地獄行きまでの72時間

YO-SUKE

第二話「緘口令を守って(後編)」(脚本)

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〇黒背景
  辻堂登の地獄行きまで、残り48時間

〇オフィスのフロア
辻堂登「どうせ犯人はこの中に いるに決まってるんだ」
辻堂登「万年係長の小湊か。 いや、それとも、 まさか紗季ちゃんが・・・?」
  辻堂の目を恐れて、
  若い男性社員が書類を落としてしまう。
辻堂登「おい、お前。何してんだ?」
男性社員「ひぃ・・・! これは──」
辻堂登「お客様の顧客情報が書かれた 大事な書類だぞ?」
辻堂登「それを落とすってことは人間やめるか? あぁ?」
木原万里江「坊ちゃん、 いまお時間よろしいでしょうか?」

〇個別オフィス
辻堂登「昨日の怪文書の件、何かわかったのか?」
木原万里江「いえ。残念ながら」
辻堂登「くそ・・・いったい誰なんだ」
木原万里江「おそらく、坊ちゃんのことを 快く思わない誰かだと思います」
木原万里江「そこでご提案なのですが、 私に粛清を任せてもらえませんか?」
辻堂登「粛清?」
木原万里江「今回はいい機会かもしれません。 これを機に、坊ちゃんに反発心を 抱いている連中を炙り出します」
辻堂登「わかった・・・どんな手を使ってもいい。 必ず犯人を探しだせ」

〇オフィスのフロア
  翌日
小湊正文「し、支店長・・・! なんなんですか、これは!?」
  『人事異動社内通知書』
辻堂登「さっき本社から届いたんだろ?」
小湊正文「なんで私が北海道なんですか!? 私は家を買ったばかりで、 ローンだってこれから──」
辻堂登「俺は知らん! 嫌なら辞めればいい」
小湊正文「それにしたってあんまりです! この銀行一筋で真面目に勤めてきたのに」
辻堂登「黙れ! たいした能力もないお前を、今日まで 雇ってきたことが会社の温情だと思え!」
小湊正文「そ、そんな・・・」
辻堂登「いいじゃないか、北海道。 海の幸はうまいぞ。じゃ、一服してくる」
小湊正文「ま、待ってください!」

〇テラス席
  高層ビルの一階にある
  レストランのオープンテラス。
辻堂登「それにしても、さすがは万里江さん。 仕事が早い。小湊だけじゃなくて、 その派閥もあっさり異動させた」
木原万里江「坊ちゃんが会長に連絡してくれたから ですよ。おかげでスムーズに行きました」
辻堂登「ハハハ。 小湊は何かと俺に口うるさかったし、 ちょうど良かったよ」
木原万里江「ただ、彼が犯人だったという 証拠を掴んだわけではありません」
辻堂登「いや、それが逆にいいんだ。 昨日の今日で、すぐに小湊が 更迭されて・・・」
辻堂登「仮に真犯人がいたとしても いい抑止力になる。はっはっは!」
  空から植木鉢が落ちて来る。
木原万里江「坊ちゃん! 危ない!」
  万里江が飛び出し、
  間一髪のところで辻堂を突き飛ばす。
木原万里江「坊ちゃん! 大丈夫ですか?」
  慌てて空を見上げる辻堂。
  だがそこに人影はない。
辻堂登「こ、こんなもの頭に当たったら 即死だぞ・・・!」
木原万里江「す、すぐに調べてきます」
  万里江は部下に連絡しながら立ち去る。
辻堂登「誰なんだ・・・誰がこんなことを。 まさか小湊が――いやそれとも別の」
  辻堂登の地獄行きまで、残り12時間

〇高級一戸建て
  車が車庫に入り、
  運転手と辻堂が降りて来る。
運転手「坊ちゃん。私はこれで」
辻堂登「待て。 もう一度、道路を調べてから帰るんだ」
運転手「ですが先ほど──」
辻堂登「調べろって言ってるんだよ!」
  運転手は言われるままに
  家の前の道路を調べて戻ってくる。
運転手「・・・特に異変はありませんでした。 失礼します」
辻堂登「くそっ・・・! なんで俺がこんなに ビクビクしなくちゃならないんだ!」
  辻堂がシャッターを閉めるボタンを押す。
  すると、覆面を被った男たちが
  車庫に侵入してくる。
辻堂登「! な、なんだお前たちは!」
辻堂登「ぐあっ・・・!」
  そのまま意識を失う辻堂。
  辻堂登の地獄行きまで、残り10時間

〇オフィスのフロア
  目隠しをされて、椅子に縛られた辻堂。
  紗季が来て、辻堂の目隠しを外す。
田口紗季「お目覚めですか? 支店長」
辻堂登「お前、なんで――ここはもしかして」
田口紗季「いつもの職場ですよ」
辻堂登「さ、紗季ちゃん・・・何かの冗談だろ? 早くこの縄を外してくれよ」
田口紗季「お断りします」
辻堂登「君はこんなことする子じゃない。 こんなことしても得にならない。 そうだろ?」
田口紗季「ええ。小湊係長には止められました」
辻堂登「小湊が?」
田口紗季「何があっても支店長を助けようと声を かけていたのは、いつも小湊係長でした」
辻堂登「ちょ、ちょっと待ってくれ! わけがわからない!」
  紗季は机にあったボールペンを手に取ると、辻堂の太ももに勢いよく突き立てる。
辻堂登「がぁぁぁぁァァ!!!」
田口紗季「私の太腿、支店長によく触られてたじゃ ないですか? これはそのお返しです」
辻堂登「お、お前が犯人だったんだな・・・! こんなことして許されると思うなよ!」
田口紗季「犯人? それは誰のことですか?」

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