エピソード1(脚本)
〇けもの道
私には秘密がある。
だけど、その秘密を言っても誰も信じてくれないと思う。
その秘密場所に向かう私は、木々の間を通り過ぎながら目的地への向かう。
マイ「(トオルどこかな・・・)」
トオル「マイ!」
マイ「わ、もう、ビックした! いきなり出てこないでよ!」
トオル「ごめんごめん、ビックリさせようと思って。驚いた?」
マイ「驚くよも〜!」
彼は幼なじみであり彼氏のトオル。
私の秘密。
それは、この場所とトオル自身。
なぜなら、彼は・・・
もうこの世には存在していない幽霊だから
トオル「今日、来てくれたんだね」
マイ「当たり前じゃん、来るって約束したでしょ?」
〇小さい滝
ここは、私とトオルが見つけた特別な場所。幽霊のトオルはここから動かない。何が原因か分からないけど成仏できないみたいで。
ずっとずっとトオルは、ここにいる。
いつから私が幽霊のトオルを見えるようになったか。今はもうよく覚えてない。
ただ・・・、トオルが幽霊なのは事実だった。
そんなトオルに恋をしていた私は、こうして幽霊のトオルに遊びに来る。
少しでも、ここから動かないトオルが寂しいと思わないように。
〇小さい滝
たくさん他愛のない話をしたあと、そろそろ夕暮れで帰る時間になった私は、幽霊であるトオルにバイバイと手を振る。
マイ「また明日来るからね」
トオル「ああ、待ってるな」
私は来た道を戻るために木々を通る。
また明日の16時に会う約束をして。
幽霊であるトオルの会うのは誰にも秘密。
トオル「・・・」
トオル「・・・」
マイが去った直後、木々の中でスマホの着信音が流れた。
『おーい、もしもしトオル?もうそろそろ来る?大学のレポート一緒にするんだろ?』
トオルが電話を出れば、そんな声が聞こえ。
トオル「ああ、そろそろ行くわ」
『おっけー待ってるな』
電話を切ったトオルはそれをズボンのポケットの中へ戻した。
今は夏の時期。ここまで登ってきたトオルの体には汗がついていた。
〇山中の坂道
この山道をおりるのは、1つの足音。
昔、ここで殺人事件が起こった。
川が流れる綺麗な場所でカップルが待ち合わせをしていた時、その場所に向かっていた女の子が殺されてしまったのだ。
犯人は、女の子を殺してみたいという欲望を持った男性だった。誰も来ないこの木々の中は絶好の場所だったらしい。
殺された女の子は今も幽霊として、彼氏に会いに行っている。
なんでも──女の子はまだ自分が死んだとは気づいていないようで
彼氏に会うために、待ち合わせの時間に合わせて幽霊になった彼女が登ってくるのだ。
〇山間の田舎道
彼氏であるトオルは、「幽霊は君の方だよ」とは言わない。なぜなら言ってしまえばもう彼女と会えなくなるかもしれないから。
あの場所に行けば、必ず彼女がトオルの元へ来てくれる。
ずっと会いたいトオルは、幽霊であるマイに秘密を抱えるのだろう。
いつまでもマイが好きで、マイが死んだことを受け入れられない男は・・。
完
まさか逆だったとは思いませんでした!
トオルくんは毎日彼女のところへ会いに行ってるわけですが、本当のことを言えばもう会えなくなるかもしれない恐怖が伝わってきました。
彼女のほうが気づいてなかったんですね!恋人を失ったのは悲しい、、でもこうして会えるなら、幽霊だって彼女には気づかないでいてほしい。
死んだ人はこの世に未練があるからあの世に行けない
。これは誰が言ったの?死んだこともない人が想像しただけなのか?「この世とあの世」の違いは?