短編 おじさんと少女(脚本)
〇古いアパートの一室
浜辺宗介(──俺の名は浜辺宗介。 四年前に会社をクビにされてから、無職のおじさんと化してしまった)
浜辺宗介(今は、実家の仕送りで生活できているが、なんとかしてこのニート生活から脱出しないと・・・)
浜辺宗介(とは考えても、この生活に慣れてしまいニート脱却などできそうにもない・・・。 そう思いつつ俺はビールを飲む)
浜辺宗介「ビール無くなってきたな・・・。 ・・・コンビニ行くか」
〇住宅地の坂道
浜辺宗介(また金が減ったな・・・。 今月は仕送りが来るまで節約するしかない)
浜辺宗介(おや?あそこに泣いている女の子が・・・)
謎の少女「!!」
浜辺宗介(なんだ?こちらをチラチラ見てくるんだが)
浜辺宗介(まさか、コンビニ袋に入ってるつまみが欲しいのか?)
浜辺宗介(しょうがねえな・・・)
浜辺宗介「ほらお嬢ちゃん。これやるよ」
謎の少女「!! ・・・ありがと」
謎の少女「もぐもぐ・・・ゴクン ・・・美味しかった」
浜辺宗介「それにしても何で泣いていたんだ?」
謎の少女「それは・・・」
浜辺宗介「ああ・・・ 別に無理に答えなくて良い。 じゃあな、お嬢ちゃん」
謎の少女「・・・」
〇二階建てアパート
浜辺宗介(ふう・・・。 いつもより少し時間がかかってしまったな)
浜辺宗介「!!」
浜辺宗介「何で付いて来たんだ!?」
謎の少女「・・・だめ?」
浜辺宗介「だめっていうか・・・ お嬢ちゃん、家に帰らないのかい? 親が心配するよ」
謎の少女「・・・帰る家無いから」
浜辺宗介(・・・っう。 なんてこった。捨てられたのか?)
謎の少女「うう・・・」
浜辺宗介「ああ!!わかったわかった!! おじさんの家で良ければ来るか?」
謎の少女「・・・コクン」
浜辺宗介「じゃあおいで・・・」
〇古いアパートの一室
浜辺宗介(その場の流れで部屋に上げてしまったが・・・)
浜辺宗介(普通に声掛け事案だよなコレ!?)
浜辺宗介「おじさんの部屋何も無くてごめんな。 テレビはあるから、それで何か観ててくれ」
謎の少女「・・・うん」
浜辺宗介(テレビ観始めたか。 やっぱり不味いよなこれ・・・ ひとまずビールを・・・)
浜辺宗介「・・・カシュッ! ・・・ゴクゴク。 ・・・ぷはあ!!」
浜辺宗介(やっぱりビールは最高だなあ!)
謎の少女「・・・ぐうう。 ・・・お腹すいた」
浜辺宗介「そうか。よし。夜ご飯にするか」
謎の少女「いただきます」
浜辺宗介(もぐもぐ・・・ うんうん。なかなか美味いな。 ・・・冷凍食品だが)
謎の少女「・・・おじさんは一人暮らしなの?」
浜辺宗介「・・・え? まあ、そうだな」
謎の少女「お仕事してるの?」
浜辺宗介「・・・いや ちょっと前までしてたんだがクビになって今は無職のニートだ」
謎の少女「へえ・・・」
浜辺宗介(なんだ!?なんで急にそんなこと聞いてきたんだ!?)
浜辺宗介「お・・・お嬢ちゃんは何て言う名前なんだい?」
あいな「・・・あいな」
浜辺宗介「そうか。あいなちゃんか。 俺の名前言ってなかったな。 俺の名は浜辺宗介。よろしくな」
浜辺宗介「・・・なあ。気分悪くしたらすまんが、 家は何故無いんだ?」
あいな「・・・」
浜辺宗介(ヤバい・・・ 聞くべきではなかったか)
あいな「・・・元々孤児院に居て、親はいない。 孤児院ではいじめられて・・・それで・・・」
浜辺宗介「そ・・・そうか・・・ すまない、つらいこと思い出させてしまったな」
浜辺宗介「今日はどうする?孤児院に帰るか? あ・・・でも今更帰っても大騒動か・・・」
あいな「・・・おじさんの家、泊まってっていい?」
浜辺宗介「ええ!?」
あいな「だめ?」
浜辺宗介「うーん・・・」
浜辺宗介(流石に泊まらせるのは・・・)
あいな「・・・またあそこに帰らないと行けないの・・・? ・・・うう」
浜辺宗介「わかったわかった!! 布団は多分2枚くらいあるし、今日はおじさんの家に泊まっていきなさい!」
あいな「・・・やった!」
浜辺宗介「ああ・・・もうどうでもいいや・・・」
〇古いアパートの一室
浜辺宗介「・・・んあ ああ、朝か・・・」
浜辺宗介「あいなちゃんは・・・?」
あいな「すう・・・すう・・・」
浜辺宗介(まだ寝てるか。 よし、朝ごはんでも作ろう)
浜辺宗介「おじさんの!?3分クッキング!!」
浜辺宗介「まず、冷蔵庫にあるタッパーに入っているご飯をレンジでチンして・・・」
浜辺宗介「ご飯をチンしてる間に冷蔵庫から卵を取り出し、卵を割って混ぜます!」
