コスプレおじさん

ヤマダン

ココナおじさんの奮闘記(脚本)

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〇オフィスのフロア
金田正二「お、おはよう」
女性社員「・・・」
金田正二「はぁ〜」
金田正二「あ、おはよう」
男性社員「おはようございます」
男性社員「ってか伊藤のやつ、また遅刻ですよ」
金田正二「そうなのか?」
男性社員「金田さん、ちゃんと指導してくださいよ」
金田正二「す、すまん」
男性社員「一様立場は上なんだから お願いしますよ」
金田正二「は、はい」
金田正二「一様って・・・」
金田正二「ん?い、伊藤君」
伊藤聡「あ、おざっす」
金田正二「君ね、今、何時だと〜」
伊藤聡「なんすか?」
金田正二「いや、そのね」
伊藤聡「なんすか!」
金田正二「あ、なんでもないよ」
伊藤聡「・・・」
女性社員「ったく金田さん、バシッと言ってほしいよね」
男性社員「本当本当、これだからおっさん社員は嫌なんだよ」
女性社員「しっ聞こえちゃうよ」
男性社員「にしても伊藤のやつも、本当にゆとりって感じだな」
女性社員「本当ね・・・」

〇古いアパート
金田正二「はぁ〜疲れた」

〇汚い一人部屋
金田正二「早く寝よう」
金田正二「日曜までの我慢だ」

〇巨大ドーム
  コスプレフェス
オタク「ココナちゃーん!」
オタク「こっち向いて」
ココナ「みんな、ありがとー!」
オタク「ココナちゃん!これ!」
ココナ「わー!嬉しいー」
オタク「ココナちゃーん!」

〇古いアパート
ココナ「ふぅ〜疲れた・・・」

〇汚い一人部屋
ココナ「楽しかったぁ オタクが浮かれてる顔見るの、たまんないな」
「よいしょっと」
「ん?ちょっと太った?」
「でも、この形状記憶下着を着れば こんなにもスリムになれるなんてな」
金田正二「コスプレしてチヤホヤされるのは いいストレス解消になるな」
金田正二「あいつら、ココナの中がおっさんなんて思わないだろう」
金田正二「あ、シワになる前に衣装部屋に片付けないと」

〇可愛い部屋
金田正二「そろそろ新しい服、ほしいなぁ」
金田正二「来月の給料で買うか」

〇巨大ドーム
ココナ「みんな!今日もありがとー」

〇古いアパート
ココナ「やばい、雨降ってきた」
ココナ「メイク落ちちゃうよ」
伊藤聡「う、う・・・」
伊藤聡「さ、寒い」
ココナ「い、伊藤君!?」
伊藤聡「・・・寒い」
ココナ「なんでこんなところに」
ココナ「誰か、誰かいないのか?」
ココナ「くそ!仕方ない!」

〇汚い一人部屋
ココナ「伊藤君、大丈夫か?」
ココナ「タオルは〜」
伊藤聡「ん?ここは?」
ココナ「気が付いたか?」
伊藤聡「ん?え!なになに!?」
ココナ「いや落ち着いて!」
伊藤聡「あの、ありがとうございます」
ココナ「え?」
伊藤聡「すいません、女性の一人暮らしの部屋に男が入るって、非常識ですよね」
ココナ「あ、そっか」
伊藤聡「すぐに出るんで」
ココナ「タ、タオル持ってきますね」
伊藤聡「はっくしょん!」

〇可愛い部屋
ココナ「しまった!今、ココナになってるんだ」
ココナ「まずい、こんなの会社に知られたら ますます居づらくなるぞ」
「はっくしょん!」
ココナ「でも、この雨の中ほっておく訳にもいかないし」

