プロローグ(脚本)
〇謎の施設の中枢
・・・ここは?
・・・わからない
思い、だせない・・・
〇謎の施設の中枢
アカネ「あれー?おかしいな、なんでここ電気付いて・・・」
アカネ「って誰かいるー!?」
・・・びっくりした
アカネ「えっと・・・君はどこから来たのかなー? 迷子かな、ちょっと検索するから名前を教えてくれるかな?」
アカネ「・・・あれぇ?ここ繋がらないなぁ・・・」
・・・名前?
アカネ「あ、そっか・・・名乗るならまず自分から!だよね・・・ごめんごめん!」
アカネ「あたしはアカネ!よろしくね」
アカネ、さん・・・
アカネ「んー?なになに、お姉さんに何でも話してみなさい!」
自分の名前、わからない・・・
アカネ「・・・・・・」
アカネ「えええぇぇぇぇぇぇええええええ!?」
〇近未来の通路
アカネ「とりあえずこれだけ聞いておきたいんだけど・・・何も覚えてないってこと?」
言葉とかは、なんとなく出てくる・・・
でも、思い出そうとすると上手くいかない・・・
アカネ「なるほど...とりあえず身体に異常がないか調べてもらうのはどうかな?」
アカネ「まあ、今向かってるのが医務室なんだけど」
わかった・・・
アカネ「あ、そうだ!」
アカネ「名前、ないと不便よね・・・あたしがつけてもいいかな?」
いいの・・・?
アカネ「よーし、医務室に着くまでに頑張って考えるから!」
楽しみに、待ってる・・・
〇病院の診察室
キョウカ「あら、アカネちゃん・・・ 今日はどういう用事かしら?」
アカネ「この子を検査してほしくて来ました!」
アオト「えっと・・・こんにちは」
キョウカ「あら。かわいい子じゃない・・・ でも、君に弟なんていたかしら?」
アカネ「じ、実はいたんですよー! アハハ・・・」
キョウカ「それくらい冗談ってわかるわよ、 本当の事を話してもらえるかしら」
アカネ「アッハイ・・・ それで、あの通路を曲がって、まっすぐ行って、その後左に行ったところにあった部屋にこの子が居て・・・」
・・・。
アオト「えっと、この医務室を出て右側を向いてまっすぐ行った後、二つ目の角を右に曲がって、倉庫みたいな部屋の隣の隣・・・の部屋」
・・・
キョウカ「まあ、この際場所は一旦置いておきましょう。検査をするといっても何の検査かしら」
アカネ「えっと、この子記憶喪失みたいで・・・名前も覚えてないようなので身元もわからずじまいなんです」
アカネ「だから脳に異常がないかどうか、キョウカさんに調べてもらおうと思ったんです」
キョウカ「記憶喪失で身元が分からない・・・ね。 わかったわ、この子は一旦預かっておくから。あなたは他の用事があったはずでしょう?」
アカネ「あ!そうだった!! このままだと訓練の時間に間に合わない! い、行ってきます!!!」
アオト「・・・行っちゃった」
〇病院の診察室
数分後・・・
キョウカ「一応検査は終わったから、あとは結果が出るのを待つだけね」
アオト「結果・・・」
キョウカ「不安かしら? ・・・じゃあ、結果が出るまで私がお話をしてあげるわ」
アオト「・・・おはなし・・・・・・」
アオト「これは・・・!?」
キョウカ「これは・・・怪物の写真なの」
アオト「・・・え?」
キョウカ「瀕死の子供のふりをして近づいた人間を殺害する、恐ろしく知能の高い怪物」
キョウカ「・・・検査すれば、中身が怪物だってわかる。それくらい上手い擬態」
アオト「・・・まさか」
キョウカ「安心なさい、あなたはれっきとした人間よ。ただね・・・」
キョウカ「検査するついでにあなたの記憶を見たの。 過去の記憶はやっぱり見れなかったけれど、あなたが居た部屋を確認させてもらったの」
アオト「あの部屋・・・」
キョウカ「・・・このシェルターに、あんな部屋はないのだけれど」
キョウカ「──あなたは、どこから来たのかしらね」
〇病院の診察室
アオト「あの部屋が・・・ない?」
キョウカ「そうよ。 もしかしたら・・・リーダーなら何か知ってるかもしれないわ」
キョウカ「このシェルターの事はあの人が誰よりも熟知しているの。だからリーダーに聞くのが一番よ」
アオト「わ、わかった・・・」
キョウカ「リーダーのところに向かうついでに例の部屋を見に行ってみましょうか」
アオト「うん・・・!」
〇近未来の通路
アオト「この辺り・・・だったはずなんだけど・・・」
キョウカ「やはり無いわね・・・ さあ、リーダーの所へ向かいましょうか」
アオト「うん・・・」
キョウカ「君に聞きたい事があるのだけれど」
アオト「聞きたいこと・・・?」
キョウカ「──あなたは、これからどうするつもりなのかしら」
アオト「これから──」
アオト「・・・まずは、知りたい」
アオト「自分の正体とか、記憶とかもそうだけど... この世界の事を、知りたい・・・!」
アオト「アカネさんにも、キョウカさんにも助けてもらったから、自分も何か出来るように、なりたい・・・」
キョウカ「・・・」
キョウカ「ええ、そうね。 私に出来ることなら手伝うわ」
キョウカ「でも仕事があるし・・・ なにより、アカネに教えてもらった方がいいと思うわ」
アオト「アカネさんに?」
