Couple buster 〜別れさせ屋〜

セーイチ

別れさせ屋として(後)(脚本)

Couple buster 〜別れさせ屋〜

セーイチ

今すぐ読む

Couple buster 〜別れさせ屋〜
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇豪華な部屋
田代アオト「そうですか・・・主人がそんなことを考えていたなんて・・・」
伊集院セイア「社長からの伝言です」
伊集院セイア「離婚するかどうかはアオトさんに一任する」
伊集院セイア「例え別れるにしても支援はすると、良ければ自分と養子縁組をして欲しいとも仰っていました」
田代アオト「お義父様が、そこまで・・・」
田代アオト「わざわざ伝えに来てくださり、ありがとうございます」
伊集院セイア「いえ、元々俺はアナタを貶めようとしていたんです」
伊集院セイア「礼を言われるような人間ではありません」
田代アオト「・・・」
伊集院セイア「・・・だから、ここからはダメ人間の戯言と思って聞いてください」
田代アオト「はい?」
伊集院セイア「アオトさんも依頼していたんですね、別れさせ屋に」
田代アオト「え?」
伊集院セイア「別れさせ屋を使って、社長を有責にして別れようとしていた」
田代アオト「・・・」
伊集院セイア「そこの善悪を語る資格は、俺にはありません、ただ・・・」
伊集院セイア「別れさせ屋自体は合法ですが、工作員がターゲットと肉体関係を持つことは違法です」
伊集院セイア「場合によっては、依頼者が売春斡旋に問われる可能性もあります」
田代アオト「私は・・・別に・・・」
伊集院セイア「でも、俺はそのことを告げ口する気はありません」
伊集院セイア「ただ、アナタにはこんな世界に足を踏み入れて欲しくないんてす」
伊集院セイア「騙し合わなければ自分を保てないような、こんな世界はアナタに似合わないから・・・」
田代アオト「・・・」
田代アオト「・・・ふっ、アナタに私の何がわかると?」
田代アオト「それとも、まだ私を口説き落とそうとしてるんですか?」
伊集院セイア「いいえ・・・」
伊集院セイア「できることなら目の見えるようになったキリト君に、見せてあげて欲しいんです」
伊集院セイア「真っ直ぐに生きる大人の背中を」
伊集院セイア「俺にはもう、不可能なことだから・・・」
田代アオト「・・・」
伊集院セイア「それでは、我々はこれで失礼致します」
伊集院セイア「アナタとキリト君を騙していたこと、申し訳ございませんでした」
真成見イズミ「(ぺこり)」
田代アオト「・・・」
田代キリア「お母さんただいま~」
田代キリア「アレ?ダレか来てたの?」
田代アオト「キリト・・・」
田代キリア「お母さん、どうしたの?」
田代アオト「キリト、ごめんね・・・」
田代キリア「お、お母さん?」
田代アオト「お母さんね、悪いことしちゃった・・・」

〇通学路
真成見イズミ「セイアさんも気付いていたんですね、アオトさんが嘘を言っていたこと」
伊集院セイア「嘘?」
真成見イズミ「主人を愛しているって」

〇綺麗な一戸建て
伊集院セイア「ご主人のこと、愛していらっしゃるんですね」
田代アオト「はい・・・」
真成見イズミ「・・・」

〇通学路
真成見イズミ「私には声や心音でわかりました、ああ本当は愛情なんて欠片もないんだなって」
伊集院セイア「ウソ発見器みたいだな」
伊集院セイア「・・・」
伊集院セイア「気付いてないよ、嘘なんて」
真成見イズミ「じゃあナゼ?」
伊集院セイア「クライアントの会社を出る時に見掛けたからさ」
伊集院セイア「同業者をね」

