読切(脚本)
〇教室
種田「天野 頼んだワンピースの最新刊買ってきたか?」
天野「あ・・・・・・ごめん」
天野「今日の帰りに買って明日持ってくるね」
種田「いや 駄目だ」
天野「え・・・・・・?」
種田「罰として後で一発殴らせろ」
天野「・・・・・・」
天野「わかった でも痛くしないでね」
種田「・・・・・・チッ」
矛村「おい そこ! 今は授業中だぞ!」
天野「すみません 矛村先生」
種田「あ? だから何だよ?」
矛村「いや だから授業中・・・・・・」
種田「それで?」
矛村「・・・・・・」
種田「お前さ いつもそうやって注意してくるけど結局なにも言わねえよな」
種田「いや 言わないんじゃなくて俺が怖くて何も言えねえだろ?」
矛村「!」
種田「図星かよ」
種田「だったら最初から注意すんじゃねえ!」
種田「このウズラハゲが!」
クスクス
ウズラハゲだって
クスクスクス
矛村「あとは自習しておくように」
種田「逃げるな! 腰抜け!」
〇学校の校舎
キーン コーン カーン コーン
〇教室
やっとお昼だ
もうお腹ペコペコ
〇学校の屋上
同級生A「メロンパン」
同級生B「カレーパン」
同級生C「玉子サンドの気分かな」
天野「買ってくるね」
天野「種田くんは?」
種田「マルゲリータ」
天野「でも・・・・・・マルゲリータは購買に売ってないよ」
種田「そのためにウーバーっていう便利なもんがあんだろうが!」
天野「・・・・・・」
天野「わかった」
天野「じゃあ電話してくるね」
クソッ! いつも笑いやがる
同級生A「いつも天野に苛ついてるよな」
種田「ああ あいつ見てると何かイライラすんだよ」
同級生B「イジメ過ぎると いつか刺されるぞ」
種田「天野に?」
同級生C「他にもイジメている人がいるんですか?」
種田「あいつにそんな根性ねえよ」
同級生C「どうして分かるんです?」
種田「刺す根性があったらイジメられてねぇし」
同級生C「そんなの分からないじゃないですか」
種田「わかんだよ」
・・・・・・俺がそうだったから
小学生のときイジメられていた俺は・・・・・・
〇体育館裏
牧野「何だよ こんなところに呼び出して」
種田「僕をイジメるのやめて欲しいんだ」
牧野「どうして俺に言うんだ?」
種田「牧野くんがやめればみんなやめるから」
牧野「知ってたんだ」
種田「やめてくれる?」
牧野「やだね」
種田「どうして?」
牧野「楽しいから」
種田「・・・・・・じゃあ僕もこうするしかないね」
牧野「うわーーー!!」
殺すつもりだった
家の台所から持ってきた包丁で・・・・・・
・・・・・・だけど寸前のところで交わされて殺しきれなかった
でもその日を境に周囲の俺を見る目が変わった
怒らせると危ない奴
みなが俺のことをそう言う奴だと
だから俺はそれを演じることにした
〇学校の屋上
・・・・・・もう二度とイジメられないために
同級生A「今日 帰りにカラオケ行かない?」
種田「行かねぇ」
同級生C「そう言えば種田くんと一緒に遊んだことがありませんね」
同級生B「なあ行こうぜ! 俺たち友だちだろ?」
〇男の子の一人部屋
ふざけろよ
リアルに友だちなんかひとりもいねえよ
俺の友だちはネットの中にいる
俺だけの秘密の世界に
〇村に続くトンネル
Seed「今日も勝ったな!」
アマノン「Seedのおかげよ」
アマノンとはこのバトルファンタジアと言うオンラインゲームで知り合った
リアルでは顔も名前も声も知らない
ゲーム内のチャットだけがコミュニケーションをとる方法だ
でもだからこそ 俺も本当の自分をさらけ出せる
Seed「何言ってんだ これはふたりの勝利だよ」
アマノン「うん 私たちのコンビは最強だね」
