秘密のない人なんていない!

危機綺羅

秘密のない人なんていない!(脚本)

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危機綺羅

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〇教室
  人間、誰しも秘密の一つや二つあるものだ
クラスメイト「すごーい!! 本当にこのお弁当、島田さんが作ったの?」
クラスメイト「料理できるって本当だったんだー・・・」
クラスメイト「でも、なんかすごい量だね」
島田さん「朝三時起きでこしらえたの」
クラスメイト「そこまでして!? 今日は運動会じゃないんだよ!?」
島田さん「味見のせいで今もお腹が減ってないし、よければ食べてくれる?」
クラスメイト「そこまでしたのに!?」
クラスメイト「じゃあ、いただきまーす」
クラスメイト「──おいしい! すごくおいしいよ!」
島田さん「ふふ、よかった。まだまだあるからね」
クラスメイト「まだあるの!?」
クラスメイト「島田さんの鞄からお弁当箱が次々と・・・!!」
クラスメイト「ちょっとみんな、手伝ってー」

〇住宅地の坂道
  もちろん、私にもある
クラスメイト「明日の小テスト、自信ないなぁ・・・」
島田さん「え、テスト?」
クラスメイト「前の授業で数学の先生が言ってたやつ」
島田さん「あ、あー!! そうね、そう言ってたわ」
クラスメイト「島田さんはやっぱり不安なんてないよねー」
クラスメイト「いっつもテストは満点だもん。今回も余裕でしょ」
島田さん「・・・もちろん。対策と傾向からばっちりよ」
島田さん「なんなら問題文だって予想がつくわ!!」
島田さん「今から職員室に忍び込んで確認してこようか!?」
クラスメイト「それは怒られるからやめな?」

〇女の子の一人部屋
  私の秘密、それは──
島田さん「よし、これで実は料理ができないっていう秘密はなくなったわ!!」
島田さん「でも、まさか明日小テストがあるなんて!?」
島田さん「今から勉強して間に合うかしら・・・」
  ──みんなが思っているほどできるやつではないこと
島田さん「ノートはとってるのに、内容が全然思い出せない・・・また徹夜しなきゃ・・・」
  昔から見栄っ張りなせいで、できると言って実はできない・・・
  そんな秘密の数が膨れ上がっていった
島田さん「素直にテストのことを忘れてたって言えばよかった・・・」
島田さん「はぁ・・・これ以上、秘密を増やさないようにしなきゃ」

〇教室
  ――では授業を終わります
島田さん(なんとか小テストはできたけど・・・)
島田さん(寝不足でふらふらする)
手塚くん「島田さん、大丈夫? なんだか顔が青白いよ」
島田さん「え? だ、大丈夫!!」
島田さん「まさか私が勉強で寝不足なんてことあるわけないし!!」
手塚くん「そ、そっか。無理はしないようにね?」
島田さん「うん。ありがとう、手塚くん」
クラスメイト「手塚くんって天使みたいに優しいよね。色んな人を気遣ってるみたいだし」
クラスメイト「悪口とか言ってるのも見たことないしね」
クラスメイト「ああいうの、裏表のない人っていうのかもね」
島田さん(裏表のない人・・・見栄っ張りで秘密だらけの私とは真逆ね)
島田さん(──なら、彼を参考にすればいいのかも?)
島田さん「ちょっと待って、手塚くん──」

〇教室
島田さん(あ、あれ? 体から力が抜けて・・・)

