コントファミリー

ひであき

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〇住宅地の坂道
近藤広「もうすぐ家か」
近藤広「今日もみんなしてボケ倒してくるんだろうな」
近藤広「今の内に準備運動しておかねえとな」
近藤広「何でだよ! 何でだよ! 何でだよ!」
近藤広「──よし行くか!」
近藤広「ただいまー」

〇おしゃれなリビングダイニング
近藤文男「おかえり孝。今日は早かったな」
近藤広「広だよ! 息子の名前を間違えるな!」
近藤綾香「あら孝、おかえり。ご飯できてるわよ」
近藤未来「おかえり孝お兄ちゃん!」
近藤飛鳥「孝兄おかえり」
犬「ガルルルル!」
近藤広「だから孝だよ! みんなして間違えやがって!」
  どうやら今日は俺の名前を間違えるボケのようだ。
  昨日は異世界に現れた勇者として扱われた。
  大型トラックで家に突っ込んで道連れに異世界転生してやろうかと思った。
  こんな感じで俺と家族のふざけたやり取りは始まる。
近藤文男「孝で合ってるじゃないか」
近藤広「みんなしてゴリ押しするからつい間違えたんだよ!」
近藤綾香「結婚したら嫌でも変わるから気にしないほうがいいわよ?」
近藤広「変わるのは名字だけだろうが!」
近藤綾香「証人保護プログラムを使えば名前も変えられるわよ?」
近藤広「そんなシステム日本にはねえ!」
近藤未来「孝お兄ちゃん反抗期なの?」
近藤広「こんな扱いなら一生そうなるだろうな!」
近藤未来「私はもう大人だから反抗なんてしないよ?」
近藤未来「パパ! 家では呼吸しないで!」
近藤広「反抗期でもそんなこと言わねえぞ」
近藤飛鳥「ご飯は外で一人で食べて!」
近藤綾香「車の中なら雨風凌げるわよ? はいこれ車のキー」
近藤文男「酷い! こんな扱いあんまりだ!」
近藤広「何か嫌われるようなことしたんじゃねえか親父」
近藤飛鳥「孝兄、今日も一緒にお風呂入ろう?」
近藤広「ガキの頃以来だな! いつも入ってるみたいに言うな!」
近藤飛鳥「実の兄妹だから一緒に入っても何も問題ないよ?」
近藤広「この年になったら問題なんだよ! あと最近のお前何か恐いぞ!」
近藤飛鳥「そういえば昨日噛んでたガムはどこに捨てたの?」
近藤広「そういうところが恐いんだよ!」
犬「ガルルルル!」
近藤広「お前はいつになったら俺に懐くんだ? 拾ってきたの俺なのに」
近藤文男「孝、今日の夕飯はお前が好きなオールドファッションだぞ」
近藤広「夕飯に食うもんじゃねえだろそれ!」
近藤綾香「ミ〇ドで買ってきたのよ」
近藤広「ご飯できてるわよとかよく言えたな!」
近藤未来「孝お兄ちゃん彼女できた?」
近藤広「質問に脈絡がねえなおい!」
近藤飛鳥「孝兄、今日一緒に信号待ちしてた女は誰なの?」
近藤広「見ず知らずの他人だよ! どこの信号の話をしてるかもわからねえわ!」
犬「わんわんわんわんわんわんわんわんわんわん!」
近藤広「俺お前に何かしたかなぁ・・・・・・?」
近藤文男「おい孝、カザフスタンに留学したいって話は本気か?」
近藤広「国のチョイスが斬新だなおい! 留学するつもりはねえよ!」
近藤綾香「孝、ベッドの下にエッチな本出したままだったわよ」
近藤広「隠してたんだよ! わざわざ探し当てただろそれ!」
近藤飛鳥「私の水着写真とすり替えておいてから好きな時に使ってね」
近藤広「使い道がわからねえよ」
近藤未来「孝お兄ちゃんマッチングアプリやってる?」
近藤広「いきなりだな! うちでやってるのは親父だけだよ!」