アマノン「ねえ SeedはどうしてSeedなの?」
Seed「ん?」
アマノン「どうしてSeedっていう名前にしたのかなって」
Seed「言ったことなかった?」
アマノン「だって初めて聞くもん」
Seed「苗字に『種』っていう文字が入ってるんだよ」
アマノン「!」
Seed「どうしたの?」
アマノン「え?」
Seed「だって「!」マーク」
アマノン「ちょっとリアルを思い出しちゃって」
Seed「リアルを?」
アマノン「相談に乗って貰っていい?」
Seed「答えられるかな」
アマノン「わたしリアルでイジメられてるんだよね」
アマノン「授業に集中したいのに話したりするんだ」
アマノン「それでどうすればいいかなって」
Seed「何だそんなことか」
Seed「答えは簡単 相手を殺せば良い」
アマノン「え・・・・・・」
Seed「実は俺もむかしイジメられてたんだよ でも包丁で刺したらイジメられなくなった」
アマノン「相手は死んだ?」
Seed「生きてる でも殺すつもりだった」
Seed「本気を見せないと相手には伝わらないから」
アマノン「なるほど・・・・・・」
Seed「俺にも教えて欲しい」
アマノン「何?」
Seed「アマノンはどうしてアマノンなの?」
アマノン「私も苗字にアマノが入ってるから」
え・・・・・・?
〇男の子の一人部屋
種田「アマノン・・・・・・天野?」
種田「・・・・・・まさかな」
〇教室
種田「・・・・・・おい」
天野「何?」
種田「・・・・・・いや 何でもない」
〇学校の廊下
天野「種田くん」
種田「な 何だよ」
天野「持ってきたよ」
種田「包丁か?」
天野「え? 頼まれてたワンピースの最新刊だけど」
種田「あ・・・・・・ああ・・・・・・」
種田「お前バトルファンタジアってゲーム知ってるか?」
天野「うん 面白いよね」
矛村「種田」
種田「うるせえ」
種田「お前がもしかしてアマノ・・・・・・」
矛村「種田ぁ!」
種田「だからうるせえって言ってんだろうが!」
矛村「うおーーー!」
ドスッ
種田「うっ・・・・・・」
矛村「もう俺をいじめるなよ! わかったか!」
種田「矛村・・・・・・」
種田「ああ そう言うことか・・・・・・確かに苗字にアマノが入ってるな」
天野「天野くん ち 血が・・・・・・」
種田「・・・・・・やっとわかった」
種田「俺はお前に嫉妬してたんだ」
種田「イジメられてもありのままの自分でいられるお前に・・・・・・」
天野「ぼくイジメられてるなんて思ってないよ」
天野「だって種田くんは僕の友だちだから」
種田「・・・・・・」
種田「本当に強いって言うのはお前みたいな奴のことを言うんだな」
種田「もう少し早くそれに気がついてた・・・・・・ら・・・・・・本当の友だちになれた・・・・・・の・・・・・・に・・・・・・」
天野「種田くん?」
天野「種田くーん!」
〇村に続くトンネル
アマノン「私やったよ」
アマノン「でも殺しちゃった」
アマノン「たぶんSeedがこのログを読む頃には私はもうこの世界にいないと思う」
アマノン「じゃあ行くね 私たちいつまでも友だちだよ」
なんと心の弱い彼だったのでしょうか、人の優位に立つことでしか強さを見せつけれない。亡くなってしまったのは悲しいですがね、、、どうなんでしょうか。
本当の友情を知ることがいじめを無くすことへとつながるという教えがすごく伝わりました。殺してしまうまでいかないように、なんとか周りに助けてくれる人がいる環境があればいいですが。又、各々が自立した精神を持つことも大事ですね。
まさかの展開でした!先生、思い悩んでたんですね…。
本人はいじめてるつもりはなくても、相手がいじめられてると思っていたらいじめ。そんなことを考えさせられました。