エピソード1:メリーワイズの女賞金首(脚本)
〇荷馬車の中
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「荒野と銃-果てない地平線」
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ナタリア「うーん・・・」
ナタリア「ん・・・」
〇荷馬車の中
ナタリア「・・・」
ナタリア「ふわぁ〜あ・・・」
ナタリア(・・・どの辺まで来たかな? カロニア越えて、ノースバゴダ辺りか?)
〇荒野
ナタリア「寒ぅっ・・・!?」
馬屋「払ってもらった分だと、ここまでだな」
ナタリア「ちょっと! どこなんだい!? ここは!」
馬屋「ノクタムとサボイの ちょうど真ん中あたりだな」
ナタリア「はぁ!? それじゃあ、まだメリーワイズ州から 抜けられてすらいないじゃないか!」
馬屋「最初に言っただろう? 20ドルぽっちじゃあ、大したところまで 連れて行けないぞ、ってな」
ナタリア「だからって、こんな荒野のど真ん中で 降ろされたら、野垂れ死んじまうよ!!」
馬屋「だから、ノクタムで一度気を遣って 起こしてやったんじゃないか!」
〇荷馬車の中
数時間前・・・
馬屋「おい! 嬢ちゃん!」
ナタリア「ん・・・」
ナタリア「・・・?」
馬屋「さっきは寝ぼけてたんだろうから もう一回だけ言うぞ? ここが────」
ナタリア「んふ・・・♪」
馬屋「おい!! ここが最後の町だって言ってるだろ! 本当に降りなくていいんだな!?」
馬屋「けっ! 知るもんかい!」
〇荒野
ナタリア「お・・・覚えて無いよ、あたしは」
ナタリア(本当はちょっと覚えてるけど)
馬屋「覚えていようが無かろうが、 こっちは何度も確認したんだ! なのに今更どうこう言われても困るね!!」
ナタリア「あ、あたしだって! こんなところで放っぽり出されたんじゃあ 困るんだよ!」
馬屋「知らんね! こっちは商売でやってるんだ! 嬢ちゃんには悪いが、払える金が無いなら これ以上、付き合っている暇は無い!」
ナタリア「お、おい! 本当に置いていく気かい!?」
ナタリア「くそっ!! なんて薄情な馬屋だい! 頼むところを間違ったよ!!」
ナタリア「・・・」
ナタリア「はぁ・・・ 今やお尋ね者のあたしを 乗せてくれる馬屋なんて そうそうありやしないけどさ・・・」
ナタリア「寒ッ!!」
〇荒野
数時間後・・・
ナタリア「ううっ・・・ちくしょう・・・ どこまで行っても同じ景色だ・・・」
ナタリア(日も暮れてきたことだし・・・ 今晩はここらで野宿かね・・・)
マルコ「ハァ、ハァ・・・!」
マルコ(やった・・・! 初めて一発で仕留められた!)
ナタリア「いよっ! お見事っ、坊ちゃん!!」
マルコ「な、なんですか!? あなたは・・・」
ナタリア「いやぁ、決して怪しいモンじゃないんだ。 ちょいとばかし道に迷ってしまった しがなく哀れな旅行者だよ!」
マルコ「旅行・・・? こんなところに、女性一人で・・・!?」
ナタリア「ちょっ、ちょっ!? ちょっと待ちなよ、坊ちゃん!?」
マルコ「騙されませんよ! どうせ追い剥ぎか、お尋ね者 なんでしょう!?」
ナタリア「い、いやだねぇ! こんな美人のお姉さんが 悪党なわけないだろう?」
ナタリア(チッ!! 勘のいいガキは嫌いだよ・・・!)
