夢咲く不思議なマイホーム

花石雫

草野家の人々(脚本)

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花石雫

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〇商店街
  その建物は商店街の隅っこにあって、目立つけど、目立たない。
  ひょろっと細長いヘンテコな二階建てのアパート。そこが私の新しいお家だ。
  だけど、この新しいお家には・・・ものすご~い、秘密がある。

〇木造校舎の廊下
  古くて細い廊下に並ぶ扉、その一つに
  金色の、魔法の鍵を差してまわせば―・・・

〇幻想空間

〇草原の道
  そこには、私達家族だけの素敵な異世界が拡がって居るんだっ!!

〇西洋風の部屋
草野咲花(くさのさきか)「ただいま~!」
草野穂南(くさのほなみ)「ちょっと咲花、荷物は部屋に片付けなさい!」
草野咲花(くさのさきか)「はぁーい・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「オヤツ用意してあるから、早く置いてらっしゃい」
草野咲花(くさのさきか)「うんっ!」
草野穂南(くさのほなみ)「はい、異世界果実のロールケーキよ♪」
草野咲花(くさのさきか)「あれ?苺?」
草野穂南(くさのほなみ)「ぷるぷるベリーよ。見た目は苺だけど・・・まぁ、食べてみて?」
草野咲花(くさのさきか)「いただきまーす!!」
草野咲花(くさのさきか)「ほんとだ!ぷるぷるしてる!ぷるぷるベリーだ!!」
草野穂南(くさのほなみ)「面白いわよね~!お母さん、毎日が腕の見せ所だわ!」
草野咲花(くさのさきか)「お母さん、楽しそうだね」
草野穂南(くさのほなみ)「そうね、楽しい。こんなに楽しいのは久しぶりだわ・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「口うるさい自治会長も近所のおばさんも居ないし、ほんと平和・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「人間ってこんなに穏やかに過ごせたのね」
草野穂南(くさのほなみ)「毎日歌って踊ってガーデニングして・・・お母さん幸せだわ~!」
草野咲花(くさのさきか)「そっか!えへへ、私も嬉しいな・・・!」
草野咲花(くさのさきか)(最近のお母さん、元気なかったりカリカリしてたからね・・・)
草野穂南(くさのほなみ)「そうそう、それ食べたらパパにこれを渡してきてくれる?」
草野咲花(くさのさきか)「・・・なにこれ?」
草野穂南(くさのほなみ)「こっちの香草らしいわ。お肉にあうらしいけれど・・・」
草野咲花(くさのさきか)「え~、パパ、また庭でお肉焼いてるの?」
草野穂南(くさのほなみ)「こないだ貰ったのが余ってるんですって」
草野咲花(くさのさきか)「お肉もいいけど、そろそろお魚食べたいな~・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「それもそうね。じゃあ、次の休みは湖にいってみましょうか?」
草野咲花(くさのさきか)「湖があるの!?」
草野穂南(くさのほなみ)「川や湖があって、釣りも水浴びも出きるって言ってたわよ」
草野穂南(くさのほなみ)「海は観光申請して港街まで行かないと行けないけどね」
草野咲花(くさのさきか)「でも釣れるんでしょ?お魚~!」
草野咲花(くさのさきか)「次の休みは絶対湖でお魚釣ろうね!!」
草野幹鳥(くさのみきと)「母さん、お腹空いた~・・・って、何それ?」
草野咲花(くさのさきか)「お兄ちゃん。新しいこうそーだって!」
草野幹鳥(くさのみきと)「へ~、初めて見る奴だ。錬金していい?」
草野穂南(くさのほなみ)「少しならいいけど・・・」
草野幹鳥(くさのみきと)「こないだみたいに爆発させないから安心してくれよ・・・」
草野幹鳥(くさのみきと)「それに、そのまま親父に使わせた方がヤバイッしょ?」
草野穂南(くさのほなみ)「そう、そうよね。あの人味見しないから・・・」
草野咲花(くさのさきか)「こないだのお肉なんか、酸っぱかったもんね・・・」
草野幹鳥(くさのみきと)「心配しなくても、調味料の錬成は錬金術の基礎だからね」
草野幹鳥(くさのみきと)「塩か胡椒か・・・肉に合う奴に仕上げるよ」
草野穂南(くさのほなみ)「そう?じゃあお兄ちゃんに任せるわ」
草野咲花(くさのさきか)「頑張ってね~!」
草野咲花(くさのさきか)「お兄ちゃんが香草持ってっちゃったし、他に何かある?」
草野穂南(くさのほなみ)「そうねぇ、パパにコーヒーを持っていってくれる?」
草野咲花(くさのさきか)「はぁーい!」
草野穂南(くさのほなみ)「・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「二人とも、馴染めてるみたいで良かったわ・・・」