近藤飛鳥「孝兄に彼女ができたら一緒に死んでくれる?」
近藤広「シンプルに日本語がおかしいぞ」
犬「くぅーん」
近藤広「よしよしどうした? 腹でも減ったのか?」
近藤文男「孝、実はお前はピラミッドの中で拾ってきた子供なんだ」
近藤広「橋の下だろそこは!」
近藤広「いや親父の恰好的にそっちのほうが合ってるのか?」
近藤綾香「あなた、マッチングアプリの件、詳しく聞かせてくれる?」
近藤広「今日は血の雨が降るな・・・・・・」
近藤飛鳥「孝兄に彼女ができたらその女の血で喉を潤すね?」
近藤広「言ってることがびっくりするくらい猟奇的だぞ」
近藤未来「私知ってたんだ。孝お兄ちゃんが実は広お兄ちゃんだってこと」
近藤広「だったら素直にそう呼べよ」
近藤未来「五右衛門お兄ちゃん!」
近藤広「孝ですらねえじゃねえか!」
近藤飛鳥「孝兄、ここのチャペル綺麗だよ」
近藤広「色々すっ飛ばして式を挙げようとすんな」
近藤飛鳥「孝兄は袴着てね」
近藤広「チャペルで袴はおかしいだろ」
近藤飛鳥「私はビキニを着ていくね」
近藤広「どんな結婚式だよ」
犬「ガルルルルル!」
近藤広「お前の名前もそろそろ決めないとなぁ」
近藤文男「孝! 何で父さんがマッチングアプリをやってるのを知ってるんだ!?」
近藤広「クラスの女子のOLの姉ちゃんが親父とマッチングしたって言ってたぞ」
近藤綾香「あなた、これからのことについてきちんと話し合いましょうか」
近藤広「俺は親父に付いて行くよ。男一人じゃ寂しいだろうしな」
近藤未来「私はママに付いて行くね」
近藤広「そうしてくれ」
近藤飛鳥「私もお母さんに付いて行く」
近藤広「ここは俺に付いて行くって言う流れじゃないのか?」
犬「わんわんわん」
近藤広「そうかそうか。お前も母さんについて行くんだな」
近藤文男「すまない孝、俺のせいでこんなことに。男二人で頑張っていこうな」
近藤広「気にすんなよ! やっぱり俺も母さんに付いて行くことにするわ!」
近藤綾香「ありがとう、広。私たち四人で支え合っていきましょうね」
近藤広「四人と一匹、だろ?」
近藤未来「広お兄ちゃんこれからもずっと一緒だよ!」
近藤広「ああ、もちろんだ!」
近藤飛鳥「広兄、子供は八人欲しい」
近藤広「将来の旦那さんに頑張ってもらえよな!」
犬「わんわんわん!」
近藤広「お前の名前何にしようかな」
近藤文男「お、俺を一人にするのか! 孝!」
近藤広「身から出た錆に同情の余地はねえよ」
近藤文男「孝ぃぃぃぃ!」
近藤広「だから広だよ!」
  こうして俺の騒がしい日々は続いていくのであった。
  ちなみに離婚の話は親父のお小遣いが三分の一になるのを条件に白紙になった。
  俺は情報をタレこんだご褒美としておふくろにswit〇hを買ってもらった。ゲームソフトは買ってもらえなかった。

コメント

  • 家に足を一歩入れた瞬間からボケとツッコミの戦場と化しているのがすごい。一瞬でも気を抜いたら流れ弾に当たって即死状態じゃないですかっ。作者さんがノリノリで書いている姿を想像すると、面白いやら微笑ましいやら。

  • 休まる暇のないマイホームの時間、、、何ともハードな毎日で。でも楽しそうww 犬にまでツッコミを入れ続けなければならないとは……

  • テンポが良くて面白かったです!主人公の名前がもうどっちなのか分からなくなっちゃいました笑

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