マルコ「放っておいて下さい! 僕に関わろうとするなら、撃ちます!」
ナタリア「そ、そう言わずに頼むよ? 腹が減って死にそうだし、 今夜の宿も無くて困ってるんだ・・・」
ナタリア「肉がダメなら、せめて坊ちゃんが住んでる 村の場所だけでも────」
ナタリア「小僧! 伏せな!!」
マルコ「えっ・・・」
ナタリア「チッ!!」
〇荒野
野盗「・・・外したか」
野盗「チィーッ!? なんだぁ、あのアマ! 俺がガキのドタマぶち抜こうとしたら、 ちょうどマヌケにすっ転びやがって!!」
野盗「・・・まさかな」
野盗「アニキ!! 奴ら銃声に気付いただろうし、 もうずっと地べたに這いつくばった ままでしょう!」
野盗「・・・ああ」
野盗「もうこっからじゃ狙えねぇし、 さっさと馬で乗り付けて マワしちまいましょうよ!!」
野盗「ふむ・・・」
野盗「アニキぃ〜!」
野盗「うるせぇ黙れ!!」
野盗「・・・もうしばらく様子を見る」
野盗「へ、へい・・・ すみません・・・」
〇荒野
マルコ「イテテ・・・ じ、銃声・・・? 一体、何が・・・!?」
ナタリア「クソが!! こんな時に丸腰たぁ、 あたしもつくづくツイてないモンだねェ!!」
マルコ「おっ、おっ・・・!?」
ナタリア「どうする・・・!? 何かないか・・・?」
マルコ「おぱっ、おぱ・・・!?」
ナタリア「そうだ!」
ナタリア「小僧! アンタのライフルよこしな──」
マルコ(おっぱい・・・)
ナタリア「ッ〜〜!?」
ナタリア「おい!!」
マルコ「ハッ!?」
ナタリア「誰が手前のかわいいピストル おっ立てろって言ったのさ!? 早くライフルよこせって!!」
マルコ「たっ!?」
マルコ「立ってないですよ!!」
ナタリア「当たってんだよ!! 気色悪い! エロガキが、ふざけやがって・・・」
ナタリア「・・・」
ナタリア「・・・!!」
〇荒野
「ザブ!!」
野盗「いてぇ!! いてぇよ・・・アニキぃぃ・・・!!」
野盗「くそぅ・・・!? あんなボロの猟銃でよくも・・・!」
野盗「ハッ!?」
野盗「チッ!! あの女、できる・・・!」
野盗「ザブ!! ズラかるぞ!!」
〇森の中の小屋
ナタリア「い、家だ・・・ 屋根のある寝床だ・・・! おまけに壁までついてるじゃないか!」
ナタリア「もはやオアシス・・・!」
マルコ「ミス・・・? 失礼ですが、普段はどのようなお宅に お住まいなのですか・・・?」
ナタリア「うるさいね! あたしも色々苦労してんだい! 頼むから、そんな浮浪者を見るような目で 憐れまないどくれ!」
マルコ「し、失礼・・・ しかしミス、そのようなつもりは・・・」
ナタリア「さっきからその『ミス、ミス』って 甲斐甲斐しく人のことを呼ぶのをやめな! まったく、虫唾が走っちまう・・・」
マルコ「す、すみません・・・」
マルコ「ミス──」
マルコ「──あっ!?」
ナタリア「ナ タ リ ア〜♪ ナタリアでも、ナタリーでも 何でもいいから、ミスは や め て」
マルコ「そ、そんな・・・!? 未婚のご婦人を呼び捨てにするなど 畏れ多くてとても・・・」
ナタリア「ハァー!? 子供のくせに、なーに 辛気臭いこと言ってんだい!?」
マルコ「こ、子供扱いはやめて下さい! こう見えて、自立してますので!」
ナタリア「あーあ、そういうとーこ! そんなんだと、いつまでも かわいいピストルボーイのまんまだぞ〜?」
マルコ「や、やめてください! そうやって、男のさがを笑って・・・!」
ナタリア「はん、偉そうに! 男のさがなんて言葉で テメーを着飾りたいなら、 オトコのカワがムケてからにしな!」
ナタリア「なんだい? オトコのサガが、女々しい顔して 何か言いたいことでもあるのかい?」
マルコ「ええ、まぁ」
ナタリア「へぇ、なんだい? むくれてないで言ってみな 男らしくさっさと潔くさぁ!」
マルコ「こんなところまでご足労頂いたところ 大変申し訳ありませんが・・・ やはり、本日のところは お引き取り頂いても──」
ナタリア「──あわわわ!?」
ナタリア「や、やだねぇ! ほら、坊ちゃんとのお近づきの印に 股の内側までおっぴろげて話したくてさ! ぶ、不器用なんだよあたし・・・」
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女性と男の子のバディというと、母性や姉弟愛のような湿っぽい雰囲気になりがちなところを、舞台が西部だったりナタリアの明るいキャラクターでカラッとした雰囲気の物語に仕上がっているのがいい感じです。冤罪のナタリアと家族を亡くしたマルコ、心に傷を負う二人の今後の奮闘ぶりが楽しみです。
ピストル(!)から始まった2人の友情関係がとても痛快でよかったです。お互いに強く自立した一面と情にもろそうなところも、なんとなく馬のあいそうな2人だなあと思いました。
マルコくんのかわいいピストルwww
下ネタのバリエーションに、ナタリアさんの頭の回転の良さと豪放磊落さを感じますね。そしてそのセンスに笑いました!