キョウカ「ええ。あの子成績が、ちょっとね・・・ ほら、『人に教えると自分も理解出来る』なんて言うでしょう?」
キョウカ「さて、そろそろ着くわ・・・リーダーと言っても別に威厳があるとかそういう訳じゃないから楽にしていていいわよ」
アオト「わかりました・・・?」
〇研究所の中枢
リョウタ「ようこそ、アオトくん」
リョウタ「──と、キョウカさん。聞こえてましたけど・・・なんですか威厳がないって。否定できないけど・・・」
キョウカ「あら、事実でしょう?」
アオト「えっと・・・こんにちは・・・」
リョウタ「こんにちは、アオトくん。 キョウカさんからデータは貰ってるよ」
リョウタ「あの部屋で、記憶をないまま一人で目覚めた・・・そうだね?」
アオト「あ、はい・・・」
リョウタ「単刀直入に言わせてもらうと、あの部屋は緊急時にしか使えないテレポート装置なんだ」
リョウタ「この世界は謎の怪物により地上は壊滅、僕らはシェルターに避難せざるを得なかった」
リョウタ「そこで僕はこのシェルターを色々と調べていたんだけれど・・・1つおかしい点に気づいた」
アオト「おかしい点・・・?」
リョウタ「まるで最初から攻めてくることが分かっていた、と言わんばかりの設備だったのさ」
リョウタ「ここの設備は少々、いやかなり特殊でね。 人が秘めている得体の知れない力を利用して動くのさ」
リョウタ「それは人によって大きさは様々、だがその設備を動かす事は容易にできた。 だからこそ僕らは生き残ることができたのさ」
リョウタ「だが・・・唯一どれだけ尽力しようと動かないものがあった。それがあのテレポート装置さ」
キョウカ「・・・装置はそれだけじゃないわ。傷を治すものや、異常がないか検査するもの、それに・・・」
キョウカ「敵を倒すものも、ある」
リョウタ「それを利用し、地上の怪物を倒す・・・ それがリゲイナーの使命さ」
アオト「リゲイナー・・・」
リョウタ「これを言うのは少し心苦しいが・・・」
リョウタ「アオトくん。 君にも協力して欲しい」
アオト「1つ、聞かせてください」
リョウタ「なんだい?」
アオト「アカネさんは、その・・・リゲイナーなんですか?」
リョウタ「ああ、彼女はリゲイナーの見習いだ。 実は、見習いはパートナーを見つけ試験に合格しないといけないんだが・・・」
アオト「・・・それ、僕はなれますか?」
リョウタ「まあ、彼女の意思次第だが・・・って、リゲイナーになることを認めるのかい!?」
アオト「きっとそれが、世界を知る第一歩になると思って・・・僕、頑張るので・・・!」
キョウカ「ケガだけは気をつけてね? 一応、私の世話にならないよう祈っておくわ」
アオト「あ、はい!」
リョウタ「はは、やっと彼女にパートナーができたか・・・」
〇研究所の中枢
リョウタ「そういえば、君に協力を仰いだ理由・・・言わずに君は快諾してくれたけども」
リョウタ「一応、聞いておいた方がいいとは思わない無い?もしかしたら、なにかのヒントになるかもしれない」
アオト「というと・・・?」
リョウタ「ここのシェルターは特殊な装置が多々存在しており、人が持つ謎の力で動く。さっき説明したのは覚えているかい?」
アオト「は、はい!」
リョウタ「その力を、僕たちは仮称として『リゲイル』と呼ぶことにしたんだ。まあ・・・これ浸透しててみんな普通にそう呼んでるけども」
アオト「『リゲイル』・・・」
リョウタ「そう、そのリゲイルという謎のパワーが君には膨大な量がある事が分かったんだ」
アオト「・・・えっ?」
リョウタ「もしかしたら、あのテレポート装置が何処か別の場所にもあり・・・それを使って飛んだ来たのが君なのかもしれない」
リョウタ「もしかしたら、その副作用で記憶が無くなった・・・なんて事も有り得るけどね」
アオト「なるほど・・・」
リョウタ「万が一ってのがあるからね。誰かが装置を起動しないようあの部屋は封鎖してあるんだけど」
リョウタ「君がそこに現れたことで、一時的に封鎖が解けてしまったのかもしれない」
アオト「えっ、僕・・・まずいことをしたのでは・・・?」
リョウタ「君はここに来る道中でその部屋を見つけることが出来たかい?」
アオト「あ、そういえば無かった・・・」
リョウタ「そういうこと。君が出たことできちんと封鎖が再起動したみたいでね」
リョウタ「入るどころかそもそも入口が視認できないようになってるんだ」
アオト「凄いですね・・・えっと、その・・・」
リョウタ「ああ、そうだ。その『リゲイル』を使って動く装置を『リゲイル装置』と呼んでいるんだ」
アオト「・・・そのままなんですね」
リョウタ「安直な名前しか思い浮かばなかったんだよ・・・まあ複雑な名前よりはいいかなって」
アカネとアオト、赤と青のコンビの誕生ですね。アオトは何らかの特殊能力を有する救世主なんだろうか。最悪の場合、敵側から送り込まれたトロイの木馬だったりして。など、いろいろ想像が膨らみました。
一体どこからきたのでしょうか…。
アカネさんもどこから連れてきた…?そう考え始めると行動が怪しいのか、記憶が怪しいのか、疑わしいものが多くなってきますね…!