内緒だよ。

不思議まこ

読切(脚本)

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〇水中
  私は文字が4文字程度しか読めない。
  ゲームも『秒』で終了さ。
  だから君に嘘をつこう。私は秀才でプロのゲーマーさ。

〇住宅街の公園
  私が強くなれる方法は
  『嘘』と『妄想』さ。
  
  だから君も『私が無能』だということを誰にも言ってはいけないよ。

〇村に続くトンネル
  どうやら私が無能な事を話してしまったようだね。
  
  だけど関係ないよ。
  私は嘘と妄想で『最強』になる。
  君とはサヨナラだ。

〇病院の廊下
  僕は『強い』
  僕は『負けない』
  僕は『最強』
  僕は『負けてない』
  僕こそ『ヒーロー』さ。

〇改札口
  この僕は『地位ある教師』
  教育上、『嘘などつかない』だろ。
  
  僕なら大勢『騙せる』
  僕のうそは『最強』だろう。

〇電車の中
  さあ、僕の世界へようこそ。
  
  ここでは『最強』
  ここでは『嘘』こそ『すべて』
  
  怒ることじゃないよ。
  楽しもうよ。

〇高級マンションの一室
  僕はお金持ちではありませんよ。
  
  真面目にコツコツ働いてるだけですから。
  
  最上階に住めるようになったのも最近なんです。

〇教室
  みんな!
  いいか。
  夢をもて。
  諦めるな。
  自分を信じるんだ。
  
  そうすれば
  『夢は叶う』んだ!

〇個室のトイレ
  夢が叶う方法は『嘘』と『妄想』と『誤魔化し』さ。
  
  『夢実現』は無能人間にとっては真っ赤な『嘘』さ。

〇水中
  溺れろ。
  沈め。
  汚れろ。
  希望なんてもつな。
  夢をもつ心は深くに沈んでしまえ。

〇狭い畳部屋
  本当は分かっている。
  嘘が一番弱い。
  嘘には更なる嘘が必要だ。
  
  だがな、無能は『受け入れてもらえなかった。』

〇公園のベンチ
  俺は『強い』
  俺は『無能』じゃない。
  俺の嘘は『嘘じゃない。』
  俺の嘘こそ『正しい。』

〇田舎の線路
  さあ、出発しましょう。
  
  嘘ではない『誠の私で。』
  
  何も恐れることはない。全て思いのままに。

〇空
  ねえお母さん!
  
  僕ね、大きくなったら『博士になる!』

〇空
  そう。
  博士になりたいの。
  
  素敵な夢ね。

〇水中
  僕は『研究者だ』
  僕は『優秀さ』
  
  僕は夢を叶えた。

〇村に続くトンネル
  僕は『教師だ』
  『研究者』じゃない!
  
  無能な俺は消えてくれ!!

〇村に続くトンネル
  おいおいお前。
  
  『君』は『僕』だ。

〇村に続くトンネル
  僕は僕だ!
  
  君みたいに『現実逃避』はしない!
  
  僕は『教師だ!』

〇村に続くトンネル
  鬱陶しい。
  俺は俺を造り過ぎた。
  
  もうお前は今日限りで妄想から『アンインストール』する。

〇村に続くトンネル
  僕を君から消せば、
  君自身は『無能に戻る』
  
  そして妄想の中でも『地位がなくなる』んだぞ!

〇村に続くトンネル
  僕に指図するな。
  
  君より地位があって、優秀な僕を『ダウンロード』すればいいんだから。
  
  サヨナラ。

〇水中
  次は何になろう。
  次はどんな嘘をつこう。
  次はどの僕を演じよう。
  次はどんな輝く世界が待ってるんだろう。

〇高級マンションの一室
  自分自身は何者か。
  偽って生きるのは何故か。認めてもらえない・・・抜け出せない。だから僕は今日も嘘をついて生きるんだ。

〇水中
  僕がこの世界から抜け出せなくても、『妄想』と『嘘』と『ダウンロード』と『アンインストール』で
  どんな世界へも行けるんだ。

コメント

  • 人間だれしも嘘をつき妄想を抱くイキモノです。しかし、現実をインストールするかしないかで大きく変わりますね。現在の自分は、過去の自分はどうだったのかと考えが至ります。ハッとさせられる物語ですね。

  • たしかに妄想の中なら誰でも万能になれますよね。
    このまま進むと、いつか自分のついた嘘が信じられなくなりそうで、ちょっと怖いですが。
    楽しく読ませていただきました!

  • 妄想は自由〜。妄想は楽しい世界〜。なんだってできるし、なんにだってなれちゃう。いっそのこそ、妄想じゃない本体のほうの人生も、妄想だと思って生きたら、ダウンロードもできるし、なんでもできて怖いものなし、最強になれちゃうかも。いや、でもこの場合、妄想をやめたくなったら、、、怖いので妄想はここまでにしておきます。(笑)楽しい作品でした。

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