〇原っぱ
草野咲花(くさのさきか)「お父さーん、コーヒーだよ~」
草野幹雄(くさのみきお)「おおっ、ありがとう咲花!」
草野幹雄(くさのみきお)「・・・うん、外で飲むコーヒーはうまいな!」
草野咲花(くさのさきか)「お肉焼けた?今、お兄ちゃんがこうそーのちょうごーしてるよ」
草野幹雄(くさのみきお)「自称錬金術か?大丈夫なのか?」
草野幹雄(くさのみきお)「あんまり爆発させてると、母さんに怒られるぞ・・・」
草野咲花(くさのさきか)「なんで爆発しちゃうのかな?」
草野幹雄(くさのみきお)「さぁな・・・こっちの植物は分からないことだらけだからなぁ・・・」
草野咲花(くさのさきか)「お父さんのお肉も毎日味が違うもんね」
草野幹雄(くさのみきお)「そうだな!待ってろよ、今日こそ旨い肉に仕上げてやるからな!」
草野咲花(くさのさきか)「最悪、焼肉のたれで食べるから大丈夫だよ?」
草野幹雄(くさのみきお)「おいおい、悲しいこと言うなよ・・・もう少し父さんに期待してくれ・・・」
草野咲花(くさのさきか)「あはは、うそうそ!期待してるから頑張ってね、お父さん!」
草野幹雄(くさのみきお)「おう、まかせときな!」
草野咲花(くさのさきか)「後ね、お母さんと話してたんだけど・・・私、お魚食べたい!」
草野幹雄(くさのみきお)「魚?あぁ、そういや湖があるって言ってたな」
草野咲花(くさのさきか)「お父さん、お魚釣れる?」
草野幹雄(くさのみきお)「まかせとけ!自慢の釣り道具もあるぞ~!」
草野咲花(くさのさきか)「やった~!お魚、お魚!」
草野幹雄(くさのみきお)「なんだ、咲花はお魚の方が好きか?」
草野咲花(くさのさきか)「う~ん、お肉も好きだけど・・・」
草野咲花(くさのさきか)「毎日だともたれるかも・・・」
草野幹雄(くさのみきお)「咲花・・・まだ若いのにお前・・・」
草野幹雄(くさのみきお)「まぁいい」
草野幹雄(くさのみきお)「とびきりでっかい魚を釣って焼くのも楽しいだろうからな♪」

〇西洋風の部屋
草野幹雄(くさのみきお)「ただいま~」
管理人さん「こんにちわ、お邪魔してますよ」
草野幹雄(くさのみきお)「おぉ、管理人さん。こんにちわ!」
管理人さん「こんにちわ、草野さん。何かお困り事はありませんか?」
草野幹雄(くさのみきお)「今のところは。楽しませて貰ってます!」
管理人さん「それは良かった」
草野幹雄(くさのみきお)「それで、今日はどういったご用件で?」
管理人さん「そうそう、お待たせしていた共有ルームのご案内に参りました」
草野咲花(くさのさきか)「きょーゆーるーむ?」
管理人さん「うん、ここでは、あちらの世界のテレビを見たりネットをしたりが出来ないだろう?」
草野咲花(くさのさきか)「確かに!」
管理人さん「設備の問題で他の方達と共有になってしまいますが、それらを使える部屋をご用意しました」
管理人さん「Wi-Fi環境、大型スクリーンを完備。各家庭用のフリースペースも用意してございますよ」
管理人さん「他の御家庭とトラブルだけは起こさぬようにお使いください」
草野幹雄(くさのみきお)「なるほど!助かります!」
草野穂南(くさのほなみ)「ニュースとかドラマとか、あちらの世界の事もちゃんと知りたいものね」
草野咲花(くさのさきか)「あっ、じゃあ見られなかったアニメも見られるんだね!」
草野幹鳥(くさのみきと)「ネットで調べものも出来るわけだ。それはありがたいな」
管理人さん「ご不便お掛け致します」
管理人さん「共有スペースへは、こちらの扉の先の転送陣から参れます」
「おぉ~・・・」
管理人さん「まだ他の家庭の方には紹介してないので一度行ってみますか?」
草野咲花(くさのさきか)「一番乗り!?行きたい行きたーい!!」
草野幹鳥(くさのみきと)「あっ!?ちょ・・・すいません、落ち着きなくて・・・」
管理人さん「元気があってよろしいと思いますよ。では参りましょう」

