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きせき

エピソード39-春色の刻-(脚本)

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〇地下室
  いやに、蝋燭が壊れた音が響く。
  長い長い過去を行き来する旅が終わろうとしている。
明石春刻「すみれちゃん・・・・・・」
黒野すみれ「な、何?」
明石春刻「今、何時?」
黒野すみれ「えっ?」
  突然の春刻の問いに・・・・・・
  私は驚くと、机の上にあった時計を見る。
黒野すみれ「0時前かな? 23時54分」
明石春刻「そう・・・・・・あと6分しかないね」
黒野すみれ「ん? あぁ、あの約束のこと?」
  いつだったか、私と春刻はある約束をした。
  それはお互いの誕生日を祝うというものだった。
黒野すみれ「良いよ。また次の誕生日で・・・・・・もう、貴方は殺されることはないんだから」
明石春刻「そう、だね・・・・・・僕は秋川さんを殺した犯人も分かったし、思い残すこともない」
黒野すみれ「春刻?」
  やっぱり、何かがおかしい・・・・・・と私は思った。
  そして、私が春刻に再びどういうことか聞こうと
  声を出そうとする。
  でも、それはできなかった。
明石春刻「誕生日、おめでとう」
黒野すみれ「春・・・・・・刻・・・・・・?」
明石春刻「ごめん、ちょっと眠くて。少し眠らせてくれるかな・・・・・・」
  彼はゆっくりと目を閉じる。
  彼の息づかいは微かに聞こえるが、弱くて、
  そのまま止まってしまいそうだった。

〇黒
黒野すみれ「(どうして、こんなに不安になるの?)」
  彼はただ寝ているだけ、な筈なのに・・・・・・。

〇地下室
黒野すみれ「(って・・・・・・このままじゃダメだよな)」
  私はリエさんが医者を連れてきてくれるのを待つ。
  だが、リエさんは帰ってこなかった。
  いや、正確にはリエさんが戻る前に私は・・・・・・

〇魔法陣2
黒野すみれ「これは・・・・・・」
  忘れかけていたが、私は過去に来ていて、
  この時間の黒野すみれではない。
黒野すみれ「(現在に帰るんだ・・・・・・)」
  時間にして3日間程の過去から現在へ。
黒野すみれ「(長かったけど・・・・・・これで・・・・・・)」

〇黒

〇シックなリビング
黒野すみれ「んっ・・・・・・」
  私は目を覚ますと、春刻の姿を探す。
  過去の彼の様子がおかしかったこともあり、
  一刻も早く、安心したかった・・・・・・んだと思う。
明石春刻「すみれちゃん」
黒野すみれ「春刻!!」
  私は春刻に呼ばれたような気がして、振り返る。
  だが、そこにいたのは春刻ではなかった。
弁護士B「すみれちゃん?」
黒野すみれ「や、安谷さん?」
  私はかなり驚いたが、何とか取り繕うと、
  何故、安谷さんがここにいるか聞いてみた。
弁護士B「連絡があったんだ」
黒野すみれ「連絡?」
弁護士B「あぁ、若い男の子の声で、黒野家が火事になりかけているって」
黒野すみれ「若い・・・・・・男の声?」
弁護士B「うん、20代くらいじゃないかな。最初は冗談かと思ってたんだけど、」
弁護士B「すみれちゃんにもしものことがあったら・・・・・・と思って・・・・・・」
黒野すみれ「・・・・・・すみません、迷惑をかけてしまったみたいで」
  私は安谷さんに謝ると、珍しく安谷さんは怒り始めた。
  いつも温厚で親しみやすいお兄さんという彼は
  怒りながらも、私を本当に心配してくれた。
黒野すみれ「本当にすみません・・・・・・」
弁護士B「いや、俺より先輩が怒るし、悲しむよ」
黒野すみれ「そう・・・・・・」
黒野すみれ「ですよね」
黒野すみれ「ところで、父はもう戻ってきますか?」
  私は安谷さんが落ち着くと、父のことを聞いてみた。
  色んなことがあり、すっかり忘れかけていたが、
  元々は父を助ける為に春刻の話に乗ったのだから。
弁護士B「うーん、予定した仕事は終わったらしいんだけど、どうやら別の案件が発生したらしくて」
弁護士B「明後日には帰れるかなって言ってたかな?」
  父はいるのだ。

