キセキノサンタ

キリ

オリジナル(脚本)

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〇走行する車内
ルチア「はあ~やべ、もう雪道ってほんと 何時に家を出ればいいかわっかんね」
ルチア「あ~~もう、間に合わない~~!」
ルチア「仕事遅れるーーー!」
ルチア「こんな時にスマホ忘れるとか、 職場にも遅刻するって言えないし!」
ルチア「あーーも」
ルチア「いいや、ここ近道しよっ!」
  ルチアは、夏もよく遅刻ギリギリに
  駐車場に着くため、細道の近道の道路を
  通り抜けることがしょっちゅうあった
  おかげで、正規ルートよりも10分早く
  駐車場に停めることができるのだ
  しかし、それは夏の道路のはなしで
  雪道の細道道路は、除雪車が入れず
  軽自動車のみ出入り可能な道幅だった
  除雪されていないということは・・・

〇駐車車両
  雪に車輪が沈み、アクセルを踏んでも
  前に進まず、バックで勢いをつけて
  助走するかのようにしたくても
  タイヤが雪に埋もれているため、
  ビクともしなくなってしまう恐れがある
  その埋まりに、ルチアは陥ってしまった
ルチア「え!嘘でしょ、タイヤ埋まった? !」
ルチア「どうすんのこういう時って...」
ルチア「あ!とりあえず雪をはらおう!」

〇駐車車両
  車から外に出て、タイヤを見てみると
  かなり雪に沈んでおり、手袋をした手で
  払い除けて、再び車に乗り込んだ
  アクセルを踏んでもビクともしない━━
ルチア「え、これってもしや、積んだ...? ?」
ルチア「どうしよどうしよ、誰か呼ぼうにも スマホが無いし...」
ルチア「せめて、スコップさえあればどうにか タイヤを雪から掘り返せるかも...」
  それから約10分経過した──
  しかし、状況はまったく
  変わっていなかった
ルチア「あーーーーーーやばい!これ超やばいっ!」
ルチア「どうすればいいの~~! お願い、動いてよマイカー!」
  車に呼び掛けても、言うことを
  聞いちゃくれない
  目の前には駐車すべき、駐車場があるのに
  ほんの数メートルの距離にあるのに
  タイヤが動かず、目の前の駐車場に
  停めることができないなんて
  悔しくて悔しくて、悔しい
ルチア(お願い、だれか...)
「おーーーーい...」
ルチア「...ハッ!」
おじさん「これ使え」
  見知らぬおじさんが持ってきたのは
  シャベルだった
ルチア「え?いいんですか?」
おじさん「ああ、わし歳だから車押せねえけど、 それで掘って、終わったらわしの家 あれだから、置いておいてくれれば...」
ルチア「分かりました!助かりました! お借りします!」
おじさん「ん」
ルチア(ありがとうございます! ありがとうございます!)
ルチア(これで掘れる!)
  ルチアは鉄素材でできたシャベルを使い、
  タイヤを飲み込んでいる雪を掘り進めた
ルチア「よし!これでいけるっ!」
  ルチアはもう一度、車に乗って
  アクセルを踏んだ
ルチア「ふぬぬぬっっ!」
ルチア「ダメだ...」
ルチア「どうしたらいいの...」
ルチア「もう、あのおじさん歳でも押してくれれば」
「押しますかー?」
ルチア「え」
「せーの」
ルチア「おおおっ!」
  バックミラー越しではあったが、
  だれかが合図した
  とっさの出来事ではあったが、
  ルチアは無意識にアクセルを踏んだ
  車の後ろから押した力と、アクセルが
  効いてやっと車が前進した
ルチア「はあ...よかった、やっと動いた..」
ルチア「あ!」
  ルチアは車から降り、後ろを振り返ると
  何事も無かったかのように、雪のなか
  上着のポケットに両手を忍ばせて
  去っていく背中が見えた
ルチア「ありがとうございました!」
  ルチアが礼を叫ぶと
  相手は少しだけ振り返り、コクンと
  お辞儀したように思えた──
ルチア(よかった、ありがとうございます。 本当に助かった...)
ルチア(誰かは分からないけれど、お礼を言えたし 悔いはないっ!)
ルチア(あ!そうだ、まだやることがあった)

〇パールグレー
  急いで車を駐車させ、車のテレビ画面には
  まだ出勤時間20分前だったことを知った
ルチア「なーんだ、余裕で間に合ってたのか」
ルチア「じゃあ、ちょっと早めに出社しとこうかな」
  車から出て、シャベルを掴むと
  おじさんが言っていた家の前に、
  シャベルを置いた
ルチア(おじさん、家の前に置いておいてって 言ってたけど、ピンポン鳴らせばいいかな)
ルチア(でも、知らない人がピンポン押してきたら 気まずくなるかな...)
ルチア(よし)
  ルチアは、ショベルを置き、
  ピンポンを押す代わりとして
  ふせんに「ありがとうございます。
  助かりました」と書いて
  ささやかだけど、チョコを沿えて
  職場に向かった
ルチア(そういえば、今日クリスマスだな...)
ルチア(ある意味、二人のサンタに助けられた)
ルチア(って感じ(笑))

コメント

  • 雪国住まいなのでこういう状況は何度か経験してまして、ハラハラして読みました。時間帯と場所によっては本当にゾッとしますよね。意味もなく近所を見回ってるおじさんってたまにいますけど、こういう時はありがたい。二人ともさりげない助け方が素敵なサンタさんでした。

  • 困っている時に誰かが手を差し伸べてくれたり、困っている人を助けて感謝されたり、どちらの立場になっても温かい気持ちになれることって、お金で買えないプレゼントだと思います。起こった出来事を友人が話して聞かせてくれているように読めました。

  • 人の優しさに触れられるステキなお話ですね。
    私も雪道で動けなくなった経験があるので、この絶望感はわかります。私のところは1時間後にJ●Fサンタ(有料)が訪れましたが……

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