読切(脚本)
〇駅のホーム
殺してやる・・・
あの女を殺してやる・・・
やっと、チャンスが巡ってきたんだ。
〇駅のホーム
私から彼氏を奪ったあの女・・・
殺してやらなくては気が済まない。
〇駅のホーム
ずっと探して、やっと家をつきとめて、
そして、会社帰りにこの駅で電車を乗り換えることを突き止めた。
〇駅のホーム
ついにこの日が来た。
絶対に私は、やり遂げてみせる。
この女を殺してやる。
〇繁華な通り
街で、彼氏とあの女が歩いているのを見つけた日を、忘れられない。
2人は、手をつないで歩いていた。
まるで恋人のように・・
〇繁華な通り
あの時、彼氏は私に気づかなかった。
けれど、あの女だけは、私に気がついた。
そして、勝ちほこったように、微笑んだ。
〇繁華な通り
彼氏が私に別れを切り出したのは、
その日の夜のことだった。
〇繁華な通り
「ごめん。好きな人ができた。
もう、終わりにしたい」
〇女の子の一人部屋
ショックで私は泣き暮らした。
泣いて泣いて泣いて
そして決めた。
あの女を殺そうと。
〇女の子の一人部屋
あの女さえいなくなれば、
彼はきっと、
私のところに戻ってきてくれる。
だから、
あの女を殺さなくちゃならない。
〇駅のホーム
やっとこの日が来た。
何度も頭の中でシミュレーションして、
練習してきた。
あとは、思い切り、背中を押すだけだ。
〇駅のホーム
あと1分で電車がホームに入ってくる。
駅のホームにアナウンスが流れる。
周りには人がいない。
やるなら今しかない。
〇駅のホーム
やる・・・
今だ!
さあ、今、背中を!
私は両手に思い切り力を込めて、彼女の背中に駆け寄った。
〇駅のホーム
「死ねええええええ!!!!」
〇駅のホーム
その瞬間・・・
信じられないことが、起こった。
〇駅のホーム
両手を思い切り伸ばして、
彼女の背中を突き飛ばそうとした、
その時・・・
〇駅のホーム
あの女が
振り向き、
身体をさっと左によけた!
〇駅のホーム
私の身体はよろけ、
勢いをつけたそのまま、
駅のホームへと突っ込んでいく・・・
〇駅のホーム
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
〇駅のホーム
女「はい、 私が振り向いたら、 そこに女の人がいて・・・ そのままホームに飛び込んでいきました」
〇駅のホーム
女「怖かったです・・・ 自殺だったんでしょうか・・・ もう少しで私も巻き込まれたかもと思うと すごく怖かったです・・・」
〇駅のホーム
女「女の人ですか? いいえ、全然知らない人です。 あの・・・もう、いいですか? 私、仕事で明日早いんです・・・」
〇駅のホーム
女「はい・・・ おつかれさまです・・・ それでは失礼します」
〇高級住宅街
女「ふん・・・バカな女。 毎日後をつけてきてて、 私が気がつかないとでも思ってたの?」
〇高級住宅街
女「スマホのミラーで、ずっと、動きをチェックしてたんだからね。 私を殺そうとするなんて、冗談じゃない」
〇高級住宅街
女「ちょっと避けたら、 あの女、自爆しちゃって・・・。 ほんと、バカな女。 まあいいか。 これで彼は私だけのもの」
〇高級住宅街
女(もしもし? 私。 今日ね、ちょっといいことあったんだ。 今度のデートで一緒に乾杯してくれる? うれしい。楽しみだな💕)
〇高級住宅街
...Fin...
読んでて彼女の情念が怖かったです。
でも、浮気相手のほうが一枚上手だった…ということでしょうか。
こんな女性たちに愛されてる、彼って何者なんでしょうね?
フラれた女がとても可哀想です。それにしても彼氏を取った女が憎い。殺してやりたい。女が恋にかける情熱はすごいものですね。男の私から見ると女は怖い。
悲しい気持ちはわかりますが、、、憎しみをバネにして幸せになってもらいたいなと思いました。でも、恋心が潰れたときの人の気持ちはコントロールできないですよね。