〇大企業のオフィスビル
・・・「・・・」
伊集院セイア「・・・?」

〇通学路
伊集院セイア「同業者だが、あまり良い噂を聞かないところだった」
伊集院セイア「それで接触してみたら、ヤクマのヤバさを知ったアチラさんが手に負えなくなっていて・・・」
真成見イズミ「渡りに船だとセイアさんに写真共々丸投げにした」
伊集院セイア「まぁ、そんな感じだな」
伊集院セイア「売春をチラつかせたら全部喋ってくれたよ」
真成見イズミ「・・・なるほど、腑に落ちました」
伊集院セイア「あぁ~!しっかし仕事チャラになっちゃったなぁ!」
伊集院セイア「所長には依頼に必要だからって、小間使いまでさせちゃったし・・・」
真成見イズミ「ヤクマ氏の横領の件ですね」
伊集院セイア「コレで依頼料も取り損なったなんて知られたら・・・」
伊集院セイア「あぁ~何て言い訳しよう・・・」
真成見イズミ「所長さんに嘘が通用するとは思えませんけど?」
伊集院セイア「そりゃそうだけどさぁ・・・」
真成見イズミ「私も一緒に謝りますから、正直に話しましょう」
伊集院セイア「良いのか?イズミも怒られるぞ」
真成見イズミ「私も結末には納得していますから」
伊集院セイア「・・・」
伊集院セイア「・・・あのさ、前から不思議だったんだけど」
真成見イズミ「何でしょう?」
伊集院セイア「今までイズミは一人で探偵として仕事してたんだよな」
真成見イズミ「そうですね、できる範囲で」
伊集院セイア「自分の事務所も持ってる」
真成見イズミ「はい」
伊集院セイア「なのに、どうして急にウチとパートナーシップを結ぶ気になったんだ?」
伊集院セイア「しかも所長と同じ立場のはずなのに、アルバイトとしてウチで働きたいなんて・・・」
真成見イズミ「・・・深い理由はありません」
伊集院セイア「本当に?」
真成見イズミ「・・・ただ、この世界で様々な人と出会ってきましたが」
真成見イズミ「セイアさんと所長さんだけは、目の見えない私に対して一度も嘘をつかなかったから・・・」
真成見イズミ「そんな二人の下で仕事をしてみたかった」
真成見イズミ「ただ、それだけです」
伊集院セイア「嘘をついてない、か・・・」
伊集院セイア「そうだっけ?」
真成見イズミ「・・・はぁ」
真成見イズミ「セイアさんは女性の機微に鈍感だからホストになれずに、中途半端な別れさせ屋しかできないんですよ」
真成見イズミ「別れさせ工作だって何度失敗したと思ってるんですか」
伊集院セイア「仕事の失敗はともかく、ホストは関係ないだろ!」
真成見イズミ「あれ?ホストの面接受けてましたよね?」
伊集院セイア「だから、それは生活のためにやむにやまれず受けただけだって!」
伊集院セイア「あ、あと、別れさせ屋としてのスキルアップになるかなって・・・」
真成見イズミ「ホストみたいな名前してるから、てっきりそちらが本命かと思ってました」
伊集院セイア「おまっ!?俺のネーミングセンスにケチつける気か!」
真成見イズミ「ケチをつけたつもりはありませんよ」
伊集院セイア「いいやつけたね!伊集院セイア!カッコイイだろうが!」
真成見イズミ「はいはい、カッコイイナマエダナー(棒)」
伊集院セイア「棒読みすんな!いいか!俺の名前が如何に素晴らしいかを今から説明して・・・」
真成見イズミ「はいはい、さっさと帰りますよー」
伊集院セイア「おい!ちょっと待て!」
真成見イズミ「・・・」

コメント

  • 素敵なラストに心温かくなります。
    最初は「別れさせ屋」というタイトルから、ドロドロ生臭い展開になるかと思ったら、こんなにヒューマニティ溢れるものとは!
    イズミさんの揶揄いの中から時折顔を出す本音、とってもイイですね!

ページTOPへ