浜辺宗介「卵をよく混ぜたら、そこに醤油、塩、オリーブオイルを少々、砂糖ちょっぴり、お酢を少々・・・」
浜辺宗介「そして、チンしたご飯の上に混ぜた卵をかけたら・・・?」
浜辺宗介「・・・ジャン! おじさん特製、卵かけご飯の完成です!」
あいな「・・・ん」
浜辺宗介「おお、起きたか。おはよう。 布団片付けて朝ごはんにしよう」
あいな「・・・ん。わたしも手伝う」
数分後・・・
浜辺宗介「よし、ではいただきます」
あいな「いただきます」
あいな「・・・これは?」
浜辺宗介「・・・? 卵かけご飯は初めてか?結構美味しいぞ」
あいな「へえ・・・ もぐもぐ・・・ごくん おいしい!」
浜辺宗介「だろ?毎日は流石に飽きるがたまに食べると美味しいんだなこれが」
あいな「そうなんだ・・・もぐもぐ・・・」
浜辺宗介(さてと・・・ この後はどうしたものか・・・ 流石にこれ以上ここに居させると不味い・・・)
あいな「・・・おじさん。 買い物行きたい」
浜辺宗介「へ!?買い物!?」
浜辺宗介(小学生くらいの女の子と40代過ぎの禿げたおじさんが一緒に買い物など、一瞬で捕まるぞ!?)
あいな「だめ?」
浜辺宗介「うーん・・・」
浜辺宗介(くそお・・・!こうなったら・・・)
浜辺宗介「わかったご飯が済んだら買い物行こう。 おじさん少し準備してくるから、少し待っててな」
あいな「わかった!!」
しばらく時間が経ち・・・
あいな(おじさんまだかな・・・)
浜辺宗介「やあ。おまたせ」
あいな「・・・誰ですか」
浜辺宗介「・・・!? 誰って、おじさんだけど!?」
あいな「完全に別人じゃん」
浜辺宗介「メイクやオシャレで人はここまで変わるものなのだよ。お嬢ちゃん。 ※個人の感想です」
あいな「へ・・・へえ」
浜辺宗介「じゃあそろそろ行こうか」
あいな「うん!!」
〇雑貨売り場
浜辺宗介「どう?欲しいものはあるかい?」
あいな「うーん・・・ あっ!コレ欲しい!」
浜辺宗介「おお。かわいいぬいぐるみだね。 さて気になる値段は・・・」
7500円
浜辺宗介「ぬいぐるみの可愛さに反して、この値段は恐怖だな・・・」
あいな「だめ?」
浜辺宗介「ああ!わかったわかった!買うよ買う! すいません。コレください」
あいな「やったっ!!」
〇デパートのサービスカウンター
浜辺宗介「暗くなってきたな。そろそろ帰るか」
あいな「うん!」
浜辺宗介「ん?あれは?」
──行方不明──
篠崎あいなちゃん(11)小学5年生が
7/14から行方がわからなくなっています。
・・・
浜辺宗介(これあいなちゃんの・・・!? 7/14・・・?今日は8/14だから一ヶ月前から行方不明だったのか!?)
あいな「・・・? どうしたの?おじさん」
浜辺宗介「あいなちゃん。一ヶ月前から家出してたのかい?」
あいな「・・・ああ、私のポスター。 ・・・そう。実はおじさん以外の人の家にも居させてもらったりしたの」
浜辺宗介「ちなみにおじさんと出会ったとき、あいなちゃん泣いていたよね?それはどうして・・・?」
あいな「・・・その」
浜辺宗介「・・・。一旦おじさんの家に帰ろう」
あいな「うん・・・」
〇古いアパートの一室
浜辺宗介「・・・」
あいな「・・・」
浜辺宗介「何で、一ヶ月前から家出してたことを黙っていたんだ?」
あいな「おじさんにバレたら、警察に送られると思って・・・」
浜辺宗介「・・・俺だって、まだ昨日家出したんだったら、一日くらいかくまってやろうとは思っていたが」
浜辺宗介「孤児院の人たちは、警察に行方不明届けまで出してまでずっとあいなちゃんの事を心配してるんだ」
あいな「・・・うん」
浜辺宗介「孤児院でいじめられて嫌で抜け出すのはわかる。俺だってその状況になればそうしたがると思うし・・・」
浜辺宗介「・・・でも、いろんな人の家に泊まっていたりしてたら、あいなちゃんがどんな目にあわされるかわからない」
浜辺宗介「あいなちゃんをかくまった俺が言えることでは無いが、帰るべき場所があるのなら帰ったほうが良い。その方が・・・」
あいな「でも!孤児院に帰っても、また皆にいじめられるかもしれないし・・・!」
浜辺宗介「その時は孤児院の親に相談したり、信頼できる身近な人に相談したって良いんだ。命に関わる事をされた時は俺に頼っても良いんだ」
浜辺宗介「その時は俺がなんとかしてやる!」
あいな「・・・! うん」
浜辺宗介「明日、警察に一緒に行こう」
あいな「・・・うん」
〇古いアパートの一室