〇異世界のオフィス
草野咲花(くさのさきか)「わぁ・・・窓の外が・・・!!」
管理人さん「巨大スクリーンですよ。普段は異世界の各地をランダムで映しております」
管理人さん「ここはランダガルドと言う浮遊岩が有名な所ですね」
草野咲花(くさのさきか)「へぇー!!いつか行ってみたいなぁ~!!」
管理人さん「そうですね。観光局の外出許可がおりるとよろしいのですが・・・」
草野穂南(くさのほなみ)「あら?キッチンもあるのね。まぁ、オーブンレンジに圧力鍋・・・ありがたいわ!」
管理人さん「現世からの持ち込みもOKですので、ご自由にカスタムしてください」
草野穂南(くさのほなみ)「ほんとうですか?まあまあ!料理の幅が広がるわ~!」
草野幹鳥(くさのみきと)「ねぇ管理人さん。気になってたんだけど・・・他の人達って同じような所に住んでるの?」
管理人さん「いえ、皆さんには詳細なカウンセリングの元、各々にあった場所をご紹介しております」
管理人さん「ここだけの話、皆様全然違う所に住んでらっしゃいますので・・・」
管理人さん「お互いのお家の話は、住人の皆様の話の種にも最適だと思いますよ」
草野咲花(くさのさきか)「へぇー!面白そう!他の人はどんなところに住んでるのかな?」
草野幹鳥(くさのみきと)「こっちにはないアイテムの交換も出来るかもしれないな!」
草野穂南(くさのほなみ)「レシピの交換も出来そうね!」
草野幹雄(くさのみきお)「旨い肉や魚が手に入ると俺も楽しみが増えるな!」
草野咲花(くさのさきか)「他の人に合うの、楽しみだな~!」
管理人さん「他のお家には咲花さんと同じ学校の娘さん達が居るから、仲良く出来るといいね」
草野咲花(くさのさきか)「そうなんだ!?」
草野咲花(くさのさきか)「新しいお家の事、誰にも話せなかったから・・・色々お話しできると嬉しいな!」

〇西洋風の部屋
管理人さん「では、私はこれで失礼しま──・・・」
管理人さん「・・・と思ったのですが、あの、この音は?」
草野幹鳥(くさのみきと)「あっっっ、やべっ!!!!!」
草野穂南(くさのほなみ)「えっ!?ちょっと幹鳥、アンタ・・・」
草野幹鳥(くさのみきと)「あちゃぁ・・・錬成失敗・・・」
管理人さん「だ、大丈夫ですか・・・?」
草野穂南(くさのほなみ)「はっ!すいません!新しい住居で爆発なんて・・・!!」
草野幹鳥(くさのみきと)「すっ、すいません!!直ぐ綺麗にします!!」
管理人さん「ああいえ、建物は丈夫に出来てますのでお怪我がなければ・・・」
草野幹雄(くさのみきお)「あー、聞こえてないな。すいません、管理人さん・・・父親として厳しくいっておきますので・・・」
管理人さん「いえ、自分の楽しみを見つけられたようで何よりです」
草野幹雄(くさのみきお)「管理人さんが心が広くて助かります・・・」
管理人さん「いえいえ。これからもよろしくお願いいたします」
管理人さん「人間に住んでいただくこと、それがこの世界を救うことになりますので・・・!」
草野幹雄(くさのみきお)「いまいちよく分かりませんが・・・皆楽しんでますので任せてください!」
管理人さん「はい、頼りにさせていただきますね」
草野咲花(くさのさきか)「・・・あっ、そうだ。今日の日記かかなきゃ!」

〇幻想空間
草野咲花(くさのさきか)「えーっと、不思議で楽しい新しいお家は~っと・・・」
草野咲花(くさのさきか)「~明日も楽しい1日だといいなっと♪」
  ・・・
  ・・・・・・・・・
  とぅーびーこんてにゅー?

コメント

  • サブスクで偶に見るようなショートドラマを観ている気分になれました

  • 家族全員がそれぞれに楽しみを見つけてenjoyしているところがいいですね。あまりにもいいことだらけで、後で大きな落とし穴があるんじゃないかと逆にハラハラしてしまうほどです。この家族がここに住むようになった経緯や、管理人さんは誰に雇われているのかとか、気になることもたくさんありました。

  • 口うるさい自治会長やおばさんがいなくて平和で
    のどかで穏やかな場所での暮らし、うらやましいです。
    私の住んでいるところは、風景はのどかな田舎ですけど口うるさいおばさんや自分勝手な人だらけなので😂

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