〇保健室
島田さん(──ここって保健室のベッド?)
手塚くん「おはよう、島田さん。大丈夫? 頭とか痛くない?」
島田さん「おはよう・・・手塚くん」
島田さん「頭は痛くないけど、なんで私保健室に?」
手塚くん「島田さん、突然ふらっと倒れちゃったんだよ」
手塚くん「近くいたみんなで保健室に運んだんだ」
島田さん(寝不足で倒れるなんて! あとでみんなにお礼を言わなきゃ)
島田さん「そっか・・・ごめんなさい、迷惑かけて」
手塚くん「迷惑なんて誰も思ってないよ。みんな心配してたからね」
手塚くん「僕も心配だったから、みんなの代表として残ってたんだ」
島田さん(──そうだ、二人きりだし、今こそ手塚くんと話せるチャンスじゃない!)
島田さん「手塚くん! どうやったら裏表なく自然体に生きれるかしら」
手塚くん「す、すごく急だけど、どうして僕に?」
島田さん「みんな言ってるもの・・・手塚くんは優しくて裏表のない人だって」
手塚くん「そうかな? 僕にも裏表くらいあると思うけど・・・」
島田さん「でも、手塚くんは秘密なんてないでしょ」
手塚くん「いや、僕にだってあるよ」
手塚くん「秘密なんだから、簡単に明かせないだけで」
島田さん(それもそうだ)
手塚くん「・・・島田さんは、今も自然体じゃないのかな?」
島田さん「え、今? 今は・・・」
島田さん(確かに、今は見栄を張ってない、かも)
手塚くん「島田さんがいつも自然に振舞えないなら心配だけど」
手塚くん「そうじゃないなら、そこまで気にすることじゃないんじゃないかな」
手塚くん「秘密なんて、誰にでもあるものだし」
島田さん「そっか・・・人間誰しも、秘密の一つや二つあるよね」
島田さん(そうだ、自分でもそう思っていたはずだ)
島田さん(ちょっとナイーブになっていたのかも・・・)
島田さん「ありがとう、手塚くん。ちょっと気が楽になったよ」
手塚くん「どういたしまして。島田さんの助けになったらなら光栄だよ」
島田さん「私、手塚くんのこと秘密のないすごい人だと思ってたけど、そんなことないよね」
島田さん「もしそうなら、人間じゃないってことになるもの」
手塚くん「え!?」
島田さん「人間なら秘密はあるものだから、そうじゃないなら人間じゃない・・・」
島田さん「なんて変な冗談だったか、な・・・」

〇幻想2
島田さん(手塚くんの頭の上に、光る輪っか!?)
島田さん(それに、背中から白い翼も見えるような・・・!?)

〇保健室
島田さん(あ、輪っかも翼も消えちゃった)
島田さん「・・・・・・」
手塚くん「・・・・・・」
手塚くん「・・・それじゃあ、僕、そろそろ教室に戻るね」
島田さん「待って待って! 今の、輪っかと翼は!?」
手塚くん「えっと、秘密ってことで。それじゃあ、また教室でね」
島田さん「ええ・・・?」

〇教室
クラスメイト「島田さんおかえりー!」
クラスメイト「もう大丈夫なの?」
島田さん「うん、大丈夫。心配してくれてありがとうね」
島田さん「・・・ねえ、手塚くんってどう思う?」
クラスメイト「手塚くん?」
クラスメイト「優しくて気の利く人だよね。どうかしたの?」
島田さん「いや、別にどうとかではないんだけど」
クラスメイト「島田さんもしかして・・・そういう感じ!?」
島田さん「え、いや──」
島田さん(でも、翼が生えてるなんて言ったら、今度は病院へ行くはめになりそうだし・・・)
島田さん「えっと、秘密!」
クラスメイト「へー、秘密なんだー」
島田さん(また秘密が増えちゃった・・・)
島田さん(──まあいっか!)
島田さん(秘密のない人なんていない、よね)

コメント

  • 人には必ず秘密はありますよね。
    恋にしても、隠れた努力にしても。
    それを暴露するしないは人それぞれですが、我慢しすぎて生きづらくならないようにしなければ…。

  • 秘密のない人って本当にいなくて、それを隠してる彼女は大変だったと思います。
    でも、最後のあたりびっくりしました!
    彼の秘密がすごすぎます!
    だからみんなに優しいのかな?って思いました。

  • 見栄っ張りで秘密がどんどん出来ていくとのことですが、すごい努力家ですよねぇ!努力できる才能がすごいと思いました!でも頑張りすぎて倒れてしまってはやりすぎなので、ほどほどで良いですね…

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