〇汚い一人部屋
伊藤聡「はっくしょん!」
ココナ「これ」
伊藤聡「ど、どうも」
ココナ「大丈夫ですか?」
伊藤聡「すいません。あ、俺、伊藤って言います」
ココナ「えっと私は、ココナ」
伊藤聡「ココナ?変わった名前ですね」
ココナ「えっと、個別の個に・・・」
ココナ「なんかカタカナのマの親戚みたいなやつ、で」
伊藤聡「々、これですか?」
ココナ「そう!それに菜っ葉の菜」
伊藤聡「はぁ、個々菜?」
ココナ「そう〜!」
ココナ(危ねー!ってか、伊藤君、々を今どうやって説明したの?)
ココナ「それより、どうしたんですか?」
伊藤聡「あ、彼女とケンカしちゃって」
伊藤聡「ってか、この部屋・・・」
ココナ「え、あー!」
伊藤聡「あ、別に悪い意味じゃなくて」
伊藤聡「なんていうか・・・」
ココナ「お兄ちゃんの部屋なの!」
伊藤聡「え?お兄ちゃんの?」
ココナ「そう!今日は泊まりらしくて・・・ まったく散らかってますよね」
伊藤聡「そっか」
ココナ(ふぅー!たまには片付けしないとな)
伊藤聡「ぐ〜〜」
伊藤聡「あ、すいません」
ココナ「お腹空いてるの?」
ココナ「ちょっと待って」
ココナ「簡単な料理しかできないけど」
伊藤聡「あ、お構いなく」
ココナ「そうはいかないでしょ」
ココナ「昔っから料理はやってるから、こう見えて得意なんだ」
伊藤聡「え?」
ココナ「おうどんくらいしかないけど・・・」
伊藤聡「すいません」
伊藤聡「ってか、昔っから料理が得意って?」
ココナ「え?いやーそれは」
ココナ「小学校の頃からやってるの」
伊藤聡「そうなんだ」
ココナ「うん、お兄ちゃんにもよく作ってたかな」
ココナ「まったく、部屋散らかってるよね」
伊藤聡「いや、それは関係ないけど」
ココナ(危ねー!昔とか言っちゃダメだ)
伊藤聡「あの、僕帰りますんで」
ココナ「でも服ずぶ濡れですよね」
伊藤聡「大丈夫ですよ」
ココナ「ちょっと待ってて」

〇可愛い部屋
ココナ「買ったけど着てない服とかあったかな?」
ココナ「さすがにあれで帰す訳には」
ココナ「わー!」
ココナ「危ない、服は山積みにするもんじゃないな また散らかっちゃった」
伊藤聡「大丈夫ですか!」
ココナ「あ、はい。服が倒れてきただけで」
伊藤聡「この部屋?」
ココナ「え!?いやーそのー」
伊藤聡「あれですか?お兄さん、アパレル関係ですか?」
ココナ「え?」
伊藤聡「ほら、家にこんだけ服があるのなら」
ココナ「・・・そーなんです!」
ココナ「よ、よくわかりましたね」
伊藤聡「いえ、一様僕も会社員なんで」
伊藤聡「一様、ですけど」
ココナ「あ、向こうの部屋で待っててもらえますか?」

〇汚い一人部屋
伊藤聡「すいません、こんな着替えまで」
ココナ「いいですよ、セールで買った安いやつなんで」
伊藤聡「え?」
ココナ「あ!お兄ちゃんが!」
伊藤聡「向かいのコンビニで着替えて帰りますね」
ココナ「そう、ですね」
伊藤聡「ありがとうございました」
ココナ「はい、気をつけて」
伊藤聡「あ、なんか踏んじゃった・・・ん?」
伊藤聡「金田、正二?」
ココナ「あ!しまった!」
ココナ「いや、違うんだ!これは!」
伊藤聡「金田さんか・・・」
ココナ「あのね、普段、営業の仕事してるの だから、その時に会ったのかも」
ココナ「あれだよね、さえないおじさんですよね」
伊藤聡「俺、こんな見た目じゃないですか」
伊藤聡「だから、ゆとりゆとりって言われて」
ココナ「え?」
伊藤聡「本当はバシッて叱ってほしいんです」
ココナ「え?叱ってほしい?」
伊藤聡「じゃないと、なんか変われないって思って もう学生じゃないし」
ココナ「そうか」
伊藤聡「俺のせいで金田さんに迷惑かけてるのわかってるんですけど」
伊藤聡「どうもキッカケって言うの?それがなくて・・・」
ココナ「伊藤君・・・」
伊藤聡「あ、なんかごめんね 今日はありがとう」
ココナ「いえ、気をつけて」
ココナ「叱られたいか」

〇オフィスのフロア
金田正二「まだ来てないか・・・」
伊藤聡「あ、おざっす」
金田正二「えっと・・・」
金田正二「伊藤君、また遅刻だよ」
伊藤聡「え?」
金田正二「5分ならいいとか、そういう考えは・・・」
金田正二「やめた方がいいんじゃないかな」
伊藤聡「・・・すいません」
金田正二「今日、外回り行くけど、一緒に行くか?」
伊藤聡「え?」
金田正二「そろそろそういうのも知りたいだろ」
伊藤聡「お、お願いします!」
金田正二「よし、行くか」
伊藤聡「は、はい!」
金田正二「そういや、昨日はちゃんと帰れたのか?」
伊藤聡「はい?」

コメント

  • 異世界や魔法使いが出てくる物語も吹っ飛ぶほどに金田さんのコスプレ技術は異次元のテクニックですね。面白さの中に人の優しさが描かれていて読後感が爽やかでした。

  • 金田さんの変わりっぷりに驚きつつ、この先の展開、どうなるのかどきどきしながら読ませていただきました!
    2人が仲良くなると良いなと思いました!

  • 形状記憶下着...設定が既に面白なのにコメディではなく、しっかり前向きなストーリー、最後まで楽しめました!
    伊藤くんのイケイケ感に思わず共感してしまいました、いるいる!

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