〇ホテルの部屋
  この世界に・・・・・・。

〇シックな玄関
弁護士B「本当に大丈夫?」
黒野すみれ「えぇ、あとは朝まで寝るだけですし・・・・・・」
  私はそう言うと、
  安谷さんはまだ何か言いたそうだったが、帰った。
弁護士B「分かった。それじゃあ、気をつけてね」
黒野すみれ「ありがとうございました。安谷さんも気をつけて帰ってください」
黒野すみれ「・・・・・・」
  私が安谷さんを見送り、部屋に戻ろうとした時、
  一通の封筒が目に止まる。
  封筒には見覚えのある字で、
  『すみれちゃんへ』と書かれていた。
黒野すみれ「春刻の字だ・・・・・・」
  それは最初に明石家を訪れた時に

〇貴族の部屋
  リエさんが渡してくれた手紙にあった字と同じだった。

〇シックな玄関
黒野すみれ「えっ・・・・・・」

〇黒
  そこには沢山の文字が書かれていたが、
  私が読めたのはたった一文だけ・・・・・・
  だった。
明石春刻「この手紙を貴方が読む時、僕はもう既にこの世にはいないでしょう・・・・・・」
明石春刻「なんて、リアルで手紙に書く日が来るとは思わなかったけど、」
明石春刻「この手紙をすみれちゃんが読む時、僕はもう既にこの世にはいないでしょう・・・・・・」

〇地下室
  そう・・・・・・明石春刻は死んだというのだ。

〇黒
  1 カンデラ × =
  完

〇蝶

〇蝶

〇蝶

〇黒
  命を狙われている。
  助けて欲しい。
  と、彼女の目の前に突然、現れた青年。

〇シックな玄関
明石春刻「人にも記憶があるように、ものにも記憶がある」
明石春刻「曖昧な人の記憶なんかより確かな記憶がね」
明石春刻「だから」
明石春刻「お願い。過去へ行って、僕を助けて欲しい」

〇新緑
  青年の名前は明石春刻。
  過去をやり直せる和蝋燭を作り出した一族の現当主。

〇シックなリビング
黒野すみれ「どうして、私が・・・・・・」
黒野すみれ「その秋川さんの方が私より適任だと思うんだけど・・・・・・」
明石春刻「それは・・・・・・彼を助ける為に僕が尽くしたことを知ったら、彼は絶対喜ばない」

〇宇宙空間
  そういう、人だったんだ・・・・・・

〇黒
  明石春刻を助ける為、
  彼の専属使用人を殺害した犯人を見つけることにした
  黒野すみれ。

〇城の会議室
  だが、明石家は数々の疑惑と危機が渦巻いていた。

〇地下室
  様々な登場人物達との対峙を経て、
  彼女はとうとう1つの真相に辿り着く。
明石春刻「ありがとう、すみれちゃん。君のお陰で僕は犯人が分かった」
  真相が分かり、彼女は平穏な日々に戻れる
  ・・・・・・筈だった。

〇シックな玄関
黒野すみれ「えっ・・・・・・」
  最後に彼女を待っていたのは彼が残した手紙。
  その手紙には彼の死が書かれていた。

〇新緑
  何故、彼は死んでしまったのか。
  彼を生死を確かめる為、再び明石家に向かう彼女。

〇貴族の部屋
エマ「それが明石家当主の末路なのでございます」

〇配信部屋
明石青刻「方法がない訳ではないですが・・・・・・」

〇風流な庭園

〇新緑
  また会おう・・・・・・絶対に・・・・・・

〇黒
  果たして、最後に彼女が選ぶ未来は・・・・・・。
  1カンデラ × = q.e.d.
  2023.7.1 より始動。

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