【1】異端児(脚本)
〇謁見の間
王「なぜ一向に捜そうとしないのだ、沙稀!」
玉座に座る者が憎々しく言葉を発する。空気を固まらせ、罵倒した相手までも同様にする勢いだ。
沙稀《イサキ》「なぜ・・・・・・そうですね」
沙稀《イサキ》「今更、だからです」
沙稀《イサキ》「宜しいではないですか。この城、鴻嫗《トキウ》城は貴男様の娘である姫君・・・恭良《ユキヅキ》様がお継ぎになるのですから」
王「貴様は」
沙稀《イサキ》「鴻嫗《トキウ》城は世界の三大陸に君臨する、由緒正しい城です。歴史の重みを示すように、仕来りが幾重にも存在しています」
沙稀《イサキ》「例えば、」
沙稀《イサキ》「世界には『貴族は長髪でなければならない』という一律の規定がありますが、それを定めたのも鴻嫗《トキウ》城だと言われています」
王「なにが言いたい」
沙稀《イサキ》「この鴻嫗《トキウ》城は、代々姫が継いできた城です」
沙稀《イサキ》「ですが、現在は貴男様が『国王』として君臨しています」
沙稀《イサキ》「それは、十九歳になられた今でも、恭《ユキ》姫が未婚だからです」
沙稀《イサキ》「ただし、未婚であっても『父』からの王位継承は可能なはずです。 条件は、後継者が『姫』であればいいだけ」
沙稀《イサキ》「・・・・・・本望ですよ、恭《ユキ》姫が鴻嫗《コノ》城を継ぐのは」
王「度が過ぎてはいないか。私に対する貴様のその態度は」
沙稀《イサキ》「『私に対して』?」
沙稀《イサキ》「貴男こそ、誰に対して仰っているのか、ご理解戴きたいものですね」
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沙稀が王に対してなぜここまで尊大な態度に出ることができるのか、謎が謎を呼ぶ展開ですね。「命を今度こそ奪いたいのなら」というセリフからして、タイトルの転生と関係しているのかな。続きが気になります。