嘘つきは嫌い(脚本)
〇テーブル席
浜田誠「ま、また会ってくれてありがとう」
高村リナ「こちらこそ。お休みの日なのに」
高村リナさんとは先日の合コンで出会った。友人の北川から頼み込まれて参加した合コンだったが。
行って良かった~
〇オフィスのフロア
北川悠馬「急に一人こられなくなって困ってるんだ、本当に頼むよ」
浜田誠「合コンに行くのはいいよ・・・でもさ、何で俺がそいつの代わりに「東大卒の銀行員」ってことになるの?」
北川悠馬「今回の目玉なんだよ~頼むよ。適当に話合わせてよ。いてくれるだけでいいから」
浜田誠「俺が嘘つくの下手だってこと知ってるだろう・・・」
北川悠馬「最初は,何とか話合わせてろ。すぐに俺らが女の子たちの相手を代わってやるから。大丈夫!!」
浜田誠「ど、どうせ俺はもてないから・・・」
押しの強い北川に負けて「東大卒の銀行員」のキャラを演じることになった。
北川の言ったように、女の子たちは面白みのない俺からすぐに離れていった。東大卒のエリート銀行マンなのに(偽装だけど)
〇テーブル席
ほとんど何も話せないで終わった合コンだったが、帰る方向が同じリナさんと、話があって。まさかのデートOKもらってしまった。
う、嬉しい。いやいや、ダメだ。彼女は「東大卒」の「銀行員」の俺に興味があるんだ。正直に話さなくては!!
浜田誠「あのね、リナさん・・・」
高村リナ「はい、何でしょう?」
か、可愛い。言い出せないよ、本当は三流大卒の中小企業勤めなんて。嫌われたくない・・・
高村リナ「どうしたんですか?どうぞ、話してください♡」
浜田誠「え、えーと・・・リナさんはどんな人がタイプですか?」
わー、俺、何言ってるんだろう
高村リナ「うーん、好きになった人がタイプです、なんて。でも、強いていえば『嘘をつかない人』かなあ」
お、終わった
高村リナ「浜田さんは?浜田さんはどんな人がタイプなのかなあ?」
リナさん!あなたが、ど・ストライクです
浜田誠「あ、あの、リナさん、みたいな人、かな。あ、すみません、ちょっと、急にこんな風に言われても。困りますよね」
高村リナ「いいえ。浜田さんって正直者でしょう?」
いえ、違います。俺、あなたに嘘をついてます・・・
高村リナ「私、『嘘をつく人』だけはダメなんです」
か、完全にアウトだ!!
「実は友達に頼まれて、東大とか銀行員とか、嘘ついてました、アハハ」・・・
ダメだ。軽蔑されるだけだ。でも、しょうがない、正直に言うしかない
浜田誠「あの、俺、二葉銀行に勤めているって・・・」
高村リナ「あ、はい、そのことなんですけど。父からいい金融商品を聞いてきて欲しいと頼まれてるんです」
浜田誠「ええええ?」
ヤバい、ヤバい、ヤバいぞ~
お、落ち着け
浜田誠「えとえとえと・・・えっとですね、じじじ実は、私、二葉銀行に勤務していましてもですが、そっち専門ではないので」
高村リナ「ええ?そうなんですか?」
浜田誠「は、はい。でも、同僚に聞いてみます」
ごめん、リナさん、役に立てなくて。でも、口に出したからには、しっかり調べてくるよ
高村リナ「そういえば、浜田さんって東大を出てられるんですよね」
うわーキタ~!!
高村リナ「東大ってどうでした?」
浜田誠「いや、普通でした」
お、俺、何を言ってる?
高村リナ「そんなことないでしょう?うーん、じゃあ、どんなことを研究されていたんですか?」
浜田誠「え、えーっと、まあ企業の広告と効果とか、まあ、その辺りです」
高村リナ「へー、そうなんですか。面白そうですね」
やっぱりリナさんは俺の肩書に惹かれているんだよな。嘘がばれたら、もう付き合ってもらえないんだろうか
高村リナ「私もマーケティング勉強したんですよ。東大出の人からお話聞けるの、嬉しいです」
ああ、期待されちゃってる
もしも嘘だって分かったら、がっかりさせちゃうんだ・・・それは、できない
浜田誠「リナさん、すみません。嘘をついていました。実は、僕は東大ではなくテイキュウ大の卒業で、銀行員ではなくただの会社員です」
高村リナ「へえ、そうですか」
リアクション、薄っ・・・
浜田誠「嘘をついていてごめんなさい。もう、お付き合いしてもらえませんよね」
高村リナ「もう、私に嘘はつかないでもらえますか?」
浜田誠「え、許してくれるんですか?」
高村リナ「はい、絶対にもう二度と嘘はつかないでくれるなら」
浜田誠「や、約束します!」
高村リナ「また、嘘ついた~」
浜田誠「え、いや、そんな」
人は皆、絶対、嘘をつく
実は私、人の心が読めちゃうんだ。
だから、あなたみたいに嘘をつくのに罪悪感を持つ人じゃないと一緒にいられないの
私は、他人の心が読めることを絶対に誰にも知られたくない。
高村リナ「だって、あなたは、あなたの心を読める人と一緒にいられますか?」
嘘は良くないんですが、嘘をつかずに生きていくのは難しいですよね。
でも、彼女はそういったこともわかってて、素敵な女性だなぁって思いました。
人の心を読めるのも大変だろうなと。
確かに生きている上で嘘はついてしまう…。
どんなに心掛けていてもふとしたタイミングで…。
しかし心読まれるのは…嫌ですね…笑
彼も嘘つきたくてついたわけじゃないし、最後に白状したのに可哀そうな結末でした。こういうしたたかな女性っているんですね、一体なにが目的だったんでしょうか? 嘘ついてまで彼女に会いたかった彼の気持ちが可愛いです。