あいな(・・・)
あいな「・・・おじさん」
浜辺宗介「・・・ん?」
あいな「おじさんと出会ったときの事覚えてる?」
浜辺宗介「・・・ああ。覚えてるぞ」
あいな「あの時私、泣いてたでしょ? 実はあの日私をかくまってくれてたおじさんに酷い事をされて・・・」
浜辺宗介「・・・酷いことって?」
あいな「最初は優しかったんだけど、過ごすうちに私への見る目がどんどん変わっていって・・・」
あいな「ある日起きたら突然裸にされて縛られてて・・・」
あいな「・・・いっぱい嫌な事された」
浜辺宗介「・・・そうか、辛かったな」
浜辺宗介「明日、警察に行った時にその酷いことしてきたおじさんのこと言いなさい」
あいな「・・・うん、わかった」
あいな「おやすみ」
浜辺宗介「ああ、おやすみ」
〇二階建てアパート
浜辺宗介「それじゃあ・・・行こうか」
あいな「・・・うん」
〇警察署の入口
浜辺宗介「すいません。行方不明の子見つけたんですが・・・」
警察官「!! こちらに・・・」
浜辺宗介「はい・・・」
あいな「じゃあ、ありがとね。おじさん。 短い間だったけど楽しかった。 孤児院でまた嫌なことがあったらおじさんの家来ていい?」
浜辺宗介「ああ。いつでも待ってる」
あいな「うん。ありがとう。 あと、おじさんのくれたうさぎのぬいぐるみ大切にする。 じゃあそろそろ行くね。おじさん。 バイバイ」
浜辺宗介「ああ、じゃあな」
警察官「詳しい事情をお聞きしたいので、取り調べ室までご同行願えますか?」
浜辺宗介「はい」
〇古いアパートの一室
浜辺宗介(あれから3ヶ月。警察から取り調べを受けた俺は、少女に何も危害を与えてないことが確認された後、感謝状を渡され帰宅した)
浜辺宗介(ニュースで知ったが、あいなちゃんに酷い事をしたおじさんは、性暴力を行ったとして、逮捕されたらしい)
浜辺宗介(あの娘は、今でも元気にしているだろうか?)
浜辺宗介「さて、そろそろ昼ごはんに・・・」
「ピンポーン!」
浜辺宗介「・・・? 誰だろう・・・」
浜辺宗介「はーい」
浜辺宗介「!!」
あいな「おじさん」
浜辺宗介「あいなちゃん・・・。 さあおいで。話でも聞こう」
あいな「ううん。違うの。もういじめられてないの。あの後孤児院に帰ったらいじめっ子達が謝ってきて、いじめてこなくなったの」
あいな「私が家出したから、さすがに不味いと思ったのかな?ふふ! 今は新しい友達も出来て楽しくしてるよ!」
浜辺宗介「そうか・・・。良かった。 俺も心配してたんだ。またあいなちゃんがいじめられてないか」
浜辺宗介「それにしても、今日はどうしたの?」
あいな「おじさんにまた会いたくなっちゃって! あとあの時の感謝も伝えたかったし」
浜辺宗介「そうか。わざわざありがとな。さあこんなとこじゃなんだ。部屋に入るか?」
あいな「うん!おじさんの部屋でテレビ観たいな!」
浜辺宗介「おお!いいぞ! バチカン市国の果てまで行ってQ! でも観るか!」
こうして、無職のおじさんと少女の物語は幕を閉じた。
観てくれてセンキュー!
〇住宅地の坂道
こう89「どうも皆様はじめまして。 こう89です」
こう89「「おじさんと少女」いかがでしたでしょうか。初めての作品なので、かなりミスや文章がおかしい所が多々あったと思います・・・」
こう89「特に今回は読み切りですので、あまり満足感が無かったと思います・・・。 ごめんなさあい!!」
こう89「しかし作品を作っていると、いろんな素材があって豊富ですし、とてもワクワクして楽しかったです。タップノベルさんに感謝!!」
こう89「おじさんと少女の関係はまだまだ続いていくので、この先は読者の皆様にご想像お任せします」
こう89「また気が向いたら作品作ろうと思いますので、是非観ていただけると嬉しいです!」
こう89「ではそろそろお時間ですし、警察に大人しく連行されようと思います。 では皆様またどこかで」
宗介がメイクと服装で別人になったシーンでは「腹までは引っ込められんだろ」と思いましたが面白かったです。最後に作者さんが宗介と同じ警官に連行されるのを見て、警察はちゃんと仕事してるんだな、と頼もしく感じました。
最後こう89さんが警察に連行されて行くのが面白かったです。これが読み切りなのは、少し惜しいですがこれからも続けていって下さい‼
確かにこれは犯罪の匂いがぷんぷん…。
まぁでも善も悪も、受取手次第ですよね。
助けることで一人ではなく様々な人の人生を変えたのかもしれませんね!