霞「きゃあ!?」
百合霞「・・・」
妃麗「そんなに怒らないでよ〜」
百合霞「別に怒っては・・・というか勝手に入って」
妃麗「良いじゃん!だってもう時間だよ?パパ怒ってるから!!」
百合霞「・・・・・・ごめんなさい」
妃麗「・・・・・・早く着替えて降りてよね」
妃麗「自分の姉妹がジャージで生活してるとか、普通に笑われる」
百合霞「・・・」
今の金髪女は妃麗(ひれい)。
ここ、桜縁鬼ノ家の令嬢。現当主の実の娘。
〇女の子の二人部屋
百合霞「・・・」
百合霞「はぁ・・・」
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百合霞はこの家の実の娘ではないのか。妃麗との間には大きな軋轢はなさそうだけど、父親の態度が気になる。この後の展開で百合霞が特別な人間だと分かっていくのかな?それにしても桜縁鬼ノってすごい名字ですね。
これから主人公のこれまで感じてきた家族への違和感が爆発していくのでしょうか。幸い近くにいる姉が彼女のオアシスになっているようでよかったですが、彼女達の関係性も興味深いです。